営業クロージングとは?成約率を高めるコツや注意点を例文つきでご紹介
営業クロージングとは、商談終盤の締めくくりです。商談の内容を踏まえてお客様の意思決定をサポートする営業プロセスです。
「お客さまに踏み込んでお伺いするのが苦手だ」
「商談からの受注率が低いのをなんとかしたい」
「クロージングでいつも失敗してしまう」
この記事では、そのような営業担当者さまのお手伝いができるよう、営業クロージングの流れやコツをトークの例文をまじえてご紹介します。お客さまに納得していただいた上で、契約していただけるような営業クロージングを目指しましょう。
この記事のもくじ
営業クロージングの流れと、営業トークの例文
営業クロージングの流れをご説明しますが、かならずしもこの順番通りに進める必要はありません。「今なにをお伝えすべきか」は、お客さまの表情や仕草、発言によって変化するためです。
この章の営業クロージングの流れを一例としつつ、お客さまに応じてクロージングを進めてください。
営業クロージングの前に:お客さまの不安を解消する
クロージングに入る前に、お客さまに不安な点が残っていないかを確認しましょう。お客さまも、不安がある状態で契約や稟議申請の意思決定はできません。
営業のクロージングの段階でお客さまが抱えやすい不安は、以下の5つです。
営業クロージングの前段階である「ヒアリング」「提案」の時点で、上記の不安を把握しておきましょう。ヒアリングした不安を解消できるようご提案し、不安が解消されたかをクロージングの前に「再確認する」イメージです。
<不安を引き出すトークの例文>
「実際に導入なさるとして、ここまでで何か不安な点はございますか?」
上記の例文のポイントは、前半の「実際に導入なさるとして」の部分です。漠然と「何か不安はありますか?」とお伺いしても、なかなかお答えいただけません。実際に導入した場合をお客さまにイメージしていただけると、不安な点をお答えいただきやすくなります。
お客さまが不安な点を話してくださったら、まずはその不安を受け止めてから、不安を打ち消しましょう。5つの不安への対処例をご紹介します。
- 金額:費用対効果など、見方を変えると安い例
- 時期:課題を放置した場合と対処した場合の数値比較
- 効果:類似業界の事例、業界の調査レポート
- 優位性:競合や代替手段と比較した自社の強み
- 持続性:サポート体制など
なお、不安を解消する際は、実際に製品を導入している既存顧客の成功事例をもとに話すと、より説得力が増します。
①仮クロージングをする
お客さまの不安を解消し、提案内容に納得いただけた場合、営業クロージングに入っていきます。最初の段階は仮クロージングです。「もし〜としたら?」という仮定の質問で、お客さまの現在の意思・状況を把握しましょう。
<仮クロージングトークの例文>
「もしご契約いただけるとしたら、いつごろになりそうでしょうか?」
「導入の可能性は何%ほどあると思われますか?」
「もしこの中からプランを選ぶとしたら、どちらのプランでしょうか?」
「もしご契約いただけるとしたら、利用者・責任者さまはどなたになりそうでしょうか?」
「お話を前進させるとしたら、次回面談に出席していただきたい社内の方はいらっしゃりますか?」
「今回のご提案を社内でご相談するとしたら、どなたにご相談なさりますか?」
「個人的には導入したいですか?もしも残る懸念があるとしたら、〇〇でしょうか?」
このように、仮クロージングの質問を投げかけ、相手から具体的な回答が返ってきた場合は、お客さまの製品導入への本気度が高く、現実的に導入を考えていただいていると言えます。
仮クロージングの質問に対して、お客さまが嫌がっているような反応を見せたり、曖昧な回答しかいただけない場合は、これ以上導入を促しても成功する確率は低く、早めに引き下がった方がよいでしょう。
②決裁者・意思決定者への面談を依頼する
お客さまが決裁者(上長)ではない場合、営業担当者も説得の場に同席できないか打診してみましょう。
お客さまだけで決裁者に説明する場合も、営業担当者にサポートできることがないか確認します。資料の作成や説明内容の再確認、追加事例の用意など、お客さまのためにできることがあるはずです。
<トークの例文>
「△△さまにこの内容をお伝えしなければならないとのことですが、よろしければ私の方からご説明させていただくことも可能です。どちらがよろしいでしょうか?」
「△△さまへのご説明資料を私の方で作成することも可能ですが、いかがいたしますか?」
「いつでもご相談いただいて構いませんので、△△さまにも私の連絡先をご共有ください。お電話でもメールでもご対応いたします」
③次の行動を整理する
「決裁者との面談」「稟議の申請」「上長への相談」などが決まったら、改めて誰が何をすべきかを、期日もセットでお客さまと整理します。
- 次回の商談は「いつ(具体的な日付)」「誰が」参加するのか
- 次回の商談までに「誰が」「何を」準備するのか
- 社内での検討は「いつ」「誰と」実施するのか
- 社内稟議のために営業(もしくはお客さま)が準備することは何か
- 社内検討が終わる段階で営業からご連絡してもよいか
- 営業からのご連絡手段は電話かメールか
上記のアクションを確実に実行し、お客さまの購買プロセスを前に進めます。
④決まったことを再確認する
最後に、営業担当者・お客さま双方の次回の行動を再確認して、営業クロージングは終了です。
「行動の再確認は、お客さまからしつこいと思われるのではないか」と不安になるかもしれませんが、かならず再確認しましょう。
クロージング後の行動は、営業にとっては重要なタスクです。しかしお客さまにとっては数あるタスクの1つであり、お客さまがToDoを忘れてしまう可能性があります。
<クロージングトークの例文>
では、最後に改めてご確認させていただきます。次回の面談は◯月◯日。追加の出席者さまは△△さま。今回のご提案に◆◆を加えてお話しいたします。オンライン商談のURLはこの後すぐにお送りいたしますので、△△さまにもご共有お願いいたします。前日には私からリマインドのメールをお送りいたします。
さらに成約率を高める、営業クロージングのコツ
お客さまが考える時間を遮らない
営業クロージングのコツ1つ目は、お客さまに考える時間を差し上げることです。「いかがでしょうか?」と聞いて、お客さまが口を開くまで沈黙してみましょう。
この時、沈黙に耐えられず、会話を振ってしまってはいけません。お客さまには、営業担当の提案に対してじっくりと考える時間が必要だからです。お客さまの検討の時間を遮って決断を急かすと、本来承諾していただける提案も、断られてしまうおそれがあるので注意しましょう。
イエスバット法を使う
営業担当者は、お客さまの導入への不安や疑問をひとつずつ解消していく必要があります。
注意したいのが、お客さまが口にした不安や疑問に対して、頭ごなしに否定をしないようにすることです。「でも…」や「そうではなくて…」など、否定の言葉から入ってしまうと、お客さまは「不安に寄り添ってくれていない」と感じてしまい、ここまで築いた信頼関係は崩れてしまうでしょう。
どのような意見でも、最初は共感や肯定などの「YES」を丁寧に示したあとに、「BUT」で誤解を解消する。この流れを繰り返すことが大切です。
お客さまの決断のための障壁をなくす
クロージングの前までは導入に前向きだったお客さまが、急に意見を変えてしまうということもあります。
そんな時、営業担当は、焦ってお客さまに頼み込んだり、押し売りをしたりしてはいけません。記事の冒頭でも述べた通り、商談の内容を踏まえて、お客さまの意思決定をサポートするのが営業のクロージングだからです。
クロージングがうまくいっていないと感じた時は、クロージングよりも前のプロセス、ヒアリングやプレゼンに一度立ち返ってみることも大切です。漏れなくヒアリングできていたか?お客さまの抱えるお悩みを解決する最善の提案ができていたか?商談を振り返ってみましょう。
その上で、お客さまにとっての導入のハードルを下げる提案や、製品を導入することでお客さまが得られる大きな価値について丁寧に説明し、決断の障壁をなくしていきます。
導入に後ろ向きな顧客を納得させるために、安易な値引きをするのはおすすめできません。一度値引きをしてしまうと、価格競争に巻き込まれてしまいます。
「価格の安さ」を顧客に訴求するのではなく、「製品の価値」を訴求しましょう。コストに対する費用対効果を十分に出せること、コストを払う正当性をお客さまに納得していただくことが重要です。
クロージング後は後追いメールを送ろう
クロージングで合意できた内容と商談のお礼を、なるべく早くメールでお送りしましょう。
商談直後のメールの例文をご紹介します。ぜひご利用ください。
株式会社〇〇
〇〇様お世話になっております。
△△株式会社の△△でございます。本日は◆◆についてご提案のお時間をいただき、誠にありがとうございました。
ご同席してくださったみなさまにも、ぜひお礼をお伝えいただければと存じます。貴社内でのご検討が◯日ごろに終わるとのことでしたので、その折にはこちらからメールにてご連絡させていただきます。
また、ご質問いただいた件につきましては、◯月◯日までに社内で結論を出し、メールにてご回答させていただきます。
もしも社内検討に際してご質問やご不明点等ございましたら、メールでもお電話でも、お気軽にご連絡くださいませ。
本日ご覧いただいた資料をメールに添付しておりますので、こちらもぜひご参考ください。
それでは、引き続きどうぞよろしくお願いいたします。
追伸:
〇〇様がおすすめされていた◆◆を社内に紹介したところ、スタッフの何人かも愛用しているとのことでした。
私も見かけたら購入させていただきます!=====
署名
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ご紹介したお礼メール含め、案件が停滞してしまった場合の営業の後追いメールを「営業の後追いメール4種類|例文や使えるフレーズ付き」でご紹介しています。あわせてご覧ください。
クロージングの結果、失注になった場合の対応方法
失注は営業担当者にとってつらい瞬間です。しかし、失注はビジネス関係の終了ではありません。この章では失注後にとるべき対応をご紹介します。
失注時こそ丁寧な対応を心がけよう
失注は営業担当者にとって残念かもしれませんが、お客さまにとっても同様にバツが悪いもの。失注時こそ丁寧な対応を心がけましょう。
加えて、失注は「今後も商談の機会がない」ことを意味しません。失注であってもよい印象で商談を終えられれば、次のチャンスがあります。
<トークの例文>
「今回は残念でしたが、ぜひ御社とは長くお付き合いしたいと考えております。今度とも、何かお困りのことがありましたらいつでもお尋ねください」
失注理由は営業改善の宝庫
お客さまの「買わない理由」、つまり失注理由は、今後の営業活動でも障壁になる可能性があります。失注理由を把握し、対処できれば、今後の営業活動を改善できます。
営業担当者やお客さまのキャラクターにもよりますが、商談の場で失注理由を伺ってもいいでしょう。
<トークの例文>
「率直にお聞かせいただきたいのですが、本日の私の提案はいかがでしたか?」
「当社の製品をお選びいただけなかったもっとも大きな理由はなんでしょうか?」
その場でお伺いしづらいようなら、後日お伺いする旨をお伝えしましょう。
<トークの例文>
「サービス改善のために、今回お選びいただけなかった理由を後日メールでお伺いさせていただくかもしれないのですが、よろしいでしょうか?」
商談の場では導入判断が保留となり、後日失注が判明した場合も、営業メールや電話で失注の理由をお伺いします。
<トークの例文>
「差し支えなければでよろしいのですが、最終的にお選びいただいたサービスって教えていただけたりしますでしょうか?」
「その製品を選定したポイントを教えていただいてもよろしいでしょうか?」
「失注分析の方法とは?営業活動の課題を見つける6つの手法」では、よくある失注要因や失注分析の方法を解説しています。あわせててごらんください。
失注後もお客さまとメールで定期的に接点を持とう
失注してしまったとはいえ、一度は検討してくださったお客さまです。定期的に接点を持ち、乗り換えや再検討のタイミングでご連絡いただける関係を構築しましょう。
とはいえ、営業担当者個人がずっと失注案件を追い続けるのはコストの面から現実的ではありません。
失注案件を放置しないためのおすすめの方法が「私信風のメルマガ」です。
メール配信ツールやマーケティングオートメーションは、メルマガの差出人名や本文に担当の営業名を差し込めます。他の誰かが執筆した1対多のメルマガでも、担当の営業から差し出したように配信できます。
休眠顧客の掘り起こしメールを定期的にお送りして、失注後もお客さまとの関係を維持しましょう。
営業管理に役立つツール:SFA
営業クロージングをし、決裁者との面談の約束を取り付けることができたとします。
せっかく契約をいただけるかもしれない機会を、「資料の送付忘れ」や「重要事項の確認漏れ」など、タスク管理における失敗で逃したくないですよね。台無しにしたくないですよね。
SFAを使うと、「営業担当者が次に何をすればいいのか?」が一目でわかり、大事な商談の準備をミスなく行うことができます。
加えてSFAでは、営業のタスク管理はもちろん、案件の進捗状況や顧客情報の管理で、営業の見える化を実現できます。
当社が製造・販売するSFA「Kairos3 Sales」は、小さくはじめやすい料金体系や丁寧なサポート面で、お客さまからご好評いただいています。興味あるご担当者さまはこちらから製品Webサイトをごらんください。