営業ヒアリングのコツとは?|基本の流れやニーズを引き出す工夫を紹介
営業ヒアリングとは、お客さまの課題を認識し、ニーズにもとづいた最善の提案をするために重要なプロセスです。
この記事では、「営業のヒアリング力を高めたい」「お客さまのニーズを引き出す営業ヒアリングのコツを知りたい」「より良い提案をし、営業成績を上げたい」とお悩みの営業担当者さまに向けて、営業ヒアリングのコツをご紹介します。
この記事のもくじ
営業ヒアリングの目的とは?
営業ヒアリングの目的は、お客さまが解決したい課題を理解し、その後の提案のための材料を得ることです。営業ヒアリングで「お客さまは今何に悩んで、何を求め、どのような状態か」を把握することで、そのあとのプレゼンで最善の提案につなげることができます。
営業ヒアリングには、自社が本当にお手伝いできるお客さまなのかを見極める役割もあります。お客さまの課題が、自社の提供するサービスでは解決できないものであった場合、双方の時間を無駄にしてしまいます。そのような場合は、営業ヒアリング以降の営業活動は行わないという判断も必要です。
営業ヒアリングの流れ
営業におけるヒアリングの流れは以下のように進めます。
営業ヒアリングの流れ1:事前準備
営業ヒアリングを行う前に、お客さまに関する情報を十分に集め、事前に準備しましょう。
営業ヒアリングでは、かぎられた時間のなかで、お客さまが抱えている真の課題を探らなければなりません。やみくもに質問をしても、お客さまのニーズを十分に引き出すことはできないでしょう。
営業ヒアリングの質を高めるためには、課題の仮説を立て、営業ヒアリング時に検証していくことが大事です。事前にお客さまについてリサーチをし、得られた情報をもとに、「お客さまは〇〇に課題を抱えているのではないか」といった仮説を立てましょう。
営業のヒアリング中に質問が浮かばないという担当者さまは、事前準備が十分にできていない可能性があります。事前に仮説を立てておけば、仮説を検証するための質問が自然に浮かんでくるはずだからです。
商談前の事前準備について、くわしくは「営業が商談前に準備すべきこと7選|事前準備が商談の質を高める」にまとめました。ぜひごらんください。
営業ヒアリングの流れ2:お客さまの基本情報の確認
営業ヒアリングをうまく進めるためには、お客さまがかんたんに答えられる質問から始めましょう。いきなり難しい質問をすると、お客さまは答えづらいものです。
お客さまが答えやすい質問とは、会社概要や事業環境など、お客さまの会社に関する質問です。お客さまが答えやすい質問をすると同時に、答えていただいた内容が事前にリサーチした内容と合致しているかを確認しましょう。
マケフリ記事「すぐに使える営業質問例40選と、よい質問の9つの条件」では、営業シーンにおいてすぐに使える質問をまとめています。あわせてごらんください。
営業ヒアリングの流れ3:課題・ニーズの確認
事前に立てた仮説をもとに営業ヒアリングし、お客さまの「課題」と「ニーズ」を明確にしましょう。
「何かお困りごとはありますか?」という質問ではなく、「事業の規模が大きくなり、人手不足にお悩み抱えていませんか?」という具体性のある「仮説」をもとにした営業ヒアリングを行うことで、お客さまの真の課題やニーズに迫りやすくなります。
事前に仮説を立てた課題とお客さまの認識している課題が違っていたとしても、コミュニケーションを深めていくうちに「自社が抱えている課題の本質はそこにあるのかもしれない」といったお客さまの気づきを引き出せるかもしれません。
ニーズは、お客さま自身に気づいていただけるとよいでしょう。営業ヒアリングを通して、お客さま自身がニーズをきちんと理解することで、解決案を提案する際にも無理なく提案を受け入れてもらいやすくなります。
営業ヒアリングの流れ4:ゴールの確認
お客さまが今回の購買で達成したい「ゴール」を確認します。達成したい「ゴール」とは、お客さまが欲しい結果や解決したい問題です。お客さまが望んでいるゴールを知ることで、提案する解決策がより明確になります。
商品を購入することで達成したいゴールを描けていないお客さまもいらっしゃいます。 営業ヒアリングを行いながら、お客さまのゴールを明確にするお手伝いをしましょう。
営業ヒアリングの流れ5:予算・決裁者・導入時期の確認
営業ヒアリングでは、商談の確実性を判断するためにも、購入していただける予算計画が組まれているかを確認しましょう。あなたの商品の購入のための費用が予算として確保されていないなら、購入していただける可能性は低くなります。
「決裁者」の確認もしましょう。営業ヒアリング時にお会いできる担当者は、大企業になればなるほど、決裁者でないケースがほとんどです。担当者と会話がどんなにうまくいっても、上申していただけなければ受注できません。
「導入時期」の確認もしましょう。導入時期が明らかでなければ、情報収集段階の可能性があります。導入時期が決まっているのであれば、商談の確度は高くなります。
「予算(Budget)」「決裁フロー(Authority)」「導入時期(Timeframe)」は、「営業ヒアリングの流れ2」で紹介した「ニーズ(Needs)」と合わせてBANTと呼ばれます。これらは、営業商談から成約にいたるまでの可能性を知る判断根拠となる要素です。営業ヒアリングする際には、覚えておきましょう。
「BANTとは?営業ヒアリングで役立つフレームワークを紹介」では「営業のBANTとは何なのか知りたい」「BANTを営業ヒアリングで活用して受注の確度を上げたい」とお考えの営業担当者さまに向けてBANTを営業ヒアリングするコツをご紹介しております。
営業ヒアリングの流れ6:購買する意思の再確認
お客さまに「提案した内容に満足した場合、購買する意思があるか」を再確認しましょう。営業ヒアリング時にお客さまと購買する意思を確認することで、その後の商談を契約前提として進めることができ、成約率が高まります。
マケフリ記事「営業クロージングとは?成約率を高めるコツを解説|今すぐ使える例文つき」では、営業のクロージングの流れとクロージングトークの例文をまとめています。あわせてごらんください。
営業ヒアリングのコツ
営業ヒアリングのコツは以下の4つです。
「話し上手」ではなく「聞き上手」になる
営業ヒアリングのコツの1つめは、「聞き上手」になることです。営業担当者は、どんなに受注がほしくても自分の話ばかりしてはいけません。
営業ヒアリングで自分の話ばかりしてしまうと、お客さまは「売り込まれてしまうのではないか」と警戒してしまい、心のなかにある本当のお悩みを話してくれなくなってしまいます。
お客さまに「この人になら話しても大丈夫そう」と思っていただき、心のなかにあるものすべてを吐き出していただくためにも、営業担当者は聞き役に徹しましょう。
お客さまと言葉づかいを合わせる
営業ヒアリングで、お客さまと言葉づかいを合わせると、コミュニケーションの齟齬が小さくなり、信頼を得ることができます。
たとえば、「契約をとること」を会社によって「受注する」と言ったり、「成約する」と言ったり、呼び方はさまざまです。
お客さまと言葉づかいを合わせることで、親近感がわき、自社でもできることを教えてもらえそうという感覚に落とし込むことができます。
ペーシングは、お客さまに親近感を持ってもらい、さらに話を引き出すのに有効なテクニックです。
お客さまと話す速さや声の大きさ、呼吸を合わせることで、親近感を出し、安心して話していただけるようになります。
質問の仕方を変え、ニーズを深掘りする
営業ヒアリングでは、最初はかんたんに回答できる質問から投げかけましょう。相手がYES/NOで回答できるクローズドクエスチョンから質問するのがよいでしょう。
そのあと、ニーズやお悩みなど具体的なお話しが聞けそうになったら「たとえば、どんな点でお困りですか?」のようにオープンクエスチョンを投げかけてニーズを深掘りしていきます。
お客さまと信頼関係が築けていない段階で、「なぜですか?」と深掘りをしてしまうと、警戒心から本心を話していただけない可能性があります。
また、クローズドクエスチョンとオープンクエスチョンを使う割合も考慮しましょう。どちらかに偏って質問をしていると、尋問のように感じてしまったり、売り込み感を感じさせてしまいます。
ひと通り1つの話題について深掘りできたら、否定疑問系の質問を使い、「〇〇についてはお困りではないですよね?」と話を展開していきましょう。否定疑問系の質問を使うことで、あてずっぽうで相手の状況を決めつけてしまうことを防げます。
営業ヒアリングシートを活用する
営業ヒアリング中に、何を質問すればよいのか分からなくなってしまうという担当者さまは、営業ヒアリングシートをもとに質問するのがおすすめです。
営業ヒアリングシートとは、お客さまにヒアリングすべき項目をまとめたもののことです。営業ヒアリングシートを使うことで、営業担当者は、押さえるべきヒアリング項目がわかり、漏れなく営業ヒアリングをすることができます。
営業ヒアリングシートに記載したい項目は以下の10つです。
- お客さまのご要望
- お客さまの事業
- 現在ご利用中のサービス
- ニーズ(課題)
- 時期
- 予算
- 決裁フロー
- 利用者
- 選定基準
- 検討中の競合サービス
上記の営業ヒアリングシートの項目を自社に合わせてカスタマイズし、活用してください。
営業ヒアリングシートの項目については、記事「営業ヒアリングシートのテンプレート|各項目も解説」にまとめました。こちらからダウンロードできる、営業ヒアリングシートテンプレートとあわせて営業ヒアリングに活用してください。
営業のヒアリングに使えるフレームワーク
この章では、営業ヒアリングにおいてお客さまのニーズを「深く、漏れなく」理解するためのフレームワークをご紹介します。
5C分析
5C分析とは、お客さまのビジネスモデルを分析するためのフレームワークです。
5Cとは、「Customer(顧客)」「Company(会社)」「Competitors(競合)」「Customer’s Customers(顧客の顧客)」「Customer’s Competitors(顧客の競合)」の頭文字を取ったものです。
お客さまのビジネスモデルだけではなく、お客さまの顧客はどのようなビジネスをしているのかまで理解すると、お客さまの立場に立ったより良い提案をすることができます。
営業ヒアリングの場面では、お客さまの顧客や競合についてのヒアリングも忘れないようにしましょう。
SPIN話法
SPIN話法とは、営業ヒアリングにおいて、お客さまの潜在ニーズを明らかにするフレームワークです。
それぞれ「Situation(状況質問)」「Problem(問題質問)」「Implications(示唆質問)」「Need-Pay off(解決質問)」の頭文字を取ったものです。
SPIN話法を使った営業ヒアリングでは、まずは、状況質問で相手の現状を整理し、次に問題質問で相手が抱えている問題を洗い出します。そして、示唆質問で相手が抱える問題の重要性を自覚していただき、最後に解決質問で相手に問題を解決した先のメリットを認識していただきます。
SPIN話法の流れで営業ヒアリングをすることで、お客さまの潜在ニーズをより深く理解し、最善の提案につなげることがでるでしょう。
「SPIN話法とは?相手の潜在ニーズを引き出す質問のフレームワークを徹底解説」では、SPIN話法を営業ヒアリングで使う際のコツを具体的な質問例とあわせて解説しています。ぜひごらんください。
営業のヒアリング力を高めるためには?
ここまで、営業ヒアリングで活用できるテクニックについて解説してきました。では、根本的な営業のヒアリング力を高めるためには何をすればよいのでしょうか?
ここでは営業のヒアリング力を高める方法を3つご紹介します。
お手本から学ぶ
営業のヒアリング力を高めるためには、上手なお手本から学ぶのがよいでしょう。
上司や成績上位の営業担当者に同行させてもらい、質問の仕方やお客さまが話しやすい雰囲気づくりを吸収して真似しましょう。
ロープレをする
営業のロープレは、営業担当役と顧客役に分かれて、商談の場をシミュレーションし、実際の商談に備える営業の練習法のひとつです。
営業ヒアリングの場面をロープレするメリットは2つあります。
1つ目は、実際の商談でのヒアリングに近い状況を再現することで、商談本番を想定した練習ができることです。営業ヒアリングでの臨機応変な対応を身につけるには、ロープレをするのが最適です。
2つ目は、フィードバックをもらえることです。営業活動は、普段は外から見えづらいものですが、フィードバックをもらうことで自身の課題を認識することができます。
また、他の営業担当のヒアリングがうまくいくノウハウを共有してもらうことで、自分のヒアリング力を向上に役立てることができます。
「営業ロープレの基本|商談で結果が出る進め方をくわしく解説」では、営業のロープレを「練習のための練習」で終わらせず、営業力向上につなげるための進め方やコツをくわしく紹介しています。営業ロープレで成果を出したい担当者さまはぜひごらんください。
参考:SFAを活用する
営業担当のヒアリング力を高めるためには、SFA(営業支援システム)の活用がおすすめです。
SFAとは、進行中の案件の情報管理、過去の対応履歴の管理、営業担当のtodoの管理などができるツールで、営業活動全体を見える化することができます。
ヒアリング力を高めるためにSFAがおすすめな理由は2つあります。
1つ目は、お客さまの基本情報や過去の対応記録の蓄積・共有により、営業ヒアリングの準備がスムーズにできることです。SFAを使うと、お客さまの情報が検索、参照しやすくなります。
SFAに蓄積されたお客さま情報をもとに営業ヒアリングの仮説を立てることで、よりお客さまに刺さる、精度の高い営業ヒアリングをすることができます。
2つ目は、ヒアリングすべき項目を漏らさずに営業ヒアリングできることです。
まずは、チーム内でヒアリングしておきたい項目をフォーマット化し、SFAに登録しましょう。SFAの項目を埋める意識でヒアリングをすると、商談中に話が脱線してしまった時にも、絶対に聞いておきたい質問事項を漏らさず押さえられます。
SFAを使って情報の蓄積・共有をすると、担当の引き継ぎもスムーズになります。たとえば、インサイドセールスはお客さまにヒアリングした情報をSFAに保存します。フィールドセールスは、SFA上でヒアリング情報をすぐに検索・確認でき、わざわざインサイドセールスに確認を取る手間を省けます。
SFAツール、Kairos3 Salesを使えば、営業ヒアリングだけでなく、営業活動全体を管理できます。ご興味ある方はこちらから資料をごらんください。