成約率とは?計算方法や目安・営業成約率を上げる方法・ツールを紹介
営業活動において、成約率の向上は重要です。しかし、成約率向上のためにさまざまな手を打っても思うようにならず、コストばかりかかってしまうというケースもあるでしょう。成約率が下がる原因を把握して対策すれば、数字の向上は目指せるはずです。
本記事では、成約率の計算方法から成約率向上の具体的な方法まで、くわしく解説します。
この記事のもくじ
成約率とは
成約率とは、商談をした案件のうち、成約や受注にいたった割合のことです。受注率、契約率と呼ばれることもありますが、いずれも意味は同じです。成約率は営業にとって成果を示す重要な数値であり、成約率が高いほど的確な営業活動ができているとみなされます。
ただし、成約率はあくまで「商談から成約まで」に関わる数値です。成約率を考える際には、商談にいたるまでのプロセスも考慮に入れる必要があります。
たとえば、リード獲得から商談に進める過程で、購買意欲が低いリードばかりを選んでしまうと、成約率は低くなります。リード獲得から商談までのプロセスをマーケティング部門が担っているのであれば、成約率に影響を与えているのはマーケティング部門であると言えます。
成約率の計算方法
成約率の計算式は以下のとおりです。
成約率(%)=成約件数÷商談件数×100
商談件数が100件あり、成約件数が20件の場合、成約率は以下の数値です。
成約率(%)=20÷100×100=20%
成約率の平均・目安
成約率の平均値を知り、自社の営業にどの程度の能力があるのか把握したい方も多いでしょう。しかし、成約率は業界や営業手法によって目安が異なります。「平均的な成約率は○%」と一概には言えません。
重要なのは他社の成約率ではなく、「自社の成約率で過去と現状を比較する」ことです。自社のデータを蓄積していけば、自社の平均成約率が把握でき、過去と比較して現状の成約率の良し悪しを判断できます。
営業の成約率を上げる方法
営業の成約率を上げるには、いくつか有効な方法があります。
- 顧客のBANTを把握する
- 営業目標を細分化する
- 営業プロセスを可視化する
- 営業活動を標準化する
- クロージングテクニックを活用する
顧客のBANTを把握する
営業の成約率を上げるには、顧客のBANTを把握しましょう。BANTとは、商談でヒアリングを行う際、押さえておくべき4つの要素です。
- B…Budget(予算)
- A…Authority(決済権)
- N…Needs(需要)
- T…Time frame(導入時期)
Bは、顧客が出せる予算です。重要なことは、単に予算が合うか合わないかを聞き出すだけでなく、さらに一歩踏み込んで「今後、予算が合う見通しはあるのか」「どれくらい価格を下げれば予算が合うのか」などを聞いておくことです。
Aは決裁権、つまり最終的な成約決定の権利を持つ人を示します。特にBtoBの場合、決裁権を持つ人が商談の場にいないこともあります。その場にいない決裁者にも伝わりやすい資料を作ったり、決裁者に商談に同席してもらったりするなど、決裁者の了解を得られる工夫が必要です。
Nはニーズです。単に「顧客が買いたい商品を聞き取る」という意味ではありません。顧客が商品を購入するのは、商品を利用して解決したい課題があるからです。営業はその課題をヒアリングし、課題解決のために購入すべき商品を的確に提案する必要があります。商品を売った結果顧客の課題が解決しなければ、顧客の満足度は低下し、自社の信用が落ちてしまいます。
Tは導入時期です。同じ商品を欲しがっている顧客でも、顧客によって欲しいタイミングはそれぞれです。「今すぐに導入したい」と要求されるケースもあれば、「それほど急いでいないが、いずれ導入したい」と言われるケースもあります。
一般的には、急を要する顧客や、導入時期が決まっている顧客を優先して営業を進めます。導入を急いでいない、時間をかけて検討したいという顧客には、定期的な連絡やフォローで関係を維持しつつ、急かさずに結論を待つことが有効です。
BANTについてくわしい情報は「BANTとは?営業ヒアリングで役立つフレームワークを紹介」で紹介しています。また、営業のヒアリングに役立つテンプレートを「営業ヒアリングシートのテンプレート|各項目も解説」に記載しました。こちらもごらんください。
営業目標を細分化する
営業の成約率を上げるには、営業目標を細分化し、リード獲得から成約までのプロセスで発生する行動ごとに目標を定めましょう。以下は、営業目標を細分化した具体例です。
- 電話のアプローチの目標件数を設定する
- 目標商談数を設定し、数値を超えることを目指す
- 解約率を設定し、数値を下回ることを目指す
ポイントは、各種目標を細かくしたうえで、ゴールとなる数値を設定することです。
たとえば「今月は営業を頑張りましょう」という目標では、何をもって「営業を頑張った」といえるのか不明瞭です。「今月は営業に力を入れるべく、1人○件以上のテレアポを行いましょう」と細かく明確な基準を決めると、現場は目指すべきゴールがはっきりわかり、モチベーションが高まります。
目標を達成できない場合でも、目標を数値化できていれば、達成できない原因とその対策を考えやすくなり、PDCAサイクルをうまく回せます。
営業プロセスを可視化する
成約率の向上には、営業プロセスの可視化も有効な手段です。どの会社であっても、リード獲得から成約までのステップと、それに伴うアクションが決まっているものです。このプロセスを明確に可視化し、営業担当全員に共有することが重要です。
営業プロセスを明確に可視化していると、営業担当の行動の統率が取れ、成果のバラつきや属人化などの不安定要素が排除されます。また、ボトルネックがどこにあるのかがわかりやすくなり、トラブルの早期発見、早期対策がしやすくなります。
プロセスはできるだけマニュアル化し、資料に落として後から見返せるようにしましょう。また、プロセスは定期的に見直しをかけ、状況に合わせてアップデートしましょう。
「実用的な営業マニュアルの作り方と、作って終わりにしない運用方法」では、営業のマニュアルの作成から運用までをくわしく解説しています。あわせてお読みください。
営業活動を標準化する
成約率向上には、営業活動を標準化することも大切です。標準化とは、「営業活動において、誰が担当であっても、一定水準の業務ができる状態を実現すること」です。「マニュアル化」とも言い換えられます。
営業活動を標準化するには、トークスクリプトの設定が有効です。トークスクリプトとは、営業時の文言や想定される質問への返答をパターン化したものです。トークスクリプトがきちんと設定・共有できていれば、部署内の誰もが一定水準の営業トークを展開できます。
営業活動を標準化しておくことで、最低限の営業の質を確保して属人化を防ぎつつ、部署全体で安定した営業活動を行えるようになります。
トークスクリプトの作り方は「トークスクリプトの作り方を徹底解説|営業力が上がる例文つき」で解説しています。あわせてお読みください。
クロージングテクニックを活用する
成約率向上のために、クロージングテクニックを活用しましょう。クロージングとは契約を締結する行為及びプロセスです。クロージングテクニックとは、顧客に不快感を与えないよう、スムーズかつ適切なタイミングでクロージングを行う技術を指します。
商談がうまくいって成約が目前となると、気が急いた営業担当者が契約を迫ってしまうケースも少なくありません。しかし、顧客は契約を強く迫られると、契約する気が薄れてしまうことがあります。成約目前だった商談が白紙に戻ってしまうこともあるでしょう。
成約にいたりそうな商談を逃さないために、クロージングのタイミングを見計らったり、顧客の課題に対する解決策をアピールして、自社のメリットを強調したりするなどの工夫が必要です。まずは、クロージング方法を社内で共有し、担当者全員が適切なクロージングを意識できる環境を整えましょう。
「営業クロージングとは?成約率を高めるコツや注意点を例文つきでご紹介」では、成約率を上げるためのクロージング方法を例文を用いて解説します。あわせてお読みください。
営業の成約率が低くなる原因と対策
成約率低下にはさまざまな要因があります。以下の4つが代表的です。
- ターゲティングが間違っている
- トークスクリプトが最適ではない
- 顧客への返答スピードが遅い
- 社内で情報共有ができていない
成約率向上の施策を行っていても、これらの課題を内包したままでは成約率の向上は見込めないでしょう。
ターゲティングが間違っている
営業のターゲティングとは、営業のターゲットになる顧客を決めることです。よって、ターゲティングが間違っているということは、そもそも営業をかける客層を間違っているということになります。
ターゲティングを間違えると、商品に対してニーズを持っていない層にアプローチを続けてしまい、成約にいたりにくくなります。ニーズのない層へのアプローチは、結果的に会社のリソースを無駄にします。
まずはもう一度市場調査を行い、正確なターゲットを洗い出しましょう。ターゲットは社会的な状況によっても変化します。定期的なターゲットの見直しも重要です。
トークスクリプトが最適ではない
トークスクリプトが最適でない場合、成約率が伸びなくなる可能性があります。トークスクリプトの内容が適切でない状態で社内に定着してしまうと、営業全体が質の低い商談をしてしまいます。
顧客のニーズと商品のメリットが噛み合っていることをしっかり確認し、トークに織り込んで、説得力ある商談ができるようにしましょう。
成約率を上げるトークスクリプトの作り方は「トークスクリプトの作り方を徹底解説|営業力が上がる例文つき」で解説しています。こちらもご参考ください。
顧客への返答スピードが遅い
顧客への返答スピードが遅い場合、成約率も低迷しがちです。返答スピードが遅ければ、顧客側は不安を抱きます。返答の遅さが顧客にストレスを与え、依頼を止めようと考えるケースもあり得ます。
顧客への返答スピードが速ければ、急ぎで商品を利用したいと考えている顧客はストレスを感じずに成約に進むことができます。顧客が急いでいなかったとしても、返答スピードが速ければ「迅速に対応してくれる」と信頼を寄せるようになります。
顧客への返答はスピーディーにできるよう、テンプレートを決めましょう。返信忘れやチェック漏れなどのヒューマンエラーを防ぐためにツールを導入することも有効な対策です。
社内で情報共有ができていない
社内で情報共有ができていない場合、特に顧客情報を共有していない場合は深刻な事態につながることもあります。
ある情報に対して、社内で知っている人と知らない人が混在していると行動にバラつきが出ます。その結果、「顧客に対して同じ話を何度も聞いてしまう」「勘違いで顧客に対して失礼なことを言ってしまう」などのトラブルが発生し、顧客からの信用を失う可能性が高まります。状況によっては、顧客から今後の接触を絶たれてしまうケースもあります。
情報共有不足を防ぐには、顧客情報を一元管理し、営業担当者全員が最新の情報を共有できる状態を作りましょう。
営業成約率の向上に役立つツールを紹介
営業成約率の向上には、SFAツールの利用がおすすめです。SFAは「Sales Force Automation(セールス・フォース・オートメーション)」の略で、営業支援に特化したツールです。
SFAツールは、営業に関連する事務的な業務を自動化し、最小限の手間で処理する機能を持っています。顧客情報の一元管理、データ収集及び分析などが可能です。ツールによって細かい機能に差があるため、自社に合ったものを選びましょう。
SFAツールの中でも、マケフリの運営元であるカイロスマーケティング株式会社が提供する「Kairos3 Sales」をおすすめいたします。Kairos3 Salesは、顧客情報の管理やデータ収集・分析などの機能だけでなく、メール配信機能やコンテンツ作成機能なども備わっています。顧客育成にかかせないスコアリング機能、ホットリード分析機能、レポート作成機能もあり、営業の強力な味方になってくれるでしょう。
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