バリュープロポジションとは?作り方をわかりやすく解説

お客さまが求めていないプロダクトを作ってしまう理由は、バリュープロポジションを正しく作れていないことにあります。

バリュープロポジションは、日本のマーケティングの現場では聞き慣れない言葉かもしれませんが、一度作ってしまえば多くのメリットがあります。

今回は、バリュープロポジションについて徹底解説します。

バリュープロポジションとは

バリュープロポジションとは、「顧客が望んでいて、かつ競合が提供できていない自社独自の価値」を言語化したものです。「ターゲットに対して、適切な提供価値を言語化したもの」と考えると、バリュープロポジションは、セールスコピーに近い概念といえます。

セールスコピーとバリュープロポジションのちがいは、公開範囲にあります。セールコピーはお客さまに読んでいただくことを前提に作りますが、バリュープロポジションはかならずしもお客さまに向けて公開するものではありません。

バリュープロポジションは、「どのようなバリュー(価値)をプロポーズ(提供)するのかを言語化したもの」ですので、「バリュープロポジションを社内で共有して、製品開発やプロダクトマーケティングの指針とする」といった使い方も考えられます。

バリュープロポジションが重要である2つの理由

バリュープロポジションを作っておくことは、以下2つの理由で重要です。

  1. お客さまがあなたの製品価値を認識するため
  2. 作り手が顧客視点に立つため

それぞれご紹介します。

1:お客さまがあなたの製品価値を認識するため

忘れがちなことですが、あなたの周りにいる社内の同僚は、その分野のプロフェッショナルです。
似たような製品がたくさんある中でも、彼らは自社、または競合の製品価値を認識できます。

しかし、あなたのターゲットとするお客さまの多くは、その分野のプロフェッショナルではありませんし、専門的な知識も持ち合わせていません。そのため、お客さまがあなたの製品価値を一瞬で認識するためには、バリュープロポジションが必要です。

2:作り手が顧客視点に立つため

作り手の思いと、顧客の思いは往々にしてすれ違うものです。

「よかれと思って追加した機能だったが、顧客にはまったく使われない機能になってしまった」
「顧客の声を聞かず、作り手の思いと勢いだけで製品開発をしてしまった」
「自社の都合を優先した、売り込み中心のマーケティング活動をしている」

営業、マーケティング、製品開発の現場では、上記のような事態と常に隣り合わせです。

バリュープロポジションを社内で共有、浸透させておけば、作り手は上記のような独りよがりな製品開発や、マーケティング・営業活動をせずに済みます。バリュープロポジションは、作り手が製品開発やマーケティング・営業活動の方向性に悩んだ際に、進むべき指針になるのです。

よいバリュープロポジションの3つの要素

よいバリュープロポジションを作るには、以下の3つの要素を意識しましょう。1つのバリュープロポジションの中に、すべての要素を含んでいる必要はありません。

1:自社製品が、お客さまの課題をどのように解決するかが明確

よいバリュープロポジションは、「この製品を使うと、どのような課題がどうやって解決されるのか」が明確にわかります。

当社はKairos3というマーケティングオートメーションツールを開発、提供しているベンダーですが、マーケティング担当者以外は、「マーケティングオートメーション」と言われても、何のことだかわかりません。

そこで、当社は展示会などの、「マーケティング担当者以外」のお客さまがたくさんご来場されるイベントに出展する際は、

「かんたん操作で商談数アップ|Kairos3」

というバリュープロポジションを用いています。

「かんたん操作で商談数アップ|Kairos3」というバリュープロポジションならば、「商談数が上がらない」という課題を、「Kairos3という、かんたんに操作できるツール」が解決してくれる、と一目でわかります。

2:お客さまが購入するメリットが明確

よいバリュープロポジションは、「あなたの製品を購入したら、自分にどのようなメリットがあるのか」が一目でわかります。

たとえば、吉野家のバリュープロポジション「うまい、やすい、はやい」は、一目見ただけで、ここで飲食をするとどのようなメリットがあるのか、明確にわかります。

加えて、可能であれば、メリットだけでなくベネフィットも訴求できるとよいでしょう。ベネフィットとは、お客さまがあなたの商品を購入する目的のことです。

3:競合製品との差異が明確

よいバリュープロポジションは、「競合製品とくらべて、あなたの製品のどのような点が素晴らしいのか」が一目でわかります。

外資系電子機器メーカー「ダイソン」の掃除機のバリュープロポジションを例に挙げてみましょう。

「ダイソン。吸引力の変わらない、ただ1つの掃除機」

上記のバリュープロポジションでは、競合とくらべて、ダイソンのどのような機能が素晴らしいのかが、一目瞭然です。このバリュープロポジションを見たお客さまは、「吸引力の高い掃除機を買うなら、ダイソンを買おう」と思うでしょう

バリュープロポジションを作る2ステップ

バリュープロポジションを作るには、2つのステップを踏みます。

競合優位性を把握する

バリュープロポジションは、顧客のニーズに対して、他社が真似できない「自社にしか提供できない価値」を言語化したものです。

したがって、

「競合他社はどのような価値を提供していて、どのような価値を提供できていないのか」
「自社製品の持つ強みは何なのか」

をしっかりと分析、把握する必要があります。

競合優位性を分析、把握する際は、3C分析やSWOT分析が役に立ちます。

3C分析について
3C分析については、こちらの記事でまとめました。あわせてごらんください。
SWOT分析について
SWOT分析については、こちらの記事でまとめました。あわせてごらんください。

ターゲットと提供価値を掛け合わせる

記事冒頭で、バリュープロポジションは、セールスコピーに近い概念だとご紹介しました。キャッチコピーやセールスコピーと言われると、多くの人はつい、「どうやって書くか」ばかりを考えてしまいがちです。

しかし、バリュープロポジションの作成においては、「どうやって書くか」よりも「誰に対して」「どのような価値を提供するか」という「戦略」の部分を、まずはしっかりと練ることが重要です。

「誰に対して」とは、つまりターゲットのことです。あなたがターゲットとするお客さまは、どのような属性を持ち、どのような行動をしている人でしょうか。ターゲットを考える際は、ペルソナを作るとよいでしょう。ペルソナとは、あなたの製品やサービスのターゲットとなる、理想のお客さまの人物像です。

ペルソナについて
ペルソナについては、こちらの記事で詳しくご説明しています。あわせてごらんください。

提供価値を考える際は、一度あなたの製品が持つ提供価値を洗い出し、それらを設定したターゲットのニーズと照らし合わせて、訴求するものとしないものを振り分けるとよいでしょう。

バリュープロポジションを評価する2つの項目

バリュープロポジションを作れたら、しっかりとお客さまに伝わるバリュープロポジションになっているかを評価しましょう。

バリュープロポジションを評価するときは、これからご紹介する2点について確認しましょう。

1:読んで3秒で理解できるか?

ぱっと見の3秒間で、あなたのバリュープロポジションの意味を、「専門知識を持たない人が」理解できるか確認しましょう。

あなたのバリュープロポジションを、専門知識のないお客さまに3秒で理解していただくためには、

  • 専門用語を使わないこと
  • イメージコピーにしないこと

の2つを意識しましょう。

「専門用語を使わないこと」は、言わずもがな大切なことですが、ついやってしまいがちです。「自分では専門用語と思っていなくとも、業界外に勤めている人から見たら、実は専門用語だった」というケースもあります。専門用語を使っていないかをチェックする際は、「自分の親でも理解できるか」という視点で考えてみることをおすすめします。

「イメージコピーにしないこと」の意味を理解するためには、「イメージコピーとは何か」を理解しなければなりません。実は、広告コピーには2種類あることをご存知でしょうか。

1つ目は、イメージコピーと呼ばれる広告コピーです。イメージコピーは、ロッテの「お口の恋人」や、JR東海の「そうだ 京都、行こう。」のような、端的で洗練されたコピーです。一般的に、キャッチコピーといえば、多くの人はイメージコピーを思い浮かべます。

イメージコピーは、「企業のブランディング」という観点では効果的ですが、読んで3秒で意味を理解できるコピーばかりではありません。「お口の恋人と言えば?」と問われれば、ロッテを想起するかもしれませんが、「お口の恋人ってどういう意味?」と問われれば、答えに困ってしまいます。

2つ目は、セールスコピーと呼ばれる広告コピーです。セールスコピーとは、DMやWeb広告などにおいて、読者に行動を促すためのコピーです。「いますぐのお申込みをすると、今週限定で30名様に〇〇が当たる!」といったコピーが、セールスコピーです。セールスコピーは、「コンバージョンの増加」に効果があります。

バリュープロポジションは、しっかりと読み手に意味を伝えることが大切です。バリュープロポジションを作るときは、イメージコピーのように、端的で洗練された文章を無理に作ろうとせず、「しっかりとお客さまに意味が伝わる長さ」で書きましょう。バリュープロポジションにおいては、意味を伝えるためなら、長くなっても構いません。

2:曖昧な表現を使っていないか?

あなたの作ったバリュープロポジションには、曖昧な表現が含まれていないでしょうか。よいバリュープロポジションを作るためには、曖昧な表現を、すべて具体的な表現に言い換えます。

曖昧な表現の代表格は「効率化」や「高品質」といった表現です。「効率化」や「高品質」といった曖昧な表現は、「どの部分が、どのくらい(何%)よいのか」を明示しましょう。

バリュープロポジションの例:ダイソンの掃除機

ダイソン 吸引力の変わらないただ1つの掃除機。

先ほども少しご紹介しましたが、ダイソンのコードレス掃除機のバリュープロポジションは、非常に秀逸です。

上記のバリュープロポジションでは、「吸引力が変わらない掃除機」という一文によって、自社製品独自の強み(どんな価値を提供するか)が明らかです。ちなみに、自社製品独自の強みは、マーケティング用語でUSP(Unique Selling Proposition)といいます。

さらに、ダイソンのバリュープロポジションでは、競合優位性も一目でわかります。競合優位性は「ただ1つの掃除機」という一文に表れています。「ただ1つ」という表現が加わることで、「吸引力が強い掃除機が欲しくなったら、ダイソンで買おうかな」とお客さまに思っていただくことができます。