ハロー効果とは?あなたを好印象に見せる心理テクニック
あなたは、人を正しく評価できていますか?わたしたちは、人やものごとを評価するとき、際立った一面に大きな影響を受けます。
今回は、わたしたちの日常にあふれるハロー効果についてご紹介します。みなさまのお役に立てれば幸いです。
この記事のもくじ
ハロー効果とは?
ハロー効果には、ポジティブなハロー効果と、ネガティブなハロー効果の2種類あります。この章では、ハロー効果の概要と、2種類のハロー効果についてご紹介します。
ハロー効果とは?
あなたは、「有名大学卒の帰国子女」と聞くと、何をイメージしますか?
「仕事ができそうだ」「性格がよさそうだ」「仕事がやりづらそうだ」「性格が悪そうだ」など、あなたはさまざまな先入観を抱くでしょう。
「有名大学卒の帰国子女」であることと、「仕事ができる・できない」「性格が良い・悪い」は、因果関係がありません。しかしながら、わたしたちは先入観をもってしまいます。
ハロー効果とは、人やものごとの特徴が、そのほかの要素の評価にも影響を与える心理効果です。「ハロー」とは「後光」という意味で、ハロー効果は「後光効果」や「halo effect」と呼ばれることもあります。
「容姿」「学歴」「収入」「肩書き」には、ハロー効果がかかりやすいです。
ハロー効果は、ポジティブハロー効果とネガティブハロー効果の2つに分類できます。
ハロー効果の例:ポジティブハロー効果
ポジティブハロー効果とは、評価する対象のある特徴によって、ほかの要素まで高く評価してしまう心理作用です。
「有名大学卒の帰国子女」という特徴が、「仕事ができそう」「性格がよさそう」などのポジティブな印象を与えることは、ポジティブハロー効果と言えます。
ポジティブハロー効果がわかる例として、「容姿によって生徒の評価が変わるか」を調べた実験が挙げられます。
心理学者のクリフォードとウォルスターは、小学5年生の担当教員に協力を仰ぎました。「生徒の外見的魅力度」と、「担当教員からの知能指数やコミュニケーション能力の評価」に関連性があるか調べるためです。
実験の結果、容姿が魅力的な子どもは、そうでない子どもに比べて、高い知能やコミュニケーション能力、教育可能性を備えていると、担当教員から認知されていることがわかりました。
この実験から、魅力的な容姿はポジティブハロー効果を生むことがわかります。
評価が下がるネガティブハロー効果
ネガティブハロー効果とは、評価対象のある特徴によって、その他の要素まで低く評価してしまう心理効果です。
「有名大学卒の帰国子女」という特徴が、「仕事ができなさそう」「性格が悪そう」などのネガティブな印象を与えることは、ネガティブハロー効果と言えます。
ネガティブハロー効果の例として、字の美しさと試験の評価に関する実験があります。
この実験では、同じ内容の試験解答を、汚い字で書いた場合ときれいな字で書いた場合で、評価に差が出るのかが検証されました。試験官は字の美しさでは評価せずに、内容で評価するように求められました。
実験の結果、きれいな字で書かれた試験解答の方が、解答内容は同じだったにも関わらず、平均して評価が高かったのです。
この実験は、美しい字がポジティブハロー効果を生み、汚い字はネガティブハロー効果を生むことを示唆しています。
マーケティングで使えるハロー効果
前章では、ハロー効果の概要についてご説明しました。この章では、ハロー効果のマーケティング応用例を2つご紹介します。
有名人をプロモーションに使う
気づいていましたか?ハロー効果を使ったプロモーションは、世の中に溢れています。化粧品のCMは、有名モデルや女優を起用しています。いくつかのレストランは、有名人のサインを飾っています。
これらは、モデルや有名人が持つイメージを利用したプロモーションです。「有名モデルが使っている化粧品なら良いものだ」、「あの有名人が食べた料理なら美味しいに違いない」というハロー効果をねらっています。
有名人を使ったプロモーションとは反対に、「普通の人」を起用したプロモーションもあります。「普通の人」をプロモーションに起用するメリットは、お客さまに親近感を与えられることです。
お客さまの属性に近い人をプロモーションに使うことで、お客さまに親近感を持たせる効果があります。自分に似ている人に対して親近感を持つ心理作用を、類似性の法則と言います。
権威や肩書きをキャッチコピーに利用する
あなたは「3年連続売り上げNO1」「〇〇大学の教授監修」「〇〇で最優秀賞受賞」のようなキャッチコピーを見たことはないでしょうか。ハロー効果は、権威や肩書きによって発揮されます。
本の帯に「世界的権威の〇〇博士も認めた、マーケティングメソッド」などと書いてあれば、わたしは「絶対に有益な情報が詰まっているだろう」と思ってしまいます。
「〇〇大学の教授監修」「〇〇で最優秀賞を受賞」と言われれば、その教授や賞について知らなくても、お客さまは「きっとよいものなのだろう」と思うのです。
営業で使えるハロー効果
ハロー効果は、うまく使うことで営業担当者の魅力を高めます。この章では、営業におけるハロー効果の活用法を見ていきましょう。
営業のハロー効果は身だしなみから生まれる
「営業は身だしなみが大事だ」と言われるのはなぜか?それは、身だしなみがハロー効果を生み、お客さまへの信頼感に関わるからです。
営業は身だしなみで、ガラッと印象が変わります。営業担当者がボサボサの髪で、ヨレヨレの服を着ていれば、「能力のない営業だ」という印象を与えます。
逆に、営業担当者がピシッとしたスーツを着て清潔感があれば、「信頼できそうな営業だ」とお客さまに思っていただくことができ、その後の営業活動を有利に進めることができます。
肩書きを利用する
ハロー効果を活かすために、権威や肩書きが有効なことはご紹介してきましたが、営業でも肩書きを活かしましょう。
「特に肩書きなんてない」という人は、自分が扱っている商材の担当年数や、保有している資格などを使って、肩書きを作りましょう。作った肩書きは、名刺に記載しておけば、自然にお客さまに伝えられます。
ハロー効果で弱点を隠す
「どうしてもこれだけは苦手だ!」という弱点が、あなたにはありますか。大丈夫、どんな営業でも弱点はあります。ハロー効果を使えば、あなたは弱点を克服せずとも、弱点を「隠す」ことができます。
コミュニケーションが下手な営業がいたとします。コミュニケーションが下手という特徴は、営業にとって致命的です。しかしその営業が、システムエンジニアの出身で、情報技術にとても精通しているとすればどうでしょうか。
お客さまは、その営業に対し「コミュニケーションが下手な営業」という印象ではなく、「システムエンジニア出身で、情報技術に精通している頼れる営業」という印象を持ちます。
弱点を克服するよりも、突き抜けた一つの強みを作りましょう。
ハロー効果の注意点
ここまで来れば、ハロー効果についてはほとんど理解できたも同然です。最後に、ハロー効果の注意点を覚えておきましょう。
ハロー効果の注意点は1点だけです。「特徴は、相手にとって分かりやすいものにする」ことです。
「応用情報技術者」という資格を知らないお客さまに対して、資格の保有をアピールしても、「それってすごいのだろうか」という疑問を抱かせてしまいます。
「英語ができる」「社長をしている」のような、誰でもわかる能力や肩書きは強力です。誰にでもわかるハローを用いるか、お客さまの特徴に合わせたハローを用いることを意識しましょう。
おわりに
ハロー効果を知れば、あなたはハロー効果を使いこなせるだけでなく、ハロー効果の罠を避けることができます。ぜひ、ハロー効果をビジネスに役立ててください。