OATHの法則とは?ターゲット設定に欠かせないコピーライティングのフレームワーク

OATHの法則は、顧客の問題意識レベルを4つに分類したモデルで、マーケティングやコピーライティングなど、ターゲット設定を必要とするあらゆる場面で役立ちます。

この記事は、

「もっとコピーライティングを上達させたい」
「ターゲットを意識したメルマガを書きたい」

というマーケティング担当者に向けた記事です。みなさまのお役に立てば幸いです。

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OATHの法則とは

OATHの法則とは、マイケル・フォーティンが考案した、顧客の問題意識レベルを4つに分類するフレームワークです。OATHの法則は、「Oblivious(無知)」「Apathetic(無関心)」「Thinking(関心)」「Hurting(悩み)」という4つの要素から成り立ちます。

OATHの法則は、マーケティングやコピーライティングなど、ターゲット設定を必要とするあらゆる場面で活用できます。

ターゲットの設定は、マーケティングやコピーライティングの基本です。ターゲットがぶれていると、あなたの施策やメッセージは誰にも響かなくなってしまいます。なぜなら、ターゲットによって「何を書くべきか(何を訴求すべきか)」が異なるからです。

たとえば、ダイエットサプリのコピーライティングを考えてみましょう。ダイエットに無関心な層に向けて、「今ならこのダイエットサプリを無料でお試しいただけます」と訴求しても、ほとんどの人は「そんなものはいらないよ」と感じることでしょう。

ダイエットに無関心な人には、「なぜ今ダイエットが必要なのか」という点から訴求を始める必要があります。

上記の例からお分かりの通り、ターゲットの設定はマーケティングやコピーライティングにおいて非常に重要な要素です。OATHの法則を活用すると、ターゲットの設定がかんたん、かつ明確になります。

OATHの法則の4つの要素

OATHの法則には、4つの要素があります。この章では、OATHの法則のそれぞれの要素について、くわしくご紹介します。

Oblivious:無知

OATHの法則のOは、Oblivious(無知)を意味します。Obliviousに含まれる顧客は、問題が顕在化していない「無知層」です。

無知層は、OATHの法則の4つの要素の中で、もっとも人数が多い層です。無知層は問題を認識してすらいないため、無知層をターゲットにして施策を打つことはもっとも難しいでしょう。

とはいえ、無知層はOATHの法則の4要素の中でもっとも人数が多い層であり、無知層に対してアプローチしないことには、見込み客を増やせません。そのため、長期的な視点で、無知層へのアプローチも検討しましょう。

無知層へのアプローチは、問題意識を持っていただくことが大事です。

問題意識を持っていただくためには、「なぜそれが問題なのか」「その問題を放置するとどうなるのか」といったことを啓蒙しなくてはなりません。

そのため、無知層へのアプローチは必然的に文章量が多くなりがちです。無知層へのアプローチには、オウンドメディアやホワイトペーパーを活用したコンテンツマーケティングが向いています。

逆に、メルマガやSNSなどの、気軽にコンテンツを流し読みする手段は、無関心層へのアプローチ手段としては向きません。

Apathetic:無関心

OATHの法則のAは、Apathetic(無関心)を意味します。Apatheticに含まれる顧客層は、問題自体は認識しているものの、関心がない「無関心層」です。無関心層にいる顧客は「いずれ問題をなんとかしなくてはならないが、今すぐでなくてもよい」と感じています。

無関心層には、「問題を解決する必要性」や、「問題を解決することによるメリットやベネフィット」を啓蒙しなければなりません。

無関心層は、リードナーチャリングを続けることで、関心層に転換できる可能性があります。そのため、今すぐ購入の意思がないからといって、無関心層をないがしろにしないようにしましょう。

リードナーチャリングとは
リードナーチャリングとは、かんたんに言えば「見込み客の育成」を指す言葉です。もう少しくわしく説明すると、リードナーチャリングは、まだ顕在化していない見込み客(まだまだ客)のニーズやウォンツを育成して、顕在顧客(今すぐ客)にするプロセスのことです。
くわしくは、「5分でわかるリードナーチャリング。どこよりもわかりやすい徹底解説」でご説明しています。あわせてごらんください。

Thinking:関心

OATHの法則のTは、Thinking(関心)を意味します。Thinkingに含まれる顧客層は、問題が顕在化しており、解決したいと考えている「関心層」です。

関心層は、さまざまな解決策について検討している状態です。コピーライティングやマーケティングでは、多くの場合、関心層をターゲットにします。関心層へのコピーは、他社製品との違いや自社製品独自の強み、権威性などを盛り込みましょう。

また、関心層に対して有効な施策には、顧客獲得型セミナーやインサイドセールスによる個別相談などが挙げられます。

顧客獲得型セミナーとは
顧客獲得型セミナーとは、セミナーを通じて商談を創出することを目的としたセミナーです。顧客獲得型セミナーは、説明会、体験会、見学会などの名称で行われることもあります。顧客獲得型セミナーに関してくわしくは、「セミナー企画がセミナーの成功・失敗を分ける!250回自社セミナーを企画・開催してわかったこと」で開設しました。あわせてごらんください。

Hurting:お悩み

OATHの法則のHは、Hurting(お悩み)を意味します。Hurtingに含まれる顧客層は、問題によって何らかの不利益を被っており、今すぐ解決したいと考えている「お悩み層」です。お悩み層は、「今すぐ客」と言い換えることもできます。

お悩み層は非常に層が薄く、あなたの顧客リストの中に1%いればよい方です。お悩み層は、問題解決のため、さまざまな解決策を比較検討している段階です。お悩み層には「自社サービスが他社サービスとどう違うのか」「強みは何なのか」などを、簡潔に伝えましょう。

また、お悩み層へアプローチする際は、背中を押してあげるイメージを持つとよいでしょう。お悩み層は、「今すぐに問題を解決したい」と思っているとはいえ、なかなか購入までの一歩を踏み出せないでいます。そのため、「期間限定」などのキーワードで希少性などをアピールし、「思い切って今買ってしまおうかな」と思わせることで、購入していただきやすくなるでしょう。

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OATHの法則の2つの特徴

この章では、OATHの法則の2つの特徴を見ていきましょう。

1:OからHにかけて、顧客の母数が減少する

OATHの法則は、OからH、つまり無知層からお悩み層にかけて、徐々に顧客の母数が減少するという特徴を持ちます。

つまり、OATHの法則における顧客分布は、問題を認識していない無知層がもっとも多く、今すぐに商品を購入したいお悩み層がもっとも少ないのです。一般的に、「自社の顧客リストの中に、今すぐ客は1%もいない」と言われることを鑑みれば、この分布にも納得がいきます。

関心層やお悩み層には、もちろん商品を購入していただきやすいのですが、関心層やお悩み層は母数が少ないため、彼らにばかり訴求していれば、いずれすべての見込み顧客を刈り取ってしまうでしょう。

安定的に商談を生み出すには、無知層や無関心層を、うまく関心層やお悩み層に引き上げていく施策が重要です。無知層や無関心層を、関心層やお悩み層に引き上げるためには、リードナーチャリングを実施します。

2:OからHにかけて、訴求に適した手段は異なる

ターゲットがお悩み層に近づくにつれ、あなたは短いコピーで訴求できるようになるでしょう。

関心層やお悩み層は、問題をしっかりと認識し、どうにかしたいと考えている層です。そのため、「なぜそれが問題なのか」「なぜ解決すべきなのか」といったことは説明せずに済みます。

一方で、無知層や無関心層は、問題そのものを認識していなかったり、解決しようと考えていなかったりするため、「なぜそれが問題なのか」という説明から入らなければなりません。したがって、無知層や無関心層に対して訴求する場合、必然的に文章量が多くなります。

無知層や無関心層をターゲットにする場合は、長い文章を書けるオウンドメディア(ブログ)やホワイトペーパーといった手段を活用しましょう。

一方で、関心層やお悩み層へは、短文でも訴求できるため、バナー広告やリスティング広告といった手段を活用してもよいでしょう。

OATHの法則の活用したコピーライティングの例

この章では、OATHの法則を活用したコピーライティングの例をご紹介します。ここでは、当ブログで扱っている、「利益を作る分析力がつく!ビジネスフレームワーク集25選」というダウンロード資料を題材に、コピーを考えてみましょう。

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なお、無知層への短文による訴求は困難なため、今回は無知層へのコピーは省略します。

無関心層に向けたコピー

無関心層に向けたコピーは、「簡易性」や「第三者の声」「無関心によるデメリット」をうまく利用して書きます。

簡易性とは、「10秒で登録可能」「いますぐに使える」といった、かんたんにできることを表す内容です。無関心層は、本腰をいれて問題を解決しようとは考えていません。そのため、無関心層には、時間をかけずに、手軽にできることを訴求するとよいでしょう。

第三者の声とは、「1万人のマーケターが参加したセミナー」「95%の参加者が満足と回答している」といった、多くの人が「素晴らしい」と感じていることを表す内容です。

「みんながよいと言うものをよいと感じてしまう」心理効果を、社会的証明と言います。また、当事者よりも、第三者の声を信用しやすい心理効果を「ウィンザー効果」と言います。どちらも、科学的に証明されている心理効果です。

「自分には関係ない」と感じていた無関心層でも、「すでに多くの人が始めている」と知れば、「自分にも関係のあることかもしれない」、と感じるでしょう。

無関心によるデメリットとは、「知らないと10万円損をする」「人生の大半を損している」といった、興味を持たないことへのデメリットを表す内容です。人間は、得する喜びよりも、損をする痛みを避ける傾向があります。これを、損失回避バイアスと言います。

上記を踏まえると、以下のようなコピーが出来上がります。

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関心層に向けたコピー

関心層に向けたコピーは、他社製品との違いや独自のメリット、権威性を訴求します。

関心層は、問題を認識しており、解決したいと考えています。そのため、問題に対する解決策を常に模索している状態です。関心層へ向けたコピーでは、あなたは「自社製品の解決策がどのくらい有効か」「他社製品よりも自社製品を使うメリットはどこにあるのか」をしっかりと訴求する必要があります。

上記を踏まえると、以下のようなコピーが出来上がります。

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「業務のスピードが153%アップする。厳選25個のフレームワークをご紹介します」

なお、コピーライティングにおいて、数字を訴求する場合は、なるべく具体的に書きましょう。「150%アップ」と記載するより、「153%アップ」と記載する方が、信憑性が増すからです。

お悩み層に向けたコピー

お悩み層の顧客は、「この問題を早くなんとかしたい」と考えている一方で、購入への一歩が踏み切れていない状態です。そのため、お悩み層に対してのコピーは、購入のために背中を押してあげるイメージを持つとよいでしょう。

お悩み層に向けたコピーは、「いますぐ行動を起こした方がお得だ」と思わせることが大事です。お悩み層に「いますぐ行動を起こした方がお得だ」と感じていただくためには、希少性をうまく利用するとよいでしょう。

上記を踏まえると、以下のようなコピーが出来上がります。

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なお、割引をする際に、元の価格を示した方がお得だと感じてしまう心理効果を、アンカリング効果といいます。

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この記事は2020年12月7日に更新しました。

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