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メンバーのパフォーマンス差をどう埋める?AMO理論で見る原因と対策

「メンバー全員が十分な成果を出せる環境を作れているだろうか」
「もっとうまくメンバーを導いてあげたい」

営業マネージャーの皆さまは、チームマネジメントの際、このようなお悩みを持ったことはありませんか?

メンバー間でパフォーマンスの差が開いてしまう原因を、人的資源管理のフレームワークである「AMO理論」に沿って解説します。

さらに、メンバーのパフォーマンスを向上させるためにマネージャーができることを、私たちカイロスマーケティング株式会社の営業チームの事例を交えて要因ごとにご紹介します。

チーム全体の成果をさらに高めるために、この機会にご自身のマネジメント方法を見直してみましょう!

そもそもAMO理論とは?

AMO理論は、営業マネージャーが部下をマネジメントし、成果を引き出すためのフレームワークで、「Ability(能力)」「Motivation(動機)」「Opportunity(機会)」の3つの要素を軸とした考え方です。これらを総合的に管理することで、部下の成長とチーム全体の成果を最大化できるという理論です。

Ability(能力)要因

営業チームにおける個々の能力は、業績やチームの成長に直結します。特にスキルや専門知識の習得状況に差がある場合、パフォーマンスの違いが顕著に現れることがあります。メンバーが持つスキルや知識のギャップを埋めるためには、効果的なトレーニングや具体的なサポートが重要です。

この章では、能力要因に着目し、スキル向上や知識共有のための実践的なアプローチをご紹介します。

要因①:個人のスキルが十分でない

​営業チームの中で、メンバーごとにパフォーマンスの違いが生じることは珍しくありません。特にトーク力や折衝力などの営業の基本スキルは、経験や学びの差によってバラつきが出やすい領域です。

生成AIツールの活用

ChatGPTなどの生成AIツールを活用すれば、「新規のお客さまへの提案」「価格交渉」「クレーム対応」など具体的なシナリオを想定した模擬トークを簡単に実施できます。

私たちカイロスマーケティング株式会社の営業チームでは、ChatGPTを用いたロープレを実施しています。下記は、実際にChatGPTでロープレをしている画像です。

ChatGPTには音声入力機能があり、実際に話しながらやり取りができるので、よりリアルなロープレができます。

事前にChatGPTへ「自身の役割(営業をかける担当者)」「対応してもらいたい役割(営業を受ける責任者)」「場面設定(Webサイトから資料請求し、ミーティングを設定されている、等)」「指示(ロールプレイングをしたい。質問に対してあなたの役割に沿って回答・質問して欲しい)」と指示します。

この「対応してもらいたい役割」と「場面設定」を、今後実際に対応するお客さまを想定したものに設定すると、より解像度の高いロープレになるでしょう。

情報漏洩の観点から、お客さま情報(取引先名など)、個人情報(担当者の名前など)、機密情報(お客さまとの詳細な取引内容など)は入力しないようにしましょう。

マニュアル化

成功事例を分析し、具体的な行動パターンをマニュアル化することも有効です。「商談の事前準備」「ヒアリングのポイント」「フォロー」といった、営業活動における具体的なガイドラインを提供することで、誰でも再現性のある成果を目指せるようになります。

要因②:個人の3C知識が十分でない

市場や顧客、競合、自社製品に関する知識が不足していると、お客さまへの提案や折衝時に自信を失い、結果的に売上成果の差につながることがあります。この問題の背景には、事業環境を分析するフレームワーク「3C」(市場・顧客:Customer、競合:Competitor、自社:Company)の知識が不足している可能性があります。営業成果を向上させるには、各メンバーが3Cを深く理解し、実践に生かすことが重要です。

チーム全体での読書

チームメンバーで同じ書籍を読むと、メンバー間で営業の基本スキルや考え方が統一され、チーム全体の営業力を底上げする効果が期待できます。ターゲットとなるお客さまに関連する書籍や、競合サービス・自社製品に関連した書籍を読み、知識をつけましょう。

私たちカイロスマーケティング株式会社には、業務に役立つ書籍の購入費用を会社が負担する「読書支援制度」があります。「役に立った!」と感じる書籍の情報が蓄積され、会社全体で読書をする文化が根付いています。

当社の営業チームがおすすめ書籍をご紹介する記事もございますので、よろしければごらんください。

勉強会の実施

勉強会のテーマで「競合のサービス情報やポジショニングの把握」を扱えば、自社の立ち位置や、強み・弱みの理解が深まります。 また、「競合がどのような戦略で市場にアプローチしているのか」をテーマにすれば、市場における成功要因を探る手がかりが見つかります。

私たちカイロスマーケティング株式会社の営業チームでは、定期的に競合調査・自社製品・ノウハウ共有の勉強会を実施しています。競合の動きや戦略、アップデートされた自社製品の仕様や情報、個々で蓄積されたノウハウは、チームでインプットしすぐにお客さまへご提案できるよう努めています。

下記の画像は、カイロスマーケティング株式会社の営業チームが勉強会を実施した際の議事録の一部です。「クロージング力」を高めるため、メンバーそれぞれが「クロージング」をテーマにしたライトニングトークを行いました。

マネージャーからだけでなく、チームメンバー同士がよい点を見つけてフィードバックし合うことで、全員のモチベーションが向上し、協力し合う文化が育まれています。

また、勉強会はやりっぱなしにせず、勉強会ごとに議事録やミーティングの録画を残し、ナレッジ共有ツール「Docbase」にて勉強会の履歴を残すことで、いつでも振り返りができるようにしています。

オンボーディングプログラムの設計

マネージャーから見て、3Cの知識をより深めるべきと感じるメンバーには、学ぶべき項目を段階的に提示するオンボーディングプログラムを設計しましょう。「市場分析」「競合製品の特徴」「自社サービスの提案トーク例」などをステップごとに割り振り、進捗を可視化することで、漏れのない学習が可能になります。新しいメンバーを迎える際にも活用できるでしょう。

私たちは、プロジェクト管理ツール「Asana」を活用し、カテゴリごとにタスクを割り振っています。新しいメンバーが入社した際にこのオンボーディングプロジェクトを共有し、進めてもらうようにしています。コメント機能を活用し、タスクの進捗状況に応じたフォローが可能です。

Motivation(動機)要因

動機要因とは、目標に対する納得感や自己効力感の不足により起こります。

メンバーへの動機づけが不十分な場合、業務への積極性が欠けてしまいます。メンバーが自身の役割や目標の意義を理解し、達成に向けたモチベーションを高められるよう、適切な施策を講じましょう。

この章では、動機要因に着目し、メンバーのモチベーションを高める具体的な方法をご紹介します。

要因①:目標への納得感がない

「この目標は自分にとって意味があるのか?」「本当に達成可能なものなのか?」といった疑問を抱えると、メンバーのモチベーションが低下し、行動にブレーキがかかる可能性があります。

KPIの見直し

目標は、現実的に達成の可能性が見込めて、かつ現状を踏まえた上で少し挑戦的なものであることが望ましいです。

達成に向けて実際に動くのは営業メンバーです。KPIが営業メンバーのモチベーションを高められる数値になっているかを今一度見直してみましょう。設定したKPIが上層部や管理職だけで作った机上の空論とならないように意識することが大切です。

成果に繋がりやすいKPIの具体的な設定方法や、当社のKPI運用の取り組みはこちらの記事でご紹介しています。よろしければごらんください。

戦略・ビジョンの提唱

目標達成のためには、組織の目指す姿や意義をメンバー全員が理解し、共感することが重要です。そのためには、日々の業務の「指示」だけでなくその業務の「戦略」と、その戦略により達成される「ビジョン」の関連性を具体的に説明してあげましょう。

「戦略」についてはコミュニケーションツール「Slack」の営業チームチャンネルで提唱しています。

具体的には、Slackチャンネルの「関連ページ」の機能を活用しています。「関連ページ」は、ミーティングの議事録や販売戦略をまとめたドキュメントなどのリンクをまとめて置いておくことができ、振り返りたい時にすぐ確認できます。

また「ビジョン」については、営業チームの週次ミーティングの議事録のファーストビューに、グラフィック化したものを設定しています。議事録を開くと必ず目に入るよう、意識的に設定しています。

このように、ビジョンや戦略を、日常的に使うツール上で確認できる状態にすることで、メンバーが自ら振り返り、意識を高める環境を整えています。

要因②:自己効力感が不足している

目標設定や評価指標に課題があると、自身の行動が成果に繋がっているという実感(自己効力感)が不足し、メンバーのモチベーション維持が難しくなります。結果的にパフォーマンスに影響が出るでしょう。

目標達成プロセスの構造化

組織やチームにおける最終目標(KGI)を細分化し、達成するまでのステップ(KPI)に分解し可視化すると、メンバーが「これならできる」という感覚を持てるようになります。例えば、月間売上目標を「1日あたりの商談数」や「週ごとの進捗」など具体的な行動目標に落とし込み、進捗が見える形にしましょう。

私たちカイロスマーケティング株式会社の営業チームでは、KPIツリーを作成し、先ほどの「Slackチャンネルの関連ページ」にリンクさせています。KPIツリーとは、KGIと、KGI達成のためのアクションをブレイクダウンし樹形図で表記したものです。

営業成果のレポート化

SFAツールを活用して、チーム全員が営業活動の進捗や成果をリアルタイムで共有できる環境を整えます。SFAツール「Kairos3 Sales」なら、全員が見られる状態でレポートを閲覧できるので、メンバー自身が成果を感じられます。成果が出ない時期があっても、他のメンバーの成功事例を知る機会も得られます。SFAツールで成果をレポート化することで、メンバー同士のパフォーマンス向上に寄与します。

1on1の実施

定期的な1on1を通じて、個々のメンバーの課題や取り組みを深く理解しましょう。具体的な行動に焦点を当てたフィードバックを行うと、次の行動につながり結果的に成長を促します。1on1を実施する際にもダッシュボードが役立ちます。

カイロスマーケティング株式会社の営業チームが実施する1on1では、マネージャーがメンバーに「感謝していること、よかった行動、素晴らしい結果」などポジティブな要素を3つ以上見つけてから1on1に臨むようにしています。

具体的な成果やよい行動に対するポジティブなフィードバックは、メンバーに自信を持たせ、次の挑戦へのモチベーションを引き出します。また、評価される経験が増えると、メンバーは自身の行動が成果につながっているという実感を得られるでしょう。

Opportunity(機会)要因

メンバーが能力を発揮し、成長するためには、適切な役割や環境が必要です。機会を与えられない状態では、いくら能力や動機が高くても成果を出すのは難しくなります。また、成功体験の不足はモチベーション低下にもつながります。

この章では、機会要因に着目し、メンバーの可能性を引き出すために必要な環境整備や役割の割り振りについて、マネージャーができることをご紹介します。

要因①:実力を発揮できる役割や業務が割り当てられていない

メンバー一人ひとり、多様なスキルや特性を持っています。メンバーの適性を鑑み業務を割り振ると、そのメンバーのパフォーマンスが最大化されるでしょう。得意なことを担当してもらい、不得意部分はメンバーみんなで補いあえば、チーム全体ひいては組織の目標達成につながるでしょう。

業務状況・悩みの把握

メンバーの適性を発見するためには、まずSFAツール「Kairos3 Sales」で、案件ごとの「営業ログ」をつけるよう指示します。商談で話したことやお客さまの反応、タスクの処理状況など、メンバーの日々の進捗や悩みを可視化した上で、1on1を実施しましょう。

要因②:成功体験が不足している

メンバーが成功体験を積めると、自身の行動に自信がつき、モチベーションの向上が期待できます。マネージャーのみなさまは、メンバーが成功体験を得られるように働きかけましょう。

お客さまの見込み状況の精査・アタック状況の可視化

商品を今すぐにでも購入したいケースや購入検討し始めたばかりのケースなど、お客さま一人ひとりの温度感はさまざまです。MAツール「Kairos3 Marketing」は、見込みのあるお客さまが「いつ」「どのWebサイトに」アクセスしたかがわかるため、購買意欲の高いお客さまを見つけ出せます。お客さまの確度にあわせた適切なアプローチによって、確実に成功体験を積み重ねましょう。

また、MAツール「Kairos3 Marketing」でお客さまのの優先順位をつけたら、SFAツール「Kairos3 Sales」のアタックリスト機能を使い、対応の進捗やネクストアクションを一覧で確認するようにしましょう。アタック状況が可視化されることでメンバーの動きがわかるので、期日が近いタスクをフォローしあえ、メンバーの成功体験の創出に寄与します。

また、Motivation(動機)の章でご紹介した「納得感のある目標設定」も、メンバーの成功体験の創出に大きく影響するでしょう。

おわりに

AMO理論に基づいた、能力(Ability)、動機(Motivation)、機会(Opportunity)という3つの観点は、どれもマネージャーとして日々向き合うべき基本的な要素です。

マネージャーのみなさまは、メンバー一人ひとりの課題を理解し、適切なアプローチをとる必要があります。例えば、能力不足にはスキルアップの機会を提供し、動機の欠如には目標の納得感を高める施策を、そして機会の不足には適切な役割や環境の整備を行うことです。

メンバーのパフォーマンスを引き上げることは、単に数字を伸ばすだけでなく、チーム全体の成長と成果に直結します。ぜひ今回の内容を参考に、自社に最適な施策を取り入れてみてください!

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