展示会企画の始め方 | 5ステップで徹底解説

展示会は、イベントマーケティングにおいて、リードを獲得するための有効な手段の1つです。しかし、他のマーケティング施策よりも準備が大変で、コストがかさむといった特徴もあります。
今回は、
「展示会に出展したいけどどこから手をつけていいかわからない」
「展示会の企画といっても何を決めればいいのだろう」
といった展示会の企画にお悩みの担当者さまに向けて、展示会の企画を5つのステップでご紹介します。
この記事のもくじ
展示会を企画する5つのステップ
展示会の企画は5つのステップで行います。

これから展示会の企画のそれぞれのステップを、詳しく解説していきます。
展示会の企画1:出展目的を決める

展示会の企画の最初のステップは、出展目的を決めることです。出展目的は、その後のステップで決める「目標」や「ターゲット」の軸になります。
企業がBtoBマーケティングの展示会に出展する理由は、たいていは「商談の創出・受注」につなげるためです。
ただし、展示会の場で商談が生まれることはほとんどありません。BtoB向けの展示会の来場者のうち7割が、情報収集や勉強目的で来場している、購買意欲の低い「まだまだ客」だというデータもあります。
そのため、展示会出展の最終的な目的は「商談の創出・受注」としつつ、いったんは「リードジェネレーション(リードの創出)」と「リードナーチャリング (リードの育成)」を目的とするのがよいでしょう。
展示会から商談につなげるには、マーケティング部門だけで展示会を進めるのではなく、営業部門との密な連携が欠かせません。たとえば、事前にマーケティング部門と営業部門の間で「展示会から営業への引き渡し基準」や「展示会に来る層(業界や職種など)」などの認識をすり合わせておきましょう。展示会後の事後フォローについては、「展示会の事後フォロー計画を設計する」の見出しでくわしくご紹介します。
展示会の企画2:目標を立てる

展示会の企画における2つ目のステップは、展示会の目標を決めることです。ここでいう「目標」とは、ステップ1で決めた目的を数値に落とし込んだ指標です。展示会の目標が定まっていないと、出展後に展示会の目的を達成できたか、効果測定を実施できません。
展示会の目標は具体的な数値で立てる
展示会の目標は具体的な数値で立てましょう。具体的な数値があれば、展示会出展後に、出展の目的を達成できたかを具体的に評価できるからです。
たとえば、
- 名刺獲得数
- 商談数
- 受注数
の3つは、展示会の具体的な目標数値としてよく使われる代表的な項目です。
たとえば、リードジェネレーションを目的に出展した場合、もっとも重視すべき数値は名刺獲得数です。また、商談創出を目的にした場合であれば、もっとも重視すべき数値は商談創出数です。
「認知度の向上」などのブランディングを目的にした出展は、具体的な数値での目標設定が難しいと感じるかもしれません。しかし、ブランディングを目的とした出展でも名刺獲得数や配ったビラの枚数などを目標数値にできます。なぜなら、名刺を交換したり、ビラを配ったりすることは、あなたの会社の認知度を高めることに他ならないからです。
展示会の目標数値の決め方
展示会の目標数値は、費用と効果から算出しましょう。ここでは、ROI(費用対効果)を予測し、名刺獲得数・問い合わせ数・商談数・受注数の目標数値を決める方法をご紹介します。
ここでは、2つのステップで展示会の目標数値を決めます。
- ROIを予測し最終目標数値を出す
- 最終目的数値から逆算してそれぞれの目標数値を決める
まずは、ROIを予測し最終目標数値を出します。ROIは次の計算式で出せます。

ROIが1より大きければ黒字であり、1より小さければ赤字です。
ROIで計算する費用には、展示会主催者に支払う出展料以外にも、人件費やスタッフの旅費、制作物の制作費などが含まれます。ROI計算のために、展示会にかかる費用を事前に算出しておきましょう。
ROIで計算する「効果」は、売上額などです。金額にならない「認知度」などを、金額に換算した上で、効果に含むこともあります。
もし、あなたが受注につながる見込み客を獲得するために、展示会に出展した場合は、以下のようにROIを予測し黒字になる最終目標数値を出します。この場合、最終目標数値は売上額です。

次に、最終目標数値である売上額から逆算して、商談数と名刺獲得数の目標数値を考えます。あなたの会社の「商談からの受注率」や「名刺獲得からの商談率」をもとに、それぞれの目標数値を算出します。
この例では、展示会で210枚以上の名刺を獲得することで、おおよそ黒字になることがわかります。

展示会の企画3:ターゲットと出展する展示会を決める

次に、展示会のターゲットと、出展する展示会を決めましょう。展示会のターゲットを先に決めて、出展する展示会を選びます。
展示会のターゲットを決める
展示会のターゲットは、展示会の出展目的によって決まります。あなたの展示会の出展目的がリードジェネレーションや商談の創出ならば、あなたの製品を購入してくださる客層をターゲットとします。もしもあなたの展示会の出展目的がブランディングや認知度向上ならば、いつも製品を使ってくださる客層とは異なる客層をターゲットにすることもあるでしょう。
あなたの会社の製品が複数ある場合でも、展示会で紹介する製品は1つにしましょう。展示会で紹介する製品を1つにすることで、ターゲットを絞れます。展示会のターゲットを絞ると、展示会でアピールするべきユーザーメリットや自社の強みが明確になるため、展示会の集客にもよい影響を及ぼします。
また、ターゲットを絞ることで、当日どんな方に声をかけるべきか共有しやすいため、オペレーションが円滑になるというメリットもあります。
ターゲティングの手順・やり方・ノウハウに関しては「ターゲティングとは?」をご参考ください。
出展する展示会の選び方
出展する展示会を選ぶ際は、ここまでで決めてきた出展目的や目標数値、ターゲットを考慮します。
展示会選びでは、それぞれの展示会の過去のデータや情報を比較して、もっとも出展効果を見込める展示会を選びましょう。代表的な展示会選びのポイントは以下の4つです。
- 来場者数・出展社数・来場者層
- メディアなどでの掲載の有無
- 競合の出展の有無とビジネスパートナー獲得の可能性
- 出展費用
来場者数や出展社数などは、展示会の主催者が過去の実績を公表しているため、かんたんに調べられます。ただし、来場者数を比較する際は注意が必要です。来場者数は、主催者によってカウント方法が違うことが多々あるためです。
展示会の企画4:展示会で利用する制作物を作る

展示会では、ブース内のパネルや来場者に配布するパンフレット、ノベルティなどさまざまな制作物が必要になります。
まずは、「展示会の制作物で来場者に伝えたいメッセージはなにか」を考えましょう。
展示会のメッセージの決め方
展示会の制作物で来場者に伝えたいメッセージは、出展する製品やターゲットを考慮して考えます。
展示会のメッセージを決める際は、自社の製品のユーザーメリットや自社のバリュープロポジションを使って考える方法がおすすめです。
たとえば、私たちが展示会に出展した時は、以下のように展示会のメッセージを決めました。

展示会の制作物を検討する
展示会の制作物は、ブースのパネルやパンフレット、ノベルティなどさまざまです。これらの制作物でメッセージを伝え、ターゲットに興味を持っていただきます。ただし、ノベルティ制作を検討する場合は、注意が必要です。
ノベルティ配布とは、ノベルティを渡す代わりに、名刺を頂戴するリード獲得手法であり、展示会ではポピュラーです。しかし、ノベルティ配布を行うときは、自社の展示会出展目的によって、注意が必要です。
なぜなら、ノベルティ配布で獲得するリードは質がともなわないことが多いからです。BtoBにおける主な出展目的である、リードジェネレーションは、最終的に「商談の創出」を目指しています。そのため、展示会でリードを獲得する目的は、あくまで「商談に繋がりそうな質のよいリード」を得るためだといえます。ノベルティであるリードをたくさん獲得しても、その後商談につながらないケースが多くあります。
また、展示会の出展目的が、認知度の向上などの場合も、同様に注意が必要です。ノベルティはパンフレットと違って、メッセージを乗せるスペースがないことが多くあります。
すると、会社名くらいしか伝えられず、ノベルティによる宣伝効果は、あまり期待できません。
ノベルティの配布は、「来場者に会社や新商品の名前だけでも覚えていただきたい」場合に限って、効果を発揮すると考えてよいでしょう。
私たちは、展示会の集客では、ノベルティよりも呼び込みチラシの配布をおすすめします。呼び込みチラシとは、カタログのような製品説明のための冊子ではなく、今回のブースの展示内容をかんたんに説明したものです。

私たちは、以下のような「展示内容のユーザーメリットを訴える」シンプルな呼び込みチラシを作成・配布しています。

展示会の集客アップのためのブース作りや当日の工夫に関して、「展示会の集客のコツ | 準備から当日の動きまで徹底解説」で説明しています。よろしければごらんください。
展示会の制作物を制作する
展示会の制作物は、制作に時間がかかります。展示会の出展が決まったらすぐに取り掛かり、展示会当日には確実に手元に届くように余裕あるスケジュールで制作しましょう。
外注で制作するときは、デザインから印刷会社への発注まで、すべての工程を外注先に頼めるのか、納期がいつになるのかなどを細かく確認します。ブースの施工や装飾などの外注の際には、なるべくワンストップで行ってくれる業者を探すと、調整が楽になり、担当者の手間が減ります。
展示会当日のオペレーション・事後フォローを設計する

展示会の企画段階で、当日のオペレーションと事後フォローも忘れずに設計しましょう。展示会当日のオペレーションと、事後フォローは、リードナーチャリングやその後の商談化に大きく影響します。
展示会当日のオペレーションを設計する
まずは、展示会の目的や過去の来場者数を元に、まずは、1日あたりの説明員の人数を決めます。

次に、どのような説明員を、どのくらい呼ぶかを決めます。

説明員の人数や人員を決めた後は、展示会当日に、誰がどのような役割を担い、どのように説明するか決めます。説明員それぞれの役割や説明内容に応じて、トークスクリプトの準備もしておきましょう。
展示会当日は、来場者に実演(デモ)を用いた説明を行いましょう。来場者は、実演(デモ)を見ることで、あなたの製品を使用する具体的なイメージを持てます。また、実演(デモ)は人だかりを作りやすいため、「あの人だかりは、何だろう」と、通りかかった来場者の興味を引くことができ、さらなる集客も期待できます。
展示会の事後フォロー計画を設計する
展示会で出会った来場者を営業案件につなげるためには、来場者への事後フォローによるリードナーチャリングが必要です。展示会の企画の段階から、事後フォローの計画を設計しておくことで、事後フォローを見越して展示会の準備を進められます。
展示会の事後フォローを設計する際のポイントは、フォロー対象者のセグメント基準を決め、セグメントに合わせたフォロー手法を設計することです。
セグメントを決める基準は、明確な事実を基に、具体的に設定する必要があります。
具体的な判断基準を作ることで、フォロー対象者のセグメントに合わせた適切なフォローができます。

展示会のフォローの手法やステップは「展示会後のフォローのはじめかた〜営業案件を生み出すために〜」にまとめてございます。あわせてごらんくださいませ。
展示会のリード獲得のための工夫とフォローの3ステップに関しては「展示会のリード獲得とその後のフォローまとめ」にまとめてございます。あわせてごらんくださいませ。
展示会以外でリードを獲得するには
新型コロナウイルスの影響で、対面での展示会開催は厳しい現状があります。しかし、リードを獲得しなければ、リード獲得の次のステップである商談の創出や成約につながりません。
そこで、リード獲得のため、自社でウェビナーを開催するのをおすすめします。
展示会への出展と比較し、自社ウェビナーは出展費用や制作物の作成費用が押さえられるため、お金をかけずに効率的にリードを獲得できます。
自社でウェビナーを開催するとなると、ハードルが高いように思われるかもしれません。そんなご担当者さまにぜひ読んでいただきたい記事が「成約に繋げるウェビナーノウハウまとめ|企画、集客、フォローを徹底解説」 です。
この記事でご紹介している方法を真似するだけで、はじめての方でも難なくウェビナーを開催できます。ぜひごらんください。
※この記事は、2021年11月16日に更新しました。