類似性の法則で信頼を得る〜似た者同士が引かれ合う心理学

「類は友を呼ぶ」というように、人間は自分と共通点が多い人には親近感を抱きます。今回は、信頼を得るための心理学「類似性の法則」についてご紹介します。

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類似性の法則の概要

類似性の法則の概要について理解しましょう。

類似性の法則とは

みなさんは、共通点を見つけたとたんに初対面の相手と打ち解けられた、という経験はありませんか。「類は友を呼ぶ」というように、人は自分と共通点を持つ人に親近感を覚えます。

自分と共通点を持つ人に親近感を覚える心理作用を、心理学では「類似性の法則」といいます。類似性の法則は、相手との共通点が多くなるほど強力に作用します。

類似性の法則は、「性別」「言動」「人種」「学歴」など、さまざまな属性において影響します。

類似性の法則の実験

社会心理学者のニューカムは、新しく大学寮に入った17名の友人選択を追跡調査しました。入居して1週間後は、部屋が近いなどの物理的距離が近い人が友人に選ばれることが多かったのですが、入居して14週間後の調査では、態度や価値観が近い人が友人に選ばれていました。

自分と同じ、または似たような考え方を持つ相手がいるということは、「自分の考え方が正しい」という証明になります。「一緒にいると考えが認められる」ということが、似た者同士の心地良さを生んでいるのだと考えられます。

類似性の法則をマーケティングに活用する

類似性の法則をマーケティングに活用する方法を見ていきましょう。

導入事例には類似性の法則の効果がある

あなたがツールを開発・販売している会社に勤めていれば、積極的にツールの導入事例を掲載しましょう。

導入事例には、「導入した企業の規模や業種、業態」「導入前に抱えていた課題」など、見込み客の共感を呼ぶ要素が多く含まれています。お客さまに「そうそう!こういうことに困っているんだよ」と思わせることができれば、類似性の法則によって、読み手は、導入した企業に親近感が生まれます。

類似性の法則によって、導入事例をみていただいたお客さまが「これならうちもできるかもしれない」と、思っていただければ、あなたの製品を買っていただける可能性はぐっと高まります。

プロモーションに一般人を起用する

プロモーションに一般人を起用することで、類似性の法則をうまく活用できます。プロモーションに好感度の高い有名人を起用すれば、ハロー効果によって「その商品・サービスもよいものだ」とお客さまに思わせることができますが、類似性の法則は発揮されません。

類似性の法則を発揮するためには、ごく普通のビジネスパーソンなど、あなたのお客さまにとって共通点が多い人物を起用するのがよいでしょう。

類似性の法則に関する英会話塾の例をご紹介します。英会話塾のCMや広告に、かっこよく英語を喋る芸能人が起用されていれば、お客さまは「あんな風に英語を喋れるようになりたい」と思うかもしれませんが、「これなら自分にもできる」とは考えないはずです。

自分とあまりにもかけ離れている対象には、人は親近感を覚えません。

一方で、長いあいだ英語に触れていなかった普通の会社員が、時間のない中短期間で英語の成績を上げていたらどうでしょうか。お客さまは「この人にできるのなら自分にもできる」と考えるでしょう。

類似性の法則を営業に活用する

類似性の法則を、営業活動で活かす方法について学びましょう。営業担当者は、お客さまとすばやく信頼関係を築くことが重要です。

お客さまとの共通点は類似性の法則があてはまりやすい

営業活動では、お客さまとの共通点見つけ、会話を潤滑に進めたり、好感を持っていただいたりします。営業担当者がお客さまとの共通点を探すためには、お客さまから情報を引き出す必要があります。お客さまとの共通点には、類似性の法則の効果が見込めます。

類似性の法則を活用するために営業担当者がお客さまから情報を引き出すとき、お客さまに質問をし過ぎると、不信感を与えてしまいます。

お客さまの話を聞き出す時は、まずはあなたの情報を開示しましょう。自分から情報を開示することを、心理学では自己開示と言います。自己開示をすることで、相手もその話題について話さなければならないという心理状態にすることができます。

あなたが自己開示をすれば、相手との共通点が見つかるかもしれませんが、共通点が見つからないこともあります。相手との共通点が見つからない場合は、自分の家族や友人を引き合いに出しましょう。

上図の例をごらんください。

自分がアウトドア派で、相手がインドア派なら、2番で会話は終わってしまいます。しかし、3番でうまく友人を引き合いに出すことで、相手との共通点を作っています。

かならずしも自分との共通点でなくても、類似性の法則は発揮されることを覚えておきましょう。

相手の言動を真似ることも類似性の法則につながる

類似性の法則を発揮させるために、相手の言動を真似ることは効果的です。ただし、相手に真似ているということが悟られないように真似る必要があります。あからさまに相手の言動を真似てしまえば、相手に不信感を与えるため、注意が必要です。

相手の発言を真似るテクニックに、「バックトラッキング」があります。バックトラッキングは、日本語でいう「おうむ返し」です。相手が話した内容を繰り返し、会話を進めていく手法です。

相手の行動を真似るテクニックには、ミラーリングがあります。ミラーリングとは、身振りや手ぶりなどの動作を、相手と鏡合わせのように真似ることです。

相手と対面で座っている場合、相手が右手で水を飲んだら、少し遅れてあなたも右手で水を飲みます。相手が大げさにジェスチャーを人物であれば、あなたも大げさにジェスチャーをします。

バックトラッキングやミラーリングの注意点は、相手に真似ていると悟られないことです。

おわりに

今回は、類似性の法則をご紹介しました。お客さまの信頼を得るために活用できる心理テクニックとして、両面提示単純接触効果があります。あわせてごらんください。

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