リードクオリフィケーションとは?概要から理想の流れまでまとめました
リードクオリフィケーションをするのとしないのとでは、営業効率に大きな差が出ます。
リードクオリフィケーションは、誤解を恐れずにいえば、「フォロー(営業)する優先順位をつける行為」です。つまり、手当たり次第の営業活動をしていない限り、みなさんはすでに「リードクオリフィケーションをしている」状態です。
しかし、リードクオリフィケーションを「している」ことと、効果的、効率的に「できている」ことは別の話です。この記事では、リードクオリフィケーションの概要やメリット、さらに理想的な流れまでご紹介します。
リードクオリフィケーションとは?
リードクオリフィケーションとは、見込み客(リード)の中から、購入や契約の可能性が高い見込み客を選別する行為です。
一括りに「リード」と言っても、その実態は商材への関心度も知識レベルもバラバラです。効率よく営業するには、見込みが高いリードを選別し、対応の優先順位をつける必要があります。
BtoBマーケティングでは、主に以下の2つの判断材料をもって、フォローの優先順位をつけます。
1つは定量的なデータです。「Web訪問履歴」や「メール開封履歴」など、行動履歴のデータから見極めます。リードの行動履歴を見られるツール、マーケティングオートメーションがあれば材料がかんたんに集まります。
もう1つは、定性的な情報です。ツールでは判断できない情報から見極めます。問い合わせフォームに書かれているお悩みや架電時の温度感などは、データからは読み取れない貴重な判断材料です。
リードクオリフィケーションの2つのメリット
この章では、リードクオリフィケーションのメリットを2つご紹介します。
リードクオリフィケーションのメリット1:営業効率の向上
リードクオリフィケーションをして見込み客を選別すると、営業が顧客対応の優先順位をつけやすくなります。その結果、営業は見込みが高いお客さまへきめ細かくアプローチでき、商談成功率が上がります。
これは、「興味関心が低い顧客への押し売りを避けられる」とも言い換えられ、お客さまにとってもメリットがあります。
さらに、リードクオリフィケーションは営業のモチベーションにも作用します。見込みが高いとわかっているリードへのアプローチなら、営業担当者はモチベーション高く業務に励めます。
リードクオリフィケーションのメリット2:マーケと営業の連携強化
「営業とマーケが犬猿の仲である」これは、営業とマーケティング部隊を持つ事業会社でよくある話です。
どちらの部門も、最終的には「会社の売り上げに貢献する」というゴールは同じはず。しかし、両部門のKPIやKGIが異なるために局所最適化が進み、担当者の不満につながります。
上記のような悩みや不満は、根拠を持ったリードクオリフィケーションによって解消されます。
「このリードは、料金表ページを過去1週間に3回閲覧していて、ホワイトペーパーもダウンロードしています。スコアは20点を超えていますので、いますぐに営業でフォローすべきリードだと思われます。」
上記のように、マーケティング担当者が「なぜ営業でフォローすべき案件なのか」という根拠を持っていれば、「なるほど。確かにこれはいますぐ営業でフォローすべき案件だ。」と営業担当者も納得できます。
マーケティングと営業の連携強化は、お客さまにとってもメリットがあります。マーケティングと営業がきちんと連携できていれば、途中で担当が変わっても、お客さまは安心して商談にのぞめます。
リードクオリフィケーションの理想的な流れ
実は、すでにお客さまと接触している企業は、どこもリードクオリフィケーションしています。本当に手当たり次第、何の根拠もなく接触することはまれでしょう。
この章では、リードクオリフィケーションの理想的な流れをご紹介します。リードクオリフィケーションの理想的な流れを知ると、見落としていた効率化できる段階や取得し損ねていた情報が見つかるはずです。
別記事「調査レポートでわかる「リードクオリフィケーション」が重要なワケ|リードクオリフィケーションの効果と役割」では、リードクオリフィケーションの概要から、理想的なステップの各フェイズに関する調査レポートをまとめました。あわせてごらんください。
リードクオリフィケーションの理想的な流れ1:リードジェネレーション
まずは、リードがなければリードクオリフィケーションは始まりません。リードを獲得することを、「リードジェネレーション」といいます。
リードジェネレーションは、以下のような施策で行います。
そのほか、お金をかけずとも「集約」によってリードを集めることができます。たとえば、営業担当者が持っている名刺を集約し、データ化して一元管理するだけでも、十分なリードが集まることがあります。
「リードクオリフィケーションを始めたいが、そもそもリードがない」というご担当者さまは、まずはリードの集約から始めてみましょう。
よい商材を作っただけでは、顧客に届かず売り上げにつながりません。リードジェネレーションは、商材をお客さまに届ける第一歩です。別記事「リードジェネレーションとは?1番わかりやすい入門編」では、リードジェネレーションの概要や具体的な手法についてご紹介しています。リードジェネレーションの効果を具体的に知りたいご担当者さまは、「調査レポートでわかる「リードジェネレーション」|知っておきたい手法や現状を網羅しました」もご参考ください。
リードクオリフィケーションの理想的な流れ2:リードを商材の要件と照合
3段階目は、実際のアプローチ前に、自社商材が合致しそうなリードをある程度絞る段階です。
みなさんの会社には、
「製造業のお客さまは、積極的にフォローしていきたい」
「これからは大企業だけでなく、中小企業にも導入を促進していきたい」
というように、ターゲットとするお客さまがいるはずです。
その一方で、
「このセグメントのお客さまにはあまりアプローチをかけたくない」
「ツールの要件が合わないからこのセグメントにはアプローチをかけなくていい」
というように、ターゲットとしないお客さまもいるはずです。
自社が求めている理想のお客さま像をもとに、獲得したリードを絞ってみましょう。「自社が欲しているお客さまのプロフィールがよくわからない」という方は、1度ペルソナを作ってみましょう。ペルソナによって、あなたの求めているお客さま像が明らかになります。
なお、リード数がそこまで多くなかったり、メルマガなどで一斉フォローできたりする場合は、照合作業は絶対ではありません。
リードクオリフィケーションの理想的な流れ3:リードナーチャリング
リードクオリフィケーションの4段階目は、商材に合致したリードの興味関心を育成する「リードナーチャリング」のステップです。
リードナーチャリングとは、まだ自社商材に興味を持っていないリード(まだまだ客)の関心や課題を育成して、顕在顧客(今すぐ客)にするプロセスのことです。
リードナーチャリングでは、主に以下のような施策を行います。
- オウンドメディア
- ホワイトペーパー
- メルマガ(メールマーケティング)
- ソーシャルメディア(SNS)
- セミナー(ウェビナー)
- 電話(インサイドセールス)
そして、上記リードナーチャリング施策を通じて、
などの、さまざまな行動を喚起します。
なぜリードナーチャリングでは、見込み客に行動を喚起するのでしょうか。それは、見込み客が行動すれば、リードクオリフィケーションの判断材料となる情報を得られるからです。リードクオリフィケーションの判断材料となる情報がない状態では、リードクオリフィケーションはできません。
逆にいえば、リードクオリフィケーションのための十分な情報が揃っていれば、リードナーチャリングしないこともあり得ます。
「この会社は、懇意にしている企業のグループ会社だ。アプローチする口実もあるし、すぐにこちらから電話差し上げよう。」といった具合に、属性情報からリードクオリフィケーションできてしまうこともあります。その場合、リードナーチャリングはせずに、すぐに営業にリードを引き渡します。
また、リードクオリフィケーションが済んだ、購買意欲の高いリードでも、失注してしまったり、思い違いだったりということは起き得ます。その場合、クオリフィケーションしたリードを、再度リードナーチャリングのプロセスに戻すこともあります。
リードナーチャリングとリードクオリフィケーションは、表裏一体であり、切っても切れない関係であることを押さえておきましょう。
別記事「5分でわかるリードナーチャリング。どこよりも分かりやすい徹底解説」では、本記事ではご紹介できなかった、リードナーチャリングの手順や手法を詳しくご紹介しています。リードナーチャリングの効果や現状について、データを知りたい場合は「リードナーチャリングの調査レポートまとめ|重要性や効果をデータで解説」をごらんください。
リードクオリフィケーションの理想的な流れ4:スコアリング
リードクオリフィケーションの4つ目のステップは、リードの行動をスコアリングするステップです。スコアリングとは、リードの行動を評価し、点数化することです。たとえば「料金表ページを1回見たら、プラス5点」といった具合です。
スコアリングは、Web上の行動に加え、電話やイベントでの接触といった非デジタルにおける行動も計算対象です。
スコアリングのメリットは、「〇〇点以上になったリードは営業でフォローする」といったように、営業に引き渡すリードの定量的な判断基準を作れることです。
スコアリングする際は、マーケティングオートメーションのスコアリング機能を利用すると便利です。マーケティングオートメーションは、リードナーチャリングと同時にスコアリングを行います。
また、マーケティングオートメーションを使えば、「ある一定のスコアに達したリードを、営業にメールで通知する」といった運用が可能ですので、購買意欲の高いリードの取りこぼしを防げます。
1点だけ、スコアリングには注意点があります。それは、「どの期間の行動をスコアリングの対象とするか」という、スコア計算期間の問題です。
たとえば、あるリードのスコアは、1年間のスコア計算期間で100点でした。しかし、ここ1ヶ月間のスコアを見てみると、0点でした。さて、このリードは今すぐフォローすべきだと言えるでしょうか。
もちろん、フォローすべきかどうかは状況によりけりですが、直近1ヶ月で0点、つまりまったく動きがないのであれば、受注の見込みは薄いと言えます。
上記の例からお分りいただけるように、スコアの計算期間をどこまで許容するかによって、リードクオリフィケーションの質は左右されます。
上記でご紹介した4ステップは、すべてマーケティングオートメーションで効率化、自動化できます。マーケティングオートメーションに関しては、「マーケティングオートメーションとは?一番わかりやすい入門編」の記事でまとめましたので、あわせてごらんください。
リードクオリフィケーションの理想的な流れ5:最後は人力で見極める
スコアリングの段階までで、リードクオリフィケーションのための情報は集まりました。しかし、どれだけ精度の高いスコアリングでも、人間によるリードの見極めは必要です。
たとえば、同じスコアのリードが2人いたとして、蓋を開けば行動はバラバラかもしれません。同じ事例ページを10回閲覧しただけのリードと、製品資料を請求し、フォームに細かくお悩みも書いているリードが同じ点数になることもあります。
そのため、加算されたスコアの中身まで見に行かなければ、適切なリードクオリフィケーションができているとは言えません。中身の確認方法は多岐に渡ります。
リードの会社情報や会社規模、担当者の役職、市場の変化、さらには営業担当者の直感までもリードクオリフィケーションの材料になります。
ツールはあくまで、判断材料を集め、接触候補のリードに対しアラートを出すために使いましょう。
参考:最後に人力でリードクオリフィケーションに取り組む事例
私たちマケフリ編集部はウェビナー終了後、人力で見極めるための工夫を講じています。たとえばセミナー後のアンケートでは、営業担当者がリードを見極めやすいような項目を作成しています。詳しくは別記事「商談に繋がる、ウェビナーのアンケート項目をご紹介。当社事例を公開します!」にまとめました。
さらに私たちは、営業とマーケティングのフォロー基準の認識を合わせるため、5分間のミーティングを設けています。
5分ミーティングでは、以下の内容を確認します。
- 引き渡すリードのWeb上の行動履歴
- 営業のアプローチ手段や方法の共有
- 引き渡しの判断が難しいリードへの対応決め
- 以前引き渡したリードへの対応のフィードバック
※この記事は、8月12日に更新しました。