One to Oneマーケティングとは?一番わかりやすい入門編

最近では、「マスマーケティングよりもOne to Oneマーケティングの時代」と言われます。

この記事では、One to Oneマーケティングの概要や手法、具体例から始め方まで、マス・マーケティングとの違いを含めて説明いたします。

あなたのお役にたてば幸いです。

One to Oneマーケティングの概要

One to Oneマーケティングは、手間がかかるアプローチだと考えられてきました。しかし、デジタルマーケティングが浸透するにつれて、One to Oneマーケティングが容易になり、注目が集まるようになりました。

One to Oneマーケティングとは?

One to Oneマーケティングとは、顧客を集団としてではなく、「個」として捉えるマーケティングの概念です。One to Oneマーケティングと反対に、マス・マーケティングとは、顧客を「集団」として捉えるマーケティングの概念です。
BtoBマーケティングや、BtoCでも住宅や自動車、保険など、比較的高額の商材をあつかう事業において、One to Oneマーケティングに取り組む企業が増えています。

BtoBマーケティングの特徴や手法を知りたいなら
BtoBマーケティングの特徴や手法は別記事の「BtoBマーケティングの6つの特徴・5つの手法・4つのテクニック」にまとめてございます。あわせてごらんくださいませ。

One to Oneマーケティングは、リレーションシップ・マーケティングや、顧客関係マネジメントとも呼ばれます。One to Oneマーケティングという名称は、よりお客さまに寄り添うという点で、法人取引を「個客」思考へと変えようとする企業の意志表明であり、その意思表明を実現するための活動ととらえることもできます。

マスマーケティングからOne to Oneマーケティングへ

One to Oneマーケティングは、時代の流れとともにマス・マーケティングから変化してきました。市場競争の激化、顧客情報データベースの発展、コミュニケーション手段の多様化などの背景を通じて、One to Oneマーケティングという考え方がうまれました。

お客さまの「個」をあまり意識しないマス・マーケティングでは、ある商品をできるだけ多くのお客さまに購入いただき、市場シェアを拡大することを目的としています。テレビCMや新聞、雑誌などのマスメディアを利用して幅広い認知を獲得し、ある一定のコンバージョンを見込むことが、マーケティング活動の主流です。マス・マーケティングは、製品中心の考え方なため、製品の差別化が重要になります。

One to Oneマーケティングでは、お客さまの「個」に着目します。One to Oneマーケティング の目的は、お客さまの特徴・嗜好・購入履歴などにあわせて最適な商品やサービスを提供し、お客さまの満足度を高めること、お客さまに引き続きご利用いただくことです。

One to Oneマーケティングでは、お客さまにファンになっていただくよう働きかけることで、より多くの商品やサービス継続的にご利用いただき、LTVの拡大を目指します。LTVとは、「お客さまが企業にもたらす価値の合計」です。

LTVとあわせて覚えておきたいサブスクリプション
サブスクリプションとは?一番わかりやすい入門編」では、LTVの考え方をそのままビジネスモデルにしているサブスクリプションについてまとめております。あわせてごらんくださいませ。

マス・マーケティングでは(市場に対して)「より多くのお客さまに売る」、One to Oneマーケティングでは(ひとりのお客さまに対して)「より多くの商品を売る」、という違いを覚えておきましょう。

Webの登場がOne to Oneマーケティングの普及を後押し

One to Oneマーケティングでは、お客さまを「個」としてとらえます。インターネット環境が今ほど発達していなかった時代に、お客さまを「個」としてとらえることは、大変な作業でした。

というのも、Webが発達していなかった時代は、消費者調査などのアンケートやインタビューを繰り返しながら、お客さまのニーズを把握し、セグメンテーションを作成する必要があったからです。

セグメンテーションの主な手法と事例
よく使うセグメンテーションの例、使い方、作り方について「セグメンテーションとは?事例で学ぶ基礎と活用方法」で解説しております。ご参考になれば幸いです。

Webの普及と、Web解析ツールの登場により、お客さま一人ひとりのWEB上の行動履歴を取得できるようになりました。Web解析ツールを利用すると、お客さまがあなたのWebサイトに「どの検索エンジン、もしくはどのWEBサイトからやって来て」「どのページを参照し」「どこで離脱したか」がわかります。

Webの普及と同時に、お客さま一人ひとりの購買プロセスも多様化しました。あるお客さまはオンラインで情報を集めて購入する、あるお客さまは営業担当者に問い合わせて購入するなど、お客さまの情報収集から購入までの選択肢が広がったのです。

購買行動モデルについて詳しくを知りたいなら
購買行動モデルとは?7つの購買行動モデルまとめ」では、マーケティング担当者なら知っておきたい7つの購買行動モデルをまとめております。あわせてごらんくださいませ。

お客さまの購買行動の多様化によって、マス・マーケティングだけでは対応できなくなり、One to Oneマーケティングの重要性が増しています。

One to Oneマーケティングの手法

代表的なOne to Oneマーケティングの手法は、2つ紹介します。

レコメンデーション

レコメンデーションとは、「顧客の行動履歴などを分析し、顧客の興味・関心に合わせた商品・サービスをおすすめすること」です。もっともわかりやすい例として、Amazonの「閲覧履歴からのおすすめ」が挙げられます。レコメンデーションは、ECサイト以外にも、「オウンドメディアの関連記事」「服屋や本屋などの店員のおすすめ」など幅広い場面で活用します。

レコメンデーションの3つのタイプ

  • ルールベース:サイト側で一定のルールを定め、おすすめする方法。
  • コンテンツベース:ユーザーが選んだコンテンツに関連性の深いものをおすすめする方法。
  • 協調フィルタリング:ユーザーの閲覧履歴や行動履歴などから、商品をおすすめする方法。

リターゲティング広告

リターゲティング広告(リマーケティング広告)とは、「1度サイトに訪問して離脱したユーザーにターゲットを絞り、表示する広告」のことです。リターゲティング広告の活用が、1度サイトに訪問した興味・関心の高いユーザーの再訪を促し、商品・サービスのコンバージョンに繋がります。

リターゲティング広告のメリットは、「コンバージョン率が高いこと」です。1度サイトに訪問した興味・関心が高い見込み客は、他のお客さまよりも、商品・サービスの購入ハードルが下がっているため、コンバージョン率が高くなります。

コンバージョン率について知りたいなら
メールマーケティング用語19のまとめ|初心者向けに役立つまとめ」では、コンバージョン率はもちろん、マーケティングオートメーションなどOne to Oneマーケティングに馴染みのある用語を説明しております。あわせてごらんくださいませ。

One to Oneマーケティングの効果

One to Oneマーケティングは、営業プロセスの改善とLTVの向上に繋がります。つまり、One to Oneマーケティングを活用すると、「商談成約率の改善」「顧客単価の増加」「利用期間・頻度の改善」の3つの効果があります。

商談成約率の改善

One to Oneマーケティングを取り入れると、商談成約率が改善します。その理由は、リードクオリフィケーションリードナーチャリングが効率的にできるようになるからです。

リードクオリフィケーションとは、見込み度が高いお客さまを選別することです。リードクオリフィケーションをするためには、「選別のための判断基準」が必要です。マーケティングオートメーションなどを使い、One to Oneマーケティングを実践すると、お客さまのWeb上の行動履歴がわかるようになります。そのため、お客さまがどの程度自社の商品の興味を持っているか、判断できるようになります。

リードナーチャリングとは、見込み客と定期的に接点を持ち、見込み客を「まだまだ客」から「いますぐ客」へ育成することです。効率的なリードナーチャリングのためには、お客さまそれぞれの興味関心に応じたコンテンツを提供する必要があります。マーケティングオートメーションなどのOne to Oneマーケティングを実施できるツールを使えば、お客さまの興味関心に応じでメルマガを配信したり、お電話でお話ししたりできます。

このように、リードクオリフィケーションとリードナーチャリングが効率的にできることから、One to Oneマーケティングを取り入れると、商談成約率が改善します。

顧客単価の増加

2つ目のOne to Oneマーケティングの効果は、顧客単価の増加です。

One to Oneマーケティングでは、お客さまの過去の購入履歴や購買行動を、顧客データベースとして整備します。整備された顧客情報を利用することで、クロスセルやアップセルがしやすくなり、顧客単価の増加を見込めます。

利用期間の改善

3つ目のOne to Oneマーケティングの効果は、利用期間・頻度の改善です。

お客さまに自社の商品・サービスを長い間・高い頻度で使ってもらうには、常にお客さまの満足していただく必要があり、そのためのサポート業務が大切です。サポート業務に、One to Oneマーケティングを取り入れることが、お客さまの満足度の高めることに繋がります。というのも、お客さま一人ひとりニーズが違うからです。お客さまの満足度を高めると、利用期間・頻度を改善できます。

お客さまの満足度を高めるためにも
お客さまの満足度を高めるために、近年カスタマーサクセスという部署をよく聞くようになりました。「カスタマーサクセスとは?カスタマーサクセスのゴール、活動などを解説します」では、カスタマーサクセスの概要やゴール、活動をまとめました。あわせてごらんください。

One to Oneマーケティングの成功事例

One to Oneマーケティングの成功事例は、BtoB、BtoCを問わず、お客さまが商品を購入する際に、営業担当者との接触がある事業が中心となります。

人材紹介業:メール反応率が1.5倍、候補者への通話率が約2倍に

人材紹介業を営む同社では、求職者1人1人に注目したマーケティング施策が出来ておらず、機会損失を発生させているという課題がありました。

この会社は、課題を解決するために、One to Oneマーケティングをを実施できるツールであるマーケティングオートメーションを導入しました。

この会社は、マーケティングオートメーションを利用して、求職者のニーズや要望、地域性に合わせてメールを出し分けました。また、求職者への最適な接触のタイミングを検知して、メールや電話など適切な方法で接触しました。

このように、One to Oneマーケティングを行うことで、求職者のメールに対する反応が1.5倍になり、候補者への接触成功率は2倍近くになりました。

事例URL:https://www.kairosmarketing.net/marketing-automation/showcase/neocareer

サービス・コンサル業:サービスの解約率を限りなくゼロに低減

One to Oneマーケティングを実施する同社では、メール開封や資料ダウンロード、WEBページアクセス、などのお客さまの行動によって、お客さまへの接触方法を変えています。マーケティングオートメーションのシナリオ機能を利用して、One to Oneマーケティングの自動化にも一部着手しています。

メルマガの開封率も30%後半〜40%に改善し、One to Oneマーケティングを実施することで、購入前のお客さまからの信頼を得ていることを実感しています。メルマガによる信頼の獲得は、成約後のサービスの長期継続にもつながっています。同社のサービスは、限りなくゼロに近い解約率を維持しています。

事例URL:https://www.kairosmarketing.net/marketing-automation/showcase/unisiacom

不動産業:新規の来店客数が5倍、売上が短期間で2割アップ

One to Oneマーケティングで、見込み客へのさまざまな働きかけで、信頼度と成約率を高めた上でイベントや個別相談会へと引き渡しています。

このように、一人ひとりの見込み客の状態を意識した、One to Oneマーケティングを実施することで、新規の来店客数は5倍になり、売上は短期間で2割アップしました。デジタルとアナログをうまく組み合わせて成功した事例です。
事例URL:https://www.kairosmarketing.net/marketing-automation/showcase/std

One to Oneマーケティングを始める方法

One to Oneマーケティングだけでなく、デジタルマーケティングでは、リードの獲得(リードジェネレーション)、リードの育成(リードナーチャリング)、リード管理、リードの評価選別(リードクオリフィケーション)をしていきます。見込み客との効果的かつ効率的なコミュニケーションは、マーケティングの上で欠かせません。

もしこれからOne to Oneマーケティングをはじめるならば、「顧客データベースの構築」「お客さまの個客化」「コミュニケーションコストの最適化」「カスタマイズ」の順に実行していくことをおすすめします。

1.お客さまを特定できる顧客データベースを構築する

One to Oneマーケティングでは、お客さまと直に接触するため、詳細な顧客データベースの構築が必要になります。お客さまのお名前、所属企業、部門や役職、メールアドレスや電話番号などだけでは、One to Oneマーケティングでは不十分です。

One to Oneマーケティングでは、これまでのあらゆるお客さまとの接点や接触の履歴、展示会やセミナーの参加、購入履歴、アンケート結果、過去のメルマガの開封履歴、WEBの行動履歴など利用できる情報はすべて集約し、活用できる顧客データベースを構築しましょう。

お客さまの習慣や嗜好を記録してセグメンテーションを作成することが、One to Oneマーケティングでは欠かせないからです。

2.お客さまの「個客」化

One to Oneマーケティングでは、お客さまごとに個別に接触するため、お客さまを「個」としてとらえる必要があります。地域や業種、役職などのありきたりな属性での分離では不十分です。なぜなら、同じ商品を購入するお客さまであっても、企業ごと、担当者ごとに、異なる価値を感じ、異なるニーズを持っていることがあるからです。

お客さまを「個」として認識し、顧客価値や顧客ニーズを反映することは、お客さまにとって有益なパートナーになるための足がかりです。お客さまの「個客」化は、One to Oneマーケティングにおいてとても大切な考え方です。

3.お客さまとのコミュニケーションのコストを最適化する

One to Oneマーケティングにおいて、お客さまとコミュニケーションをとる際には、そのコスト効率を考えましょう。One to Oneマーケティングですべてのお客さまに対面接触をする場合、膨大な時間と人的リソースが必要だからです。

電話などの非対面接触が可能なツール、メルマガマーケティングオートメーションなどのデジタルツールの活用を検討すべきです。

One to Oneマーケティングをはじめるにあたって、マーケティングオートメーションを使った、お客さまとのコミュニケーションの自動化や、コストの安い接触方法にシフトすることで、One to Oneマーケティングのコスト効率を向上させる工夫をしましょう。

4.カスタマイズする

One to Oneマーケティングでお客さまとのコミュニケーションを最初から完璧におこなうことは、おそらくできないでしょう。その上、みなさまが提供する商品やその競合商品の変化、市場ニーズやお客さまの環境の変化など、さまざまな要因によって、One to Oneマーケティングの最適な方法は絶えず変わります。

One to Oneマーケティングでは、PDCAサイクルを回しながらさまざまな要因に対処する必要があります。PDCAによる、One to Oneマーケティングの改良が欠かせないことを、One to Oneマーケテイングを手がける当初から認識しておくとよいでしょう。

さいごに

One to Oneマーケティングを実際に手がけてみると、あなたはそのプロセスの複雑さに驚くでしょう。なぜなら、「個」を特定して、「個」を追いかけ、その上で「個」との良い関係を構築しなくてはならないからです。さらには、自社の商品やサービスを「個」のニーズに合わせて改良することも必要です。社内教育によって営業担当者がお客さまへの気配りや、おもてなしするだけの場合とは、少し次元が異なります。

お客さまと接触を繰り返し、お客さまから何かを学ぶという姿勢がなければ、One to Oneマーケティング のその本質にせまることはできないのかもしれません。

※この記事は、1月27日に更新しました。