マーケティングにおけるデータ分析手法14選!成果を上げるポイントも解説
ユーザーのニーズが多様化するなか、データにもとづいた効率的なマーケティング活動を行っていくため、データ分析を活用する必要性が高まっています。データ分析には、目的に合った手法を用いる必要があります。
今回はマーケティングに用いられる主なデータ分析手法を14種類紹介したうえで、データ分析に活用できるツールを紹介していきます。
この記事のもくじ
マーケティングにおいてデータ分析が必要な理由
マーケティングにおいてデータ分析の必要性が高い理由として、次の点が挙げられます。
- データにもとづいた意思決定が可能になる
- 多様化したユーザーのニーズをつかめる
- パーソナライズされたマーケティングを行える
- 仮説・検証を繰り返して成果を高められる
データ分析を行うことで、勘や経験に頼らず、データに裏付けされた意思決定を行えます。インターネットの普及によって販売チャネルが多様化し、ユーザーのニーズも多様化していることから、データ分析によってニーズをつかむ必要性が高まっています。ユーザーの多様なニーズに対応するには、パーソナライズされたマーケティングを行う必要があります。
データを活用したマーケティング(データドリブンマーケティング)は、仮説を立てて、施策を実行し、データを検証した後、改善策を考えるPDCAサイクルにより、施策の効果を高めていくことが可能です。
マーケティングに用いられるデータ分析手法
以下が、マーケティングに用いられる主なデータ分析手法です。
4P分析
4P分析とは、「Product(製品)」「Price(価格)」「Place(流通)」「Promotion(広告宣伝)」の4つの要素から、商品・サービスを分析する手法です。新しい商品・サービスをリリースするときのマーケティング戦略の立案などに用いられます。
「製品」では商品やサービスの品質や機能などの仕様を検討します。「価格」では、適正な販売価格や流通マージンを設定します。「流通」では、物流や販売チャネルを決定。「広告宣伝」で検討するのは、販売促進施策です。これら4つの要素は密接に関わりあっているため、統合して考えましょう。
関連記事:マーケティングの4P(マーケティングミックス)とは?
SWOT分析
SWOT分析は、内部環境の「Strength(強み)」と「Weakness(弱み)」、外部環境の「Opportunity(機会)と「Threat(脅威)」の4つを軸に自社の現状を分析する手法です。
ここでいう内部環境は自社内を指し、外部環境は自社に影響を与える市場や競合他社といった外部要因が該当します。SWOT分析は事業戦略を策定する際の現状分析に用いられます。
SWOT分析では、まず内部環境の「Strength(強み)」と「Weakness(弱み)の視点から各種要素を洗い出します。次に外部環境の「Opportunity(機会)」と「Threat(脅威)」の分析を行い、自社に影響を与える市場の変化を把握します。
ABC分析
ABC分析とは、売上高など一つの評価軸において、売上の高い順にデータを並べ、その売上比率をもとにABCとランク付けをしていく分析方法です。「重点分析」とも呼ばれます。在庫管理の最適化などに活用されます。
ABC分析の手順を、売上高を評価軸とする場合を例に説明します。まず、商品を売上高の高い順に並べます。
次に全商品の売上高の合計をもとに、各商品の売上構成比を求めます。
次に売上高・売上構成比の多い方から、累積構成比を算出します。最後にABCのグループ分けをします。このグループ分けの際に基準にする数値の決まりはありません。
たとえば、「A:累積構成比70%まで」「B:累積構成比71%~90%」「C:累積構成比91%~100」とグループ分けをします。この場合、Aグループが売れ筋商品となります。
STP分析
STP分析とは「Segmentation(セグメンテーション)」「Targeting(ターゲティング)」「Positioning(ポジショニング)」の順に分析を行い、自社の市場での位置を明確にする分析方法です。新規事業戦略の立案や、事業戦略の見直しなどに活用されます。
STP分析を行う手順を説明します。セグメンテーションでは、市場を顧客の属性やニーズなどで類似するグループに分割して細分化します。ターゲティングでは、細分化したセグメントの中から、自社が狙う市場を設定します。ポジショニングでは、競合他社と自社の商品・サービスの価格や品質、専門性などを比較し、自社の立ち位置を決定します。
自社が競合他社を価値で圧倒できるポジションをとるか、空白地帯を見出すのが基本です。
関連記事:STP分析とは?戦略や計画で使うテクニックを基礎から紹介
デシル分析
デシル分析とは、売上データを顧客の購入金額の高い順に並べて、それを10等分し、グループごとに分析をする方法です。それぞれのグループについて、購入金額比率、累計購入金額比率、1人当たりの購入金額などがわかります。
デシル分析ではまず、顧客を購入金額の多い順に並べ、顧客を10等分にします。
この10等分のグループを上から「デシル1」「デシル2」とします。各デシルごとの合計購入金額を算出した後、購入金額比率や累計購入金額比率、1人あたりの購入金額を求めます。
デシル分析は、たとえば「デシル2までの顧客を優良顧客として重点的にアプローチを図る」など、顧客グループにあわせて効率よくマーケティング施策を実行したいときに活用できます。
関連記事:デシル分析とは?顧客分析方法の手順や活用方法を解説します
RFM分析
RFM分析とは、顧客を「Recency(直近の購入日)」「Frequency(購買頻度)」「Monetary(購買金額)」の3つの指標でスコア付けをし、優良顧客や新規顧客、離反客などにグループ分けする分析手法です。顧客グループにあわせて効率よくマーケティング施策を実行するために活用されます。
RFM分析を行う手順を説明します。まず、「Recency(直近の購入日)」「Frequency(購買頻度)」「Monetary(購買金額)」の3つのデータを用意し、それぞれのスコアを設定します。たとえば、「Frequency(購買頻度)」では、「スコア5:50回以上」「スコア4:30回以上」「スコア3:20回以上」「スコア2:10回以上」「スコア1:10回未満」といった形です。
そして、顧客のスコアをもとにグループ分けを行います。「Recency(直近の購入日)」「Frequency(購買頻度)」「Monetary(購買金額)」のすべてのスコアが高い顧客が優良顧客となります。
一方、「Recency(直近の購入日)」のスコアが低い顧客は、「Frequency(購買頻度)」と「Monetary(購買金額)」のスコアが高くても離反客に該当します。
離反客とは、自社の商品・サービスから離れている、忘れている顧客のことです。
クロス集計分析
クロス集計分析とは、大量にあるデータのうち、2〜3つの項目に絞って集計・分析を行う方法です。アンケートなどでよく使われています。
アンケート調査のデータなどを「回答者の属性」と「質問項目」、あるいは「質問項目A」と「質問項目B」など、複数の軸を掛けあわせて集計する手法です。クロス集計を用いると、回答者の年齢や性別といった属性ごとの傾向をつかめます。
1週間でコーヒーを飲む回数のアンケートを実施した場合を例に挙げると、単純集計では「0回:○人」「1~3回:○人」「4~6回:○人」「7回以上:○人」といった形で集計します。性別の軸を加えてクロス集計する場合には、男女別に「0回:○人」「1~3回:○人」「4~6回:○人」「7回以上:○人」の集計を行います。
ロジスティック回帰分析
ロジスティック回帰分析とは、複数の要因をもとに2択の結果が起こる確率を予測する分析手法です。たとえば、キャンペーンで購入する確率やDMに反応する確率の予測など、マーケティング活動で2択となる予測を行うときに活用できます。
ロジスティック回帰分析の算出方法は複雑で、統計ソフトなどを使うのが一般的です。
複数の要因を示す「説明変数」のそれぞれの影響の大きさを示す「回帰変数」を回帰分析によって求めた後、2択の結果である「目的変数」を解析するという流れで導き出します。
重回帰分析
重回帰分析とは、成果に対する複数の要因の関係性の度合いを分析する手法です。
売上や利益を成果として、広告や価格などの要因がどの程度影響を与えているか数値によって明確にできることから、売上予測やマーケティング戦略に用いられています。
重回帰分析を行う手順は、まず、成果である「目的変数」を決めます。売上予測では売上が目的変数となります。
次に成果に影響する複数の要因である「説明変数」をピックアップします。徒歩来店が中心の実店舗の売上予測では、駅からの距離や店舗の広さ、客単価、席数などが説明変数となります。そして、データを収集して統計ソフトなどで解析を行います。
アソシエーション分析
アソシエーション分析とは、「○○の事象が発生したときには、△△の事象が発生する」といった事象の関連性を調べる分析手法です。
マーケティングの分野では、「〇〇を購入する顧客は、△△もあわせて購入する確率が高い」といったように、購買パターンの分析に用いられます。購買パターンを把握したら、「よく一緒に買われる商品を近くの棚に陳列する」「ECサイトで関連商品として表示する」などの工夫ができます。これにより、クロスセルを狙えます。
アソシエーション分析には、支持度と信頼度、リフト値の3つの指標があります。
商品Aと商品Bが一緒に購入されるケースの関連性を調べる場合を例に挙げると、支持度は「商品Aと商品Bを同時に購入した顧客数÷全体の顧客数」、信頼度は「商品Aと商品Bを同時に購入した顧客数÷Aを購入した顧客数」で求められます。いずれも数値が大きいほど関連性が高いとされています。
リフト値は「Aの信頼度÷(商品Bを購入した顧客数÷全体の顧客数)」で算出し、関連性が高いとされるのはリフト値が1以上の場合です。
クラスター分析
クラスター分析とは、データの母集団から類似する特徴を持つデータの集団(クラスター)をグルーピングする分析手法です。マーケティングの分野では、顧客をグルーピングして、異なる施策を展開するために活用されています。
クラスター分析には「階層クラスター分析」と「非階層クラスター分析」の2種類があります。階層クラスター分析は、似ているデータ同士をまとめていき、樹形図で表す方法です。非階層クラスター分析は、あらかじめ決めておいたクラスター数で分割する方法です。
決定木(けっていぎ)分析
決定木分析とは、「決定木」や「ディシジョンツリー」と呼ばれる樹形図を作成してデータを分析し、成果を構成する要素の検証や予測を行う分析手法です。
決定木分析は、アンケート調査の結果の分析や顧客の行動パターンの分析などに用いられ、マーケティング戦略や施策の立案に活用されています。
決定木分析では、起点となる「ルートノード」を四角形で描き、全体に与える影響が大きい要素を設定します。ルートノードから導き出された2つ以上の要素を「チャンスノード」として円形で描き、樹形図になるようにノードとノードを「ブランチ」と呼ばれる線で結びます。さらに1つのノードから2つ以上の「チャンスノード」を描いていきます。最終的に結論となるノードは「リーフノード」として三角形で描きます。
因子分析
因子分析とは、複数のデータの要素から共通する共通因子を見つける分析手法です。データの背景に隠された要素を見つけられることから、アンケート調査の結果から顧客の購買行動の背景やニーズを探るときなどに活用されています。
因子分析を行うときには複数の要素があるデータセットを用意し、統計ソフトを用いるのが一般的です。共通因子の数を決定した後、共通因子の影響の強さの度合いを示す因子負荷量を算出し、共通因子の解釈をして名称をつけるのが大まかな流れです。関連性がありそうな要素の仮説を立てておくと、共通因子の解釈に役立ちます。
コレスポンデンス分析
コレスポンデンス分析とは、クロス集計分析などのデータを視覚的にわかりやすいように散布図で示す分析手法です。クロス集計分析の結果が理解しやすくなることから、商品説明資料やマーケティング資料などのプレゼンテーション資料で用いられています。
コレスポンデンス分析はクロス集計表をもとに統計ソフトを用いて分析を行い、散布図を作成します。必要に応じて、類似性が高い要素をグルーピングすると見やすくなります。
データ分析でマーケティングの成果を上げるために
データ分析でマーケティングの成果を上げるポイントとして、次の2点が挙げられます。
- データ分析の基礎を身につける
- 基本的なフローに沿って進める
データ分析の基礎を身につける
マーケティングで必要なデータ分析を正しく行うために、分析の基礎知識を身につけておきましょう。数理統計学やプログラミング、データベースに関する基礎知識があることが望ましいです。
基本的なフローに沿って進める
効率よく精度の高い分析結果を得るためには、基本的なフローに沿って進めていくことが重要です。以下がデータ分析の基本的なフローです。
- データ分析の目的を明確化する
- 目的達成のために解決するべき課題を特定する
- 課題を引き起こす要因の仮説を立てる
- 仮説を実証するためのデータを収集する
- 収集したデータを分析する
- 目的と仮説、分析結果をもとに解釈を行う
効率的なマーケティング施策のために、目的はかならず明確にしておきましょう。課題を引き起こす要因の仮説は、分析の焦点を絞るために立てます。
仮説を立てたら、因果関係の認識に間違いがないかを確認します。収集するデータの精度は分析の精度に関わります。目的と仮説、分析結果をもとに解釈を行うときには、一貫性があるか確認することが大切です。
フローの途中でうまく進まなくなったときには、1つ前の段階に戻ります。
マーケティングにおけるデータ分析に活用できるツール
マーケティングのデータ分析に活用できるツールには、主に次の3つがあります。
- BI(ビジネスインテリジェンス)ツール
- DMP(データマネジメントプラットフォーム)
- MA(マーケティングオートメーション)ツール
BI(ビジネスインテリジェンス)ツール
BI(ビジネスインテリジェンス)ツールとは、企業が蓄積したさまざまなデータを分析し、経営判断や日常業務に役立てるためのツールです。基幹システムやSFAツール、CRMツールなどのほか、Excelやスプレッドシートなどに分散されているデータをつないで、集計や分析を行えます。また、BIツールはデータを可視化して、読み取りやすくします。
BIツールと、マーケティングで使われることが多いSFAツールやMAツールをつなぐと、ビッグテータの分析ができ、顧客ごとにLTV(顧客生涯価値)を算出するなど、データドリブンマーケティングを展開できます。
DMP(データマネジメントプラットフォーム)
DMP(データマネジメントプラットフォーム)とは、インターネット上に蓄積されたさまざまなデータを蓄積し、ビッグデータとして一元管理して分析するためのツールです。
DMPには2つの種類があり、1つは外部から提供される3rd partyデータを取り扱う「パブリックDMP」です。国や自治体が公表する情報や調査会社による統計データ、Webサイトの行動履歴などを扱っています。もう1つは自社で取得・保有する1st partyデータを取り扱う「プライベートDMP」です。顧客情報や顧客の購買履歴、行動履歴などを扱っています。
パブリックDMPは、ターゲット層のニーズを把握するのに役立てられるため、新規顧客の獲得に活用できます。プライベートDMPは、さまざまな部署にまたがっていた既存顧客の情報を一元管理できることにより、LTVを最大化するために多く活用されます。
MA(マーケティングオートメーション)ツール
MAツールとは、顧客の情報を一元管理し、マーケティング活動の効率化・自動化を図るツールです。MAツールの導入によって、高度な分析が可能となるほか、リード獲得から商談にいたるまでの一部のマーケティング活動を自動化できます。
データ分析に活用できるMAツールとして、オススメなのは「Kairos3 Marketing」です。たとえば、「スコアリング」機能では、顧客の購買意欲を数値化‧⾒える化して、アプローチを図る顧客の優先順位を表示。「ホットリード」機能では、営業がアプローチを図るべきお客さまにメールを自動配信します。
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