マーケティングとは?業務で役立つ基礎知識
マーケティングは、言葉の登場から100年近く経っています。
時代の流れや市場の変化とともに進化してきたマーケティングについて、マーケティングの業務に関わるみなさんにとって5分でわかるようまとめました。
この記事のもくじ
マーケティングとは?
まずはマーケティングの一般的な概念をおさえましょう。マーケティング業務と類似する業務と比較しながら理解を深めます。
マーケティングの一般的な概念
マーケティングの概念の説明の中で、日本でもっともよく知られているものは、「買ってもらえる仕組みづくり」でしょう。
マーケティングの「買ってもらえる仕組みづくり」という概念をわかりやすく理解するために、マーケティングと営業を比較して整理します。
マーケティングと営業では、概念の出発点とゴール(目的)に大きな違いがあります。
マーケティングのゴールは、顧客満足です。みなさんが実施するマーケティング活動を通じて、ご満足していただいたお客さまは、その製品や会社のファンになり、引き続き購入を続けていただける可能性が高くなります。マーケティング活動を通じて、一時的な売上だけでなく将来的な売上を高くすることを目的とします。マーケティングは売上という経営指標について、長期的にとらえています。
営業のゴールは、売上です。営業活動では、顧客満足よりも、短期的な売上を重視する傾向にあります。短期的な売上をつくるためには、顧客ニーズは欠かせません。
営業は、売らなくてはならない製品をとにかく売ること。もちろん、マーケティングの概念を営業活動に取り入れている企業では、この定義は何か違和感があるかもしれません。旧来の工場に始まり製品の生産、そして販売だけのプロセスにおける営業は、製品を売ることが中心でした。
さまざまなマーケティングの定義からみるマーケティングとは?
マーケティングの理解をさらに深めるために、いろいろなマーケティングの定義をみていきましょう。
企業が製品またはサービスを顧客に向けて流通させることに関係した一連の体系的市場志向活動のこと。売買そのものをさす販売よりもはるかに広い内容をもち、販売はマーケティングの一部を構成するにすぎない。マーケティングの内容を機能的に分解すると、戦略政策問題、製品問題、市場・取引問題、販売問題、販売促進問題に大別される。(日本大百科全書)
消費者の求めている商品・サービスを調査し,供給する商品や販売活動の方法などを決定することで,生産者から消費者への流通を円滑にする活動。(三省堂大辞林)
マーケティングとは、企業などの組織が行うあらゆる活動のうち、「顧客が真に求める商品やサービスを作り、その情報を届け、顧客がその価値を効果的に得られるようにする」ための概念である。また顧客のニーズを解明し、顧客価値を生み出すための経営哲学、戦略、仕組み、プロセスを指す。(ウィキペディア)
マーケティングとは、顧客満足を軸に『売れる仕組み』を考える活動。(グロービス経営大学院)
マーケティングとは、顧客の創造、維持を目的とする企業が、その目的を満たすような交換を顧客とのあいだに生み出すために、アイデアや財やサービスの考案から、価格設定、プロモーション、流通に至るまでを計画し実行するプロセスです。(ミツエーリンクス)
マーケティングとは、「儲け続ける仕組みを作ること」。(All About「マーケティングとは何か?その意味を知ろう」)
マーケティングは、業務の効率(利益の効率)をアップさせる科学的手法といえます。売れるための仕組みづくりともいわれています。よく、宣伝や販売促進活動がマーケティング活動と思われているようですが、本来は、顧客のニーズを満足させるための活動といえます。(ニーズ創造研究所)
マーケティングとは?マーケティング先進国と言われている、アメリカの解説も探して見ました。
マーケティングとは、組織と利害関係者にとって有益となるように、顧客にたいして価値を創造・伝達・提供し、顧客との関係性を管理したりするために行われる組織的な活動とその一連の過程である。(米国マーケティング協会)
マーケティングとは、個人や集団が、製品および価値の創造と交換を通じて、そのニーズやウォンツを満たす社会的・管理的プロセスである。(フィリップ・コトラー)
マーケティングの究極の目標は、セリング(売り込み)を不要にすることだ(ピーター・ドラッガー)
マーケティングとは、顧客の創造である(セオドア・レビット)
対法人におけるマーケティング
マーケティングも対法人企業では、消費者マーケティング(BtoCマーケティング)異なる部分があります。
法人のマーケティング(BtoBマーケティング)は、お客さまが個人ではなく法人であり、購入のプロセスや意思決定の流れが異なります。また、長期における関係性を重視するため、ブランディングやコミュニケーションの方法まで、BtoCマーケティングとは異なります。
マーケティング業務の流れ
マーケティングの出発点は市場にあります。市場を理解するための環境分析から始めることが一般的です。
マーケティング環境分析をして、その結果をもとにマーケティング戦略を策定し、マーケティング施策を実行する流れが、いわゆるマーケティングです。
マーケティング環境分析
マーケティング環境分析では、マクロ環境分析、市場分析、自社分析をすることで、市場の理解につとめます。実際にマーケティング戦略を立案していく前段階として、マーケティング活動をする環境を把握します。
政策や技術、社会的な流れなど、自社の努力では変えることができない「環境」の分析や、その市場のプレイヤーの動向を知るための競争市場分析を中心としてマーケティング環境分析を行います。
もちろん市場で戦うのは、みなさんの会社や製品です。そのため、自社の分析も欠かせません。
マーケティング戦略の立案
マーケティング環境分析が終わったら、マーケティング戦略を組み立てます。セグメンテーションされた市場の中から、自社がターゲットとする市場を選定し(ターゲティング)、その中での自社の立ち振る舞い(ポジショニング)を決めます。
セグメンテーションの抽出、ターゲット市場の決定、などは特に、前段のマーケティング環境分析の結果を活用します。
マーケティング施策の実施
マーケティング戦略の立案の次は、実際に戦略を実行します。つまり、マーケティング施策を計画して実行するというプロセスにうつります。
マーケティングの施策はマーケティングミックス(4P)というフレームワークがもっとも有名です。
マーケティングのお仕事や業務
マーケティングという概念について、ここまで理解を深めてきました。次は、実際のマーケティングのお仕事について説明しようと思います。
マーケティングのお仕事や業務は一般的に、大きな企業であればあるほど細分化されている傾向にあります。スタートアップやベンチャーなどでは、マーケティング担当者がここで説明する全ての仕事や業務を手がけることがあります。
マーケティングの仕事の種類や業務概要、必要なスキルは「マーケティングのお仕事とは?優れたマーケターになるための心得」でまとめました。ご参考になれば幸いです。
マーケティング・リサーチャー
マーケティングの環境分析、競合やお客さま(市場)の調査をすることが主な仕事です。リサーチには、定量調査と定性調査があります。
定量調査とは、数字にできる調査であると考えて良いでしょう。一方で定性調査とは、グループインタビューなどのインタビューを通じながら、その傾向や将来性を見出すために実施します。
マーケティング企画・プランナー
先ほどの説明の中において、マーケティング戦略の部分を担当します。企画やプランナーの仕事は会社によって異なります。
マーケティングの仕事の中には、マーケティング戦略に加えて、マーケティングミックス(4P)の策定まで手がける場合もあります。
プロダクトマネージャー・ブランドマネージャー
マーケティング施策におけるマーケティングミックスの製品やブランドに関わる部分を担当します。製品仕様と価格だけ担当する場合もあれば、販売流通やプロモーションまで手がける場合もあります。
また、製品カットのお仕事の場合もあれば、その製品群、製品カテゴリーなど、各社さまざまな位置づけになります。
マーコム・フィールドマーケティング
主にマーケティング施策のプロモーション(広告・宣伝)を担当します。広告だけに止まらず、セミナー実施や展示会出展、販促物の作成など、幅広く担当することがあります。
マーコムとは「マーケティング・コミュニケーション」の略で、外資企業の中にはマルコムと呼ぶ場合もあります。
さいごに
マーケティングついて、理解は深まりましたでしょうか?
マーケティングとは幅広い概念であり、広い分野に該当するため、頭の中で整理することが難しいと思います。この記事がみなさまのご理解のお役に少しでも立てれば幸いです。