ステップメールとは?設計方法や成功事例、ツールをまとめました

「あらかじめ組んでおいたメールを、時間指定して自動的に配信できたら楽なのに!」
そんな希望に応えるのが、ステップメールです。
この記事では、ステップメールの基本から成功事例、ステップメール設計のノウハウやツールの紹介を、実際にステップメールを配信している私たちの経験をもとにご紹介します。
これからステップメールの導入を検討しているみなさま、ステップメールの効果をもっと出すための情報をお探しのステップメール運用担当者のみなさまのご参考になれば幸いです。
5分程度で読めますので、この記事でステップメールについて学び、効果が出るステップメールを設計しましょう。
ステップメールの概要
ステップメールの基本を中心に、ステップメールの概要をまとめました。ほかのメールマーケティングとの違いにも注目し、ステップメールの特徴についてもお話します。これからメルマガやメールマーケティングの担当者になるみなさまのご参考になれば幸いです。
ステップメールとは
ステップメールとは、ある行動(資料請求・セミナー申し込み・無料トライアル実施・商品購入)を起点として、「事前に設定したスケジュールで」「事前に作成したメールを」「自動で」配信する仕組みです。

ステップメールを配信するためには、メール配信ツールやマーケティングオートメーションなどの専用ツールが必要です。
ステップメールと自動返信メールの違い
ステップメールをより理解するために、ステップメールと、自動返信メールとをくらべてみましょう。
自動返信メールとは、お客さまからいただいたお問い合わせに対して、自動で返信する機能です。自動返信メールは、「2〜3営業日以内にご連絡を差し上げます。」といったレスポンスを返すことで、お客さまに安心していただくために、多く用いられています。
自動返信メールのコンテンツは、事務的な内容に適しています。対してステップメールは、主に見込み客の興味関心を高めるために利用されます。ステップメールの運用方法や成功事例については、これから具体的にお話していきます。
ステップメールとメルマガの違い
次に、ステップメールとメルマガの違いを理解しましょう。
メルマガは
「配信リストに」
「最新の情報を」
「単発で」
配信するのに対して、
ステップメールは、
「とある行動をしたお客さまに」
「あらかじめ設定した情報を」
「複数回にわたって」
配信します。
通常メルマガは、セグメンテーションしたメルマガの配信リストを作成してから、定期的にメールを配信します。
一方、ステップメールは、たとえば、資料ダウンロードをした見込み客に対して、「2日後にはこのメールを、5日後にはあのメールを…」と、あらかじめ設定したメールを、複数回にわたって自動で配信できる点が特徴です。
ステップメールのメリットとデメリット
この章では、ステップメールのメリットとデメリットを紹介します。
ステップメールのメリットは、「接触タイミングを最適化できる」「分割して情報を届けることができる」「リードナーチャリングができる」「業務負荷を軽減できる」の4点です。

ステップメールのデメリットは、強いて言えば、ステップメールの設計に時間と労力がかかることです。
ステップメールのメリット1:接触タイミングの最適化
ステップメールは、メールを配信するタイミングを「見込み客の行動」に応じて最適化できます。
たとえば、1ヶ月の無料期間があるサブスクリプション型サービスを提供している場合に、ステップメールはよく用いられます。
ステップメールを用いると、見込み客が無料登録をしてから30日後に「無料期間が終了しますが、有料プランに移行しますか?」というメールを自動でお送りできます。
一度設定すれば、見込み客一人ひとりに最適なタイミングで情報を提供できる。これがステップメールの1つ目のメリットです。
ステップメールのメリット2:情報の分割
ステップメールの2つ目のメリットは、「情報を分割してお届けすることができる」ことです。
このメリットも、先ほどの、1ヶ月の無料期間があるサブスクリプションサービスの例でご説明します。
無料期間中にこちらからお届けしたい情報は多岐に渡ります。
たとえば
「サービスの使い方(入門編)」
「サービスの使い方(応用編)」
「おすすめコンテンツ」
「有料プランのご案内」
など、さまざまです。
しかし、これらの情報を、すべて1通のメールでお伝えしても、受信者は読んでくれないでしょう。長文メールは、読み手に負担がかかるため、敬遠されがちです。
ステップメールを用いれば、
「サービスの使い方(入門編)」は無料登録の翌日に
「おすすめコンテンツ」は無料登録の3日後に
「サービスの使い方(応用編)」は無料登録の1週間後に
と、情報を分割して、さらには適切なタイミングでお届けすることができます。
これが、ステップメールの2つ目のメリットです。
ステップメールのメリット3:リードナーチャリング
ステップメールの3つ目のメリットは、リードナーチャリングができることです。リードナーチャリングとは、「見込み客の育成」と訳されるマーケティング用語で、見込み客とのコミュニケーションを通じて良好な関係を築き、見込み客の購買意欲を段階的に高めていくプロセスを指します。
あなたのサイトにはじめて訪れた見込み客が、即座に商品を購入することは稀です。ほとんどの見込み客は、まだ情報収集の段階であるため、少しずつ、あなたのサービスへの興味づけをしていかなくてはなりません。
そこで有効なのがステップメールです。
ステップメールは、これまでお話ししたように、「最適なタイミングで」「最適な情報」を「分割して」お届けすることで、見込み客の興味関心を高め、商品の購入を後押しします。
たとえば、資料請求をしてきた見込み客に対して、
1通目で「自社の理念や想い」
2通目で「自社製品を利用しているお客さまの声」
3通目で「具体的な成功事例」
4通目で「イベントのご案内」
をお送りし、徐々に、お客さまの興味関心を高める施策を実行できます。
リードナーチャリングができる。これがステップメールの3つ目のメリットです。
ステップメールのメリット4:業務負荷の軽減
ステップメールの4つ目のメリットは、「業務負荷を減らすことができる」ことです。
ステップメールは、あらかじめ準備した一連のメールを、「自動で」送信します。したがって、送信漏れなどの機会損失をゼロにすることができ、さらには、見込み客一人ひとりに手作業で送信する手間を省くことができます。
無料登録して○日後の見込み客にはこのメールを、△日後の見込み客にはあのメールを…という作業をすべて手動で完璧に行うのは困難です。
ステップメールを活用して、業務負荷を減らしましょう。
ステップメールのデメリット
ステップメールのデメリットは、強いて言えば、ステップメールの設計に工数がかかることです。
ステップメールは、通常のメルマガとは違い、複数のメールコンテンツを作成する場合が多いため、準備に時間がかかります。その上、
「複数のメールをどの順番で送るか」
「お送りするタイミングはいつがベストか」
まで考えて設計しなければなりません。
とはいえ、一度設計してしまえば、あとは自動でメールが配信されるため、手動で行う業務は減ります。ステップメールは、設計するまで少しばかり大変ですが、長い目で見れば、業務負担の軽減に繋がります。
ステップメールで効果を出した成功事例
ステップメールで効果を出した成功事例を紹介します。ステップメールは、届けるタイミングと、届ける情報が大切であることがわかります。
ステップメールの成功事例1:イベント集客のための不動産での活用
とある不動産の、ステップメール成功事例をご紹介します。こちらの不動産は、新規エリアを開拓するために、内覧会などのイベントを行っていました。
彼らは、ステップメールを、イベントに来ていただく前の段階で活用しました。
自社のイベントに来場していただく前のお客さまに、より購入していただく可能性を高めるために、ステップメール(実際は、マーケティングオートメーションのシナリオ)で、「来場者をファンにする試み」を行ったのです。
マーケティングオートメーションのシナリオ機能は、ステップメールと比べると、メール配信の条件分岐や、トリガー設定の柔軟さなど点で高機能です。マーケティングオートメーションのシナリオ機能の概要は「マーケティングオートメーションのシナリオ機能とシナリオ設計とは?一番かりやすい入門編」にまとまっています。ご参考になれば幸いです。

イベントの来場登録をしたお客さまに対して、ステップメールを用いて、自社の理念、顧客の声、イベントのリマインダーを順次送ることで、来場者数を増やすだけでなく、イベントからの成約率を高めたのです。
彼らは、競合他社との差別化ポイントを「自社の理念」としてイベント来場予定者にお届けしました。ステップメールでその理念に共感してくださったお客さまは、イベントで実際に物件を見たとき、よりすばらしい物件だと感じるわけです。
ステップメールで「共感」を生み出す、リードナーチャリングのような活用方法です。このステップメールの成功事例のお客さまは、新規エリア拡大に、1人の営業と1名のメール担当者だけで成功し、売上拡大に貢献しました。
ステップメールの成功事例2:クラウドサービスでの利用
ステップメールの2つ目の成功事例は、クラウドサービスを提供している企業様の事例です。
クラウドサービスの多くは、無料のお試し期間を提供しています。
しかし、この施策には課題があります。無料であるがゆえに、お客さまが忙しくて使っていただけなかったり、試用期間が終了する時点で購入の検討をしてくれなかったりすることです。
そこで、ステップメールを活用して、無料お試し期間の利用開始時に使い方の説明をしたり、期間終了間際に有料プランへのご案内をしたりするなど、自動で数通のメールを送信しました。

ステップメール利用前は、担当者が手作業でメールを送っていました。業務が忙しくなるにつれて、メールを送り忘れることもあり、明らかな機会損失と言えます。
ステップメールを使い始めてからは、機会損失を防げるだけでなく、業務負荷も減りました。ステップメールの導入も手伝って、売上は250%に成長しました。
ステップメールで効果を出すための設計ノウハウ
ステップメールを設計・作成する際のノウハウやテクニックをまとめました。ステップメールのテクニックにも、メルマガのノウハウやテクニックがほとんど同じように活用できます。
ペルソナとカスタマージャーニーを理解する
反応のよいステップメールを作るためには、ペルソナやカスタマージャーニーの理解が欠かせません。
ペルソナとは、あなたの商材を買っていただきたい、ターゲットとなる理想の顧客像です。
ステップメールを検討・運用する担当者が知っておきたいペルソナの基本事項は「ペルソナとは?一番わかりやすい入門編」でまとめました。あわせてごらんくださいませ。
カスタマージャーニーとは、あなたの製品を購入・利用するお客さまが経験する、あらゆる体験のことです。
ペルソナとカスタマージャーニーを理解していれば、「私たちにとっての理想のお客さまが、どんな体験を通じて購買にいたるのか」を整理できます。すると「こういう人の、こんな体験を演出できるステップメールは、きっと〇〇なステップメールだな」と、ステップメールの設計やコンテンツの作成をスムーズに行えます。
ステップメールを実行する際には、ペルソナとカスタマージャーニーへの理解を深め、「自分たちにとっての理想のお客さまは、どのような体験を通じて購買にいたるのか」を、まず整理しましょう。
ステップメールのコンテンツの作り方は、基本的にはメルマガの作り方が適用できます。メルマガの作り方は「メルマガの作り方を徹底解説〜担当者のためのメルマガ配信手順」でまとめてございます。
シンプルなステップメールから始める
ステップメールは、たった1通のステップメールをお送りするだけでも効果があります。1通だけのステップメールでも、機会損失の減少・業務負荷の軽減には大きな効果を発揮するからです。

ステップメールを、上の図のように1〜2通だけで運用しているお客さまも多く見かけます。
もちろん、理想的なタイミングで、なるべく多く接触するに越したことはありませんが、大切なのはステップメールの目的を達成することです。ステップメールの送信数は、目的を達成するための手段に過ぎません。
はじめてのステップメールなら、気負いすぎず、シンプルな設計で始めてもよいでしょう。
私たちカイロスマーケティング株式会社も、とあるフォームに登録したお客さまには、たった1通だけのステップメールを配信しています。メール配信作業をステップメールで自動化できるため、機会損失も業務負荷も減っています。そして、そのステップメールの開封率は90%近くです。
ステップメールを開封していただくための工夫を忘れない
ステップメールでも、受信者に開封していただく仕掛けは大切です。ステップメールを開封していただくためのテクニックは、メルマガの開封率をあげるためのテクニックとほぼ同じです。
ステップメールも、メルマガと同様に、1メール1テーマとし、メールの件名を十分に工夫しましょう。下記のリンクで紹介している「4U」のテクニックは、誰でもすぐに活用できる、メルマガの件名作成テクニックです。
メルマガ開封率の現状や、メルマガの開封率を高めるための一般的なテクニックを「メルマガ開封率がグッと上がる!メルマガ開封率の現状と改善策のまとめ」でまとめてございます。この記事の内容は、ステップメールでも活用できます。あわせてごらんくださいませ。
ステップメールの視覚効果を高める
ステップメールのデザイン性や視覚効果を高めたいなら、メルマガのテンプレートの活用をおすすめします。
しかし、ステップメールでも、BtoBマーケティングでよく見かけるように、営業担当者が個別に届けているような演出をする場合には、デザイン性を重視する必要はありません。
メールの装飾を自分で行うなら、メルマガの装飾のテクニックを身につけておきましょう。スマホ受信者の多い、BtoCのステップメールでは、装飾は必須であるといえます。
ステップメールの結果の分析と改善をする
ステップメールの効果測定を行うために、ステップメールの開封率やクリック率を計測しておきましょう。
ステップメールの開封を検知するためには、HTML形式でメールを届ける必要があります。HTMLメールを配信する際には、メールのテンプレートを活用したり、マルチパートメール設定にするなどの施策も同時に行いましょう。
マルチパートメールは、受信者の受信環境に合わせてHTML形式とテキスト形式のメールを出し分ける仕組みです。一部の受信者はHTMLメールを受信できません。より多くの受信者にステップメールを届けるため、そしてメールの反応を確かめるためにも、マルチパートメールを利用しましょう。

マルチパートメールの仕組みや基本事項は「マルチパートメールとは?メルマガ担当者がわかりやすく解説します」でまとめました。あわせてごらんくださいませ。
ステップメールを実行できる2種類のツールを紹介
ステップメールを実行できるツールは、大きく分けて「メール配信ツール」と「マーケティングオートメーション」の2つです。
それぞれの特徴・費用・選び方をまとめました。
メール配信ツール
ステップメールを実行できる代表的なツールは「メール配信ツール」です。
メール配信ツールは、クラウド型か、買い切りのオンプレス型(パッケージ型)かに二分されます。最近は、サーバーやソフトウェアを自社で管理する必要がなく、導入コストも低く抑えられる「クラウド型」の利用者が増えています。
クラウド型のメール配信ツールの価格は、月額千円台から数万円と、比較的安価に利用できます。
ステップメールを、まずは小さく始めてみよう、という場合におすすめです。
メール配信システムを検討する際に気をつけたいことは「4ステップでわかる、メール配信システムの選び方」にまとめています。あわせてごらんくださいませ。
マーケティングオートメーション
「マーケティングオートメーション」というツールでも、ステップメールを実行できます。
マーケティングオートメーションとメール配信ツールとの違いは、マーケティングオートメーションは、メール配信機能に加えて、「オンライン行動の追跡」など、Webマーケティングに活用できる多くの機能が備わっている点です。
マーケティングオートメーションは、見込み客一人ひとりのオンライン行動を検知できるため、「特定のWebページを閲覧した見込み客にステップメールを配信する」というような、単なるメール配信ツールではできないステップメールまで実行できます。
さらに、シナリオ機能と呼ばれる、「とあるメールを開封した読者には次にAのメールを配信し、未開封の読者にはBのメールを配信する」というような、見込み客のオンライン行動に応じて次のアクションを分岐させる機能もあります。

マーケティングオートメーションの費用は、月額数千円から数十万円と、ツールによって大きな差があります。メール配信ツールとくらべて機能も多いため、自社に必要な機能を備えたマーケティングオートメーションを選びましょう。
自社のWebコンテンツが充実しており、本格的にステップメールを設計したいならば、マーケティングオートメーションでのステップメール配信をおすすめします。
マーケティングオートメーションにはさまざまな機能が搭載されているため、導入する際には、自社に必要な機能をしっかり見極める必要があります。マーケティングオートメーションの基本について、「マーケティングオートメーションとは?一番わかりやすい入門編」でまとめました。あわせてごらんくださいませ。