マーケティング1.0から4.0までの変遷を解説|時代とともに変化したマーケティングの流れを知ろう

マーケティングの概念や手法は、時代に合わせて年々変化しています。

コトラーが提唱したマーケティングの4つのフェーズ、「マーケティング1.0」から「マーケティング4.0」までを知れば、時代とともに変わるマーケティング概念が理解できます。

マーケティングとは
日本でもっともよく知られているマーケティングの概念といえば、買ってもらえる仕組みづくり、といえます。くわしくは別記事「マーケティングとは?業務で役立つ基礎知識」でまとめました。合わせてごらんいただけますと幸いです。

1分でわかる。マーケティング1.0から4.0までの変遷

マーケティングは、時代とともに意味や役割が変遷してきた概念です。「マーケティング1.0」や「マーケティング 4.0」は、それぞれの時代のマーケティングが持っていた特徴を説明する用語です。

まずは、マーケティング1.0から4.0までの流れを一覧で見てみましょう。

画像|マーケティング1.0から4.0をまとめてみました

マーケティングは、今から200年近く前に生まれた概念と言われています。

マーケティング誕生のきっかけは、イギリスの産業革命です。産業革命によって、製品を大量生産し、多くの消費者に製品を届けられる仕組みが整いました。大量生産の実現を受けて生まれた、「どうやって効率的に利益を最大化するか」という問いが、マーケティングの概念の始まりです。

マーケティング1.0からマーケティング4.0までを見ていただくことで、時代とともに企業のマーケティングが変化してきたことがわかります。しかし、マーケティングが変化したといっても、マーケティング1.0やマーケティング2.0が過去の遺物になったわけではありません。200年近く前に生まれたフレームワークの中には、今も使われるものもあります。

マーケティング1.0 (1900〜1960年代)

マーケティングの始まりとされる1900年代にうまれたマーケティングの概念が、コトラーのいうマーケティング1.0です。

コトラーとは米国の経営学者であるフィリップ・コトラー氏です。顧客のセグメンテーションやマーケティング・ミックスなど、現代のマーケティングで活用している理論の考案者です。「近代マーケティングの父」「マーケティングの神様」と呼ばれることもあります。

当初のマーケティングの目的は「製品を安く売り、利益を最大化する」こと

マーケティング1.0の概念は「製品中心のマーケティング」です。需要が供給よりも多かった1900年代は、「より安くすれば売れる」という概念が浸透していました。

マーケティング1.0時代において、企業の活動で利益を最大化するためには、製品の価格を下げることで買っていただくお客さまを増やす必要がありました。つまり、価格弾力性のしくみで需要を増やすことがマーケティング1.0の中心的な考え方です。

価格弾性力とは
価格弾性力とは、製品の値段を変えることによる需要や供給の相関を示す数値です。価格弾力性を算出するためには、需要の変化率を価格の変化率で割ります。価格を2割下げて(-20%)、需要が1割(10%)増えた場合、価格弾性力は「-2」となります。

製品と価格で需要をコントロールできたマーケティング1.0の当時は、企業がお客さまに対して優位に立てる環境であったといえます。

マーケティングの中核となるフレームワークが生まれた

マーケティング1.0では、「4Pモデル」というフレームワークが使われるようになりました。どのような製品(Product)を、どこ (Place) で、いくら (Price) で、どのように宣伝 (Promotion) して、売るかを考えるフレームワークです。

マーケティングの4Pモデルは、現代でもマーケティングの基礎中の基礎の考え方であり、マーケティングを学ぶと1番初めに学ぶフレームワークの1つです。

4Pモデルの中では、この時代は製品(Product)と価格(Price)が重要な要素でした。自社で開発した製品をいくらで売るかを調整することで、自社の利益の最大化していました。

マーケティングの4Pモデル(マーケティングミックス)について実践的に知りたいなら
別記事「マーケティングの4P(マーケティングミックス)とは?」では、マーケティングの4Pに関する基礎知識から、使いこなすためのヒントまでを網羅的にご紹介しています。マーケティングの基礎となるフレームワークを使いこなしたいご担当者さまは、ぜひご参考ください。

マーケティング2.0(1970〜1980年代)

この時代のマーケティングの流れは、マーケティング2.0と呼ばれています。

1970年代になると、技術発展により、製品を安価に作れるようになり、市場の価格競争が進みました。似たような製品が市場に多く出回るようになり、市場の競争がますます進みます。買い手は似たような製品の中から購入する製品を選択するようになり、企業優位の「作れば売れる」時代は終わりをむかえました。

マーケティングは「買い手主導」に変化

マーケティング2.0の特徴は、マーケティングそのものが、買い手志向にシフトしたことです。企業が製品を安く売ることではなく、買い手にとって何が必要であるか、つまり「ニーズ」を知ることが重要になりました。

これがマーケティング2.0の概念である「買い手志向のマーケティング」です。

買い手を特性ごとにまとめてセグメンテーション(選別)し、攻略すべき市場を特定して、自社に見合った製品を提供する流れが必要になりました。これが、STPモデルやSTP分析と呼ばれるマーケティングのフレームワークとして知られるようになりました。

STP分析は、マーケティングの4Pと並んで、よく知られたマーケティングのフレームワークです。

ビジネスにおける競争環境は常に変化します。お客さまのニーズ変化や他社の新規参入など、変化の原因はさまざまです。STP分析は、自社・競合・消費者のいずれかが変質した時に、今でもよく使われるフレームワークです。STP分析について詳しく知りたいご担当者さまは、別記事「STP分析とは?戦略や計画で使うテクニックを基礎から紹介」をごらんください。

企業は競合との差別化に力を注ぐことになったのが、マーケティング2.0の特徴です。

お客さまのニーズを正しく把握するために使える「ペルソナ」と「カスタマージャーニー」
自社のお客さまを詳しく知るには、お客さまの属性や購買までの道のりを把握しなくてはなりません。別記事「ペルソナとは?マーケティングの一番わかりやすい入門編」では、STP分析にも欠かせない、自社の理想の顧客像を作る方法をまとめました。また、別記事「カスタマージャーニーとは?その目的とマップの作り方を教えます」では、お客さまが商材の認知から購買まで、どのような感情で動いているかを可視化する「カスタマージャーニーマップ」の作り方をご紹介しています。どちらもマーケティングに携わる上で不可欠な知識ですので、ぜひあわせてごらんください。

ターゲットを絞り込む必要性とは?

誰にでも売れる八方美人の商品は、買い手からみた突出した価値を見出すことが難しく、商品として面白みが欠けてしまいます。

全ての買い手に対して十分に価値をアピールするのはとても困難です。現代はますます売り手側の競争が激化しています。だからこそ、マーケティングによってターゲットを絞り込み、商材の企画開発、販売訴求を続け、顧客を増やしましょう。

マーケティング3.0(1990〜2000年代)

1990年代以降は、市場に商品があふれ、ますます企業間競争が加熱する傾向にありました。企業は経済的目標を達成すべく、血眼になっていました。

一方で、企業における環境や教育などに取り組む企業が出てきました。一見売り上げに関係のない取り組みである「環境や教育への配慮」こそ、マーケティング3.0の特徴の1つです。

マーケティングは「製品価値だけでは推し量れない時代へ」

インターネットの普及により、消費者は、今まで得られなかった情報を獲得できるようになりました。お客さまの動きに合わせ、企業はインターネットを使ったマーケティング活動を積極的に手がけるようになりました。

一方で、倫理的観点から、事業活動を通じてた企業の「社会的責任」にも注目が集まり始めました。

環境問題などの社会への影響と企業というのは、切っても切れない相互依存関係があります。環境問題や社会問題が世間に認知されるようになったことで、企業は「より良い環境や社会づくり」に力を入れることが1つのブランド力の指標となりました。

企業の社会的責任をメッセージ化する

買い手は商品を購入するにあたって、購入する理由があります。「お腹が空いているから」「前から欲しかったから」などのシンプルなニーズから、「環境に良いから」「誰かのためになるから」という間接的な理由まで、商品を買う理由はさまざまです。

ここでいう間接的な理由が、マーケティング 3.0で求められる会社のブランド力です。「環境に良い」「エコ」など、その製品に合ったうたい文句を付けることで社会的責任を果たしているブランドであるとアピールする企業が増えました。

企業価値を図るマーケティング3.0のフレームワーク

マーケティング3.0では「ポジショニング」「ブランド」「差別化」という3つの側面から見る「3iモデル」というフレームワークの下で企業を評価するようになりました。

3つのiはそれぞれブランド・アイデンティティ(identity)、ブランド・イメージ(image)、ブランド・インテグリティ(integrity)を指します。

ブランド・アイデンティティは、買い手に対してポジショニングを明らかにしながらブランドを認知させることで成り立ちます。

ブランド・イメージは、ブランドと差別化によって、買い手のニーズを満たしながら、買い手にとってより好ましい感情を与えることで成立します。

ブランド・インテグリティは、ポジショニングと差別化によって買い手の信頼を作り上げることで成り立ちます。

マーケティング4.0(2010年代〜)

2010年代になると、市場には環境に配慮するような製品も増えてきました。コトラーは、買い手の購買プロセスがさらに変化したことを受け、「マーケティング4.0」を提唱しました。

マーケティング4.0は「消費者自身を満たすこと」が必要

マーケティング4.0の概念は「自己実現のマーケティング」です。「環境への配慮」のような社会的価値だけでなく、「自己実現」のような精神的価値を満たす製品が求められるようになりました。

最近では、ソーシャルメディアやブログなどの普及により、買い手が自ら情報発信をできる環境が整ってきました。多くの消費者が、自分で買った商品をソーシャルメディアやブログを通じて情報発信しています。

そのため、企業のマーケティング活動は製品購入までのプロセスだけでなく、買い手の購入後のプロセスまで考える必要が出てきました。

「共有・拡散」を含んだSNS時代の消費行動モデル「SIPS」について
SIPSとは、ソーシャルメディアを頻繁に活用する消費者の行動を表した、「生活者消費行動モデル」です。別記事「SIPSとは?SNS時代の消費行動モデルを、事例付きで徹底解説」では、SIPSの基礎知識から、SIPSが当てはまるSNS戦略を打ち出している事例の紹介まで、網羅的にご紹介しています。SNSマーケティングをもっと深く知りたいご担当者さまは、ぜひごらんください。

企業の狙いは消費者に製品のファンとなってもらうこと

コトラーによると、マーケティング4.0では、顧客の購買プロセスを従来のものから「5a理論」に変えて考えるべきです。

マーケティング4.0における5a理論は、認知(Aware)、訴求(Appeal)、調査(Ask)、行動(Act)、奨励(Advocate)という5つの段階から成り立つフレームワークです。

マーケティング4.0の究極の目標は、ただ製品を認知してもらうだけでなく、製品のファンになってもらい、顧客自ら製品の推奨をしてもらうことです。