営業のBANTとは?一番わかりやすい入門編

BANTとは、Budget(予算)、Authority(決裁フロー)、Needs(ニーズ)、Timeframe(導入予定時期)のそれぞれの頭文字をつなげたものです。営業ヒアリングでBANTを明らかにすることで、案件の受注確度を把握します。BANTのうちどれか1つでも欠けていたら、受注確度は下がります。この記事では、BANTの各項目、BANTをより明らかにするための質問方法と心がまえを紹介します。

BANTとは

BANTとは、営業商談から成約にいたるまでの可能性を知る判断根拠となる要素です。BANTは、予算(Budget)、決裁フロー(Authority)、ニーズ(Needs)、導入予定時期(Timeframe)の頭文字をとっています。

BANTが全て明らかになっている商談は、成約もしくは購入に近いと考えられます。

BANTの「B」〜予算(Budget)とは

BANTの「B」はBudget(予算)です。購入していただけるだけの金銭的な計画が組まれているかどうかを判断することで、商談の確実性を判断します。

まだ予算が組まれていない、金銭的に購入が難しい、ということであれば、商談から成約にいたることは難しいでしょう。

もっと大きな予算が必要なときには役員決裁が必要など、承認フローも大変になります。すでに購入できるだけの予算が組まれていれば、商談から成約にいたりやすくなります。

BANTの「A」〜決裁フロー(Authority)とは

BANTの「A」は決裁フローです。BtoBマーケティングに代表される法人営業では、商談に複数の人間が関わることが一般的です。

BtoBマーケティングの特徴をもっと知りたいなら
BtoBマーケティングの特徴、手法、テクニックについて、別記事の「BtoBマーケティングの6つの特徴・5つの手法・4つのテクニック」でまとめました。あわせてごらんくださいませ。

商談には、商談の窓口になる担当者以外にも、利用者、決裁者(最終的な意思決定をする人物)、アドバイザー(エンジニアや専門知識を持つひと)など、多くの人が関わります。商談の金額が大きくなればなるほど、関与する人が増える傾向にあります。

BANTの「A」は決裁者と訳されることも多いですが、決裁者だけでなく、意思決定までのフローを確認しておくことが大切です。窓口の担当者が気に入っているにもかかわらず、利用者となるグループが反対していたり、役員が今すぐ導入すべきではないと判断することもよくあります。

自社での導入が初めてとなるような商材の場合は、商談の窓口となる担当者ですら、決裁フローを想像できないこともあります。このような場合には、せっかくあなたの商品に興味を持っていただけたとしても、商談から成約にいたる可能性は低いとみなさざるを得ません。

BANTの「N」〜ニーズとは

BANTの「N」はニーズです。ニーズは商談の根幹であり、解決すべき目の前の課題です。

BtoBマーケティングの場合、お客さまがまだ事業における課題すら認識していないことがあります。商談におけるニーズを明らかにするためには、ニーズそのものだけでなく、お客さまが抱えている問題点、お客さまが最終的に望む姿(ゴール)、これら一連のニーズやゴールが生じた背景なども合わせてヒアリングすると、より本質的なニーズにせまることができます。

提案型営業では、商談相手のニーズが明確でない場合であっても、商談相手の望む姿がある程度あきらかであれば、商談相手の「あったらいいなぁ」という想いを「ニーズ」に変えることが欠かせません。

BANTの「T」〜導入予定時期とは

BANTの「T」はTimeframe(導入予定時期)です。

Timeframe(導入予定時期)が明らかでなければ、まだ情報収集の段階で、自社の課題やニーズすら明確になっていないかもしれません。導入時期が決まっているのであれば、当然のことながら、商談の確度は高くなります。

BANTを明らかにする理由

BANTを営業活動で明らかにする目的は「商談の内容を明らかにし、優先順位が高い商談から順に営業活動を優先的に手がけることで、営業ゴールを効率よく達成するため」です。

商談金額(B)が大きく、導入もすぐ(T)、決裁者が本人(A)で、やりたいことが自社の商品で実現できる(N)商談であれば、営業担当者としては最優先して取り掛かるべきです。

営業担当者のリソース配分をするためにも、各商談毎に、お客さまが抱えている問題の本質に近づけるように、BANTを明らかにしましょう。

BANTをより明らかにするためには?

BANTが明確になればなるほど、商談を有利に展開できます。この章では、BANTをより明確にするための質問方法と心がけを紹介します。

広げる質問と深める質問をうまく使う

お客さまの抱えている問題やニーズがひとつであるとは限りません。ひとつのニーズを深掘りするための質問と、新たなニーズを発見するための質問を使い分けましょう。

  • 他にはありますか?
  • 現場の観点から考えるとどうですか?
  • 〇〇の分野ではお困りでないですよね?
  • という「広げる質問」をすることで、お客さま自身がこれまで気づいていなかった問題に気づいていただけることがあります。問題の本質はこれまで考えていた範囲外にある、というケースはよくある話です。

    お客さま 「今使っているツールでは満足いく結果が出ないのです」
    営業担当者「そうなのですね。運用負荷に関してはいかがですか?」
    お客さま 「実は操作が難しく、なかなか使いこなせなくて…」

    という風に、「広げる質問」によって新たなニーズが明らかになることがあります。

    また、

  • それはなぜですか?
  • 具体的にはどのようなことでしょうか?
  • 〇〇では難しいでしょうか?
  • という「深める質問」をすることで、お客さまが考えていることの本質に、より迫ることができるようになります。

    お客さま 「予算は2,000万円くらいを考えています」
    営業担当者「5,000万円だと難しいでしょうか?」
    お客さま 「今年度は◯◯が最重要事項です。そこに予算が流れているため、本件は最高でも3,000万円程度しかかけられないと予想しています」

    深める質問を通して、お客さまの抱えている背景まで理解することができます。

    お客さまに気持ちよくBANTを答えていただくために

    BANTに限らず、お客さまに好感を与えながら情報を引き出すことは簡単ではありません。尋問のようにひたすら質問だけを繰り返していれば、お客さまはうんざりしてしまいます。

    『人を動かす』という自己啓発書で世界的に有名なデール・カーネギーは、著書『人を動かす』の中で、「人に好かれる6原則」として、以下の6つを挙げています。

    「人に好かれる6原則」は、BANTをヒアリングする際に心がけることでもあります。

    お客さまに好感を与えながらBANTを明らかにしていくためには、お客さまの関心を引こうとするのではなくお客さまに関心を寄せること、お客さまへの笑顔を忘れないこと、お客さまに名前で呼びかけること、お客さまの言葉に耳を傾けること、お客さまの関心を明らかにすること、お客さまを心からほめること、などに気をつけてBANTのヒアリングを行いましょう。

    また、お客さまの発言でわからないことがあれば、ごまかさずに「不勉強で申し訳ございません。〇〇については存じ上げないのですが、〇〇とはどのようなものでしょうか?」と教えていただきましょう。こちらの謙虚さを表現するとともに、「教える-教わる」という友好な関係を築くきっかけになります。