SFAは、営業プロセスを効率化・自動化し、情報を集約・管理するソフトウェアです。主な機能は、顧客管理や商談情報の可視化、タスク管理などを通じた営業活動の組織的な強化です。
正しい事前確認やプロセスを踏まないことでSFAを効率的に活用できていない企業も多くあります。当記事では、SFAの導入を検討している担当者さまに向けてSFAの導入を成功させるポイントを解説します。
この記事のもくじ
SFA導入の失敗事例
SFA導入における代表的な失敗事例は、以下の4点です。
営業担当者がシステムを使わない
SFAは、営業情報を共有して営業効率をアップさせるシステムです。そのため、営業担当者がシステムを利用しなければ、営業情報が蓄積されません。また、営業情報が担当者間で活用されなくなりSFAの導入効果を得られません。
営業担当者がシステムを使わない原因は、以下のとおりです。
・操作が複雑で使いにくい
・システムの利用が手間になっている
・当事者意識がない
これらの原因を解決するための対策方法は下記の通りです。
・操作マニュアルをすぐに閲覧できるようにする
・入力項目を最小限に抑える
・SFAを導入する目的を営業部門と共有する
SFAが営業担当者の負荷にならないよう、シンプルで使いやすいシステムが求められます。
必要な機能がない・どれかわからない
SFAに用意されている機能すべてが営業担当者の求めていた機能とは限りません。これまでの営業活動とのギャップによって、必要な機能がない、またはどの機能を利用すればよいかわからない、という状況が生まれます。
営業担当者にとって「必要な機能がない」「どれかわからない」状況になる原因は、以下のとおりです。
・製品の検討が不足していた
・利用前のトレーニングが不足していた
・システムに柔軟性がない
これらの原因を解決するための対策方法をまとめます。
・製品の検討前に導入目的や課題を明確にする
・営業担当者がシステムの利用方法をトレーニングできる時間を設ける
・自社用にカスタマイズができる製品の検討をする
製品の選定時には、営業担当者の意見を反映した検討が重要です。
入力されたデータを有効活用できない
これまで紙で実施していた内容をそのままSFAに登録しても、SFAのパフォーマンスは発揮できません。SFAを導入する目的と得られる機会効果が営業部門の中で共有されていないと、入力されたデータを有効活用できない原因につながります。
入力されたデータを有効活用できない原因は、以下のとおりです。
・導入目的・課題が明確でない
・必要な情報が収集できていない
・収集したデータの分析方法がわからない
これらの原因を解決するための対策方法をまとめます。
・製品を導入した目的・課題を振り返る
・取得すべきデータを洗い出し、SFAに登録する意味をチームメンバー全員が理解する
・現状の課題を共有し分析によって得られる効果を議論する
得られる効果が明確でないと、これまでよりも収集するデータが増えることが手間だと捉えられてしまいます。
部署間のデータ共有が上手くいかない
SFAに格納される情報は、営業部門だけでなくマーケティング部門や製造部門も確認できるようになると、情報をより効率的に活用できます。部署間でのデータ共有が上手くいかないと、SFAを導入した効果が一時的なものになってしまいます。
部署間のデータ共有が上手くいかない原因は、以下のとおりです。
・部署間で共有できないシステムを導入してしまう
・社内に複数のSFAが導入されている
これらの原因を解決するための対策方法をまとめます。
・他部署で情報共有できる製品を選定する
・既存のシステムとの親和性を検討する
・情報が一元管理できるよう、社内の情報を整理する
さまざまなシステムに情報が格納されていると、情報が一元管理できずに更新の手間が増えてしまいます。SFAの導入前には、社内にある顧客情報を整理して、システム間の連携が効率的に実施される運用体制を整えます。
SFA導入で失敗しないために確認すること
SFAの導入で失敗しないためには、以下のことを確認する必要があります。
- 導入する目的・課題は何か
- 導入後のサポート体制はあるか
それぞれについて解説します。
導入する目的・課題は何か
SFA導入で失敗しないためには、導入する目的・課題が何かを明確にします。
SFAは、導入するだけで営業が効率的になるわけではありません。導入の目的や課題が明確になっていないと、SFAを導入した成果を評価できず、導入効果を実感できないことから不満につながりやすくなります。
SFAを導入する目的・課題と、そこから考えられる活用施策の事例を紹介します。
導入目的を確認する際には、現状の営業部門に発生している課題に優先順位をつけることが重要です。目的と課題にあったSFAの導入を検討します。
導入後のサポート体制はあるか
SFA導入で失敗しないためには、導入後のサポート体制があるかを確認します。
SFAを導入しても営業担当者が使いこなせなければ意味がありません。効率的な活用方法がわからないと、費用対効果も生まれず、かえって手間だけが増えてしまいます。
導入後のサポート例には、以下のようなものがあります。
・営業担当者向けの研修を実施する
・使い方がわからなかったときの問い合わせ窓口が明確になっている
・利用してみた感想をフィードバックでき製品の改善に役立てている
・業務体制の変化に合わせて柔軟なカスタマイズができる
・定期的なアップデートが行われ機能が追加されている
導入後のサポート体制は、他社製品と比較しながら導入前に確認しておくことが大切です。
SFA導入を成功させるポイント
SFA導入を成功させるポイントは、以下のとおりです。
- まずはスモールスタートにする
- PDCAを回して運用方法を改善する
それぞれのポイントについて解説します。
まずはスモールスタートにする
SFA導入を成功させるためには、スモールスタートで始めることが重要です。スモールスタートでは、SFAが搭載しているすべての機能をすべての部署に一度に展開するのではなく、限られた機能と限られた範囲で導入します。
スモールスタートで始めることで、営業部門がSFAシステムに慣れやすくなります。実際の業務フローとSFAの機能が適応しやすくなり、全部署への導入がスムーズに進むようになるでしょう。
スモールスタートはコスト面でのメリットも大きいです。導入範囲を限ることで、初期投資やランニング費用を抑えられ、費用対効果が出やすくなります。限られた組織での成功体験が横展開され、効率的な利用方法の好事例が共有される点もスモールスタートのメリットです。
PDCAを回して運用方法を改善する
SFAを導入する際には、PDCAを回して運用方法を改善しながら進めましょう。PDCAサイクルを回すことで、システムの運用方法を段階的に改善していくことが可能です。
営業部門や他部署で日々変化している課題・ニーズに柔軟対応でき、SFAシステムの持続的な改善が実現されます。
まとめ
SFA導入の失敗事例には、営業担当者が利用しない、必要な機能不足、データの有効活用、部署間データ共有の不備などがあります。失敗原因を確認し、それぞれの解決策を立てることでSFAはスムーズに導入できるようになります。
SFAを導入する際には、スモールスタートで初めてPDCAサイクルを回しながら、自社の営業部門で効果的に活用できるように取り組むことが重要です。
この記事をきっかけとして、SFAの導入や運用の成功につながれば幸いです。