インサイドセールスとは?3つのメリットと4つの成功条件を徹底解説

今、インサイドセールスに注目が集まっています。

従来の営業とは一線を画す、インサイドセールスを取り入れた新しい営業スタイルの、概要からメリット、成功条件を徹底解説しました。

インサイドセールスの概要

まずは、インサイドセールスの概要を、フィールドセールスとの違い、従来の営業との違い、テレアポとの違いを踏まえながらご説明します。

インサイドセールスとは

インサイドセールスとは、お客さま先に訪問せず、電話やメール、Web会議システムなどを使って社内で営業活動をする「内勤型営業」のことです。

インサイドセールスの特長は、多くのお客さまと接触できることです。インサイドセールスは移動時間が必要ないため、後述するフィールドセールスより、多くのお客さまと接点を持てます。さらに、全国どこにいるお客さまともコミュニケーションを取れます。

インサイドセールスは、アメリカ発祥の営業スタイルです。アメリカは国土が広く、お客さまのもとへ訪問するのに多大なコストがかかるため、電話や営業メールをメインに営業活動を展開するインサイドセールスの手法が生まれました。

近年は、アメリカだけでなく、日本でもインサイドセールスを取り入れた営業スタイルに注目が集まっています。

フィールドセールスとは

インサイドセールスが「内勤型営業」なら、フィールドセールスは「外勤型営業」です。インサイドセールスと違って、実際にお客さまのもとへ訪問するスタイルの営業をフィールドセールスと呼びます。

フィールドセールスは、お客さまと対面でコミュニケーションを取るため、お客さまとの信頼関係を構築しやすく、お客さまのより細やかなニュアンスまで感じ取れます。ただし、インサイドセールスと異なり、1日にお会いできる件数は3〜4件ほどに限られてしまいます。

日本では、「営業は足で」という考えのもと、長らくフィールドセールスが重要視されてきました。

インサイドセールスとフィールドセールスを分業した営業と従来の営業の違い

従来の営業は、1人の営業担当者が、営業リストの作成・情報収集・ヒアリング・リードの見極め・アポ取り・商談の事前準備 ・提案活動をすべて行なっていました。しかし、業務の範囲が広く、常に多忙を極めていました。

そこで、従来の営業担当者が1人で行なっていた業務を、一部、もしくは全てインサイドセールスが肩代わりし、営業活動をインサイドセールスとフィールドセールスで分業する営業手法が注目を浴びています。

たとえば、マーケティングチームから引き渡された見込み客の中から、インサイドセールスがヒアリング や情報提供(リードナーチャリング)をし、成約しそうな見込み客を見極め(リードクオリフィケーション)、アポを獲得します。そして、いよいよ訪問する段階になったら、インサイドセールスからフィールドセールス部門に引き渡す、という営業スタイルです。

インサイドセールスは、マーケティングとフィールドセールスの溝を埋める、橋渡しのような役割を担う、というイメージです。

とはいえ、営業プロセスのどの範囲をインサイドセールスが担うかは、企業によって異なります。以下に「インサイドセールスの業務範囲」の図を掲載しますが、あくまでも一例に過ぎないことをご了承ください。

営業活動をインサイドセールスとフィールドセールスで分業するのではなく、インサイドセールスのみで営業活動を展開する企業もあります。インサイドセールス自身でアポを獲得し、その後の提案活動・受注までの全てをインサイドセールスで行う営業スタイルです。

この記事では、私たちも実践している、インサイドセールスとフィールドセールスで分業する営業スタイルをご紹介します。

インサイドセールスとテレアポの違いは目的にある

「インサイドセールスとは、電話やメール、Web会議システムを用いた内勤型営業です」と聞くと、「つまりテレアポのこと?」と思ってしまいます。しかし、それは誤解です。この節では、インサイドセールスとテレアポの違いを明確にしましょう。

インサイドセールスとテレアポの違いは、目的にあります。

テレアポの目的は、「アポを獲得すること」です。そのため、テレアポは、どうしても質よりも数を重視する傾向があります。そして、アポを獲得した時点でミッション完了となります。

それに対して、インサイドセールスの目的は、「見込み度の高い顧客を見つける・創出すること」です。したがって、インサイドセールスは、数よりも質を重視します。「アポを何件獲得できたか?」だけではなく「獲得したアポから何件受注に至ったか?」までも評価するわけです。

また、インサイドセールスの業務には、情報提供を通じたリードナーチャリングが含まれることも、テレアポとの大きな違いです。見込み客の興味関心に応じて、こちらから情報提供をし、「確度の低い見込み客を、確度の高い見込み客に育成する」ことも業務に含まれる点が、インサイドセールスの大きな特徴です。

リードナーチャリングとは、マーケティング用語で「見込み客の育成」を指します。リードナーチャリングの手法は、メルマガステップメールシナリオメール などが通例ですが、インサイドセールスでは、「1対1の」「Web会議や電話で」リードナーチャリングを行います。

「ヒアリングと情報提供を通して見込み客と良好な関係を築き、受注確度の高まった見込み客をフィールドセールスに引き渡す」ことがインサイドセールスの目的、というわけです。

インサイドセールスが注目を浴びる背景

この章では、「なぜインサイドセールスが注目を浴びているのか」をご説明します。先に答えを言ってしまうと、インサイドセールスが注目を浴びる理由は、「もともと営業が抱えていた課題を、テクノロジーの力を借りることで解決できるようになったため」です。

営業の慢性的な人手不足と業務の多さ

もともと、営業は慢性的に人手が不足しています。業務範囲も広く、1人の営業担当者を育成するにも、多くの時間と労力が必要でした。

営業活動、と聞くと、商談がメインのようにも思われますが、商談を行うには、訪問先の選定・日程の調整・訪問先企業の情報収集など、さまざまな業務が発生します。営業担当者は、本来であれば、お客さまとの商談に集中したいものの、それが実現できない状況にありました。

さらに、なんとかアポを獲得して訪問したとしても、訪問型営業には、移動時間・交通費・待ち時間など、多くのコストがかかります。

「人手が足りない」「訪問しきれない」「1案件ごとのコストが高い」「営業マンの育成が難しい」という困りごとは、昔から存在し、長らく解決されないままでした。

Web会議ツールの登場

上記のような困りごとがあったものの、電話やメールを介したコミュニケーションでは、音声や文字による情報しか得られないため、見込み客とのコミュニケーションに限界がありました。

しかし、Web会議システムが登場したことによって、離れた場所でも、対面に近いコミュニケーションを取れるようになりました。Web会議システムとは、音声だけでなく、相手の顔を見ながら会話できるシステムです。Web会議システムにはPCの画面共有や資料の共有、メモの共有ができるものも多く、わざわざ訪問しなくとも、対面に近いコミュニケーションを取れるようになったのです。

有名なWeb会議システムとして、SkypeやZoom、bellfaceなどが挙げられます。

Web会議システムの登場が、インサイドセールスを実現するための土壌となりました。

商談を管理できるツールの登場

とはいえ、Web会議システムだけでは、インサイドセールスとフィールドセールスを「分業する」営業スタイルの実現にはいたりません。

なぜなら、営業活動には、「属人化しがち」という課題があるためです。営業担当者が「誰に」「どのように」アプローチしたのかは可視化しづらく、部門はおろか、担当者間ですら、見込み客を引き渡す際には、情報の抜け漏れが常でした。この「属人化しがち」という特徴から、「営業担当者の育成が難しい」という困りごとも生まれるわけです。

そこで登場したのがSFA(営業支援システム)です。SFAとは、お客さまとの接触情報を記録・共有することで、自社の営業状況を可視化(見える化)できるシステムです。SFAの登場によって、「社内の誰が」「どのお客さまに」「どのようなアプローチをしたか」を共有できるようになりました。

つまり、ツールの力を借りることで「部門間での情報共有」が容易になり、「分業する体制」が整ったわけです。

「人手が足りない」「訪問しきれない」「1案件ごとのコストが高い」「営業マンの育成が難しい」という困りごとを、テクノロジーの進化に伴って、やっと、インサイドセールスとフィールドセールスの分業という形で解決できるようになったのです。

インサイドセールスとフィールドセールスを分業する3つのメリット

ここで改めて、インサイドセールスとフィールドセールスを分業する3つのメリットをご紹介します。

1:接触可能な見込み客の増加

インサイドセールスとフィールドセールスを分業すると、従来の営業スタイルよりも多くの見込み客と接触することができます。

フィールドセールスが1日に訪問できる件数は多くても3〜4件です。しかし、インサイドセールスは、架電だけなら30件ほどのお客さまに接触することができます。画面共有を用いたWeb会議のアポであっても、1日に6〜7件はさばけます。

また、インサイドセールスなら、アポの日程も「では、本日の午後○時から」と、当日にいきなりセッティングできます。インサイドセールスは、移動にかかる時間がない分、お客さまの要望に柔軟に対応できるためです。

したがって、同じ自社のリソースであっても、インサイドセールスとフィールドセールスを分業すると、より多くの見込み客と接触できます。従来の営業スタイルのお悩みごとである「人手が足りない」「全員と接触しきれない」を、インサイドセールスとフィールドセールスの分業によって解決できるのです。

2:フィールドセールスの成約率アップ

インサイドセールスの目的は、「見込みの高いお客さまを見つける・創出すること」です。そのためにヒアリングやリードナーチャリング(情報提供)を繰り返し、見込み客との良好な関係を構築します。その上で見込み客をフィールドセールスに引き渡せば、フィールドセールスは成約率の高い案件にのみ集中できます。

フィールドセールスを展開するにはコスト(移動時間・交通費・待ち時間)がかかります。すべての見込み客をフィールドセールスが担当するのではなく、

  • 見込みの低い・不明なお客さま → インサイドセールス
  • 見込みの高いお客さま     → フィールドセールス
  • と分担することで、フィールドセールスが不要な訪問をする機会を減らすことができ、1営業案件ごとのコストを削減できるのです。

    お客さまからしても、成約にいたらない訪問が減るのは、きっと嬉しいことですよね。

    3:社内教育コストの削減

    インサイドセールスとフィールドセールスで業務を分担すると、「1人が覚えるべき仕事」が減り、業務を1から10まで覚える必要があった従来の営業とくらべて、担当者の独り立ちが早くなります。

    従来の営業の仕事が「1から10まで」だったところを、インサイドセールスとフィールドセールスで「1から5まで」と「6から10まで」に分業するイメージです。

    また、単に「業務範囲が減る」だけでなく、インサイドセールスには、「社内メンバーからのアドバイスを得やすい」という特長があります。インサイドセールスの業務は社内で行うため、電話の最中にベテラン社員に見てもらい、すぐにフィードバックをもらうこともできるわけです。Web会議中に不明な点があっても、「確認いたします」と断りを入れて、社内の誰かに尋ねることもかんたんです。

    インサイドセールスとフィールドセールスを分業すると、従来の営業とくらべて社内教育コストが減ります。すると、営業組織を拡大しやすくなり、営業組織の拡大にともなって、さらに多くの見込み客にリーチできるようになります。

    インサイドセールスで成功するための4つの条件

    最後に、インサイドセールスで成功するための4つの条件をご紹介します。「これからインサイドセールスを始めたいけれど失敗したくない」「インサイドセールスを始めたものの、思うように結果が出ない」とお悩みの方にお読みいただきたい内容です。

    1:顧客情報や商談を管理・共有できるツールを導入する

    インサイドセールスとフィールドセールスの分業体制を実行するなら、顧客情報や商談を管理・共有できるツールを導入することはマストです。

    なぜなら、インサイドセールスは、マーケティングとフィールドセールスの橋渡しの役割を担うことが多いためです。マーケティングチームから受け取った顧客情報をもとにヒアリングおよび情報提供をし、これまでの接触履歴を余すことなくフィールドセールスに伝えなければなりません。口頭だけだと、伝え漏らしがあるかもしれません。

    そこで、先にご紹介したSFAや、マーケティングオートメーション(MA) 、CRMなどの顧客情報を管理・共有できるツールを導入し、情報を共有できる場を整えましょう。

    ただし、ツールを導入し、情報を共有する場を設けたとしても、「情報を記録する習慣」が伴わなければ意味はありません。SFAもマーケティングオートメーションもCRMも、導入するだけで成果が出る魔法のツールではありません。

    営業担当者の中には「お客様の情報は頭の中に入っているから」と、記録を面倒がる人もいます。「情報を記録する習慣」を社内で徹底しなければ、インサイドセールスの成功は望めないでしょう。

    また、上記の有料クラウドツールだけでなく、Googleカレンダーなどの無料サービスを有効活用することでも、情報の伝達・共有を効率化する仕組みを作れます。

    2:インサイドセールスの担当範囲と引き渡し条件を明確にする

    これまでにも何度か触れてきましたが、インサイドセールスの業務範囲は、企業によってさまざまです。したがって、マーケティング・インサイドセールス・フィールドセールスそれぞれの「担当範囲」と「引き渡し条件」を、自社の業態・サービス・人員に応じて明確にしておきましょう。

    まずはインサイドセールスの「担当範囲」を決めます。

    インサイドセールスとフィールドセールスの分業体制を敷くのか、全面的にインサイドセールスで営業活動を行うのか。インサイドセールスとフィールドセールスで分業するなら、営業プロセスのどこからどこまでをインサイドセールスの業務とするのか。これらは企業によってさまざまです。どの企業でも通用する、たったひとつの正解はありません。

    記事冒頭に掲載した、インサイドセールスの業務範囲の図を再掲いたしますので、インサイドセールスの担当範囲を考える際にはご参考ください。

    インサイドセールスの担当範囲が決まったら、次は「引き渡し条件」を明確にします。

    たとえば、私たちは、BANT条件が揃っていることを、インサイドセールスからフィールドセールスへの引き渡し条件としています。BANT条件とは、Budget(予算)、Authority(決裁フロー)、Needs(ニーズ)、Timeframe(導入予定時期)の4つの頭文字をつなげたものです。4つの要素のうち1つでも欠けていたら成約にはいたらない、とされています。

    BANTを引き渡し条件とした運用とは、見込み客にニーズがあり、決裁権もあり、予算も十分だったとしても、導入時期が未定ならばフィールドセールスには引き渡さない、という運用です。BANTを引き渡し条件とすることで、フィールドセールスは「いますぐに導入可能な案件」にのみ集中できるわけです。

    3:KPIを設定し、成果を見える化する

    KPIとは「Key Performance Indicator」の略で、日本語で「重要業績評価指標」と訳される、何らかの施策が目標を達成したかを評価する際の指標となる数字のことです。インサイドセールスの業務を評価するKPIを設定し、インサイドセールスの成果を見える化しておきましょう。

    以下に、主なインサイドセールスのKPIをご紹介します。インサイドセールスのKPIは、インサイドセールスが担当する業務範囲によって異なるため、下記の例は、あくまでもご参考までにごらんください。

    インサイドセールスの主なKPI

  • 新規案件数・保有案件数
  • 新規アプローチ数・保有アプローチ数
  • 反応数
  • アポ数
  • 成約数(KGI)
  • アポ→成約率
  • 上記のように、私たちはインサイドセールスの「案件数」と「アプローチ数」を「新規リード」と「もともと保有していたリード」に分けています。その理由は「インサイドセールスによるリードナーチャリングの対象者」を、ある程度可視化するためです。

    また、ひとくちに「アポ」と言っても、その定義はさまざまなので注意が必要です。顔見せだけの「ご挨拶アポ」もあれば、商談を見据えたアポもあります。アポの定義を明確にしなければ、数字だけを追った「質よりも数」なインサイドセールスになりかねません。アポ数を重視しすぎてしまい、フィールドセールスの業務がむしろ煩雑になってしまったら、元も子もありませんよね。

    4:インサイドセールスとフィールドセールスの連携を密にする

    インサイドセールスは、「内勤営業」という業務の特性から、リモートでの勤務も可能です。そのため、フィールドセールスと対面で情報共有する機会は少なくなりがちです。情報共有の機会が少なくなると、最悪の場合、じわじわとインサイドセールスとフィールドセールスの認識に齟齬が生まれ、「商談に行ったけどインサイドセールスに聞いていた話と違った」「せっかく引き渡した見込み客なのに、フィールドセールスが全然成約まで持っていけない」なんて事態も起こりかねません。

    仮にSFAなどの商談管理ツールを用いたとしても、あくまでも文字情報のみのやりとりに過ぎず、100%の情報共有は難しいでしょう。うまく文章化できない「感覚値」のようなものもあります。フィールドセールスがSFAを見て「これどういうことだろう」と疑問を抱いたときに、気軽にインサイドセールスに尋ねられる関係を構築しておくことが大切です。

    また、インサイドセールスとフィールドセールスを分業することは、お客さまからすれば、「これまで連絡を取り合っていた人とは違う人が訪問してくる」ことを意味します。お客さまの不安を払拭するためにも、フィールドセールスとインサイドセールスとの情報共有は、気配りしすぎるくらいでちょうどよいと言えます。