営業成果を伸ばすフィードバック|具体例や営業データ活用法を解説

フィードバックとは、相手の成長を促すコミュニケーションです。単なる改善点の指摘だけではなく、よい点を伝え、強みを伸ばすこともフィードバックの大切な役割です。

フィードバックは、上司から部下へ、同僚同士、部下から上司へと、さまざまな立場で行われますが、本記事では営業チームにおいて、マネージャーがメンバーに対して行うフィードバックに焦点を当てます。どのように伝えればメンバーが納得し、成長につながるのか解説します。

成長を促すフィードバックの基本原則

「メンバーがフィードバックを素直に受け入れていないように感じる」「フィードバックをしても行動に変化が見られない」と悩む営業マネージャーは少なくありません。まずは、自分のフィードバックが適切に伝わっているか確認してみましょう。

人格を否定しない

フィードバックでフォーカスすべきは「行動」であり、メンバーの性格や能力ではありません。人格を否定するような言葉は使わないようにしましょう。改善点を伝える際は、具体的な行動に焦点を当て、どのように改善できるかを示すことが重要です。

▼陥りがちな言い回し

  • 「センスがないね。」
  • 「どうしてそんなに要領が悪いの?」

▼改善例

  • 提案の方向性は悪くないけれど、もう少しお客さまの課題に沿った内容にできるといいね。」
  • 「業務の進め方について悩んでいるように見えるけれど、何か困っていることはある?必要なら一緒に整理して、進めやすくする方法を考えてみよう。」

ポジティブなこともフィードバックする

1回のフィードバックでいくつもの改善点を伝えたり、改善点を指摘するフィードバックを毎回続ける状態では、メンバーのモチベーションを低下させる原因になりかねません。ポジティブなフィードバックはメンバーの自信を引き出し、主体的な行動を促します。

▼陥りがちな言い回し

  • 「さっきの商談、課題の掘り下げが足りなかったし、〇〇の商品説明もわかりにくかった。それとクロージングのタイミングも…」

▼改善例

  • 「さっきの商談、プレゼンの流れがスムーズだったね!特に、△△の部分の説明がクリアで良かったよ。次は、課題の掘り下げをもう少し意識してみると、さらに説得力が増すかもしれないね。」

メンバー自身が考える余白を残す

フィードバックは、相手の成長を促すコミュニケーションです。一方的で細かいフィードバックはもはや「指示」です。指示に従うことでメンバーが一時的に成果を出せたとしても、継続的な成長にはつながらないでしょう。

▼陥りがちな言い回し

  • 「打ち合わせを打診するメールは件名をこう書いて、本文はこの順番で書いて、最後はこのフレーズで締めてね。」
  • 「このお客さまには、この資料の2ページ目を最初に見せて、それから5ページ目のグラフを使って説明してね。」

▼改善例

  • 「メールを書くときは、相手が読みやすいように工夫するといいね。どんな順番にすると伝わりやすいと思う?」
  • 「この資料の中で、お客さまが関心を持ちそうなポイントはどこだと思う?その部分をうまく活用できるといいね。」

根拠をもって具体的に伝える

事実やデータにもとづかない感覚的なフィードバックは、メンバーを迷わせてしまい、納得感を損ないかねません。具体的なフィードバックを考える上では、「SBIモデル」を活用できます。SBIモデルとは、Situation:状況、Behavior:行動、Impact:影響にもとづいたフィードバックの形式です。

▼陥りがちな言い回し

  • 「もっと積極的にいこう!」
  • 「最近、あまり成果が出ていないよね。もうちょっと努力したら?」

▼改善例

  • 「お客さまとの会話のログを見てみると、質問の回数が少なめだったね。(S)商談で質問が少ないと、(B)お客さまのニーズを正しく引き出せないため、(I)提案がズレてしまう可能性がある。次回は、最初の10分で3つ以上の質問をすることを意識してみよう。」
  • 「過去3か月の受注率が20%から15%に下がっているね。(S)商談後のフォローの頻度をデータで見ると、他のメンバーと比べて1週間以上間が空いているケースが多い。(B)フォローの間隔が長いと、お客さまの検討が進まず、(I)競合に流れてしまう可能性がある。次回は、商談後3日以内にフォローすることを意識してみよう。」

フィードバックの効果を最大化するタイミングと形式

フィードバックの内容や目的に応じてタイミングや形式を使い分けましょう。大きく分けると、以下の3つの観点で整理できます。

フィードバックのタイミング:即時 or 後日

メンバーがすぐに改善できる軽微な内容なら即時に、そうではない場合は後日フィードバックしましょう。

以下のようなケースでは、後日時間をとってフィードバックすることをおすすめします。

  • 営業成績の振り返りなど、データや事実の整理が必要な場合
  • キャリアの相談など、深い対話が必要な場合
  • マネージャーまたはメンバーの感情がたかぶっている場合

フィードバックの対象:1対1 or チーム全体

チーム全体へ成功事例を共有したい場合や、共通の課題について意識を統一したい場合を除いて、基本的にはマネージャーとメンバーの1対1でフィードバックを実施しましょう。

メンバーの個別の成長課題や改善点を大勢の前で伝えることは、本人の尊厳を傷つける可能性があります。必要以上に萎縮させてしまうことで、成長につながる前向きなフィードバックにならないばかりか、マネージャーへの信頼低下にもつながる恐れがあります。

フィードバックの手段:口頭 or テキスト

メールやチャットなど文字でのフィードバックは記録として残るため、後から見返せるという利点があります。しかし、同じ文章でも感じ方には差があり、真意が伝わらないこともあるため、誤解を防ぐための工夫が必要です。

すぐに修正できる軽い内容やポジティブな内容であればテキストでのフィードバックでもよいですが、相手の反応を見ながらフィードバックを進めるべき以下のようなケースでは、口頭でのフィードバックにしましょう。

  • メンバーの考えを引き出しながら対話したいとき
  • 重大なミスに対する指摘やデリケートな内容を話すとき

営業データの活用で進化するフィードバック

マネージャーの主観や感覚にもとづいたフィードバックでは、メンバーの納得感が得られず、再現性のある成果につながりにくいことがあります。フィードバックの客観性を高め、改善点を具体的に示すには営業データの活用が欠かせません。

当社では自社開発のSFAツール「Kairos3 Sales」を、自社の営業活動でも活用しています。営業マネージャーは、「Kairos3 Sales」に蓄積された営業案件の情報や売上実績をもとに日々のフィードバックや人事評価をしています。

この章では、SFAツール「Kairos3 Sales」に蓄積された営業データから、どのようなフィードバックを実現できるか解説します。

営業プロセスを評価する

フィードバックでは結果だけでなく営業のプロセスも評価しましょう。結果だけを評価していては、メンバーのモチベーションを下げることがあります。プロセスに着目することで、成果につながる行動や改善すべき行動を見極めやすくなります。

ボトルネックを特定する

メンバーの営業成績が振るわないとき、感覚的なアドバイスをするのではなく、営業データを活用してボトルネックを突き止めましょう。客観的なデータにもとづいたフィードバックであれば、メンバーは前向きに行動しやすくなります。

  • メンバーが担当する案件のうち、特定の営業ステージに滞留している案件が多くないか?
  • 停滞している案件の商談履歴やお客さまへの対応履歴はどのようなものか?

などをSFAツール上で確認することで、メンバーの営業成績が低下する要因を探すことができます。

フィードバック後の変化を確認し、次回のフィードバックにつなげる

フィードバックは継続することでさらに成果を生み出せます。前回のフィードバック以降、メンバーがどのように行動を変えたのか、行動の変化が営業成績に表れているか確認しましょう。効果を検証することで、メンバーの成長が具体的に見えるようになります。

フィードバックは単なる指摘ではなく、メンバーの成長を支援し、最終的に営業成果を高めるためのものです。SFAツールに蓄積された営業データを活用することで、マネージャーの感覚や経験だけに頼ることなく、客観的で納得感のあるフィードバックを実施できます。

SFAツール「Kairos3 Sales」についてくわしく知りたい場合は、「Kairos3」製品お問い合わせよりお問い合わせください。

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