カリギュラ効果とは|マーケティングに活かせる心理学
「絶対に言うな、と言われて余計に言いたくなってしまった」あなたは、こんな経験はありませんか。カリギュラ効果とは、禁止されると、かえって興味が湧いてしまう心理効果です。今回は、カリギュラ効果の概要と、それをマーケティングに応用する方法をご紹介します。
この記事のもくじ
カリギュラ効果の概要
まずはカリギュラ効果の概要を押さえましょう。
カリギュラ効果とは
カリギュラ効果とは、禁止されると、かえって興味が湧いてしまう心理効果です。実は、カリギュラ効果はあなたの身近にあふれる心理効果です。
あなたは「ここだけの秘密だから、絶対に口外しないでくれ」と言われて、なんだか無性に誰かに言いたくなってしまった経験はありませんか。もしくは、「絶対に押してはいけないよ」と言われたボタンを押してみたくなってしまった経験はないでしょうか。これらは、すべてカリギュラ効果の一例です。
カリギュラ効果は、マーケティングでもよく使われる心理効果です。あなたは、ブログ記事のタイトルやセールスコピーで、「悪用厳禁」「禁断の」「マル秘」などのフレーズを見かけたことはないでしょうか。マーケターやコピーライターたちは、このような「禁止」を表すフレーズが、読者の興味をひくとわかっているため、「禁止」のニュアンスを含む表現を使うのです。
カリギュラ効果は「心理的リアクタンス」の一種
心理的リアクタンスとは、選択の自由を奪われると、それに反発しようとする心理作用のことです。
カリギュラ効果は、「してはいけない」と選択の自由を奪われたときに現れる心理効果のため、心理的リアクタンスの一種といえます。
私たちの心には、あまのじゃくな一面があります。私たちは「やれ」と言われると、やりたくなくなってしまいますし、反対に「やるな」と言われると、やりたくなってしまうのです。
営業担当者は、お客さまに心理的リアクタンスを感じさせないように注意しなくてはなりません。営業でメリットばかりを伝えて、「ぜひ買ってください!」と説得すると、心理的リアクタンスが働きます。するとお客さまは、「よい製品なのはわかったけれど、なんだか買いたくないな」という気持ちになってしまうのです。
営業担当者は売り込むのではなく、「選ぶのはあくまでもお客さまです」という態度を崩さないことが大切です。そのためには、メリットだけでなくデメリットも伝える「両面提示」が重要です。
カリギュラ効果をマーケティングに応用する2つの技
カリギュラ効果は、マーケティングの中でも、特にセールスコピーに応用できます。この章では、カリギュラ効果をマーケティングに応用する2つの技について、ご紹介します。
技1:ターゲット「以外」を切り捨てる
通常、カリギュラ効果をセールスコピーに応用するときは、ターゲットに対して、何かを禁止するコピーを書きます。たとえば、「男性はクリックしないでください」といったコピーです。
一方で、ターゲット「以外」に対して、何かを禁止するコピーも作れます。この手法は、ターゲット「以外」を切り捨てることで、ターゲットを強調する手法です。たとえば、以下のようなコピーが、ターゲット以外を切り捨てるコピーです。
あなたは、ターゲット以外を切り捨てるコピーは書きやすいことに気づくでしょう。なぜならば、禁止する理由が書きやすいからです。理由が書きやすいと、あなたはより納得感のあるコピーを書けます。
たとえば、「本気でマーケティングに取り組んでいる方は、来ないでください」というコピーを作った場合、「なぜ本気で取り組んでいる人は来てはいけないのか」という理由が書きづらいですよね。
一方で、「本気でマーケティングに取り組んでいる方以外は、来ないでください」とすれば、「なぜなら、参加者の枠が限られているからです」というように、理由がかんたんに書けます。理由が書ければ、そのコピーは読者にとって納得感のあるコピーになります。
技2:バーナム効果と組み合わせる
バーナム効果とは、誰にでも当てはまるような一般的なことを言われると、自分にだけぴったりと当てはまっているように感じてしまう心理現象です。
「あなたは普段明るく振舞っていますが、1人になるとくよくよと思い悩んでしまう傾向があります」といった文章は、かなり多くの人に当てはまるはずです。人には多かれ少なかれ二面性があるからです。
セールスコピーは、読者に「これは自分のことだ」と思っていただくことが大切です。バーナム効果とカリギュラ効果を組み合わせることで、より多くの読者が「これは自分のことだ」と感じるでしょう。
たとえば、バーナム効果とカリギュラ効果を組み合わせたコピーは、以下のようなコピーです。
このコピーの1文目では、「現状に満足している方のご参加はお断りしています」と書いてありますが、「現状に完璧に満足している」と言える人は、少ないのではないでしょうか。また、2文目には「現状に課題感を抱き、なんとかしたいと願っているお客さまの力になりたい」と書いてあります。セミナーへの参加を考えている人は、ほとんど誰しもが現状に課題感を抱いているはずです。現状に課題感がなければ、セミナーへの参加は考えません。
つまり、バーナム効果とカリギュラ効果を組み合わせたコピーは、誰かを切り捨てているように見えて、実はほとんど誰も切り捨てていないのです。加えて読者には、「まさにこれは自分のことだ!」とより強く感じていただけるでしょう。
カリギュラ効果を取り入れたセールスコピーの例
カリギュラ効果をセールスコピーに取り入れると、どのような文章になるのか、例を見ながら確認していきましょう。
上記のカリギュラ効果を使わないコピーは、悪いコピーではありません。しかし、このコピーを読んで「まさに自分のことを言われている」と感じる人は少ないでしょう。
カリギュラ効果を使ったコピーは、本気でメールマーケティングに取り組んでいる人以外を切り捨てることで、読者に「自分ごと感」を演出しています。加えて、カリギュラ効果を使った上記のコピーならば、セミナーに対する自社の熱意も伝わります。
カリギュラ効果の注意点
カリギュラ効果は、いつでも効果を発揮するわけではありません。場合によっては、カリギュラ効果が逆効果になることもあります。カリギュラ効果を応用する際の注意点をご紹介します。
禁止事項のハードルを下げる
カリギュラ効果をマーケティングに応用する場合は、禁止事項のハードルをなるべく下げましょう。たとえば、「クリックしないでください」くらいのハードルならば、「なんだか気になるな。ちょっとクリックしてみるか」というように、読者は実行に移しやすいですよね。
一方で、そもそも実行のハードルが高いものを禁止しても、思ったような効果は見込めないでしょう。たとえば、とある高額な商材に対して、「買わないでください」と言ったところで、「そもそも買えないよ」というツッコミが飛んできそうです。
まずは、クリックや問合せなどの、読者が気軽に実行できるものから、カリギュラ効果を試すのがオススメです。
禁止する理由を述べる
禁止されると、その理由が気になりますよね。それは、カリギュラ効果を用いたコピーを読んだ読者も同じです。「なぜダメなのか」という疑問が解消されないままだと、読者は違和感や不快感を抱く可能性もあります。
コピーを読んだ読者に納得感を持っていただくために、「なぜ禁止なのか」という理由付けをするようにしましょう。