年間100本以上執筆する編集部から学ぶ、オウンドメディアの記事企画術

オウンドメディアは、始めるよりも継続が難しい施策です。継続が難しい理由の1つが、「企画」にあります。継続的に記事を投稿し続けるためには、継続的に企画を生み出し続ける仕組みが欠かせません。

私たちマケフリ編集部は、年間100本以上の記事を企画、執筆、編集しています。この記事では、オウンドメディアの記事企画方法を、当社の事例を交えながらご紹介します。これからオウンドメディアを運営していきたい、マーケティング担当者さまのお役に立てば幸いです。

※この記事は2021年1月8日に更新しました。

オウンドメディアの企画プロセス

オウンドメディアの記事企画には、4つのステップがあります。

企画と言うと、1つ目の「企画のアイデアを出し」を思い浮かべがちですが、企画のアイデア出しはあくまで企画の最初のステップに過ぎません。4つ目の「企画のレビュー」を終えて初めて、最初のステップで出した企画アイデアは、「企画」と呼べるものになります。

この記事では、上記4つのプロセスそれぞれについて、くわしく解説していきます。

1:企画のアイデアを出すための3つの工夫

企画のアイデア出しのステップでは、企画の実現可能性や良し悪しを考える必要はありません。このステップで考えるのは、あくまで企画の「種」です。この「企画の種」を本格的な企画に昇華させるか否かは、今後のステップで考えます。

企画のアイデア出しのステップでは、みなさんは自由な発想でアイデアを出してください。複数人でブレストをする場合も、他人のアイデアを否定するのは避けましょう。

この章では、企画のアイデアを出すための3つの工夫をご紹介します。

工夫1:企画をストックしておける場所を用意する

企画をストックしておけるツールを利用すると、よい企画を思いついたときに、チームメンバーそれぞれが自由に企画をストックできます。

企画は、思いついたそのときに共有できないと、忘れ去られてしまうことがあります。企画をストックできるツールを利用し、企画アイデアが思いついたときに、いつでも誰でも企画を書き込めるようにしておきましょう。

当社マケフリ編集部では、企画をストックするツールとしてAsanaを活用しています。Asanaのカンバン方式のプロジェクトを利用することで、記事の企画から執筆、投稿までワンストップで管理しています。

私たちは、Asanaに「企画のたね」というプロジェクトを設けています。このプロジェクトでは、「企画としてアリかも」と思ったアイデアを、チームメンバーが誰でも自由に書き込めます。この時点では、企画の発案者は企画の概要をざっくり書くだけでOKです。

記事に着手する段階で締め切りを設定しておくと、チームメンバーそれぞれのタスク量や投稿スケジュールが可視化されるため、マネージャーはチームをマネジメントしやすい環境が作れるはずです。

工夫2:定期的に企画会議を開催する

オウンドメディアの企画は、1人で悩むより、複数人集めて企画会議を実施した方がよいアイデアが出ます。企画会議では、「こんな記事を企画したらどうか」「こんな記事が書きたい」といったことを、ラフにブレストします。

企画会議で大事なことは、どんな企画も否定しないことです。たとえ「その企画はいまいちだな」と思ったとしても、「発案者の企画意図」や、「なぜそれを書きたいのか」といった動機を深掘りすると、よい企画アイデアが生まれます。

また、アイデアを生むためのフレームワーク「オズボーンのチェックリスト」を利用するのもよいでしょう。

マケフリ編集部のある企画会議では、お客さまの役に立つ記事テーマを企画するために、「お客さまに営業やサポートがお渡しする、社内資料を読み返すのはどうか」というアイデアが出ました。

社内資料を読み返してみると、説明が必要そうな専門用語がたくさん見つかりました。結果、この企画会議では、オウンドメディアの記事テーマが10個以上生まれました。

なおこの企画会議の手法は、オウンドメディアの企画だけでなく、メルマガのネタ出しにも使えます。

工夫3:アイデアを社内から募集できる仕組みを作る

社内は企画の宝庫です。たとえば、営業やサポート担当者は、お客さまのお困りごとをよく知っています。営業やサポート担当者に記事のアイデアを聞いてみると、企画の上で有益な、以下のような情報を得られることが多々あります。

  • 「こういう記事があると、お客さまに送れるからありがたい」
  • 「この辺りの内容は、お客さまからよく質問を受ける」
  • 「お客さまは、最近この辺りの内容で困っていることが多い」

記事企画に困ったときに、社内の担当者に「何かよい企画アイデアはないでしょうか」と質問してみるのもよいですが、私たちのオススメは、記事の企画アイデアを社内から募集できる仕組みを作ってしまうことです。

たとえば、Googleスプレッドシートなどを活用し、「書いて欲しい記事のテーマ」や「記事のアイデア」を社員が自由に書き込める仕組みを作ります。企画の募集を仕組み化することで、自分のチームだけで記事の企画に悩まずに済むようになります。

企画を提案した社員も、自分の企画が記事になることで、業務が楽になったり、お客さまへの情報提供が容易になったりするため、メリットがあります。社内を巻き込みながら、企画提案者とwin-winの関係を築いていくことで、オウンドメディアの企画が集まりやすい仕組みを構築できます。

2:企画の難易度を想定し、着手するか撤退するかを決める

前章でもお話ししましたが、ステップ1で出した企画のアイデアは、あくまで企画の「種」です。面白い企画にできそうなアイデアもあれば、「これはちょっと難しそうだ」という企画もあるはずです。

このステップでは、執筆が困難な企画を弾きます。私たちの経験上、執筆が難しそうな企画を無理に押し進めると、それらのほとんどが結局ボツになります。

手戻りのリスクを減らすためにも、企画の難易度を予想しておきましょう。マケフリ編集部では、以下のマトリクスに当てはめて企画の難易度を予想しています。

マトリクスの横軸には「一次情報」と「二次情報」という項目を設定しています。一次情報とは、実体験により獲得した情報やノウハウを指します。二次情報はその逆で、人から聞いた話や、インターネットからの情報やノウハウを指します。

縦軸には、正解の有無を設定しています。私たちの経験上、「正解がない」テーマの執筆は難易度が高くなる傾向があります。「正解がある」テーマについて執筆する際は、情報をわかりやすく整理する力や、ファクトチェックが求められます。

上記2つの軸を用いると、以下4つの象限が出来上がります。

特に注意すべき象限は、「二次情報かつ意見」です。「二次情報かつ意見」について執筆することはすなわち「正解がなく、自分が体験したこともないものごとについて執筆する」ことです。どんなに経験を積んだライターでも、「二次情報かつ意見」の象限について執筆するのは困難です。

したがって私たちは、「二次情報かつ意見」に当てはまる企画の執筆は、特別な理由がない限り避けています。

次に注意すべきは、マトリクスの中心に位置する企画です。この領域は、意見や事実、一次情報や二次情報をバランスよく取り入れて執筆する必要のある企画です。たとえば、「〜とは」系の記事がこの領域にあたります。

「〜とは」系の記事は、マケフリ編集部でも数多く執筆してきましたが、どれも執筆にとても苦労しました。決して書けないわけではありませんが、この領域の企画を執筆する場合は、ある程度の覚悟を持って挑みましょう。

最後に、「一次情報かつ意見」の象限についてもご説明しておきます。マケフリ編集部は、「一次情報かつ意見」の象限に当てはまる企画に積極的に着手しています。この記事も、「一次情報かつ意見」に当たるテーマです。

この領域に当てはまる企画には正解がありません。「正解がない」企画は、「記事の独自性(オリジナリティ)を担保するチャンス」でもあります。執筆は困難ですが、実際に体験したことならば、書き上げられる可能性はグッと上がります。

最後に、この章の話をまとめると、以下の図が完成します。

レベルは目安です。参考になれば幸いです。

3:企画の質を高める4つの質問で、企画を詰める

このステップでは、あくまで「アイデアベース」だった企画を具体化し、本格的な企画へと昇華させます。企画を詰めるときは、4つの質問について考えをまとめましょう。

「誰の」「どんな悩みに対して」という質問は、言い換えると「ターゲット」と「ニーズ」を考える項目です。あらゆるコンテンツ制作は、ターゲットとニーズを深掘りするところから始めます。ターゲットとニーズの設定方法については、オウンドメディアの記事アウトライン作成方法を徹底解説|記事アウトラインの必要性や作成手順、注意点をご紹介で解説しています。

「何を答えるか」という質問は、記事の大まかなあらすじを考える項目です。「何を答えるか」が具体的であればあるほど、担当者や上司は記事の仕上がりをイメージしやすくなります。

最後の「なぜ私たちが答えるべきか」という質問は、企画にオリジナリティを付与するための質問です。「なぜ私たちが答えるべきか」という質問に対する答えが明確だと、「自分たちが書き上げなくてはならない」という使命感につながります。その使命感は、担当者のモチベーションにも貢献するでしょう。

反対に、「自分たちが答えるべき理由はない」という結論に至った場合、その企画にはオリジナリティがなく、書き上げたとしてもすぐに競合に模倣されるコンテンツになってしまうでしょう。「誰が書いても同じ」コンテンツを、わざわざあなたが書く必要はありません。

4:企画をレビューしてもらう

独りよがりな企画にしないために、社内やチームメンバーからレビューをもらいましょう。レビューを頼めるメンバーがいない場合は、セルフチェックでも効果があります。

私たちは、セルフチェックやレビューの観点として、以下4つの項目を設けています。

1つ目は、「ミッション(ビジョン)に合致しているかどうか」です。マケフリ編集部では、この項目を真っ先に確認します。ミッション(ビジョン)は、組織運営やビジネスにおける最上位概念だからです。私たちのミッションは、「マーケティングを身近にすること」ですので、私たちの企画はかならず「マーケティングを身近にする」企画でなくてはなりません。

2つ目は、「戦略に合致しているかどうか」です。この項目では、オウンドメディア運営やコンテンツ制作における「戦略」に企画が合致しているかどうかを確認します。マケフリ編集部では「ワンソースマルチユースなコンテンツを作る」ことを戦略としているため、この戦略からずれた企画になっていないかを確認します。

ワンソースマルチユースとは
ワンソースマルチユースとは、1つのコンテンツを複数の用途で活用することです。ワンソースマルチユースは、かんたんに言うと「コンテンツの使い回し」です。コストパフォーマンスの観点から、私たちはワンソースマルチユースなコンテンツを作ることを戦略としています。
メディア運営に関する用語についてもっと詳しく学びたい担当者さまは、「メディア運営で覚えておきたい用語集|新人マーケターの辞書」の記事をあわせてごらんください。

3つ目は、「顧客の課題起点の企画になっているかどうか」です。マーケティングを目的としたコンテンツ制作では、「自分の作りたいコンテンツを作る」のではなく、「読者の欲するコンテンツを作る」ことが大切です。この項目では、「この記事を書きたいから」といった書き手の都合や、「売りたいから」という自社の都合を起点とした企画になっていないかを確認します。

4つ目は、「読んですぐに実行可能な記事に仕上がるかどうか」です。記事でお伝えするノウハウは、実践して初めて成果が出ます。そのため私たちは、「抽象的な話ばかりの記事にならないか」「読んですぐに実行できるくらい、具体的に書けるか」といった点を確認しています。

上司や編集長への企画提案の方法と例文

この章では、企画を上司や編集長に提案する際のテンプレートをご紹介します。上司や編集長は、みなさんの企画提案を見て、企画の良し悪しを判断します。みなさんがせっかくよい企画を練ったとしても、提案方法が悪ければ、ダメ出しされてしまいます。

たとえば、以下のようなSEOキーワードをベースとした提案方法では、上司はその企画の良し悪しを判断できません。

次回の記事ですが、パワポ グラフデザイン のキーワードで書こうと思っています。いかがでしょうか。

このような提案方法では、「NG」を出されてしまうでしょう。もしくは、さまざまな角度から質問攻めにあい、担当者の執筆意欲も失せてしまうはずです。

いままでご紹介したステップをきちんと踏んでいれば、企画提案は難しくありません。企画提案は、企画の4つの着眼点でご紹介した4項目を、文章にして伝えるだけでよいのです。

  • 誰の
  • どんな悩みに対して
  • 何を答えるか
  • なぜ、私たちが答えるべきか

以下、企画提案をする際の例文です。ご参考になれば幸いです。

新規記事の企画をしましたのでご確認ください。

マーケティング部門で働いていて、資料を作ることが多いビジネスパーソンの「グラフのデザインがうまくできない、いつもダメ出しを受け」るという悩みに対して

  • 色の使い方
  • 棒の幅の変更方法
  • 数値ラベル
  • 縦軸と横軸の使い方

などのノウハウをお伝えする記事を書こうと思っています。

セミナーでも資料をお褒めいただくことが多いですし、日頃資料を作っている私たちならお悩みを解決できると考えています。

また、自社内で資料作成に苦手意識を持っている社員に参考にしていただきたいとも考えています。

いかがでしょうか。