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パイプライン管理とは?具体的な活用イメージを通して効果を紹介

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SFAツールの一般化とともに、営業領域においてパイプラインという言葉が浸透しつつあります。

パイプライン管理の実施により、営業活動の生産性向上を実現するための取り組みを進めやすくなります。一方で、パイプライン管理を実施した経験がない方にとっては、具体的なイメージが湧きにくいこともあるでしょう。

この記事では、パイプライン管理の必要性や効果、具体的な実施の流れ、活用イメージなどを紹介します。

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パイプライン管理とは? 

まず、パイプラインの意味とパイプライン管理の概要を解説します。

パイプラインとは

本来パイプラインとは、石油やガスなどの運搬に用いる設備のことです。営業においては「アポ獲得」「提案」「見積」「クロージング」といった一連の流れを表す言葉として用いられます。

営業活動では、リードにアプローチしてから成約にいたるまで、段階的なプロセスを経て進んでいくことから、見た目になぞらえてパイプラインと呼ばれるようになりました。とくに、SFA(Sales Force Automation)の一般化に伴い、パイプラインという言葉が広く普及しました。

パイプライン管理の概要

パイプライン管理とは、営業活動におけるパイプラインの各段階を可視化して状況を把握し、分析・改善する手法です。

たとえば、問い合わせを受けた件数が100件、そこから商談を行った件数が60件、見積もりを行った件数が40件、最終的に成約にいたった件数が20件のように、段階ごとに実績をとらえていきます。

これらの実績を、施策の実施有無や個々の営業担当者などさまざまな軸で分析することで、営業活動の課題や改善ポイントを見出せます。

パイプライン管理の目的と必要性

営業活動においてパイプライン管理がなぜ重要なのか、目的と必要性について解説します。

パイプライン管理の目的

パイプライン管理を行う主な目的は、営業活動の生産性を向上させ、限られた人員のなかで受注確度や受注額を高めることです。

営業目標の達成を視野に生産性を上げていくためには「現在の営業活動におけるどのフェーズに課題があるか」を明確化し、その領域を重点的に対応していく必要があります。パイプライン管理により、営業プロセスごとに現状を把握していくことで、改善ポイントが分かりやすくなります。

たとえば、これまでの実績において100件のリードのうち成約にいたった人数が10人程度の場合、50人の顧客を獲得するためには500人のリードが必要だと仮定できます。

現時点において営業のアプローチを行えるリードが300人程度しかいなければ、まず実施するべきことはリードの獲得といえるでしょう。マーケティング部門と連携し、リードの獲得を推進していく取り組みが必要です。

このように、パイプライン管理を実施して細かく現状を把握すれば、少ない負荷で高い成果をあげやすくなります。

なぜパイプライン管理が求められているのか

近年の営業活動において、パイプライン管理が重要視されている理由のひとつが、営業DXの推進が求められている点です。多くの業界・業務領域においてDXが進むなか、営業領域においてもDXによって生産性を向上させていくべきだと考えられています。

人材不足が深刻化している現代では、少ない人数で高いパフォーマンスを発揮していくことが重要です。そのため、デジタルの力で営業活動を効率化・高度化できるパイプライン管理に注目が集まっています。

パイプライン管理実施のメリット

パイプライン管理を実施する3つのメリットを紹介します。

改善ポイントや強みの把握

パイプライン管理を実施するメリットの1つは、自社の営業活動における改善ポイントや強みを把握できる点です。

たとえば、パイプライン管理を行ってフェーズごとの進捗状況を可視化した結果、営業活動において商談まで到達するケースは多いものの、クロージングにいたる件数が少ないという結果が明らかとなったとします。

この場合、商談における提案力に課題があると考えられます。もしくは、商品・サービスに競争力がなく、顧客側で比較検討を行った結果、他社と価格競争や品質面で負けてしまっているケースもあるでしょう。

反対に、パイプライン管理により強みの分析も可能です。たとえば、見積からクロージングまでの流れがうまくいっているようであれば、提案内容やコスト面で優位性があると分析できます。

このように、パイプライン管理には自社の営業活動を客観的かつ精緻に分析できるメリットがあります。

目標に向けた達成状況の予測や実績の確認

パイプライン管理を行うことで、単に売上金額などを対象に実績を確認するよりも、詳細に目標達成状況を確認できるようになります。

たとえば、過去の実績でリードから成約にいたる確率が10%程度であるとします。この場合、KPIとして定められている売上目標を達成するためには、必要な顧客数の10倍のリードを確保する必要があります。現時点で十分なリードを確保できていなければ、目標達成が困難であり、早期にリード獲得の動きを図ることが重要です。

また、見積を作成したものの、成約までいたっていない顧客が多い状況が見つかった場合は、顧客へのプッシュを行い、成約へとつなげる取り組みを重視していくことも検討できるでしょう。

このように、パイプライン管理により、目標達成に向けて実施するべきアプローチが明確になります。

各担当者の定量的評価

パイプライン管理は、営業担当者の活動を定量的に評価する際にも役立ちます。最終的な成約だけではなく、どの程度の顧客にアプローチしたのか、もしくは成約率が高いのかなど、さまざまな軸で担当者の活動状況を確認できます。数値化によって、感覚に頼らない平等な評価を実現できるでしょう。

また、営業担当者のスキルアップ・営業活動の改善にもパイプライン管理は効果的です。担当者ごとの強みや課題などを定量的に評価できるため、自身の不得意なフェーズはどこで、どのように改善すればよいかを明確化できます。

パイプライン管理の進め方

パイプライン管理を具体的にどのように進めていくのか、一般的な流れを紹介します。

営業プロセスの明確化

パイプライン管理のスタートは、管理対象とする営業プロセスの明確化から始まります。まず、自社がどのようなプロセスで営業活動を進めているのかを整理しましょう。

一般的な営業活動のプロセスは、リード獲得(リードジェネレーション)からメールなどでのアポイント取得、初回の商談、見積・提案、クロージング、成約の流れですが、細かい流れは業界や商品・サービスの内容により異なります。自社の商品・サービスの特性に合わせて、現状のプロセスを整理してください。

多くの場合、プロセスの数は5~7つ程度です。企業によっては、複雑化を避けるために4段階程度のプロセスでパイプライン管理を行うケースもあります。

営業プロセスの明確化を行う際は、各プロセスに到達するための条件を設定することがポイントです。

たとえば、見積のプロセスへの到達条件は「見積書を顧客に送付した時点」もしくは「見積書の受領について顧客から連絡を受けた時点」などとします。見積書を送ったつもりでも、顧客側では受け取った認識がないケースもあるため、明確に顧客が見積書の受領を認識したタイミングにするのがベターでしょう。

このように、具体的に各プロセスへの到達条件を定めておくことで、担当者によりプロセスの解釈が異なる事態を回避できます。

目標の定義

次に、各プロセスにおける目標を定義していきます。一般的な会社では、営業目標として獲得顧客数や売上金額などをKPIとして定めているケースが多いでしょう。このKPIを前提に、パイプライン管理ではさらに細かくプロセスごとの達成目標を定義していきます。

具体的には、営業目標である売上金額や獲得顧客数を達成するために、各プロセスにおいて必要となる人数や想定金額を逆算していきます。たとえば、過去の実績から商談の実施人数の概ね20%が成約までたどり着いている企業においては、目標とする獲得顧客数の5倍の人数を商談の目標人数とします。

プロセスごとに目標値を設定することで、最終的な営業目標の予測が可能です。現時点でどのプロセスに課題があるかを早期に認識できるため、最終的なKPIの達成に向けた取り組みも進めやすくなります。

各プロセスにおける実績の登録

プロセスを明確化し、各プロセスの目標を定義したら、実際に営業担当者の方に各プロセスにおける実績を登録してもらいます。顧客と商談を行った際や、提案書を作成した際に都度記録を行い、各顧客のステータスをアップデートしていきます。

これらの登録作業はExcelなどの汎用的なツールでも実施できますが、専用ツールであるSFAを利用すると効率化が可能です。SFAでは一般的に営業案件をベースに管理を進め、各案件のステータス管理を行えます。SFA上で案件のステータスを変更することで、自動的にプロセスの進捗状況が更新されていきます。

そのほか、SFAには案件管理機能として各案件における顧客対応状況やヒアリング内容、提出した見積内容などを管理する機能も備わっており、営業活動全体をサポートしてくれます。

各プロセスにおける目標達成状況の可視化

登録した情報は、誰の目で見てもわかりやすいように可視化していきます。

もちろん、数字データでも自社の営業活動の実態は把握できますが、グラフなどを用いて可視化すれば、状況をより素早く認識できます。さらにプロセスごとの目標値と実績値の比較も容易になります。日々の仕事のなかで継続的にデータを追っていく際には、直感的にわかるように可視化しておくことがポイントです。

情報の可視化を行うために活用できるツールはさまざまです。Excelでグラフを作成するほか、BIツールも利用できます。また、可視化の機能を備えているSFAであれば、ツール内でグラフ表示などが可能です。

ExcelやBIツールでグラフを作成すると、加工処理やデータの入力・クレンジング処理などが必要となり、作業負荷が大きくなるおそれがあります。一方で、SFAツール内には可視化に必要なデータがすべてそろっているため、ツールに用意されている画面を表示すれば簡単に状況を確認できます。

ボトルネック・課題の把握と対策の実施

各プロセスの実績を把握できるようになったら、営業活動においてボトルネックとなっている箇所を把握し、課題を整理します。課題を踏まえて改善活動を行い、生産性の向上につなげていきましょう。

このような取り組みは、いわゆるPDCAサイクルを回す形で、一定の期間ごとに仕組みとして振り返りを行うように設定しておきましょう。たとえば、業務が落ち着く時期が毎年10月ごろであれば、10月に振り返りを行うように決めておくのをおすすめします。そのうえで、挙げられた課題を一覧化して、優先するべきものから対処していきます。

パイプライン管理による営業プロセス改善例

パイプライン管理を行うことでどのような課題が明らかとなり、どのように営業プロセスを改善できるのでしょうか。ここでは、いくつかの典型的なケースを例に、パイプライン管理で営業プロセスを改善する方法を紹介します。

リードの分析

営業活動のスタート地点であるリードの質に問題がある場合、その後の営業活動が空振りとなってしまいます。

リードが自社の商品・サービスとマッチしているのか、もしくは購買意欲が低いリードが紛れ込んでいないかを分析しましょう。これにより、リードの質が向上し、営業活動の生産性アップにつながります。

リードの分析を行う方法はさまざまですが、ここでは獲得したリードの属性ごとに商談や最終的な制約へ移った確率を整理する方法を紹介します。パイプライン管理を通して、各リードがどのようなプロセスまで到達したか、また成約にたどり着いたかはデータ化されています。

リードを属性ごとに集約することで、たとえば展示会で獲得したリードは10%の成約率があるのに対し、Web広告から獲得したリードは2%であれば、Web広告により集まったリードの質に課題があることがわかります。この場合、Web広告の出稿方法に課題がないかの検討や、Web広告により集まったリードに対してリード育成のフェーズを設ける取り組みが有効となるでしょう。

商材の分析

同様に、商材ごとに分析を行うことも有効な取り組みです。たとえば、ある商材Aについて、ほかの商材よりも成約率が低い場合、営業活動もしくは商材の魅力に問題があると考えられます。営業活動面においては、宣伝時に高めた商材の期待値に対して実際の商材の価値や価格が見合っていない、ある商材の提案書に課題があるといった原因が考えられます。

営業活動においては、商材の魅力を伝えやすい提案資料の作成、デモンストレーションや試用の実施など、改善のための施策を検討することが有効です。

商材の魅力については営業側での対応は困難ですが、営業側で感じている課題感などを企画・開発部門へ連携する取り組みも考えられます。

担当者の分析

各担当者という切り口で分析を行うことも可能です。パイプライン管理において収集したデータを人の軸で切り分けて集計すれば、各担当者の得意分野や苦手分野が明らかとなります。

たとえば、商材Aにおける受注率が高い担当者がいる場合、その担当者は何らかの工夫を行って営業活動をしていると思われます。その担当者のスキルや手法をほかの担当者にも共有し、チームとして成約率を向上させていく取り組みもできるでしょう。

見積段階までプロセスを進められているものの、その後の成約にいたる確率が低い担当者がいる場合、上司やチームが成約に向けたサポートを行うことで全体の成約率向上が期待できます。

パイプライン管理のポイント

パイプライン管理において意識したいポイントについて解説します。

SFA/CRMを活用する

パイプライン管理を始める場合には、SFACRMの活用がおすすめです。

パイプライン管理はExcelなどの汎用的なツールでも利用できますが、Excelには「入力のしにくさ」「可視化のしにくさ」「データの蓄積のしにくさ」などさまざまな問題があります。入力や管理の効率性を考えると、本格的にパイプライン管理を進めていくうえでは、SFA/CRMツールの導入がおすすめです。

SFA/CRMツールを利用すれば、案件管理という形で顧客へのアプローチ状況を逐一管理できます。これらのデータを基に案件情報を管理しつつ、各プロセスの可視化機能によりデータ活用までを実現可能です。

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施策やチャネルなどの軸で分析できるようにする

パイプライン管理の効果を高めるために検討したいのが、実施した施策やリードを獲得したチャネルなどの軸で、実績を比較できるようにする取り組みです。たとえば、提案書Aと提案書Bで成約率がどう変化したかや、展示会で獲得したリードとWebマーケティングで獲得したリードでどのような違いがあるかなど、軸をもって分析することで改善活動に生かしやすくなります。

これらの分析を行うためには、あらかじめ顧客や案件ごとに属性情報を収集しておきましょう。

運用の効率化により負荷を軽減する

パイプライン管理を行うためには、各担当者に案件のステータス情報を入力してもらう必要があります。

各案件の情報が正確に入力されなければ、正確な分析結果は得られません。とはいえ、忙しい営業担当者にとって入力作業は負担になりやすく、入力がされずにパイプライン管理の活動が形骸化してしまう懸念もあります。

そこで意識したいのが、入力方法の工夫です。たとえば、SFAツールを用いて営業日報案件管理を一体化する方法が考えられます。営業日報を日々作成している場合、パイプライン管理のために入力する情報と営業日報の情報が重複していることもあるでしょう。

パイプライン管理のために入力した案件情報を基に、営業日報を自動で作成できるようにすれば業務が効率化されます。このように、SFAツールをうまく活用することで、担当者の方の負荷を軽減しながらパイプライン管理を実現できます。

SFAを活用した営業日報の作成については以下の記事でくわしく解説しています。営業日報の作成や確認における負荷の高さに悩まれている方は、ぜひ参考にしてみてください。

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