あなたの視座を1段上げる、SaaSのKPI用語集5選

「SaaSのKPI、実はよく理解してない。似たような横文字が多いし、いくつ覚えておけばよいのかもわからない」

SaaSビジネスをしている会社にお勤めのみなさんは、このようなお悩みはありませんか。

「MQL、SAL、SQL、LTV」などなど、SaaSビジネスをしている会社で働いていると、無機質で理解しづらい横文字がたくさん出てきますよね。その代表格が、SaaSで使われるKPI(指標)です。

SaaSのKPIは、英語の略語ばかりで多くのビジネスパーソンにとって理解しづらいものでしょう。しかし、KPIを理解できるようになると、あなたの視座は1段も2段も上がります。KPIの理解は、いわゆる「経営者目線」を持つために必要不可欠です。

この記事では、SaaSの代表的なKPIを噛み砕いてご紹介します。なお、各指標の定義や算出方法は各社異なります。今回ご紹介するのは、あくまで当社の定義や算出方法であることをあらかじめご了承ください。

MRR(Monthly Recurring Revenue)

MRRとは、初期費用やコンサルティングサービスなどの「一時的な売上」を除く、毎月の売上額を表すKPIです。MRRは、Monthly Recurring Revenueを略したKPIで、直訳すると「毎月繰り返し生まれる収益」を意味します。

SaaSの月次総売上のうち、MRRが占める割合が高ければ高いほど、毎月の安定した売上が期待できるため事業が安定しているとみることができます。上場企業のIR資料でも、MRR比率が登場します。高いMRR比率は事業価値を底上げし、株価に影響すると考えられています。

お客さまとの契約によって、MRRが毎月発生すると将来を含む収入が安定します。MRRによって毎月継続的なキャッシュフローを期待できるため、事業の価値としては高くなる傾向にあります。事業の価値は将来発生するだろうキャッシュフローと関係が深いからです。

したがって、事業の総売上のうちMRRの比率が高いビジネスでは、安定したキャッシュフローを継続的に見込める可能性が高いため、事業の価値があがります。実際は、株主がその事業の価値を決めるのですが、株主に対する事業の期待値があがるため、結果として株価が上がり事業価値もあがるわけです。

契約が年単位であるSaaSでは、MRRの代わりにARR(Annual Recursive Revenue)を使います。しかしながら、多くの企業では、ARRを12で除してMRRを計算してIR資料で数字を報告しています。

ARPU(Average Revenue Per User)

ARPUとは、1ユーザーあたりの平均売上額を表すKPIです。ARPUは、1990年代から携帯事業者のKPIとして使われてきました。

MRRを総ユーザーで除したものが、ARPUです。

ARPUを伸ばすためには、お客さまにもっとサービスを利用していたたく、つまりアップセルする必要があります。アップセルするためには、製品改善だけでなく「サポート」が重要です。

ARPUほぼ同じ意味をもつKPIとして、ARPA(Average Revenue Per Account)があります。ARPAとは、直訳すると「1アカウントあたりの平均売上額」を表すKPIです。ARPAとARPUの定義や使い分けは、会社によってさまざまです。ある契約でユーザー毎に利用単価が違うようなSaaSもあります。その場合には、ARPAとARPUの両方を指標とすることがあります。

たとえば、ARPAを会社単位、ARPUをその会社の従業員単位で計測する会社もあります。ARPAとARPUを見る際は、1度定義を確認しましょう。

CAC(Customer Acquisition Cost)

CAC(Customer Acquisition Cost)とは、顧客獲得単価を表すKPIです。もう少し噛み砕くと、CACは「1顧客獲得するために、かかるコスト」を表します。当然、低いコストで顧客を獲得できたほうが利益は増大するため、企業はCACを下げようと努力します。

CACの内訳は、会社によって、または場合によって異なります。広告宣伝費や人件費、外注費をCACの分子として計算するケースもあれば、広告宣伝費だけをCACの分子として計算するケースもあります。

広告宣伝を使わずに集客したり、リード獲得したりする手法の1つに、コンテンツマーケティングがあります。コンテンツマーケティングとは、自社の見込み客にとって有益なコンテンツを提供しつつ、自社商材への興味づけをするマーケティング手法です。

「ユーザーの70%は、製品購入前にコンテンツを介して学習している」という調査データがあるほど、現在のマーケティング活動ではコンテンツは欠かせないものです。

コンテンツマーケティングの調査データについて
コンテンツマーケティングの調査データを「コンテンツマーケティングの調査レポート|コンテンツマーケティングの概要から課題まで解説します」の記事にまとめました。ご興味がありましたら、ごらんください。

コンテンツマーケティングは、広告宣伝のような即効性はありません。その上、大きな人件費がかかります。しかし、1度コンテンツを作成すれば、そのコンテンツは資産になります。

代表的なコンテンツマーケティングの種類

加えて、「口コミ」も広告宣伝費を下げるために有効です。製品やサポートの質を高め、利用者が満足すれば、紹介による購入が生まれます。紹介による購入では、広告宣伝費がかかりません。

Churn Rate

チャーンレート(Churn Rate)とは、解約率のことです。いくら新規受注を獲得できても、それ以上に解約が多ければ事業は成長しません。解約率は、SaaSビジネスにおける非常に重要なKPIです。

解約率には、「売上ベースの解約率」と「解約顧客数ベースの解約率」の2種類があります。

売上ベースの解約率とは、解約した顧客から得ていた売上が、MRRに占める割合です。なお、ここで言う「売上」は、一時的な売上を含む総売上を指す場合もありますし、MRRを指す場合もあります。

たとえば、8月の売上(MRR)が1,000万円だったとしましょう。8月に解約を申し出た顧客は10ユーザーで、彼らから得られる売上合計額は10万円です。すると、売上ベースの解約率は10万円/1000万円で1%です。

解約顧客数ベースの解約率とは、解約したユーザー数が、全体のユーザー数に占める割合です。解約顧客数ベースの解約率は社内の誰でも計算しやすいため、馴染み深いのではないでしょうか。

たとえば、8月時点での利用ユーザー数が1000ユーザーだったとしましょう。その中から、解約を申し出た顧客は10ユーザーいました。すると、10ユーザー/1000ユーザーで、解約顧客数ベースの解約率は1%になります。

解約顧客数ベースの解約率が、売上ベースの解約率にくらべて高い場合、一般的には「あまりサービスを活用できていなかったお客さまからの解約が多かった」と推測できます。

使った分だけ利用料金が上がる従量課金型のクラウドサービスでは、サービスの活用が進むほど利用金額が上がる傾向があります。逆に言えば、サービスを活用できていないお客さまは、利用金額が低いままなのです。

解約顧客数ベースの解約率が、売上ベースの解約率にくらべて高い場合は、「オンボーディングに失敗しているのではないか」「活用できていないお客さまへのフォローが不十分ではないか」といった仮説を立てられます。

LTV(Life Time Value)

LTV(Life Time Value)とは、「将来にわたってお客さまが企業にもたらす価値(=売上)の合計」です。もう少しかんたんに言うと、「1人のお客さまから得られる売上の合計額」です。SaaSにおけるLTVは、サービス利用価額×契約期間で計算できます。
LTVには、時間の概念が含まれることに注意しましょう。LTVは将来見込まれる売上も含んでおり、CACでかかったコストが回収できる期待値を示しています。LTV が高ければ、将来渡って安定したキャッシュフローが生まれます。

LTVは、主に「事業の安定性」を示します。「CACでかかったコストをLTV で回収する。」これがSaaSのビジネスのキャッシュフローとも言えます。小さなCACで大きなLTVを生み出すことができれば、安定した事業を展開していると言えます。

LTVはCACと比較して評価されます。一説では「LTVがCACの3倍あれば安定していると言える」と言われたりしますが、あくまで参考的な数字です。

LTVを最大化するためには、2つの重要な要素があります。それは、「サービス利用価額(ARPA/ARPU)の向上」と「チャーンレート(解約率)の低減(継続率の改善)」です。LTV最大化は、どちらかの要素が欠けてしまっては為し得ません。そのため、SaaSでは利用単価の向上と解約の防止を担う「カスタマーサクセス」が非常に大きな役割を担います。

LTVについてもっと学びたい担当者さまは
LTVについては、「LTV(顧客生涯価値)とは?一番わかりやすい入門編」にてくわしくご説明しています。ぜひごらんください。