インターネットの普及によって、BtoB領域においても従来の営業手法が通用しにくくなっています。インテントセールスは、Webの検索などのインテントデータをもとにした新しい営業手法として注目されています。
インテントセールスに興味を持つ方に向けて、インテントセールスの概要や注目されている背景、導入における流れなどを紹介します。
この記事のもくじ
インテントセールスとは
インテントセールス(intent sales)とは、ユーザーの興味・関心を示す「インテントデータ」を活用し、潜在顧客に対してアプローチを図る営業手法のことです。主にBtoB領域で用いられ、顧客のニーズが発生したタイミングで、効率よくニーズに応じたアプローチを行うのが特徴です。インテント(intent)とは、「意図」や「目的」という意味です。
インテントセールスでは、複数の「インテントデータ」を組み合わせて分析し、個々の企業のニーズに応じた営業活動を展開します。インテントデータとは、Web上におけるユーザーの意図や目的を持った行動によるデータを指し、検索クエリやWebサイトの閲覧履歴、滞在時間などが該当します。
インテントデータは、1stパーティデータ・2ndパーティデータ・3rdパーティデータの3種類に区分されます。
1stパーティデータとは、自社のWebサイトでの行動履歴データや自社で実施したアンケート調査をもとに、社内で保管しているデータです。2ndパーティデータはパートナー企業が収集し、提供を受けたデータ、3rdパーティデータは外部企業が収集し、公開しているデータを指します。
インテントセールスが注目される背景
インテントセールスが注目されている背景にはインターネットの普及があります。BtoB領域でも、企業の購買担当者はWeb上のさまざまな情報を集める時代となり、情報収集のあり方が変化しました。
従来は、広告などを通じて情報を提供すると、「認知」「興味・関心」「比較検討」といったバイヤージャーニーのフェーズに沿って、潜在顧客を見込み顧客に育成できました。現在は企業の購買担当者がレビュー記事や比較サイトを活用して情報収集を行うことが多くなり、潜在顧客を見込み顧客化する前に購買の意思決定がなされるケースが目立つようになりました。
見込み顧客をじっくりと育成することが難しくなっているため、潜在顧客にアプローチを図る手法として、インテントセールスが重要視されているのです。
インテントセールスの仕組み
インテントセールスは、次の流れで顧客にアプローチします。
- インテントデータの収集
- インテントに基づく企業のターゲティング
- アプローチする部署や人物の特定
- インテントに合致した訴求内容の作成
- 最適なアプローチの実施
1:インテントデータの収集
まず、検索クエリやWebサイトの閲覧履歴などのインテントデータを収集し、ニーズを特定します。1stパーティデータのみでは母数が少ないため、2ndパーティデータも収集することで顕在的なニーズの深掘りができます。また、3rdパーティデータは、自社とは関連性のない企業へのアプローチを図りたいときなどに有効です。
2:インテントに基づく企業のターゲティング
インテントデータから特定したニーズをもとに、興味・関心の高い企業のターゲティングを行います。また、ターゲットがカスタマージャーニーにおける「認知」「興味・関心」「比較検討」のどのフェーズにいるのかの仮説も立てます。
複数のニーズが見込まれるケースや、想定していたニーズとは異なるケースもありますが、購買につながりやすいニーズを選定してターゲットを絞り込むのがポイントです。
3:アプローチする部署や人物の特定
BtoB領域では、ターゲット企業に提案を行ううえで、アプローチする部署や人物の特定が重要です。インテントデータを分析して把握したニーズや課題から、ニーズがあると想定される部署を特定しましょう。購入の意思決定のキーマンとなる人物を特定することで、決裁までのプロセスがスムーズに進むことが期待できます。
4:インテントに合致した訴求内容の作成
アプローチする企業や部署が抱えるニーズ、課題をもとに、訴求内容をまとめます。
インテントデータをもとに、自社の商品・サービスに関連するキーワードを検索する企業にアプローチをかけるのではなく、ターゲット企業のニーズやフェーズの仮説を立ててアプローチすることが大切です。
ターゲット企業の業種や規模といった属性を踏まえる必要はありますが、検索クエリから想定される課題をもとに、自社の商品・サービスがいかにターゲット企業の課題解決に役立つかをアピールすることで、訴求効果が高まります。
5:最適なアプローチの実施
メールやSNSのDM、コーポレートサイトの問い合わせフォーム、電話、手紙といったさまざまなコミュニケーションチャネルの中から、企業の特性やニーズに応じて、高い効果が見込まれる手段を選定してアプローチを行います。
インテントセールスは、すでに発生しているニーズに対してアプローチを図る手法です。ターゲットの購買意欲が高いタイミングを逃さないようにしましょう。
インテントセールスを成功させるポイント
インテントセールスを成功させるポイントをまとめました。
- ターゲット企業の絞り込みを適切に行う
- ニーズや課題に応じた個別の提案を行う
- 最適なタイミングでアプローチを図る
- 長期的な関係構築を目指す
インテントデータからいくつものニーズが想定される場合がありますが、その中から特に購買意欲が高いと見込まれるニーズを特定することが、最適なターゲット企業の絞り込みにつながります。
企業への訴求内容を作成する際には、画一的なメッセージを用意するのではなく、ニーズや課題の解決につながるような個別の提案を行うと効果的です。
また、顧客の自社への興味が高まった最適なタイミングで、ニーズに応じた提案を行うことにより顧客満足度を高められれば、長期的な関係の構築にもつながります。
インテントセールスにはツールの導入が不可欠
インテントセールスを行うには、顧客情報の管理や営業活動の効率化を図るツールの導入が不可欠です。インテントセールスに活用できるツールには、CRM(顧客関係管理)やSFA(営業支援システム)などがあります。
CRMは、顧客情報を管理して、顧客との関係性の強化を図る目的で用いられるツールです。SFAは、商談開始から受注までの営業活動を支援するツールです。
これらのツールは、顧客のニーズや関心に基づいたコミュニケーションに役立つとともに、データに沿った効率的な営業活動を展開できます。
当社が開発・販売するSFAツール「Kairos 3 Sales」もおすすめです。「案件管理」「顧客管理」「日報・週報管理」「ToDo管理」といった機能により、案件の進捗状況を見える化して営業の対応漏れを防ぐなど、インテントセールスにおける取り組みを支援します。
さらに、「目標値設定」や「受注・失注分析」などの機能により現状を把握でき、「カスタムレポート」や「ダッシュボード」を活用してデータによる意思決定を行うことで、データドリブンな営業活動を実現できるといったメリットもあります。