展示会の効果測定の方法は?指標やROI(費用対効果)を解説

特定のテーマのもと多くの企業が出展する展示会は、見込み顧客獲得の手段のひとつです。みなさまは「展示会へ出展しても、効果があるのかわからない」といった悩みを抱えていませんか。

今回は展示会出展における効果測定の重要性を押さえたうえで、効果測定指標や測定方法などを紹介します。

展示会出展における効果測定の重要性

展示会出展には、時間や費用、人員のコストがかかります。限りある経営資源を有効活用するには、目標を設定し、効果測定を実施して出展の目的を達成しているか評価することが重要です。

出展の目的は、商談につながる案件の獲得、名刺交換などによる見込み顧客の獲得、自社サービスの認知拡大などさまざまです。

数値などの指標を用いて成果を可視化、つまり効果測定することで、これらの展示会出展の目的が果たせたかどうか評価できます。また効果測定による分析結果は、次回以降の展示会を企画する際にも役立てられます。

展示会出展の効果測定で必要なこと

展示会出展の効果測定を行うには、目的を明確にしておく必要があります。展示会出展の目的によって目標の立て方が変わるだけでなく、効果測定に用いる指標にも違いが出てくるためです。

展示会出展による最終目標と、その目標を達成するためのKPI(重要業績評価指標)を設定しましょう。たとえば、見込み顧客の獲得を目的として、「見込み顧客5件」を最終目標として出展する場合には、自社ブースへの来場者数や名刺獲得数などが効果測定指標となるため、それぞれ目指す目標数値を設定します。

数値化された目標に対する効果測定を実施することで、展示会出展の成果が明らかになるとともに、改善すべき課題の洗い出しにもつながります。

展示会出展の効果測定指標・測定方法

展示会出展の主なKPIとして、以下が挙げられます。

  • 来場者数
  • 名刺獲得数
  • 商談件数
  • 受注件数
  • アンケート回答数
  • LTV(顧客生涯価値)
  • サイトアクセス数
  • SNSフォロワー数

来場者数

展示会出展のKPIとしての来場者数は、展示会の自社ブースへの来場者数を指します。自社ブースへの来場者数を正確にカウントするのは難しいため、チラシやパンフレット、ノベルティなどの配布数をもとに、おおよその来場者数を推計します。

展示会全体の来場者数が前回の出展よりも増加しているにも関わらず、自社ブースへの来場者数が減少している場合は、DMやSNS、自社サイトによる告知といった事前の集客方法やブースのデザインに課題があることが考えられます。

一方で、自社ブースへの来場者数は増加していても、名刺獲得数や商談件数、受注件数といった指標が伸びない場合は、成約にいたるまでの一連のアプローチ方法に改善が必要です。

名刺獲得数

名刺獲得数とは、自社ブースへの来場者のうち、名刺交換を行った数です。基本的には「名刺獲得数=名刺の枚数」ですが、自社の関係者や既存顧客、競合他社の名刺は見込み顧客には該当しないため除外します。

名刺獲得数は、そのまま見込み顧客数になります。見込み顧客や新規顧客の獲得を展示会出展の目的としている場合には重要な指標です。

名刺獲得数が多いほど、多くの商談につなげられる可能性が高まります。ただし、展示会で名刺交換する方はさまざまです。ノベルティが欲しくて名刺を交換する方や広く情報収集を行っている段階の方もいます。名刺獲得数が多くても、その全てが商談につながるとは限りません。

決裁権のある役職者の名刺は商談につながりやすく、受注までのプロセスがスムーズに進むことが期待できます。そこで、受注確度や決裁権によるランク分けを行って名刺を点数化し、点数による目標数値を設定する方法もあります。

商談件数

商談件数は、展示会を通じて商談につながり案件化した件数です。展示会で実施した商談の数のほか、展示会で獲得した名刺をもとにアプローチを行い、後日、商談を行った件数も含みます。

展示会では、来場者に商品・サービスの説明を行うこともあります。「どこからを商談とするのか」という基準を設けておくと、展示会ごとの成果を適切に比較できます。

一概に「商談」といっても、軽い相談を受けて商品・サービスの説明を行ったケース、プレゼンを実施したケース、具体的な見積もりを提出したケースなど、さまざまなものがあります。そこで、商談のレベルごとの件数のカウントも行うと、商談の状況を詳細に把握できます。

名刺獲得数に対して商談件数が少ない場合は、名刺獲得数のアップや受注確度の高い名刺の獲得を目指すとともに、商談につなげるためのアプローチにも工夫が必要です。

受注件数

受注件数は、展示会を通じて受注にいたった件数であり、最終的な展示会の成果となります。

ただし、BtoB領域の受注は、成立まで時間がかかります。そのため、受注件数を展示会の効果測定の指標としてすぐに活用することは難しいでしょう。受注件数は「展示会の実施から3ヶ月」などの形で期間を区切り、中長期的に効果測定を続けましょう。

また、受注件数だけでなく、受注金額も指標にすると、展示会の成果をより適切に把握できます。特に商材の単価の幅が広いケースや、顧客ごとの受注単価の違いが大きいケースでは、受注金額をもとにした指標が有効です。

展示会を通じた受注件数や受注金額と、展示会以外の受注件数や受注金額を比較すると、展示会による成果がより明確になります。

アンケート回答数

アンケート回答数は、自社ブースの来場者に自社の商品・サービスに関するアンケート調査を依頼し、回答を得た数です。

名刺交換によって得られるのは見込み顧客の連絡先情報ですが、アンケートの回答からは、企業のニーズや課題、受注確度などの一歩踏み込んだ情報を得られます。回答内容を活かせば、展示会後に顧客のニーズや受注確度に応じたアプローチを図れます。

また、アンケートの回答は自社の商品・サービスに興味や関心を持つ人によるリアルな声です。展示会への評価は、次回以降のブース設計や展示内容、人員配置などに活かせます。

自社の商品・サービスへの評価や要望は、新たな商品・サービスの企画・開発、既存の商品・サービスの改善に活用することができるでしょう。

LTV(顧客生涯価値)

LTV(顧客生涯価値)とは、ある顧客が自社との取引を開始してから終了するまでにもたらす価値を示す指標です。「LTV=平均購入単価×粗利率×1年間の購入頻度×継続年数」という計算式により算出します。

BtoBは見込み顧客の獲得から受注にいたるまでのリードタイムが長くなることも多く、場合によっては年単位となることもあります。そのため、中長期的な関係性を築くことが、安定した収益の確保につながります。

展示会の効果測定では、短期的な成果を把握するだけでなく、継続的な受注による中長期的な成果も検証することが重要です。

展示会を通じて受注につながった顧客のLTVが高ければ、「展示会は優良顧客を獲得する手段になっている」といえます。

サイトアクセス数

サイトアクセス数は、自社ホームページへのアクセス数で、認知拡大を目的に展示会に出展した場合に重要な指標となります。サイトアクセス数は、Googleアナリティクスなどのアクセス解析ツールを使って調べられます。

Googleアナリティクスでは、月や週、日など特定の期間を指定してアクセス数を調べることができます。出展前と出展後の一定期間のアクセス数を比較することで、展示会が自社の認知拡大につながっているか検証できます。

また、流入チャネル別のアクセス数を見たときに、「Organic Search(オーガニック検索)」やURLの直接入力による「Direct(ダイレクト)」による流入数が増えていれば、展示会で自社を知ってホームページにアクセスしてきた可能性が高いといえるでしょう。

SNSフォロワー数

SNSのフォロワー数も、認知拡大を目的に展示会へ出展した際の評価指標のひとつになります。展示会の前後で、各SNSの自社アカウントのフォロワー数を比較して検証します。

展示会で配布するチラシやパンフレットにSNSのQRコードを掲載しておくと、フォロワーの獲得につながる可能性があります。また、SNSに自社のホームページURLを載せておくと、見込み顧客をホームページに誘導する導線となります。

展示会によってSNSのフォロワーを獲得すると、BtoBにおいても商品・サービスの情報提供やブランディングなどによる見込み顧客の育成に活用できます。

展示会出展後はROI(費用対効果)を算出

展示会出展による効果をコスト面から検証するために、ROI(費用対効果)は必ず算出するべき指標です。展示会への出展を通じて受注にいたるなどの成果があったとしても、コストが見合っていなければ本末転倒です。

展示会のROIは、「利益・効果÷展示会の総費用」で算出します。展示会の総費用に含まれるのは、出展費やブースの設計・設営費、掲示物の制作費、チラシやパンフレット、ノベルティの制作費、スタッフの人件費などです。

利益・効果は、本来は受注金額をもとに算出します。しかしBtoBでは展示会から受注にいたるまでに長い期間を要するため、受注金額をもとに算出することが困難です。そこで、展示会への出展の目的に応じて、来場者数や名刺獲得数(見込み顧客の数)、商談件数などの指標に置き換えて算出します。

複数の展示会へ出展している場合には、利益・効果に共通の指標を用いてROIを比較することで、費用対効果の高い展示会を把握できます。

展示会出展の効果測定に役立つツール

展示会出展の効果測定に役立つツールとして、名刺管理ツールやアクセス解析ツールが挙げられます。

名刺管理ツールは、名刺情報をスマートフォンやスキャナーで取り込んで一元管理し、社内で情報共有を図るためのツールで、展示会で獲得した名刺情報の管理に活用できます。

アクセス解析ツールは、Webサイトを訪問するユーザーのデータを収集して、行動や属性の分析を行うツールです。前述したように、認知拡大を目的に展示会に出展した場合の効果測定に活用できるツールです。

また、効果測定ではありませんが、MA(マーケティングオートメーション)ツールを活用すれば、展示会で獲得した見込み顧客の情報を一元管理でき、さらにメールの自動配信機能などを通じたコミュニケーションの効率化が可能なため、商談数の増加も期待できます。

展示会出展後はKairos 3で顧客育成を

展示会出展後は、当社が開発するMAツール「Kairos 3 Marketing」で見込み顧客を育成することをおすすめします。「Kairos 3 Marketing」には、展示会で獲得した見込み顧客の情報を一元管理する機能はもちろん、それぞれの購買意欲に応じて効率よく顧客育成するための機能が揃っています。

たとえば「セグメンテーション」機能では、業種や役職などの属性のほか、Webサイトの閲覧履歴やメール開封の有無といった軸で見込み顧客をセグメンテーションできます。そして「メール配信」機能を活用すれば、セグメント別に異なる内容のメールを効率的に送信することも可能です。

また、「スコアリング」機能では見込み顧客の購買意欲を⾒える化でき、「ホットリード」機能では、そのスコアリングをもとに優先順位の高い顧客を抽出することもできるのです。

「Kairos 3 Marketing」は、展示会で獲得した見込み顧客に対して、効率よく効果的な営業活動をサポートします。「Kairos 3 Marketing」を導入して、受注件数のアップにつなげましょう。

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