【ウィンザー効果】口コミサイトはなぜ流行るのか?ウィンザー効果を徹底解説
ウィンザー効果とは、「利害関係者以外の第三者」の言葉が、説得力や信ぴょう性を高める心理効果です。あなたも、口コミサイトなどを利用しているのではないでしょうか。
今回はウィンザー効果の概要と、ウィンザー効果をマーケティングへ応用する方法をご紹介します。マーケティング担当者でない方も、ウィンザー効果の罠を避ける方法としてご覧ください。みなさまのお役に立てれば幸いです。
この記事のもくじ
ウィンザー効果の概要
まずは、ウィンザー効果の概要をご紹介します。
ウィンザー効果とは
ウィンザー効果とは、「利害関係者以外の第三者」の言葉が、説得力や信ぴょう性を高める心理効果です。実は、あなたも知らず知らずのうちにウィンザー効果の影響を受けています。
あなたは欲しいものがあるときに、口コミサイトの評判や商品ページのレビューを確認することはないでしょうか。メーカーのホームページを見れば、機能や性能、価格などの、購入の判断材料となる情報は載っています。しかし、購入を検討するときは、メーカーのホームページではなく、口コミサイトのレビューが決め手となることもありますよね。口コミサイトのレビューが購入の決め手となる理由は、メーカーのホームページよりも、第三者の声が信用できるからです。
では、なぜメーカーのホームページよりも、口コミサイトのレビューが信用できるのでしょうか。それは、口コミサイトのレビュワーは、利害関係者ではないからです。レビュワーがそのメーカーの商品を褒めちぎっても、レビュワーには金銭を得るなどのメリットはありません。だからこそ、レビューの読者は「このレビューは本当のことを言っているな」と信用できるのです。
メーカーのホームページよりも、口コミサイトのレビューが消費者に重視されるケースがあることを、企業は承知しています。そのため、企業はウィンザー効果をマーケティングにうまく取り入れようと、さまざまな施策を考えています。
身近にあふれるウィンザー効果
ウィンザー効果は、あなたの身近にありふれた心理効果です。ウィンザー効果の身近な例をいくつかご紹介します。
どれも、1度は経験したことがある例ではないでしょうか。これほどまでに身の回りにウィンザー効果があふれている理由の1つが、企業のマーケティング戦略にあります。企業は第三者の声の重要性を理解しているため、ウィンザー効果を巧みに使い、消費者にアプローチするのです。
ウィンザー効果をマーケティングに応用する5つの例
第三者の声がマーケティングの観点で重要なことは、確認してきた通りです。この章では、第三者の声をどのようにマーケティングに取り入れればよいかをご紹介します。
1:ターゲットやペルソナと「属性」や「行動」が近い、第三者の声を載せる
ウィンザー効果をより強力に作用させるためには、ターゲットやペルソナを意識しましょう。第三者の声がターゲットやペルソナの属性、行動と近ければ近いほど、ウィンザー効果は強力に作用します。
たとえば、あなたは「業務の効率化ができるITツールのマーケティング」をしているとします。そこで、あなたは以下のようなターゲット、またはペルソナを決めました。
上記のようなターゲット、ペルソナであれば、以下のような第三者の声を掲載しても、お客さまには響きません。なぜなら、ターゲットやペルソナとする人と、第三者の境遇が似ていないためです。
一方で、以下のようなお客様の声ならばどうでしょうか。ターゲットやペルソナとする人は、第三者の声が自分の境遇と似ているため、より親近感を持って読み進めることができます。
2:デメリットを含めた第三者の声を載せる
ウィンザー効果をマーケティングに活用するなら、否定的なお客さまの声もうまく活用すべきです。「えっ、否定的な意見なんて載せたら、お客さまは遠のいてしまうじゃないか」とあなたは思うかもしれません。しかし、お客さまの信用を得るためには、否定的なお客さまの声は非常に重要です。
なぜなら、お客さまの声がメリットばかりだと、読者は「どうせ自社に都合よく選ばれたお客さまの声だろう。信用ならないな」と思うからです。読者に「このお客さまの声は信用ならない」と思われないためには、両面提示をうまく活用します。
両面提示とは、メリットとデメリットの両方を伝えることです。初対面の相手を説得する場面では、片面提示よりも両面提示に説得力があります。両面提示は「何か裏があるのではないか?」というお客さまの警戒心を解けるからです。ちなみに、メリットかデメリットのどちらか一方を伝えることを片面提示といいます。
以下は、片面提示の第三者の声と、両面提示の第三者の声です。どちらの声が、説得力があるでしょうか。
3:なるべくたくさんの第三者の声を載せる
お客さまの声は、多ければ多いほど信用されます。あなたも、1人が5点をつけている商品よりも、100人が4点をつけている商品を信用しませんか。
お客さまの声が多ければ多いほど信用してしまうのは、「社会的証明」という心理作用によるものです。社会的証明とは、多くの人が「よい」と言っているものは、よいものだと信じ込んでしまう心理作用です。行列ができているお店を見ると、美味しいに違いないと思ってしまうのは、社会的証明の作用です。
なるべく多くの第三者の声を載せておくと、お客さまに「これはよいものに違いない」と思っていただける可能性が高まります。一人ひとりの声を詳細に載せる必要はありません。数字や割合を載せるだけでも、社会的証明は効果を発揮します。
4:導入事例で導入の背景やきっかけを伝える
口コミやお客さまの声と同様に、導入事例も有効です。導入事例の提供は、パッケージ化できない商材や、無形商材と相性がよいアプローチ方法です。
導入事例は、「ストーリーがある」という点で優れています。導入事例は、「選定前の苦労」、「導入の決め手」、「導入後の施策」、「導入後の効果」などの要素が詰まっています。そのため、短いお客さまの声よりも、読者はイメージを抱きやすいのです。
5:第三者の証言風のコピーを用いる
「第三者の証言風」のセールスコピーも、ウィンザー効果を発揮させる上では有効です。
第三者の証言風のコピーは、コピーの中に第三者の証言を入れ込むことで作れます。たとえば、以下のようなコピーが第三者の証言風のコピーです。
第三者の証言風のコピーは、どんなシーンでも使いやすく、かんたんに作れることが特徴です。第三者の証言風のコピーは、メルマガのタイトルにもオススメです。
ウィンザー効果の注意点
ウィンザー効果は万能ではありません。ここでは、ウィンザー効果の注意点をご紹介します。
利害関係がある人の言葉では、ウィンザー効果は発揮されない
当たり前ですが、利害関係がある人の情報や言葉では、ウィンザー効果は発揮されません。数年前に、「ステマ」という言葉が流行りました。「ステマ」とは、「ステルスマーケティング」の略で、「消費者に宣伝だと悟られないように行う宣伝活動」を指す言葉です。
大きな影響力を持つ「インフルエンサー」と呼ばれる人々が、自身のファンに対して「これは本当によい商品ですよ。私もいつも使っています。」と宣伝することがあります。それを聞いたファンは、「○○さんがよいというのなら、よいものに違いない」と思い、商品が飛ぶように売れるのです。
ファンは、インフルエンサーとその商品のメーカーとの間に、利害関係がないと信じているため、その商品のよさを信じて疑わないのです。まさに、ウィンザー効果のよい例です。
しかし、問題はここからです。その商品が、インフルエンサーが本当に日常的に使っている商品ならば問題ありません。しかし、ステルスマーケティングでは、インフルエンサーたちは企業から金銭を受け取って、あたかも自分のお気に入りの商品のように宣伝します。
金銭のやり取りが発生するということは、利害関係が生じます。ウィンザー効果は発揮されません。今までそのインフルエンサーを信用していたファンは「裏切られた」と感じたことでしょう。
ステルスマーケティングの一件は、「利害関係がある人の言葉は、たとえファンに対してでも、説得力を失ってしまう」というよい例です。
ウィンザー効果は、悪い評判も広めてしまう
利害関係がない第三者は、何を書いても自分に不利益が生じないので、思ったことを自由に書けます。第三者に悪評を流されてしまうことは、企業にとって最悪の事態です。第三者による悪評は、よい評判同様に、強力な説得力を持ってお客さまに伝わるからです。
口コミサイトなどの、自社でコントロールできない場所でレビューを募るのは、企業にとって諸刃の剣です。自社でレビューのコントロールをできない場所でよい評判が流れれば、それだけお客さまから信用していただけます。一方で悪い評判が流れてしまうと、その企業は一気に信用を失います。
「そんなリスクは取れない」ということであれば、自社のホームページなどにお客さまの声を掲載するにとどめておくのが得策です。
また、あなたのサービスがレビューサイトに登録されていなくとも、SNSも悪評が広まる場になり得ます。今では悪い評判は、SNSを通してすぐに広まります。だからこそ、一人ひとりのお客さまに真摯に対応しなければならないのです。なにも1人のレビューから、多くの見込み客を失うことはありません。
第三者の声が、いつも有益とは限らない
あなたが消費者側のときに、注意しなければならないウィンザー効果の落とし穴があります。それは、利害関係者ではない第三者の声は、いつも正しいとは限らないことです。
利害関係者ではない第三者の声は、強力な説得力があります。また、そこに多くの人が賛同していれば、社会的証明によって、あなたはさらに強くその声を信じてしまうでしょう。しかし、利害関係者以外の第三者は、その道のプロフェッショナルではなく、素人であることも多いのです。第三者が「よくない製品だ」といっていても、それは製品のせいではないかもしれません。
また、ひどいケースでは、その製品の評判を貶めようと目論む、悪意のあるコメントであることもあります。第三者の声を無条件で信じる前に、「本当に正しいだろうか」と冷静になって考えてみることが大切です。