業務の見える化とは?仕事を可視化するメリットや方法・ポイントを解説

業務の見える化とは、社員の仕事を可視化することです。フローやスケジュールなどを見える化し、業務全体を把握することで、効率化や仕事量の最適化、適切な人事評価などを実現できます。見える化を実行する場合は、SFA(営業支援システム)など専用ツールの活用も検討しましょう。本記事では、業務の見える化の概要や可視化するメリット、具体的な進め方、注意点などを解説します。

今日やることが、ひとめでわかる。営業が見える化できるSFA/CRMツール【Kairos3 Sales】

業務の見える化とは

業務の見える化とは、「いつ・どこで・どの社員が・何を目的として・どの仕事を・どのように実行しているか」を可視化することです。

図や表を活用するなどして、全体進捗や目標、実績、途中経過、業務の割り振りなどを可視化します。

業務の見える化で可視化する情報

業務の見える化で可視化する主な情報は以下のとおりです。

  • 業務フロー
  • スケジュール
  • タスクの進捗
  • ナレッジ・ノウハウ

業務フロー

業務フローとは、以下のような「仕事の実施に必要な工程」を指します。

  • 「新規顧客獲得」から「契約書の締結」までに必要な工程
  • 「問い合わせ受付」から「担当部署への取り継ぎ」までに必要な工程
  • 「実店舗への来店」から「退店」までに必要な工程
  • 「部品の組み立て」から「出荷」までに必要な工程

業務フローを見える化することで、仕事の「ムリ、ムダ、ムラ」を洗い出し、具体的な改善策を設計できます。たとえば「契約書へ押印するために出社する」という工程によって業務が非効率化しているなら、電子印鑑の導入を検討してもよいでしょう。

業務フローの見える化は、仕事の属人化防止にもつながります。たとえば「顧客Aとのやり取りの詳細を、社員Bしか把握していない」といった場合、Bの不在時にAから問い合わせが来ても対応できず、顧客満足度の低下を招くかもしれません。しかし、業務フローを見える化して共有すれば、こうした事態を解消し、スムーズな顧客対応を実現できます。

属人化の解消については、以下の記事でも解説しています。

スケジュール

スケジュールでは、「誰が・いつ・どこで・どの仕事を・どのように担当しているか」を明確に洗い出します。

以下のように、担当者や完了期日、重要度、進捗度合いなどを一覧でまとめて把握することで、「ゴールから逆算していつまでに終わらせるべきか」「タスクの抜け漏れはないか」などのチェックが可能です。

また、スケジュールを可視化できれば、以下のような適切な判断も実行できます。

  • 進捗が遅れているので早められる業務は早めに終わらせる
  • 過度に負担がかかっている社員への割り振りを見直す
  • 進捗が滞っている社外関係者へ連絡して現状を確認する

スケジュール管理の方法は、以下の記事でくわしく解説しています。

タスクの進捗

タスクとは、社員やチーム、部署などの単位で割り振られた具体的な担当業務のことです。「ToDoリストを作成する」「スケジュール表に担当者ごとに表記する」といった方法で見える化します。

各タスクを見える化し、関係者全員が進捗を把握することで、状況に応じて以下のようなアクションが可能です。

  • 抜けていたタスクを手が空いている社員へ割り振る
  • 進捗が遅れている社員へ必要なサポートを提供する
  • 追加で依頼されたタスクを余裕のある社員へ回す

ナレッジ・ノウハウ

ナレッジやノウハウとは、以下のような「業務を通して得られた知見」を指します。

  • 新規顧客を獲得する営業スキル
  • よくある問い合わせへの受け答え
  • 効率的に業務を進めるコツ
  • 過去の成功および失敗事例

ナレッジやノウハウを見える化することで、社員のスキルアップや業務効率化につながります。たとえば、営業成績優秀者のトークスクリプトを見える化して共有すれば、他の社員のスキルアップにつながります。また、頻繁に寄せられる問い合わせ内容をもとに「模範回答集」を作成すれば、顧客対応の一定のクオリティを担保できる上に、社員の教育コストを削減できます。

業務の見える化をするメリット

業務の見える化をするメリットに以下の5つが挙げられます。

  • 業務全体を把握できる
  • 業務量や質を最適化できる
  • 業務フローを改善できる
  • 社員の成果を適切に評価できる
  • 人員配置を適正化できる

業務全体を把握できる

スケジュール表やToDoリストなどを作成して業務を見える化することで、仕事の全体像を把握できます。全体像を把握して関係者の動きに気を配れるようになれば、「進捗が遅れている別チームをサポートする」「トラブル発生時に担当部署とすぐ連携する」など、適切な判断を実行できるでしょう。

社員自身も「自分の仕事がどのように成果へ関わっているか」を実感できるため、モチベーションアップにつながります。

さらに、チームや部署を超えて、効率化に向けた意見や新たなビジネスアイデアを見える化して共有すれば、組織力の改善も期待できるでしょう。

業務量や質を最適化できる

社員の業務量を見える化することで、担当者の業務の偏りを把握できます。

「特定の個人に偏っている業務を余裕のある人へ分配する」「繁忙期に別部署へサポートを依頼する」といった対応が可能です。

業務の負担の偏りを解消すれば、「納品物のクオリティチェックで見落としが発生する」「納期に遅れる」などの事態が防げて、業務の質も最適化できます。

業務フローを改善できる

業務フロー全体の流れを把握することで、業務プロセスの「ムリ、ムダ、ムラ」を洗い出し、業務を効率化できます。たとえば、「顧客からの問い合わせには、担当者以外は回答できないことが多い」といった場合、SFAなどを活用して情報共有できる体制を構築すれば、スムーズに対応できるでしょう。

業務フロー改善のくわしい進め方や成功のポイントなどは、以下の記事で解説しています。

社員の成果を適切に評価できる

管理者が社員の業務を正確に把握できなければ、仕事の成果を主観で評価せざるを得ません。

わかりやすい成果を出した人にのみ評価の目が向いてしまい、「サポートに回った人」「水面下で取引先の難しい要望に応えた人」などを適切に評価できない可能性があります。

成果を正しく評価されなければ社員のモチベーション低下につながります。業務を見える化し「誰が・どの仕事に取り組んで・どんな役割を果たしたのか」を正確に把握することが大切です。

人員配置を適正化できる

仕事内容は状況に応じて変化するため、定期的な人員配置の見直しも必要です。業務を見える化しておけば、「繁忙期で負担が増えているチームに人手を回す」「人手不足が続く部署で新規採用を行う」などの対応が迅速にできます。

また、社員の成果を適切に評価し、個人のスキルや得意分野に合わせた配置転換を実行することで、担当者のモチベーションアップにもつなげられるでしょう。

業務の見える化を進める方法

業務の見える化は、以下の方法で進めましょう。

  1. 業務調査・分析をする
  2. スケジュールやタスクを可視化する
  3. 業務フローを可視化する
  4. ナレッジを可視化する
  5. マニュアルを作成する

1:業務調査・分析をする

業務調査・分析とは、現在行っている仕事を洗い出すことです。以下のような方法で、「いつ・誰が・どこで・どの業務を・どれくらいの時間で・どのように進めているのか」を把握します。

  • 社員に直接ヒアリングする
  • 社員にアンケートに回答してもらう
  • 現場に出向いて普段の業務をチェックする

入念なヒアリングなどを通じて、現状を正確に洗い出すことが大切です。

洗い出した業務を分析する際は、以下のポイントを押さえましょう。

  • すべての業務を抜け漏れなく把握できているか
  • 業務の種類をMECEで正しく分類できているか
  • 業務の難易度や負担を正しく把握しているか

2:スケジュールやタスクを可視化する

現状の業務を洗い出したら、スケジュールやタスクを可視化しましょう。日付や担当者、割り振った業務などを時系列で一覧化すれば、わかりやすく見える化できます。タスク管理ツールを活用したり、ExcelやGoogleスプレッドシートなどでガントチャートやToDoリストを作成したりして管理するのが一般的です。

どのツールを使うかは、それぞれのメリット・デメリットを考慮して決めましょう。たとえば、タスク管理ツールの場合、導入コストはかかりますが、手軽な操作で管理できます。また、Excelは、使用者は多いものの、リアルタイムの情報共有や複数人での共同編集の面で不便さを感じるかもしれません。

タスク管理ツールを使う場合のおすすめ製品や具体的な選び方については、以下の記事で解説しています。

3:業務フローを可視化する

作業ごとに業務フローを可視化しましょう。たとえば「新規アポイント獲得業務」であれば、以下のようなフローが考えられます。

  1. アプローチしたいペルソナを設定する
  2. アプローチ先をリストアップする
  3. 「商談済み」「お断り済み」などの企業を除外する
  4. トークスクリプトを作成する
  5. 実際にテレアポを行う
  6. 営業担当者へ見込み顧客を引き継ぐ

業務フローを可視化することで、「効率化できるところはないか」「省略できる業務はどこか」などを判断できます。たとえば、上記のフローなら「アプローチ先のリストアップ作業を外注して効率化する」という施策も考えられるでしょう。

業務フローを可視化する際は、現場の社員の声を吸い上げることが大切です。管理者側のイメージだけで業務フローを削減すると、現場での仕事に支障が出るかもしれません。

4:ナレッジを可視化する

タスクや業務を洗い出す中で明確化したナレッジも共有しましょう。可視化すべきナレッジの例は以下です。

  • 新規顧客を獲得する営業スキル
  • よくある問い合わせへの受け答え
  • 効率的に業務を進めるコツ
  • 過去の成功および失敗事例

ナレッジを可視化することで、業務の属人化を防ぎ、社員の仕事の品質を平準化できます。

5:マニュアルを作成する

上記で紹介した業務フローやナレッジをわかりやすく可視化するには、マニュアル作成が効果的です。マニュアルを作成しておくことで、担当者が変更になっても同じクオリティの業務を再現できます。教育コストを削減できる点も魅力です。

マニュアルを作成する際は、想定読者と目的を決めましょう。読者と目的を決めることで、必要な情報のみをわかりやすく伝えられます。他にも、以下のような点を意識しましょう。

  • 文字だけでなく図解や動画を挿入して視覚的に理解しやすくする
  • 重要な箇所を目立たせる
  • 「作業手順」と「アドバイス」はわけて書く
  • 最初に目次を挿入して求める情報に素早く辿り着けるようにする

具体的なマニュアルの作成手順については、以下の記事で解説しています。

業務の見える化を進める際の注意点

業務の見える化を進める際は、以下の点に注意しましょう。

  • 見える化を行う目的を明確にする
  • 誰が見てもわかるようにする
  • 情報を常に最新の状態にする

見える化を行う目的を明確にする

見える化を行う目的は、以下のように企業ごとで異なります。

  • 営業進捗をリアルタイムで把握したい
  • 社員個人の業務負担を均一化したい
  • 業務を効率化したい
  • 社員が働きやすい環境を整備したい
  • 適切な人員配置を実現したい
  • 社員の成果を正しく評価したい
  • ナレッジを共有して全社員の仕事の質を高めたい

目的を明確化することで、「どのツールを使うべきか」「どのくらいの予算を確保すべきか」「どの部署と協力すべきか」などを判断し、適切なアクションへつなげられます。たとえば「営業進捗をリアルタイムで把握したい」という目的であれば、営業の進捗管理に強いSFAの導入を検討すべきでしょう。

目的を定めて社員と共有すれば、「見える化の意義やメリット」を理解できるため、協力を得やすくなります。

誰が見てもわかるようにする

業務の見える化では、「誰でも内容を一目で理解できること」が重要です。パッと見て業務内容を理解できれば、説明の手間や新人への教育コストを削減できます。理解しやすい形で共有するために、「図解や画像を活用して視覚的に理解しやすくする」「用語を噛み砕いて説明する」などのポイントを押さえましょう。

情報を常に最新の状態にする

業務フローやスケジュールは変化するため、常に最新情報を反映させましょう。最新情報へ更新することで、「タスクの遅れを考慮してスケジュールを見直す」「変更点を反映させて業務の割り振りを見直す」といった適切な対応を実施できます。

業務の見える化にはツールの利用がおすすめ

業務を見える化する作業はExcelでも実施できます。しかし、「リアルタイムで情報を更新できない」「共同編集が難しい」といったデメリットがあります。

スムーズに業務を見える化したい場合は、ツールの活用をおすすめします。ツールを活用すれば、リアルタイムで情報を更新できるうえ、ダッシュボードやガントチャートで業務を容易に把握できます。

「営業の仕事を見える化したい」場合は、SFAツールが最適です。SFAは、顧客の基本情報や商談履歴、各案件の進捗状況、日報、架電数など、「営業に特化したデータ」を可視化します。営業に関わる情報を見える化できれば、「進捗状況が芳しくない社員にアドバイスする」「成績優秀者のナレッジを全社で共有する」といったことが簡単に実現できます。

SFAを導入する場合は、弊社が提供する「Kairos 3 Sales」もご検討ください。「Kairos 3 Sales」は、「組織の営業進捗」「目標までの現状」の両方を把握できるツールです。社員の稼働状況やタスクを一覧で把握して対応の抜け漏れを防ぎつつ、「売上予測」「受注につながった商談の傾向分析」なども実行できます。業務の見える化だけでなく、情報を分析して成果につなげられる点が「Kairos 3 Sales」の魅力です。

少しでも興味をお持ちの方は、ぜひ製品資料をダウンロードしてごらんください。

導入事例」のページでは、業種や業態別に「Kairos 3 Sales」の活用事例をまとめています。あわせてごらんください。

この記事を読んだ人におすすめ