褒められるウェビナースライド作成ノウハウ12選|図解つきで解説

オンラインセミナー(ウェビナー)視聴中に、つい他の作業を始め、ながら聞きになってしまった経験はないでしょうか。ウェビナーは会場に赴かなくてよい手軽さがある反面、職場や自宅など、周囲に誘惑の多い環境だと、なかなか集中しづらいものです。

しかし、ウェビナー内容が勉強になると思えば、聞き逃さないように集中するもの。気が散ってしまう原因は、スライド資料の見た目がウェビナー用には不親切だからかもしれません。

この記事では、これからウェビナー用のスライドを作ろうとしているみなさまに向けて、お客さまの満足度を上げるウェビナースライドの作り方を紹介します。

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満足度を上げるウェビナースライドの基本

この章では、ウェビナースライドの構成や作成の基本に関わるポイントを3つご紹介します。

1スライドで伝えることは1メッセージ 

1枚のスライドには1つのメッセージだけを入れることが基本です。

1枚のスライドに複数の内容が含まれていると、情報量が多く、細かい文字がごちゃごちゃ並んだスライドになってしまいます。その結果、ウェビナーの内容がわかりにくくなります。

伝えるメッセージが1つであれば、文字を大きく書き込め、図やグラフ、アイコンなどを使ってすっきりしたスライドを作れます。

参加者の中には、スマホなどモニターが小さいデバイスで視聴する方もいるでしょう。スライド作成時には「見やすく、わかりやすいスライド」を意識してシンプルにまとめると、参加者もストレスなく視聴できます。

30分のウェビナーに必要なスライド枚数は?
1分間に何枚のスライドがあれば適切か、という基準は特にありません。スライドごとに、必要となる説明時間は違うからです。初めてウェビナースライドを作るときは、どの話題に何分使うか大まかなイメージを作り、説明に使う分だけスライドのラフを用意したあと、練習する中で枚数を調整していきましょう。参考に、私たちが定期開催しているウェビナー「30分で脱・初心者!メルマガ入門講座」では、タイトルと裏表紙を含めて39枚のスライドを使用しています。

1枚のスライドに書き込みすぎない 

1枚のスライドに1メッセージだけが込められていても、書き込み過ぎは禁物です。

用語の定義やデータの解説などが長々と書き込まれていると、参加者はスライドを読むことに集中してしまいます。内容の理解は、音読より黙読のほうが早いため、講師がスライド内容を「読む」作業を始めると、参加者は話を聞く必要がないと判断します。

どうしてもスライドに長い文章を書き込む必要があるときは、話の中でポイントだけを伝えるか、参考提示という構成にし、講師が内容を読み上げる時間を作らないのがおすすめです。スライドにはすべてを書き込まずに、どのような話を聞かせてくれるんだろう、と期待感を持たせましょう。

スライドの構成に迷ったら
スライドを作るときは、どのような構成にするか手書きのメモを書いておくのがおすすめです。スライドイメージができる前からパワーポイントなどで作り始めてしまうと、お試しの図解を作るだけで手間取ってしまい、完成までに時間がかかります。どこかしっくりこないと思ったときは、ラフの段階で周りに相談しましょう。

ウェビナースライドのアニメーション使いすぎに注意

インパクトのある演出ができ、ストーリーの流れを可視化しやすくもなる「スライドアニメーション」。効果的に使えば参加者を楽しませ、理解を深めることにもつなげられます。

ただし、使いすぎには要注意です。ウェビナー中に派手なアニメーションを使いすぎると、参加者は動きに目がつられ、注意力が散漫になってしまう恐れがあります。また、アニメーションの多用で白紙部分が多いスライドでは、参加者は話の先を推測しづらくなります。結果、講師の話したことを瞬時に理解し覚えていく必要があるので、脳に負担がかかります。

私たちが工夫しているアニメーションの活用法
私たちはシンプルな表示アニメーション「ディゾルプイン」を使用しており、スライドにはかならずタイトルと簡単な説明文を入れています。アニメーションを取り入れて提示時に余白が多くなってしまうスライドであっても、説明文が入っていれば何について話されるか推測しやすくなります。

お!と思われるおしゃれなスライドへ|マケフリスライド作成ノウハウ

この章では、伝わりやすく、おしゃれなスライドにするために私たちが実践しているノウハウを、実際に過去に作ったスライド事例を交えて紹介します。

スライド作成ノウハウ1:基本は整列

初めに、スライド内の要素を整列しましょう。小見出しと各文字の初め、アイコンの端などが揃っていないと洗練されていない印象になります。どこを整列すればよいかわからないときは、最低限左側と上側を揃えるとすっきりします。

【中央揃えは上級者向け】
整列するときに使いやすい「中央揃え」。一見整ったデザインのように見えますが、文の両端が揃わないため、全体的にガタガタの印象を与えます。文を整列するときは中央揃えを使わずに先端揃えを使うのがコツです。

スライド作成ノウハウ2:文字のジャンプ率を変える

ジャンプ率とは本文やタイトル、見出しの文字サイズの比率のことです。私たちは、スライド中の本文を基準に「1.5倍〜2.5倍」程度のジャンプ率をつけています。ジャンプ率を変えると、強調したい内容を目立たせることができ、スライド全体にまとまりが出ます。

【スライド全体でフォントの統一を】
スライド全体でフォントを揃えると統一感が出てきれいに見えます。参考に、私たちは基本の文字をヒラギノ角ゴシック(W3)、数字をArialで統一しています。
ヒラギノ角ゴシックは視認性が高く、文字の太さを細かく調整できて使いやすいのが特徴です。Arialは欧文フォントのため日本語には対応していませんが、英数字が細めに表示されて見やすくなります。

スライド作成ノウハウ3:大事な文字には強調点をつける

メッセージの中で特に大事な箇所には強調点の配置が有効です。たとえば、2つの要素を比較するとき、前述のジャンプ率の変化だけでは強調したい内容が見えづらくなることがあります。そんなときには大事な文字に強調点をつけることで比較内容をわかりやすく伝えられます。

下に示した図は、「メルマガで同じテーマを扱う場合でも、想定される読者によって書き方を変えましょう」と説明するスライドです。強調点によって違いが整理されたことがわかるでしょうか。

スライド作成ノウハウ4:グラフは伝えたい部分だけを強調する

グラフは、Excelなどで作成したデフォルトのデザインのまま使うと、余分な線や色合いが邪魔になり、注目すべき内容が伝わりづらくなります。そこで、余計な装飾をなくし、伝えたい部分だけを強調すると、頭にすっと入ってきます。

また、参加者の中には資料を白黒印刷する方もいます。白黒印刷の場合は、色数を増やすより、同じ系統の色を明るさを変えて使う方が見やすくなります。

【伝わるグラフデザインの4原則】
ウェビナーの説得力を高めるために使いたいグラフ。グラフ作成における最重要事項は、伝えたいメッセージを参加者に正しく伝えることです。「伝わるグラフのデザイン4原則と、作り方|例題を使ってわかりやすく解説」では、メッセージを相手に伝えるために工夫してほしいデザインノウハウを紹介しています。見やすいグラフデザインを学びたい方はぜひごらんください。

スライド作成ノウハウ5:見出しと説明でメッセージを伝える

複数枚のウェビナースライドが同じタイトルになっていて、ウェビナーから目を離したすきに何の話をしているのかわからなくなった経験はないでしょうか。離脱した参加者がすぐにウェビナーの内容を理解できるように、私たちはスライドタイトルに「メッセージ」を、タイトル下部に「メッセージの説明」を簡単に記しています。

スライド作成ノウハウ6:メッセージのアイコン化

伝えたいポイント同士の関係性をスライドに書くときは文字で書くだけでなく、情報を図形の中にまとめてアイコン化するのがポイントです。文字情報よりもすっきりし、かつイメージしやすくなります。

スライド作成ノウハウ7:同じ意味のアイコンを同じ色で分ける

順序や経過を説明したいとき、色分けをうまく活用するとわかりやすくなります。たとえば、下に示した図は、メルマガを書くときの「メールの中身」と「脳内イメージ」の関係性を説明したものです。件名、本文、ゴールなどの同じ要素をそれぞれ同じ色のブロックで分けることで、「メールの中身はメールの見た目とは逆順で考える」というポイントが伝わりやすくなります。

スライド作成ノウハウ8:要素を中央に凝縮して余白を作る

「余白」はスライド作成の重要な要素。文字や画像を中央に集めると、まとまりが出て整列させやすいスライドになります。また、ウェビナー特有の失敗談ですが、スライドの余白が少ないと、画面端に映るウェビナー講師の映像が重なり、スライドの一部が見えなくなる可能性もあります。スライド周りには余白を作り、ゆとりのあるデザインにしましょう。

【余白の幅によってウェビナースライドの印象が変わる】
ウェビナースライドの印象は、余白の広さによって変わります。たとえば、スライド周りの余白が少なめだと研究発表のように硬い印象、多めに取るとおしゃれな印象になります。開催するウェビナーのイメージによって余白の取り方を変えましょう。

スライド作成ノウハウ9:表は線を引かずに余白でブロック分け

表を挿入するとき、デフォルトの縦横線がついていると洗練されたスライドとは言えません。余白を十分に取れば各ブロックの区別もつき、おしゃれな印象に変わります。余白を使ったデザインが難しければ、シンプルな横線や色を利用したブロック分けもおすすめです。

スライド作成ノウハウ10:関連する要素は近くに置く

スライドの中に複数の項目があるときは、小見出し、アイコン、説明文をそれぞれ同じグループ同士で近づけ、他のグループとの間にしっかり余白をとりましょう。そうすることで、一目見ればどの要素が何を説明している内容なのかがわかりやすくなります。

スライド作成ノウハウ11:ブロック内の視線移動は少なめに

スライドの中に文を多く書く必要があるとき、視線移動は少なめにするのがおすすめです。1枚のスライドの中で横長の文章が複数あると、パッとみたときに読みづらく、読むだけで疲れてしまいます。ブロックに分けて視線移動が少なくなるように配置しましょう。

スライド作成ノウハウ12:一歩引いて、全体を俯瞰する

すべてのスライドが作成できたら、一歩引いて全体を見てみましょう。下記の3点を中心に修正していくとより洗練されたスライドになります。他の人にもチェックしてもらい、参加者視点でコメントをもらえれば、自分では気づけないくせを直すこともできます。

  • 要素がバラついているスライドがないか
  • 2枚のスライドに分けたほうがわかりやすくならないか
  • アニメーションが正確な順番で動くか
【スライド資料は発表用と配布用の2種類作るのがおすすめ】
ウェビナースライドを作るときには、PDF版のスライド資料を配布用として一緒に作るのがおすすめです。PDFであれば、ソフトウェアの違いに関わらず無料のビューアソフトを使って誰でも開くことができます。ウェビナー中に口頭で説明した内容を、配布用スライドに説明文として書き込めば、見返したときに理解が深まります。また、PDFはウェブサイトのリンクを貼ることができるため、自社HPや調査データなどの参考情報リンクをつけることも可能です。おまけ情報をつけることで、ウェビナー参加者の満足度が上がります。

スライドは主役ではなく、講師の補足資料

ウェビナーのスライド資料は参加者の理解度を深めるための重要な要素です。ただし、あくまでウェビナーのメインは講師が話す内容であり、ウェビナースライドはその補足資料です。

話すことすべてをスライドに書き込んでしまうと、講師の話を聞く必要のないウェビナーになってしまいます。ウェビナースライドは、説明された内容の理解を深める資料となるように作るのがコツです。

この記事が、自分の作ったウェビナースライドがなんとなくしっくりこない、と思われている読者の皆さまのお役に立てば幸いです。

テンポよく伝えるために、講師が気をつけたいこと
アナウンサーの1分間あたりの文字数目安は300文字前後と言われています。ウェビナーでは、トークのテンポを早めた方が聞き手が理解しやすいと言われており、1分間あたり300〜400文字が目安です。「ウェビナー講師のコツ14|緊張しない伝え方のコツ教えます」では、話すときのテンポに加え、見せ方や伝え方のコツをわかりやすく解説します。初めてのウェビナー講師に不安を感じている方は、ぜひごらんください。

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