セールスイネーブルメントとは|注目される背景や導入のメリット、ツールを紹介

セールスイネーブルメントとは、営業担当者の能力を強化して、営業組織全体の営業力を底上げしようとする取り組みです。いわば「すべての営業担当者が営業組織のエースになる」ための社内施策のことです。

今回は、セールスイネーブルメントの定義をはじめ、注目される背景、導入メリット、実現に役立つツールを紹介します。

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セールスイネーブルメントとは

セールスイネーブルメント(Sales Enablement)とは、組織の営業力を総合的に強化・改善していくための取り組みです。

一部の営業担当に依存してしまうと対応できる件数にも上限があり、売り上げも頭打ちになります。人材の流出により、一気に売り上げが落ち込む懸念もあります。

セールスイネーブルメントは、組織全体の営業力を底上げし、個の力に頼らずとも成績が残せる仕組み作りを目的としています。具体的には営業担当者の教育やセールスコンテンツの制作、営業ツールの導入などを実施し、営業活動への貢献度を数値化することにより、営業活動の最適化・効率化を図ります。

セールスイネーブルメントと従来の人材育成との違い

セールスイネーブルメントと従来の人材育成の違いは、「人材育成を一過性にしない」ことと人材育成の対象が「個人および組織」であることです。

従来の人材育成は指導する担当者によって教育レベルに差が出やすいうえに、実施後どのように成果につながったのかが見えにくい問題点があります。

一方、セールスイネーブルメントは従来の人材育成のようにスポットで育成を行うのではなく、継続的に営業担当者の育成を行い、組織全体の営業力を底上げします。

営業成果と人材育成施策の関係性の可視化を重視するセールスイネーブルメントでは、営業担当者の行動が成果にどのような影響を及ぼすのかを検証します。そして、検証結果に対して適切なフィードバックを行い、営業成果の最大化を図るのです。

セールスイネーブルメントで強化・改善対象となる4つの領域

セールスイネーブルメントでは次の4つの領域を強化・改善の対象とします。

セールスイネーブルメントの4つの領域:ナレッジ・ワーク・ラーニング・ピープル

セールスイネーブルメントは「営業力の底上げ」を目的としているため、営業活動に関するすべての項目が対象となります。

ナレッジ(知識)

セールスイネーブルメントにおけるナレッジとは、「営業成果を出している人材が持つノウハウ、顧客や競合に関する資料やコンテンツ」です。これらを共有することで、営業ナレッジのベースの標準化が可能になります。

また、ナレッジを共有する文化が醸成されれば組織内でのコミュニケーションが活発化し、モチベーションや営業力がアップする好循環が生まれやすくなるでしょう。

ワーク(活動)

実際の営業活動のプロセスのことです。営業プロセスがブラックボックス化している状態だと、各営業担当者の成果にバラつきが出てきます。セールスイネーブルメントでは個々の力量に差が出ないよう、営業プロセスの標準化を図ります。

各ステップで活用するナレッジも共有することで、営業担当者のやるべきことを明確化し、業務効率の向上と成果の向上を狙います。

ラーニング(学習)

営業活動に必要な商品知識や営業スキルの習得を目的とした学習プログラム・育成体制のことをいいます。

社内で学習できる環境を整えることで、営業組織全体の能力の底上げを狙います。通常業務の合間に行う必要があるため、5分程度の短時間で学習できるマイクロラーニングやいつでも利用できるe-ラーニングなどの導入が有効です。

ピープル(人材)

営業プロセス毎に必要なスキルを定義し、営業担当者に不足しているスキルを明確にすることです。営業担当者が持つスキルを定量化し、足りていない能力を可視化することで、補うべきスキルを明確にします。

営業スキルには大きく分けて、「商品知識」「セールススキル」「基礎能力」の3つがありますが、1つのスキルだけでも覚えることや身に付けることが多岐にわたります。すべてのスキルを習得するのが理想ですが、時間と労力がかかりすぎるため、営業担当者のフェーズに合わせて習得すべきスキルに優先順位を付ける必要があります。

セールスイネーブルメントが注目される背景

セールスイネーブルメントの必要性は、年々高まっています。その理由として挙げられるのが、主に下記の2点です。

  • 少子高齢化による人材不足
  • リモートワークの普及

1つ目の理由は、少子高齢化による生産年齢人口の減少です。新たな人材に期待するのではなく、今いる社員を育てることが求められるようになりました。

2つ目は新型コロナウイルスの影響により、リモートワークが普及したことです。リモートワークの普及で従来よりもオンライン商談が増え、営業活動のデジタル化が進んだため、営業活動を可視化するセールスイネーブルメントに取り組みやすい環境が整いました。

セールスイネーブルメントのメリット

セールスイネーブルメントを実施するメリットは、下記の通りです。

  • 営業活動・人材育成を仕組み化できる
  • 営業活動の属人化を解消できる
  • 営業施策の見える化が図れる
  • 他部署との連携を強化できる

簡単にいえば、個人の勘に頼っていた営業活動を見える化して、誰でも同じように成果が出せるよう知識やスキルの標準化を図れるのが、セールスイネーブルメントのメリットです。

営業活動・人材育成を仕組み化できる

セールスイネーブルメントでは、各営業担当者が行った営業活動を可視化します。営業活動の結果をもとに「成功パターン」を割り出し、組織全体で共有することで営業活動・営業人材の育成を仕組み化します。

セールスイネーブルメントで構築した「成功パターン」を模倣することで、誰が担当しても確度の高い営業活動を行えるようになります。

営業活動の属人化を解消できる

セールスイネーブルメントにより組織単位で営業力の底上げができれば、従来のように「少数のエースに頼る」必要はなくなります。誰に任せてもマーケティング部から送られてくる良質なリードをさばけるようになれば、全体での受注率もアップし、企業としての売り上げ向上につながります。

営業施策の見える化が図れる

セールスイネーブルメントでは、営業担当者の活動が成果に及ぼす影響を可視化します。これにより、どの施策がどういった成果をもたらしたのかを把握できるようになります。この結果をもとに制作すべきコンテンツや対応などを検討すれば、取り組むべき施策がわかるうえに、その精度も高められます。

他部署との連携を強化できる

セールスイネーブルメントの取り組みである営業力を総合的に強化・改善するには、組織全体で顧客のニーズを理解する必要があります。そのためには、営業部のみならず各部署が所有する顧客データの共有が欠かせません。

特に顧客の創出を担うマーケティング部門との連携強化は必須です。営業部門とマーケティング部門の連携が強化されれば、それぞれの施策の精度も高められます。

マーケティング部門ではリードを渡したあとの結果がわかるので、成約率の高いリードの傾向を把握できます。営業部門ではマーケティングで取得したデータを確認できるので、リードの課題・要望を把握しやすくなります。これにより営業活動の精度が高まれば、受注件数も大幅なアップが期待できます。

このようにセールスイネーブルに取り組む一環で、マーケティング部門をはじめとする他部署との連携を強められます。

セールスイネーブルメントの実現に役立つツール

セールスイネーブルメントを実現するためには、営業活動の各プロセスを可視化する必要があります。そのためには、SFA/CRMや、MAといった顧客データを管理するツールが役立ちます。

SFA/CRM

SFAとは、一言でいうと「営業を見える化」できるツールです。

顧客情報や会社情報、商談内容など、セールスイネーブルメントを実現する上で必要な営業活動に関するデータをSFAに記録できます。

SFA/CRMについては、下記の記事を参考にしてください。

関連記事:SFAとは?メリットや機能、MA・CRMとの違い|基礎知識を解説
CRMとは|機能や重要な理由、運用のコツをわかりやすく解説

MA

マーケティングと営業領域をまたいで顧客情報を把握できると、セールスイネーブルメントの質を高められます。

営業がアポイントを取る前の顧客情報のデータは、MA(マーケティングオートメーション)ツールで管理できます。

MAツールの詳細は、下記の記事をごらんください。

関連記事:MAツールとは|概要や機能、活用事例を徹底解説

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