バリューチェーンとは?一番わかりやすい入門編

マーケティングや事業戦略では、よく耳にするバリューチェーン。バリューチェーンは、ある事業の成功要因や改善の方策を探るために使うフレームワークとして活用できます。

あの事業はなぜうまくいっているのだろう?こうした疑問の答えを見つけるために、バリューチェーンを活用します。

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バリューチェーンの概要

バリューチェーンについて、概要を知ることで理解を深めましょう。

バリューチェーンとは?

バリューチェーン(Value Chain)とは、ある事業活動における価値(Value)を生み出す仕組み(Chain)です。事業活動は、例えば、仕入れ・製造・流通・販売・サポートと、その活動を機能別に分解することができます。分解した各機能が生み出す価値の関係性を明らかにするためのフレームワークが、バリューチェーンです。

バリューチェーンは、上の図のように、主たる活動(主活動)と、主活動を支える活動や仕組み(支援活動)に分類できます。

バリューチェーンの主活動

バリューチェーンの主活動とは、その事業の価値や利益を生み出す主たる事業活動を指します。

先ほどのバリューチェーンのフレームワークでは事業の活動を、仕入れ・製造・物流・販売・サポートに分割しています。バリューチェーンの事業の活動は、市場や事業形態によって異なります。

ある事業の分析では、上のバリューチェーンのフレームワークをあてはめて、必要に応じて変更を加えると便利です。

バリューチェーンの支援活動

事業で価値や利益を生み出す仕組みは、仕入れ・製造・物流・販売・サポートといった直接的な活動だけではありません。調達の仕組みや技術開発・研究、人事システム、ITインフラなど、間接的に主たる活動を支えるが欠かせません。このように間接的に主たる事業活動を支える仕組みは、バリューチェーンのフレームワークでは支援活動と呼ばれます。

あらゆる事業は、主活動の効率を高めるために、支援活動は欠かせません。バリューチェーンのフレームワークは、主活動と支援活動の2つの活動から成り立っていることを覚えておきましょう。

バリューチェーンはどうやって使うのか?

バリューチェーンは、ある事業がどのようにして価値や利益を生み出している仕組みを明らかにすることが目的です。

事業戦略を考える際の、SWOT分析3C分析で、自社の強みや弱み、競合の強みや弱みを分析する際に使います。

SWOT分析について
SWOT分析の中核には、SWOTからなるフレームワークがあります。SWOTは、S:強み、W:弱み、O:機会、T:脅威の頭文字です。SWOT分析では、自社を取り巻く環境による影響と、それに対する自社の現状を分析しながら、自社の最良のビジネス機会を発見します。くわしくは「SWOT分析とは?効率良いやり方と事例のご紹介」でまとめました。
3C分析について
3Cは、「市場・顧客(Customer)」「競合(Competitor)」「自社(Company)」のそれぞれの英単語の頭文字をとったもので、それぞれのCは市場を分析する重要な要素となっています。3Cは市場環境を分析するためのフレームワークです。くわしくは「3C分析で勝てる戦略を導く方法・やり方のご紹介」でまとめました。

バリューチェーンというフレームワークの間違った使い方

バリューチェーンに限らず、フレームワークを間違って使ってしまうと、期待する結果にたどりつきません。

バリューチェーンは、ある事業における価値や利益を創出する方法を明らかにするためのフレームワークです。だからといって、ある企業のある事業だけを取り出して分析することは、意味がありません。

必ず同じ事業を営む他社や、モデルとしたい事業を比較対象として、バリューチェーンのフレームワークを使います。

バリューチェーンを使うときの注意点

バリューチェーンを分析するときに、ハマりやすい注意点をご紹介します。

情報を並べただけではバリューチェーンを分析できない

バリューチェーンについて分析した例をご紹介します。

バリューチェーンのフレームワークをテンプレートにして、自社のある事業のバリューチェーンを分析してみました。いかがでしょうか?

上記のバリューチェーンの例では、自社の各機能の情報や事象を列挙しているだけにすぎず、自社の事業において価値や利益を出している機能が全く見えてきません。これでは、バリューチェーンのフレームワークを使っているだけで、分析とはほど遠い結果を導き出してしまします。

バリューチェーンから事業の強みや弱みは見いだせない

バリューチェーンは、ある企業が営む事業の価値や利益がどのように出ているかを調べるためのフレームワークです。バリューチェーンは、事業の強さやうまさの仕組みがどこにあるかを調べるためのフレームワークですので、事業そのものの強みや弱みを判断できません。

バリューチェーンにおける各機能の仕組みのうまさや、機能同士の相乗効果などを分析することで、その事業の価値の創出方法や利益の生み出し方を知ります。

バリューチェーンは必ず他社と比較すること

バリューチェーンの分析で、「分析」であるためには各情報の「プラス」か「マイナス」の尺度が必要です。この尺度の根拠は、競合企業やモデルとなる事業との比較から導き出されます。したがって、自社の事業だけを調査しても、バリューチェーンの分析はできません。

バリューチェーンは必ず他の事業と比べるか、事業と比べない場合には、市場での成功要因(KSF)とベンチマークするようにしましょう。

バリューチェーンのフレームワークは万能ではない

事業の主たる事業活動の流れに仕入れが無いなど、ここで紹介したバリューチェーンのフレームワークがそのまま使えないことはよくあります。その場合は、自社の事業モデルに応じて、バリューチェーンの主たる事業活動を整理しましょう。

バリューチェーンにおける支援活動にも同じことがいえます。

バリューチェーンはフレームワークとも呼ばれますが、バリューチェーンのフレームワークは改良して使っても、しっかりと結果を出すことができます。あなたの事業モデルに応じて、カスタマイズしてください。

さいごに

バリューチェーンは、その事業の価値の生み出し方や利益の出し方を理解するためのフレームワークです。事業モデルに合わせて、フレームワークをカスタマイズすることも必要です。

バリューチェーンに限らず、分析は、情報や事象の羅列にならないように注意しましょう。

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