MAのシナリオ機能とは? 具体例で学ぶ失敗しない設計方法

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シナリオはMA(マーケティングオートメーション)の代名詞とも言える機能ですが、同時に「難しい」「どう設計すればいいかわからない」というお声もいただく機能です。

この記事では、具体例と図解を交えてMAのシナリオ機能を解説します。

  • うちならこのシナリオをMAで設計できそう
  • ここに気をつければシナリオの成果が上がりそう

というシナリオ設計のヒントが見つかれば幸いです。

MA(マーケティングオートメーション)のシナリオ機能とは

MA(マーケティングオートメーション)のシナリオ機能を、シンプルな例と複雑な例の両方を交えてご紹介します。

MAのシナリオとは?

MAのシナリオ機能とは、「ある条件」と「お客さまの反応」に基づいて、あらかじめ設定したメールを自動で送信する仕組みです。

まずはシナリオの簡単な例をご紹介します。

料金表ページにアクセスした人を抽出して、自動的にメールでご連絡するシンプルなシナリオです。

シンプルなシナリオの例

MAのシナリオは、単にメールを自動でお送りできるだけでなく、受信者の開封・未開封・リンククリックなどの条件で配信するメールを変更できる点も特徴です。

シナリオはまさに、お客さまが購買に至るまでの筋書き(シナリオ)です。

MAのシナリオは難しい?

シナリオはMAの主要な機能ですが、しばしば「難易度が高い」と言われます。たしかに、下記のような「複雑な」シナリオを「複数」設計するとなると、難易度は高くなるでしょう。

複雑なシナリオの例

複雑なシナリオは制作コストがかかるだけでなく、効果検証も難しくなる傾向があります。仮に上記のシナリオで思ったような成果を出せなかったとしても、おそらく原因の特定は難しいでしょう。

本記事の後半でご紹介しますが、私たちはシンプルなシナリオでも成果を出せています。この記事でご紹介するシナリオの例も、「なるべくシンプル」を心がけました。

シナリオの3つのメリット

MAでシナリオを設計するメリットは3つに大別できます。

  1. 業務の効率化
  2. 機会損失の削減
  3. 購買プロセスの前進

人の手で実施していた業務フローをシナリオで自動化すれば、当然業務を効率化できます。さらにMAは自動でシナリオを実行するため、対応忘れによる機会損失も減るでしょう。

シナリオによって「適切なタイミングで」「適切なお客さまに」「適切なコンテンツを」お届けできれば、お客さまの購買プロセスは前進します。

適切なシナリオを設計できれば、業務を効率化しつつ、機会損失を最小限に抑えて売上を伸ばせます。

シナリオ設計の3つの要素

1つのシナリオには3つの要素があります。「入口」「シナリオコンテンツ」「出口」です。

MAのシナリオの3つの要素

実際にシナリオを設計する際の順番に決まりはありませんが、まず入口と出口を設計した後で、両者を繋げるようにシナリオコンテンツを設計するのが一般的です。

この章では、MAのシナリオの3つの要素を解説します。

シナリオ設計の要素1:入口

シナリオの入口とはつまり、シナリオの配信対象者や配信条件です。

シナリオの配信対象者を決めるには、お客さまをセグメンテーション(分類)する必要があります。シナリオのセグメントに利用できる4つのセグメント軸をまとめました。

シナリオに使える4つのセグメント軸

4つの軸をすべて組み合わせることも可能ですが、1シナリオあたり、1つか2つの軸までにとどめることをおすすめします。シナリオの配信対象者が少なくなってしまうからです。

たとえば、「製造業(属性)」かつ「事例ページ3回アクセス(行動)」かつ「首都圏在住(地理)」かつ「Aに興味がある(心理)」お客さまは、自社のリストにほとんどいらっしゃらないでしょう。

シナリオの入口はシンプルに、

  • お役立ち資料をダウンロードした方へのシナリオ(行動)
  • 料金ページを3回以上閲覧した方へのシナリオ(行動)
  • 〇〇業のお客さまへのシナリオ(属性)
  • 首都圏在住のお客さまへのシナリオ(地理)
  • 〇〇カテゴリのページを3回以上閲覧した方へのシナリオ(行動&心理)

などの軸の少ないセグメントで始めることをおすすめします。

シナリオ設計の要素2:出口

シナリオの出口とは、言い換えればシナリオのゴールです。シナリオのゴールには、「シナリオ後にお客さまにとっていただきたい行動」「シナリオ後にこちらがとる行動」のいずれかが該当します。

たとえば、

  • お役立ち資料(eBook)ダウンロード
  • セミナー申し込み
  • 個別相談会申し込み
  • 資料請求
  • お問い合わせ
  • インサイドセールスからのご連絡

などがシナリオの出口として考えられます。

シナリオの出口は、シナリオの入口とセットで考えます。たとえば、「メルマガ登録(入口)→お問い合わせ(出口)」はかなり難易度が高く、ほとんどのお客さまが出口まで辿り着けません。

シナリオの入口と出口を考えるときは、「階段」をイメージするとうまくいきます。

シナリオは階段をイメージする

階段を1段も2段も飛ばすシナリオは難易度が高く、よほど配信対象者が多くない限り、シナリオの成果を実感できないでしょう。

シナリオ設計の要素3:シナリオコンテンツ

シナリオの3つ目の要素は「シナリオコンテンツ」です。シナリオコンテンツは、シナリオの入口と出口を繋ぐように設計します。

シナリオコンテンツ設計時に考える要素は6つです。

  1. シナリオメールの内容
  2. シナリオメールの数
  3. 配信頻度
  4. 配信期間
  5. 配信時間
  6. 分岐条件

6つの要素の中で特に気をつけたいポイントは「分岐条件を複雑にしすぎない」ことです。分岐すればするほど必要なコンテンツ数が増え、シナリオ制作のリソースを圧迫してしまうためです。

コストを抑えてシナリオを分岐させるなら、「未開封者には1つ前のメールを再送する」などの、制作コストが比較的かからない分岐条件がおすすめです。

複数のシナリオを設計する前の事前準備

前の章では、「1つのシナリオを」設計するときに考える3つの要素をご紹介しました。

この章では「これから複数のシナリオを設計したい」ケースで事前に準備しておきたいことをご紹介します。その2つは「ペルソナ」と「カスタマージャーニー」です。

ペルソナ

ペルソナとは「理想の顧客像」を意味するマーケティング用語です。ペルソナを設定する目的を一言で言えば「チームの顧客認識を統一し、マーケティング施策の整合性をとるため」です。

ペルソナは、ある1つのシナリオのターゲットになるだけでなく、複数のシナリオや自社のマーケティング施策全般に共通するターゲット像になります。

ペルソナを言語化・共有しておけば、

  • 見込みが低いセグメントに複雑なシナリオを設計してしまい、コストの割に成果が出ない
  • チーム内での顧客認識のズレが大きく、シナリオ制作者による質のばらつきが大きい
  • Webサイトのメッセージとシナリオのメッセージに齟齬が生じる

などの「シナリオで避けたい事態」を未然に防げます。

BtoBであれば、「企業のペルソナ」「個人のペルソナ」両方を設定し、チームの共通認識を得ておきましょう。

ペルソナの例

カスタマージャーニー

カスタマージャーニーとは、顧客(カスタマー)の購買プロセスを旅(ジャーニー)になぞらえてビジュアル化したものです。カスタマージャーニーは、購買までの各フェーズでの「行動(自社との接点)」「思考」などを整理するために用いられます。

カスタマージャーニーの例

多くの場合、カスタマージャーニーの作成はペルソナとセットで行われます。ペルソナを定義した後で、ペルソナの購買プロセスを整理したものがカスタマージャーニーです。

カスタマージャーニーによって、

  • AフェーズからBフェーズへの引き上げにシナリオが使えないか
  • 人力でのタッチポイントをシナリオで自動化できないか

などの「MAでシナリオ化すべき箇所」を見つけやすくなります。

カスタマージャーニーのヒントになる「購買行動モデル」
カスタマージャーニーにおける「フェーズ」と近い概念が「購買行動モデル」です。マケフリ記事「いちから学ぶ購買行動モデル。時代ごとの特徴と、マーケ業務に役立てる考え方もご紹介」では7つの購買行動モデルを解説しました。

シナリオの例|目的別

MAでシナリオを設計する目的は大きく分けて3つです。

  1. 手動の対応を自動化するため
  2. 接点を維持するため
  3. 購買プロセスを進めるため(リードナーチャリング

裏を返すと、「シナリオで自動化できる業務はないか?」「接点を持てていないお客さまはいないか?」「購買プロセスのボトルネックはどこか?」と考えると、シナリオ化すべき箇所を発見できます。

この章では、3つの目的別にシナリオの例をご紹介します。

例1:手動の対応を自動化するシナリオ

「自動配信による業務効率化」はシナリオのメリットの1つです。

たとえば以下のような業務を人力で行っていたとしたら、シナリオで自動化できます。

展示会フォローのシナリオの例 フォーム登録情報によるシナリオの出し分け

例2:接点を維持するシナリオ

MAのシナリオは「繰り返し設定」が可能です。つまり、最後のシナリオメールが届いたら、また1通目のシナリオメールからシナリオを再開できます。

シナリオは繰り返せる

たとえば、12通のメルマガを作成し、2週間に1通の頻度で配信設定すれば、半年分のメルマガを用意できたことになります。加えてシナリオの「繰り返し設定」を有効にすれば、1年、2年と、シナリオを停止するまでお客さまとの接点を維持できます。

繰り返しシナリオの例

中には、「コンテンツの再送はお客さまの心象を損ねるのでは?」と懸念される方もいらっしゃるかもしれません。しかし、マーケターや営業担当者にとっては悲しいことですが、ほとんどの読者は半年前のメルマガの内容を覚えていません。

実際に私たちも、過去に反応のよかったメールを再利用することがありますが、クレーム等をいただいたことはありません。

例3:購買プロセスを進めるシナリオ

お客さまの購買プロセスを進めるシナリオは、MAのシナリオの中ではもっとも正解がない領域です。シナリオの入口と出口によって、お送りすべきシナリオの内容・配信頻度・配信期間・分岐条件などすべてが変わるからです。

しかし、どのようなシナリオでも忘れてはいけないことがあります。「顧客視点」です。

  • どんなメールが喜ばれるだろうか?
  • お客さまはどんな情報を求めているだろうか?

顧客視点はコンテンツマーケティングの大前提です。コンテンツマーケティングとは、コンテンツを介してお客さまと良好な関係を築き、営業につなげるマーケティング手法で、シナリオもコンテンツマーケティングの1つです。

顧客視点の大切さは、顧客視点のないシナリオをイメージするとより鮮明に浮かび上がります。

顧客視点のないシナリオの例

みなさんも、展示会で名刺をお渡ししただけでこのようなシナリオメールが連日届いたら、配信元企業によい印象は抱きませんよね。

購買プロセスを進めるシナリオを設計するときは、「売りたい気持ち」「言いたいこと」を抑えて、「お客さまの知りたいこと」「お客さまにとってありがたい情報」にフォーカスしましょう。

購買プロセスを進めるシナリオの例

MAのシナリオ設計で失敗しないコツ

MAの機能の中でも難しいシナリオ設計。失敗しないためのコツをまとめました。

メールマーケティングの鉄板をシナリオに取り入れる

MAのシナリオは、メールマーケティングの1つです。メールマーケティングのノウハウはシナリオに転用できます。

たとえば、

  • メール内のリンクはファーストビューに設置する
  • リンクはボタンの形式で設置する
  • メールのタイトルは20文字以内にする
  • ビジネスパーソンが対象なら午前9時前後の開封率が高い

これらメールマーケティングの鉄板ノウハウを知っておくと、シナリオの成果も出やすいはずです。

メールマーケティングのノウハウはマケフリでもまとめています。おすすめ記事をご紹介しますので、シナリオの成果を高めたいご担当者さまはぜひごらんください。

記事に加えて、私たちは網羅的にメールマーケティングを学べる無料ウェビナー『商談が増える 読んでもらえるメールマーケティングの成功法則セミナー』を定期開催しています。「まずメールマーケティングの基本を学びたい」という担当者さまにぴったりのセミナーです。

まず反応のいいメールコンテンツを見つける

シナリオを設計する前に複数のメルマガを配信して、「自社リストにとって反応のよいコンテンツ」を探すのも、安全にシナリオを設計するオプションの1つです。

たとえば、開封率・クリック率・CV率が高いメルマガは、シナリオに組み込んでもよい反応を得られると予想できます。

「AのターゲットにBをゴールとしたシナリオをお送りすると成果が出るのではないか」

といったシナリオの仮説があるなら、まずはセグメント配信のメルマガで試してみることをおすすめします。

セグメント配信とは?
マケフリ記事「セグメント配信とは?メルマガで用いるメリットと当社事例」ではセグメント配信の基本から具体例、注意点までまとめています。あわせてごらんください。

読んでもらえる前提でシナリオを設計しない

シナリオの設計者は「1通目にこの内容をお伝えしたから2通目ではこの話はしなくていいか」と「すべてのシナリオメールを読んでもらえる前提」でシナリオを設計しがちです。

しかし、この「読んでもらえる前提」は要注意です。

私たちの経験上、シナリオメールの開封率は30%〜50%ほどです。つまり読者の50%〜70%はシナリオメールを読んでいません。

シナリオメールは1メール1テーマを基本として、1通のメールでメッセージが完結するシナリオコンテンツを作りましょう。

はじめから複雑なシナリオを設計しない

複雑なシナリオは、お客さまと最適なタイミングで最適なコミュニケーションを取れる反面、

  • 作成コストが大きくなる
  • メンテナンスコストが大きくなる
  • 効果検証の難易度が上がる

というデメリットもあります。

「多くのコストをかけて複雑なシナリオを設計したものの成果が出ず、成果がでない要因も特定できない」というのは避けたい事態です。

そのため、まずはシンプルなシナリオを改善する前提で作成することをおすすめします。たとえば私たちは、以下のような分岐がないシナリオでも継続的な成果を出せています。

当社のシナリオの事例

上記のシナリオはもともと改善する前提でラフに設計したものですが、想定よりもセミナーにお申し込みしてくださるお客さまが多かったため、手を加えないまま運用を続けています。結果的に、コストをかけずに毎月自動で10名ほどセミナーにご参加いただける施策となりました。