4ステップでわかる、メール配信システムの選び方

メール配信システム(メール配信ツール)の製品ページの売り文句は、どれも魅力的です。パッと見では、どれが自社に合うメール配信システムか判断できません。
自社に合うメール配信システムを選ぶときは、製品ページを比較する前に、まず「選ぶ基準」を決めましょう。この記事では、4ステップでわかるメール配信システムを選ぶ基準と、基準を決めるのに必要な情報の集め方をご紹介します。
この記事のもくじ
4ステップで作れる、メール配信システムを選ぶ基準
メール配信システムを選ぶ際は、いきなり情報収集を始めていはいけません。システムを選ぶ基準がなければ、いくら情報収集しても自社に適したシステムがわからないからです。
メール配信システムを選ぶ基準は、以下の4ステップで考えましょう。

各要素について、くわしくご紹介します。
メール配信システムの選び方1:目的・目標・活用用途を決める
メール配信システムの導入は、1人で決められるものではありません。運用の担当者や上司、決裁者の導入イメージを固めておかないと、のちに認識の行き違いが起こりかねません。なんとなく頭の中にある導入の目的や使いみちを言葉にして、導入するシステムに対する認識を合わせておきましょう。
目的・目標・活用用途は、抱えている課題から考える
目的や活用用途が具体的に考えられないときは、自社が抱えている課題から考えましょう。

達成したい目標や活用イメージが言語化できれば、自ずと必要な機能が見えてきます。
参考:マーケティングオートメーションについて
上記の方法で課題を洗い出す中で、
- 営業担当者とマーケティング担当者の連携が取れず、引き上げたい見込み客が商談化しない
- メルマガから他の施策への誘導がうまくいかない。誰がどの施策に興味があるかわからない
といった、メール配信システムだけでは解決しない、横断的な課題が浮かぶかもしれません。そんな時は、メール配信システムだけではなく、マーケティングオートメーションの導入も検討してみましょう。
マーケティングオートメーションとは、企業の売上げを作るための活動として欠かせない、「集客→育成→選別→営業」の4ステップを自動化、効率化するツールです。
マーケティングオートメーションはメール配信に特化したツールではありませんが、メール配信機能が搭載されています。メール配信システムと異なるのは、お客様がメルマガを開封しクリックして自社サイトを閲覧してくれた場合、その人がどんなページを閲覧しているかといった行動履歴を確認できる点です。

マーケティングオートメーションは、Web解析と顧客管理に加えて、メール配信の機能も備えています。そのため、特定の行動をとる見込み客に対してメールを送信できます。
システム導入で、メール配信以外の業務も効率化したいなら、ぜひマーケティングオートメーションも視野に入れてみましょう。
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メール配信システムの選び方2:欲しい機能を固める
メール配信システムには、一見多くの役割があるように見えますが、大きく分けるとたった3つの機能しかありません。メール配信システムの3つの機能とは、
- メールを作成する機能
- メールを配信する機能
- 分析する機能
です。

この章では、3つの機能ごとに固めておきたい選定基準をご紹介します。
メールを作成する機能
メール作成機能は、配信に絶対に必要な機能です。この機能の使い勝手が悪いと、せっかくシステムを導入しても業務を効率化できません。
メールを作成する機能の中でチェックしておきたい選定基準は
- 編集のしやすさ
- 担当者のスキルを問わない操作性
の2つです。
たとえば、HTMLメールのテンプレートがあれば、コーディングの手間をかけずにメールを編集できます。また、自社で使えそうな文例テンプレートが多数あれば、少し表現を変えるだけですぐにメールを作成できます。
HTMLメールのデザインテンプレートを1から作成するのは、スキルが必要な上に工数がかかるためお勧めしません。なるべく自社で使えそうな文例、またはデザインのテンプレートがあるツールを選びましょう。

メール作成機能を確認するときは、操作のかんたんさも欠かさずチェックしましょう。視覚的に操作がわかりやすいかを見ておけば、誰が運用担当者になったとしても使いやすいはずです。
- ボタン1つで画像やリンクを挿入できるか
- 配信リストとメールコンテンツをミスなく選択できそうか
- マルチパートメール作成時、HTMLメールとテキストメールを比較しながら編集できるか
などがチェックしておきたい項目です。
メール配信機能
メール配信システムが持っている代表的なメール配信機能は以下の3つです。
- セグメント配信
- ステップメール
- ABテスト
セグメント配信は、受信者を属性で分けてメールを送り分ける機能です。たとえば、「東京在住」「30代以上」「子ども服の購入履歴がある」などが、セグメント可能な属性です。
ステップメールとは、「資料請求」や「セミナー申し込み」などの任意の行動をきっかけとして、「事前に設定したスケジュールで」「事前に作成したメールを」「自動で」配信する仕組みです。
ABテストとは、配信リストを無作為に分割しメールを送りわけ、どちらの成果が高いか比較する機能です。件名の一部変更などでABテストを試せば、より配信リストの受信者に好まれるメルマガを見つけられます。
これらのメール配信機能は、どれも設定しやすさが問われます。たとえば、セグメント配信のたびに条件をいちいち設定する必要があれば、送るたびに手間がかかります。また、ステップメールの登録上限数が少ないと、施策のたびにステップメール設定を消しては増やさなければならず、作成が面倒です。
ABテストに取り組みたいご担当者さまは、メールコンテンツのコピペがかんたんかどうかについても、デモや資料を見て確認しましょう。
効果測定機能
メールの効果測定機能は、ほとんどのメール配信システムに実装されている機能ですが、使いやすさや精度にバラつきがあります。
などを確認しましょう。数値取得の頻度が1日に1回程度では、すぐに正確な数値を確認できず、スムーズに効果測定できません。メール配信システムによっては、効果測定機能がオプションになっている場合があります。選定時と導入時で大きく価格が変わらないよう、効果測定の扱いを把握しておきましょう。
別記事「5分でわかる。メルマガの効果測定で覚えておきたい4つのKPI」では、効果測定をするメリットや知っておきたい数字について、わかりやすくご紹介しています。
メール配信システムの選び方3:使ってみないとわからない条件を調査する
この章では「サポートの手厚さ」や「システムの読み込み速度」といった、機能ではないものの重要な要素についてご紹介します。機能だけをみてメール配信システムを決めると、作業に時間がかかりすぎてしまったりシステムが定着しなかったりと、思わぬトラブルに見舞われます。
この章では、メール配信システム導入の上で重要な機能以外の条件をご紹介します。
もちろんこれ以外にもシステム選定に使える条件はありますが、まずは5つの要素を抑えましょう。

稼働率
どれだけ高機能のシステムでも、止まってばかりで使えなければ意味がありません。
厳密なツールの稼働率を調べるのは困難ですが、障害発生頻度やツールのメンテナンス頻度は調べておいて損はありません。
システムの障害発生頻度やメンテナンス頻度は、Webサイトの「お知らせ」から確認できます。
サポートの手厚さ
メール配信システムを選ぶ際は、サポートの有無だけはなく、
- 対応速度:問い合わせたらすぐに担当者につながるのか
- 対応言語:非国産のシステムであれば、日本語対応可能なスタッフがいるか
- 問い合わせ方法:電話やメールに加え、リアルタイムのチャット対応などがあるか
- 料金:何度問い合わせても無料か
なども確認しましょう。システムによっては、メールの書き方や件名をコンサルティングするサービスもあります。
システムのスペック
同じ機能でも、システムによっては質やスピードが変わります。
メール配信システムなら、
- ツールのロード時間
- メールを何秒で送れるか
- 1日の最大配信通は何通か
- メール到達数は何%か
などが見ておきたいスペックに該当します。配信時間を厳守したい場合や、配信リスト数が多い場合はスペック確認が必須です。
導入の手間や乗り換えやすさ
システムの乗り換えやすさは、現在の運用体制がある程度整っているならば確認が必須の条件です。乗り換えやすさについては、現場でシステムを運用する社内の担当者にヒアリングしてみましょう。ヒアリング内容は、
- そもそも移行できそうかどうか
- 移行できるなら移行完了までの時間がどれくらいかかるか
などです。
乗り換えやすさを確認することで、乗り換え不可能なシステムや、乗り換えに時間がかかりすぎて実務でなかなか使えないシステムの導入を避けられます。
セキュリティ
メール配信ツールは、お客さまのお名前やメールアドレスといった個人情報を管理するため、セキュリティが非常に重要です。メール配信ツールのセキュリティに脆弱性があると、個人情報が漏洩する危険性があります。
メール配信ツールのセキュリティは、以下の観点で確認しましょう。
- プライバシーマーク取得の有無
- ISMS認証取得の有無
- 通信の暗号化
- 送信ドメイン認証
最近のメール配信システムのほとんどは、クラウドサービスです。会社によってはクラウドサービスの導入を禁止していたり、セキュリティチェックシートを設けていることがあります。
システムを選んだあとに、「やっぱり情報システム部門からNGが出て水の泡」とならないよう、あらかじめ確認しておきましょう。
メール配信システムの選び方4:自社独自の選ぶ基準を持つ
選定の条件を固めたことで、自社で導入できそうな配信システムがいくつかに絞られたはずです。この章では、その中からもっとも自社に合うメール配信システムの選び方をご紹介します。
予算の上限から選ぶ基準を決める
予算内で導入できるメール配信システムの中から、必要な機能や条件を満たすシステムを選びましょう。
参考までにメール配信システムの価格帯は、大体月額2000円〜10000円程度と考えておきましょう。ベンダーに勤める人間の感覚として、高機能なものでも月額5万円を超えることはほとんどありません。
システム価格は、メール配信リスト数によって変わります。最低価格を見て予算を概算しないように気をつけましょう。
運営担当者から選ぶ基準を決める
選ぶべきメール配信システムは、運用担当者のスキルや職種によって異なります。
使用者がデザイナーの場合、コードの知識が必要なHTMLメールのテンプレートがなくても問題ありません。一方で、Webデザインの知識がない担当者が使う場合、デザインせずともすぐに配信できるテンプレートが豊富なシステムを選べば、ストレスなくHTMLメールを編集できます。
大事なのは、後任者も含めて考えることです。初めはデザイナーが使用者でも、後任が初心者になる可能性があるなら、使いやすさを重視しましょう。
メール配信システムによっては、
- アカウント数の制限がある
- 出力データ共有方法が難しい
などの制限があります。使用人数も決めておけば、導入してから人数を調整する必要がありません。
運用担当者から選定基準を決める場合は、機能の有無や使いやすさだけでなく、運用担当者の好みも大切です。「社長がとあるメール配信システムを気に入って導入したものの、現場が使いづらいと感じ、結局使われない。」といった話はよく聞きます。
メール配信システムの選定基準となる情報を集める方法
ここまで、4ステップでわかるメール配信の選び方をご紹介しました。この章では、4ステップの選定基準の材料となる情報をどこで集めるかをご紹介します。
ベンダーのWebサイトで確認すべきページ
Webサイトで確認できる情報のなかで、特にチェックしたい項目は4つです。

まずは料金体系を確認しましょう。
クラウド型のメール配信システムの料金体系は、従量課金制か定額制です。
定額制は読んで字の如く、毎月もしくは毎年同じ額を支払う料金体系です。一方の従量課金は、メール配信通数や登録するアドレス数によって利用料金が変わります
機能の有無は、ベンダーのWebサイトの「機能一覧ページ」で確認できます。注意点としては、 Webサイトではシステムの性能までは確認できないことです。機能の実態を知るためには、Webサイトの「機能一覧ページ」だけでなく、営業へのヒアリングやクチコミの確認が必須です。
「お知らせページ」では、ツールの障害発生状況やメンテナンス情報を確認しましょう。
「事例ページ」の確認も欠かせません。事例ページでは、自社の担当者像や導入目的、業種業態と似た事例から、自社で再現できるかどうかを調べます。
- 自分と同じスキルレベルの担当者でも使いこなせている事例
- 事業形態が似ており、戦略を真似やすい事例
上記のような事例があれば、自社での活用イメージが鮮明になります。
機能以外の情報を確認する手段
ベンダーのWebサイトからは、メール配信システムの選び方3でご紹介した、「使うまでわからない要素」を確認できません。そのため、システムのデモ、営業担当者へのヒアリング、クチコミなどを参考にして、ツールの機能以外の情報を取りにいきましょう。

クチコミには、ベンダーのWebにはない、システムへの素直な感想が投稿されてます。
クチコミを調べる際は、「ネガティブな内容がないか」だけでなく、「どの要素にネガティブなイメージを持たれているか」まで見ると、より深い情報が手に入ります。ネガティブな意見のある要素は、もしかしたら自社では重視しない要素かもしれません。
ベンダーの営業担当者へのヒアリングでは、具体的な自社の状況に応じた相談が可能です。Webでは確認できない、運用担当者のスキル不足への不安や、具体的な見積もり価格などを聞いてみましょう。
ついつい名前を知っている商材から選びたくなってしまうかもしれませんが、ブランドシェアのみに依存してシステムを選ばないようにしましょう。ブランドが強いからといって、自社に合う機能かどうかは分かりません。ブランドシェアの大きさと商材の良し悪しに直接的な関連性はないからです。
有名な会社ではなくとも良い商材を作っている会社はあります。また、広告費にお金をかけていないから名前が知られていない会社もあるかもしれません。ブランドシェアの大きさは1つの選定基準かもしれませんが、あまりブランドを過信しすぎずにシステムを選びましょう。