ビジネス交渉術8選!心理学に基づいた交渉術をまとめました

ビジネスの場では、日々、あらゆる交渉が行われています。

「交渉を有利に進めたい…」
「お客さまとの信頼関係を構築したい…」
「営業成績を伸ばしたい…」

そんなお悩みを解決できる、ビジネスで使える交渉術を、具体例と共に厳選しました。紹介する交渉術はすべて、心理学的裏付けのあるものです。

この記事を読んで、交渉上手になりましょう。

大きな要求から始める交渉術:ドアインザフェイス

ドアインザフェイスは、こちらの要求を相手に承諾していただきやすくする交渉術です。

ドアインザフェイスとは

ドアインザフェイスとは、最初に「大きな要求」をして断られたあとで、本命の「小さな要求」をすると、相手に承諾していただきやすくなる、という心理学に基づいた交渉術です。

交渉の場でドアインザフェイスを成功させるポイントは、最初に、無理にも思えるような「大きな要求」をお客さまに突きつけ、確実に断っていただくことです。

なぜ、一度断っていただく必要があるのでしょうか。

人間は、要求を一度断ると、「断ってしまった」という罪悪感から、「次の要求はなるべく飲んであげたい」と思うからです。ドアインザフェイスは、人間の罪悪感を逆手に取った交渉術です。

ドアインザフェイスをビジネスに応用した具体例

あなたのサービスに、高額なAプランと、お手ごろなBプランがある場合、まずは高額なAプランをおすすめするのが、ドアインザフェイスを用いた交渉術です。

もしも高額なAプランを断られたとしても、「Aプランを断ってしまった」という罪悪感から、お手ごろなBプランには、承諾していただきやすくなります。

ドアインザフェイスをもっと詳しく知りたいなら…
ドアインザフェイスについては別記事の「ドアインザフェイスとは?交渉や調整でバツグンの効果を発揮する心理効果」にまとめています。あわせてごらんくださいませ。

小さな要求から始める交渉術:フットインザドア

フットインザドアも、ドアインザフェイスと同様に、こちらの要求を、相手に承諾していただきやすくする交渉術です。

フットインザドアとは

フットインザドアとは、最初に小さな要求に承諾していただくことで、その後の本命の要求にも承諾していただきやすくなるという、心理学に基づいた交渉術です。

前の章で紹介した「ドアインザフェイス」と名称が似ているので、両者の違いを明確にしながら、フットインザドアに対する理解を深めましょう。

ドアインザフェイスは、承諾していただけないであろう大きな要求をした後で、本命の要求をすると承諾していただきやすくなる、という交渉術でした。

フットインザドアは
「最初に小さな要求を承諾していただいてから、本命の要求をする」

ドアインザフェイスは
「最初に大きな要求を拒否させてから、本命の要求をする」
と覚えておきましょう。

フットインザドアが効果を発揮する理由は「一貫性の法則」という心理学用語で説明できます。

一貫性の法則とは、行動・信念・態度などを一貫させたいという、人間の心理的傾向です。「あの人、言ってることがコロコロ変わるよなあ」とは、あなたも思われたくないですよね。無意識のうちに、自分の行動や態度に、一貫性を持たせようとする傾向を、心理学では「一貫性の法則」といいます。

一度相手の要求を承諾した場合、その態度を一貫させようと、次の要求も承諾してしまう傾向があるため、フットインザドアは交渉術として有効なのです。

フットインザドアをビジネスに応用した具体例

フットインザドアは、営業のテレアポや、購入を迷っているお客さまに効果を発揮する交渉術です。ビジネスに応用しやすい「小さな要求」の例を紹介します。

フットインザドアをもっと詳しく知りたいなら…
フットインザドアについては別記事の「フットインザドアとは? 本命の要求に承諾していただくための交渉術を徹底解説」にまとめています。あわせてごらんくださいませ。

相手の「イエス」を引き出す交渉術:イエスセット

イエスセットは、相手に「イエス」と言っていただきたいときに有効な交渉術です。

イエスセットとは

イエスセットとは、なんども「イエス」と返事をしていると、次の質問にも「イエス」と答えやすくなってしまう、という、心理学に基づいた交渉術です。

イエスと言っていただきたい「本命の質問」の前に、「かならずイエスと答えていただけるであろう質問」を積み重ね、何度かイエスと答えていただくことで、本命の質問にイエスと言っていただきやすくなります。

イエスセットも、フットインザドアと同様に、「一貫性の法則」という心理学に基づいた交渉術です。

イエスセットをビジネスに応用した具体例

下図の会話例をご覧ください、きっとあなたも、最後の質問に、ついつい「イエス」と答えてしまうのではないでしょうか。

イエスセットをもっと詳しく知りたいなら…
イエスセットについては別記事の「イエスセットとは? 相手から「イエス」を引き出す交渉術を徹底解説」にまとめています。あわせてごらんくださいませ。

条件を変更する交渉術:ローボールテクニック

ローボールテクニックは、一度承諾してしまったら、最初に提示した条件が変わってしまったとしても、そのまま承諾してしまう、という交渉術です。

ローボールテクニックとは

ローボールテクニックとは、まずは好条件だけを提示して、その好条件に承諾していただいてから、悪条件を付け加えたり、好条件を取り除いたりする、心理学に基づいた交渉術です。

たとえば、「飲み放題1,000円ですよ」というキャッチについて行ったら、着座した後で、1人2オーダー制・お通し料・サービス料・深夜料金など、追加の料金を説明されたことはありませんか。着座した後に「それなら他の店にするよ」とは、なかなか言い出せませんよね。これは典型的な、ローボールテクニックです。

ローボールテクニックの具体例

ローボールテクニックは、BtoB、BtoCを問わず、交渉が伴う営業活動のシーンで用いられます。

ローボールテクニックをもっと詳しく知りたいなら…
ローボールテクニックについては別記事の「ローボールテクニックとは? 心理学に基づいた交渉術を徹底解説」にまとめています。あわせてごらんくださいませ。

信頼を勝ち取る交渉術:両面提示

あなたは自社の商品を売り込む時、メリットだけをアピールしていないでしょうか。あえてデメリットも含めてお伝えする交渉術が、両面提示です。

両面提示は、商談相手と信頼関係を築きたいときに使える交渉術です。

両面提示とは

心理学では、メリットまたはデメリットの片方だけを伝えることを「片面提示」と呼び、メリットとデメリットの両方を伝えることを「両面提示」と呼びます。

お客さまは、商品の購入やサービスへの加入を検討するとき、メリットだけでなくデメリットも含めて検討します。だからこそ、交渉術として両面提示が有効です。

営業担当者が自らデメリットを開示することで、「なるほど」という納得感のある営業トークを展開できるだけでなく、デメリットも包み隠さず話してくれる営業として、お客さまの信頼を得ることができます。

両面提示をビジネスに応用した具体例

片面提示の営業トークと、両面提示の営業トークを紹介します。

あなたが本気で商品の購入を検討しているなら、両面提示をしてくれた営業担当者の方を信頼するのではないでしょうか。

両面提示をもっと詳しく知りたいなら…
両面提示については別記事の「説得力を上げる両面提示とは?デメリットこそ営業の武器になる!」にまとめています。あわせてごらんくださいませ。

あなたをよく見せる交渉術:ハロー効果

あなたは、人を正しく評価できていますか。 人やものごとを評価するとき、とある際立った一面に大きな影響を受けてしまうことを、心理学ではハロー効果といいます。

ハロー効果を応用すれば、交渉の場で、あなたによい印象を持っていただけます。

ハロー効果とは

人やものごとの特徴が、そのほかの要素の評価にも影響を与えることを、心理学ではハロー効果といいます。

たとえば、「有名大学卒の帰国子女」と聞くと、どんな人をイメージしますか。

「仕事ができそうだ」
「性格がよさそうだ」
「仕事がやりづらそうだ」
「性格が悪そうだ」
など、あなたはさまざまな先入観を抱くでしょう。

しかし「有名大学卒の帰国子女」であることと、「仕事ができる・できない」「性格がよい・悪い」には、因果関係がありません。

このように、ひとつの要素への評価が、ほかの要素にも影響を与えてしまうことを、ハロー効果と呼びます。

交渉の場で、あなたの際立った「よい一面」を相手に見せることができれば、ハロー効果によって、交渉相手はあなたによい印象を持ち、その後の交渉を有利に進めることができます。

ハロー効果をビジネスに応用した具体例

ハロー効果は、直接相手と関わる、商談の場で効果を発揮する交渉術です。

たとえば、先に紹介した「両面提示」をし、一度「この人は誠実で、信頼できる」と思っていただけたら、そのほかの弱点や、多少のミスには目をつぶっていただけるでしょう。

また、かんたんにハロー効果の恩恵を得られるのは服装です。

あなたがピシッとしたスーツを着て、清潔感があれば、「信頼できそうな営業だ」とお客さまに思っていただくことができ、その後の営業活動を有利に進めることができます。

ハロー効果をもっと詳しく知りたいなら…
ハロー効果については別記事の「ハロー効果とは?あなたを好印象に見せる心理テクニック」にまとめています。あわせてごらんくださいませ。

相手の基準を作る交渉術:アンカリング効果

セールの品物を買うとき、値引き前の価格が書いてあるとお得だと感じることを、心理学では「アンカリング効果」といいます。

アンカリング効果は、相手に価格を伝えるときに使える交渉術です。

アンカリング効果とは

あなたは、1本300円のコーヒーが売られていたら、どう思いますか。

おそらく「高い」と思うでしょう。なぜなら、缶コーヒーの適正価格は100円〜150円だからです。

私たちの中には、「基準」となる価格があります。「基準」はもともと抱いていることもあれば、ある情報によって形成されることもあります。このような「基準」を、心理学では「アンカー」と言います。

最初に提示された数字や条件がアンカーとなり、その後の判断を無意識に左右してしまう心理作用を、心理学ではアンカリング効果といいます。

アンカリング効果をビジネスに応用した具体例

たとえば、交渉の場で、セール中の商品を提案する際に、値引き前の価格も一緒に伝えると、アンカリング効果の恩恵を得ることができます。

このように伝えると、値引き前の19,800円が基準になり、お客さまは、9,900円という価格をとてもお得に感じます。

また、あなたのサービスが安さを売りにしている場合は、先に競合他社の高額な価格を提示することで、競合の価格がアンカーとなり、あなたの強みである安さが、よりいっそう際立ちます

アンカリング効果をもっと詳しく知りたいなら…
アンカリング効果については別記事の「アンカリング効果とは?アンカリング効果の活用例から実践方法まで徹底解説」にまとめています。あわせてごらんくださいませ。

相手のイメージを操る交渉術:シャルパンティエ効果

私たちの判断は、イメージによって、いともかんたんに変わってしまいます。イメージによって判断が変わってしまう錯覚を、心理学では「シャルパンティエ効果」といいます。

シャルパンティエ効果は、商品の伝え方を工夫したいときに応用できる交渉術です。

シャルパンティエ効果とは

1kgの鉄アレイと、1kgの発泡スチロールはどちらが重いでしょうか。

どちらも1kgなので、重さは変わりませんが、なんとなく1kgの鉄アレイの方が重そうだと感じますよね。

このように、イメージによって判断が変わってしまう錯覚を、心理学ではシャルパンティエ効果といいます。

交渉の場では、伝え方を工夫することで、相手にポジティブなイメージを与えることができます。

シャルパンティエ効果をビジネスに応用した具体例

営業の交渉の場で、商品の価格を伝える際に、シャルパンティエ効果を用いてみましょう。

どの価格も、年間にしてみれば、支払う費用は全く同じです。しかし、価格の表現によって、お客さまの印象・判断は変わってしまいます。

シャルパンティエ効果をもっと詳しく知りたいなら…
シャルパンティエ効果については別記事の「シャルパンティエ効果〜思いのままにイメージを操る心理学とは」にまとめています。あわせてごらんくださいませ。

交渉術+α:AREAの法則

AREAの法則は、厳密には交渉術ではなく、わかりやすい説明をするためのフレームワークです。しかし、わかりやすい説明の技術を身につければ、相手を説得しやすくなり、交渉の場で優位に立つことができます。

AREAの法則とは

AREAの法則とは

  • Assertion(主張)
  • Reasoning(理由)
  • Evidence(証拠)
  • Assertion(再主張)
  • の頭文字をとった、説明の構成のフレームワークです。AREAの「E」をExampleとして、具体例を述べることもあります。

    AREAの法則を用いた説明の具体例

    AREAの法則を用いた説明をご覧ください。

    AREAの法則を用いた説明は、最初に「主張」をしているため、言いたいことが明確です。さらに、主張を「理由」「証拠・具体例」で論理的に補強しているため、説得力も生まれます。最後に「再主張」することで、「この話が何の話だったのか」を聞き手に印象づけることができます。

    AREAの法則をもっと詳しく知りたいなら…
    AREAの法則については別記事の「【AREAの法則】わかりやすく、説得力のある説明をするためのフレームワークを徹底解説」にまとめています。あわせてごらんくださいませ。

    【おわりに】あなたに必要な交渉術は?

    この記事で紹介した交渉術を全て取り入れるのはたいへんです。あなたの課題に合わせて、あなたに必要な交渉術を実践してみてください。

    この記事で紹介した交渉術を、ケース別にまとめました。

    【相手に要求を飲んでほしいときに使える交渉術】

    【相手との信頼関係を構築したいときに使える交渉術】

    【価格やサービスの伝え方を工夫したいときに使える交渉術】

    【わかりやすい説明をしたいときに使えるフレームワーク】