機会損失とは?意味や逸失利益との違い・損失を防ぐ方法をわかりやすく解説

モノが売れない時代になったといわれる昨今、機会損失はさまざまな業界に共通する重要な課題です。見込み顧客を獲得しても、受注にいたらなければ機会損失となり、獲得にかけたコストが無駄になってしまいます。今回は、マーケティング部門や営業部門の方に向けて、機会損失の概要や主な要因、機会損失を防ぐ方法などについて紹介します。
この記事のもくじ
機会損失とは
機会損失とは、営業や販売の機会を失うことにより、本来得られるはずであった利益を失うことを指します。「チャンスロス」とも呼ばれます。
機会損失は実際に利益の減少が起きたわけではなく、「理論上の損失」ということになります。誤った判断や行動などにより、未来の儲けを失うのが機会損失です。
逸失利益との違い
機会損失と混同されやすい用語として、「逸失利益」が挙げられます。逸失利益とは、本来得られるべき利益であるにもかかわらず、債務不履行や不法行為などによって得られなくなった利益のことを指します。交通事故などの損害賠償において請求する損失をイメージするとわかりやすいでしょう。
機会損失と逸失利益は、将来得られるはずであった利益を指す点では類似しています。これらの用語の違いは、「意思決定が影響するかどうか」です。
機会損失は判断や行動などの意思決定の誤りに起因するものですが、逸失利益は意思決定が影響していません。
機会費用との違い
機会費用も機会損失と混同されやすい用語です。機会費用とは、「選ばれなかった選択肢を選んでいた場合に得られた最大の利益そのもの」を指します。
これら二つの損失の違いは、「想定できたかどうか」「金銭で計測できるか」の二点です。
機会損失は「想定していなかった事態によって利益を得られなかったこと」を指し、機会費用は「自らの意思で判断した選択によって得られなかった利益」を指します。
また、機会損失で得られなかった利益は金銭で計測できるものに限られますが、機会費用の損失には、金銭で計測できるもの以外も含まれます。
機会損失の具体例
機会損失の具体例を挙げます。
このケースでは、大量の在庫を持っていなかったことにより、急激な注文の増加に対応できず、機会損失につながっています。生産体制を増強する頃には、消費者の購買意欲が低下している可能性もあります。
このケースでは、オペレーションの問題から機会損失を招いています。さらに、「あの店は料理が出てくるのが遅い」「並んでいると、テーブルに案内されるまでに時間がかかる」といった口コミが広まる可能性もあるため、機会損失によって得られるはずの利益を失うだけではなく、将来的な機会も失われるかもしれません。
機会損失率と機会損失額の計算方法
営業活動において、問い合わせに対応できなかったことで機会損失が生じたケースを考えてみます。機会損失率や機会損失額は、以下の計算式で求められます。
機会損失率や機会損失額を求めることで客観的な分析が可能となり、改善策の必要性の判断や、改善の検討に役立てられるというメリットがあります。
機会損失の要因
機会損失が起きる要因は、企業を取り巻く環境の変化による「外的要因」と、企業の固有のものによる「内的要因」にわけられます。
外的要因
機会損失が起こる外的要因の例です。これらは企業を取り巻く環境の変化によるもののため、想定することが難しく、自社では対応困難なケースがほとんどです。
- 顧客の都合による一方的な契約解除
- 競合他社の戦略の転換
- 社会情勢の変化
事業転換や売上の減少といった顧客の都合による一方的な契約解除が行われることがあります。また、競合他社が低価格戦略をとるなどの戦略転換により、機会損失を招くこともあります。そのほか、社会情勢の変化が機会損失につながる例として、新しい技術の登場や環境意識の高まりによる需要の変化などが挙げられます。
内的要因
機会損失が起こる内的要因の例です。これらは企業固有のものであり、自社の取り組みによって改善を図ることができます。
- 顧客ニーズに対する理解不足
- 営業体制の整備の問題
- 営業部門とマーケティング部門の連携不足
顧客ニーズへの理解が十分にできていないと、商品の品揃えの問題や在庫切れなどから機会損失を招く可能性があります。顧客管理や案件管理を行う体制ができていないなど、営業体制の整備に問題がある場合は、問い合わせへの対応が遅くなったり、受注確度の高い見込み顧客へのフォローが不十分になったりすることで失注を招きかねません。
また、マーケティング部門で見込み顧客を育成して営業部門に引き渡すフローが適切に機能していないと、機会損失の原因になります。たとえば、「営業部門が獲得した名刺の情報がマーケティング部門に渡らない」「マーケティング部門が受注確度の高い見込み顧客の特徴を理解していない」といったケースが考えられます。
機会損失を防ぐ方法
内的要因による機会損失を防ぐ方法として、次の4つが挙げられます。
- 戦略の立て直し
- 情報管理の強化
- 営業活動の仕組み化
- 在庫管理システムの導入
戦略の立て直し
顧客ニーズを理解できていないことが機会損失の要因になっている場合は、データ活用による戦略の立て直しが必要です。
売上データを分析し、自社の商品・サービスの中で、売れ筋商品や売上が高い時期、売上の規模などを把握すると、顧客ニーズの理解に役立てられます。
販売戦略には、生産戦略や広告・宣伝戦略も関わります。売上データの分析結果はマーケティング部門や営業部門だけでなく、関連するすべての部門に共有する必要があります。
情報管理の強化
機会損失を防ぐためには、顧客情報・販売情報・在庫情報など、必要な情報を一元管理し、いつでも誰でも必要なデータにアクセスできる体制づくりが欠かせません。
データを部門ごとに管理していると、情報の行き違いや対応漏れにつながりやすく、商談や受注のチャンスを逃す原因にもなります。
そこで、営業・マーケティング・販売管理といった各システムを連携し、リアルタイムでデータを共有できる仕組みを整えることが重要です。
たとえば当社が開発・提供している「Kairos3」の「API連携機能」を使うと、見込み顧客情報・商談履歴・受注データなど別々のシステムのデータを連携できます。
顧客への対応状況や最新の案件ステータスが常に把握できるので、タイミングを逃さず最適なアプローチが可能になります。
情報管理を「部門単位」ではなく、会社全体の連携を強化することで、機会損失のリスクを大きく減らせます。
営業活動の仕組み化
営業担当ごとのやり方にバラつきがあると、見込み顧客や既存顧客への対応漏れが発生しやすくなり、機会損失が起こりやすくなります。リスクを防ぐには、営業プロセスを標準化し、顧客情報や案件情報を営業部門全体で共有できる仕組みが必要です。
営業活動を支援するSFAツール「Kairos3 Sales」では、商談の進捗状況や対応履歴をリアルタイムに見える化。進行中の案件や次に取るべきアクションを誰でも把握できるので、対応漏れを防ぎ、受注チャンスを逃しません。
さらに、「Kairos3」は、「Kairos3 Marketing」(MA)と「Kairos3 Sales」(SFA)を一体化したツールです。「Kairos3 Marketing」で獲得・育成した見込み顧客データを、そのまま「Kairos3 Sales」に引き継げるので、リード情報の取りこぼしを防ぎつつ、スムーズに営業活動へつなげられます。
このように、MA+SFAが一体化したツールを活用すれば、見込み顧客への初回接点から受注まで、一貫した対応が可能になります。
在庫管理システムの導入
在庫切れを起こすと、顧客が他社の商品を購入してしまい、機会損失を招く可能性が高くなります。適正な在庫管理を実現するための施策として、在庫管理システムの導入が有効です。
在庫切れを恐れて多くの在庫を抱えればよいというものではありません。過剰在庫を抱えると、値下げ販売や廃棄費用の発生、保管費用の増大などによる収益の悪化を招くリスクがあるからです。
在庫管理システムを導入すると、在庫状況をリアルタイムで把握できます。また、販売予測データをもとに在庫管理を行うことで、在庫切れや過剰在庫の発生を防ぎます。
機会損失を防ぐにはMAツールの機能活用もおすすめ
MAツールを導入していても、機能を十分に活用できていなければ、商談や受注のチャンスを逃しているケースは少なくありません。見込み顧客へのアプローチ漏れや、適切な情報提供ができていない状況が続くと、機会損失につながります。
ここでは、「Kairos3 Marketing」を例に、機会損失防止に役立つ機能をご紹介します。
見込み顧客の属性や行動履歴情報を一元管理する「リード管理」に加え、特定の条件にあったお客さまに、あらかじめ設定したメールを自動配信する「シナリオ機能」を搭載。
たとえば「資料をダウンロードした3日後に事例メールを配信」といった、タイミングを逃さないフォローが自動化できます。担当者の工数削減だけでなく、対応漏れによる機会損失を防ぐ仕組みとして有効です。
さらに、Webサイト訪問者の属性に合わせたコンテンツやバナーを自動で最適化する「Webパーソナライズ機能」では、顧客が欲しい情報をスムーズに提供できるため、検討フェーズからの離脱防止にもつながります。
この「Webパーソナライズ機能」は、Kairos3製品ページでも活用中です。製品ページにアクセスしたタイミングで、訪問者ごとに最適なバナーをポップアップさせています。

このように、MAツールの機能を目的にあわせて適切に活用することで、見込み顧客へのタイムリーなアプローチを仕組み化し、商談・受注機会を逃さない体制づくりが可能になります。
※この記事は、2025年3月7日に更新しました。