メルマガ運用者が知っておくべき法律|「個人情報保護法」と「特定電子メール法」

メルマガは一般的な販促方法の一つですが、法律の遵守には気をつけなければなりません。メルマガ運用者が特に知っておきたい法律は、「個人情報保護法」と「特定電子メール法」です。

この記事を読めば、メルマガに関する法律を遵守したメルマガを作成できます。これからメルマガを運用される担当者さまの参考になれば幸いです。

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この記事のもくじ

メルマガ運用者が知っておくべき2つの法律「個人情報保護法」「特定電子メール法」

メルマガの運用で特に知っておきたい法律は「個人情報保護法」と「特定電子メール法」です。メルマガ担当者のために、2つの法律の概要をまとめました。

メルマガの基礎と概要について
メルマガの基礎やメルマガ運用の概要について「メルマガとは?読めば全てがわかる徹底解説」でまとめました。みなさまの業務のご参考になれば幸いです。

「個人情報保護法」は個人情報の取扱いを定める法律

個人情報保護法とは、個人情報を取り扱うすべての企業や団体に対して、個人情報の取り扱いに関するルールを定めた法律です。個人情報保護法は、2017年5月30日の改定によって、「すべての企業」が法律の対象となりました。

個人情報保護法については、個人情報保護委員会が発行している「個人情報保護法ハンドブック」でくわしく学べます。

「数十件しか個人情報を持っていないし、大丈夫だろう」と思って法律を気にせずメルマガを配信していると、法律違反になってしまいます。個人情報保護法は、メルマガ配信者なら全員が気をつけるべき法律です。

では、個人情報とはいったいどのような情報を指すのでしょうか。

個人情報保護法によると、個人情報は、以下の情報を意味します。

「生存する個人に関する情報であって、当該情報に含まれる氏名、生年月日その他の記述等により特定の個人を識別することができるもの (他の情報と容易に照合することができ、それにより特定の個人を識別することがで きることとなるものを含む)」- 個人情報保護法の第二条第一項から抜粋。

つまり、個人情報とは、「特定の個人を識別できる情報」です。

たとえば、「山田さん」だけでは個人情報ではありません。苗字だけでは個人を特定することができないからです。しかし、会社名と苗字がセットになったり、さらにメールアドレスや電話番号も合わせて知ってしまえば、個人の特定が容易になってしまいます。

注意すべきは、メールアドレスです。たとえば、「taro_tanaka@kairosmarketing~」というアドレスからは、「カイロスマーケティングの田中太郎さん」という個人を特定できてしまいます。メルマガで取り扱うメルマガ読者の情報は、上記の個人情報にあたるのです。

「特定電子メール法」は迷惑メールを規制する法律 

特定電子メール法は、迷惑メールの規制を目的として、2002年に施行された法律です。

特定電子メール法では、メルマガを含む広告宣伝メールについて、「原則としてあらかじめ送信の同意を得た者以外の者への送信禁止」「一定の事項に関する表示義務」「送信者情報を偽った送信の禁止」「送信を拒否した者への送信の禁止」などが定められています。

なお、実は特定電子メール法は俗称であり、正式名称は「特定電子メールの送信の適正化等に関する法律」です。場合によっては、別俗称の「迷惑メール防止法」と呼ばれることがあります。

メルマガ運用で知っておきたい法律の6つの要点

メルマガを運用する担当者であれば知っておきたい、法律に関する6つの概要を理解しておきましょう。

1:個人情報保護法はメルマガを運用するすべての事業者が対象に

個人情報保護法の改正前は、個人情報の取扱量が5,000件を超えない事業者は規制対象外でしたが、2017年の改正後は、個人情報を取り扱うすべての事業者が個人情報保護法の対象となりました。

メルマガでは、読者の情報(氏名、会社名、メールアドレス等の組み合わせ)を取り扱うため、個人情報保護法の対象範囲です。

個人情報の保護義務は、たとえ配信リストが数十件でも発生します。少人数へのメルマガ配信であっても、メーラーのTOリストやCCリストでの配信をしないよう注意しましょう。TOリストやCCリストでの配信では、受信者のメールアドレスが公開された状態でメルマガが配信されてしまうからです。

メルマガ登録時に、個人情報を保護してメルマガを運用していることをあらかじめ伝えておけば、メルマガ受信希望者が個人情報を入力する不安を減らせます。オプトイン取得のタイミングで、個人情報を利用する目的について、なるべくくわしく明記しておきましょう。

2:個人情報は本人の許可なく第三者に開示してはならない

メルマガ配信で取り扱う個人情報は、事前に本人から承諾を得ることなく第三者に提供してはなりません(個人情報保護法第 25 条、26 条)。

メルマガ配信リストのデータを第三者に提供する場合、事前承諾を得たうえで、「いつ」「誰の」「どんな情報を」「誰に」提供したかを記録しておく必要があります。これらの記録は、原則3年間は保存しておきましょう。

3:個人情報の利用目的を明記する

個人情報保護法第15条第1項によって、個人情報を取得する際は、利用目的をできる限り具体的に書くことが推奨されています。

取得した個人情報は、あらかじめ明記した利用目的に沿って利用しましょう。

たとえば、ネット上で会員登録をしたサイトが、個人情報の利用目的に「メルマガ配信目的」と明記していないにも関わらず、メルマガを配信することは、個人情報保護法に違反します。

私たちの登録フォームは、「個人情報の利用目的」に同意したメルマガ受信希望者でなければフォーム登録ができないようにボタンを設置しています。

4:メルマガ配信前に承諾が必要

メルマガを含む広告宣伝メールの送信は、特定電子メール法にのっとり、原則として受信者の事前承諾が必要です。法律を遵守するため、メルマガは受信希望者に事前に承認を得る「オプトイン方式」で配信しましょう。オプトイン方式については、後ほどくわしくご説明します。

登録フォームは、「自らの意志でメルマガ受信を希望したメールアドレスに、メルマガを送る」という関係の構築に便利です。

ただし、改めてオプトインをする必要がないケースもあります。たとえば名刺交換によってアドレスを入手した場合や、すでに取引関係にある場合、または顧客が自身のメールアドレスをインターネット上に公表している場合は、メルマガ配信の際にオプトインを取得する必要はありません。

5:メルマガ送信者の問い合わせ先や配信解除方法を表示

読者の同意を得てメルマガを届けるだけでは、法律を遵守できたとは言えません。メルマガは、特定電子メール法にのっとり、受信者がいつでも配信解除できるようにしておきましょう。メルマガ配信者には、

  • メルマガ送信者の氏名・会社名
  • メルマガ送信者の住所・問い合わせ先
  • メルマガの配信停止方法

この3点を、受信者が理解しやすいようにメルマガに表示する義務があります。

メルマガの文末には、以下のような文言を記載しておきましょう。

(メルマガ名)

発行元:〇〇株式会社

〒000-000 東京都新宿区四谷0-0-0 〇〇ビル4F

https://[会社のホームページ].net/

本メールは、当社のメルマガ登録者ならびに当社資料をダウンロードされたお客さま、当社社員と名刺交換をされたお客さまにお送りしております。配信解除は以下からお願いいたします。

[ 配信解除のお手続き ]

6:メルマガ受信者の同意記録を保存する

メルマガ運用では、あなたのメルマガ読者がメルマガの受信を承諾した記録を残す必要があります。

特定電子メール法により、該当メルマガを運用している間は、メルマガ読者がメルマガ配信を登録した、もしくは承諾した記録を残しておかなくてはなりません。

同意記録とは、たとえばメルマガ登録フォームに登録いただいた日時と、登録フォームに記載していた内容の記録です。一般的に、メール配信システムマーケティングオートメーションなら、受信希望者がフォーム登録した日時が自動で記録されます。これらのツールには、フォーム作成機能と顧客管理機能が備わっており、自動で登録者の情報が保存されるからです。

メルマガ受信者が配信を承諾した記録の保存期間は、該当メルマガを最後に配信してから1ヶ月です。

メルマガ運用者が知っておきたい「オプトイン」と「オプトアウト」について

メルマガを運用するにあたって、「オプトイン」と「オプトアウト」という用語を理解しておきましょう。メルマガに関する法律は、この「オプトイン」と「オプトアウト」に大きく関係します。

事前に受信者にメルマガ配信の承諾を得るための「オプトイン」

事前に承諾を得てメルマガなどを配信することを、一般的に「オプトイン(方式)」といいます。

事前承認を得る方法は、フォーム登録が一般的です。登録フォームには、「メルマガ配信を受信者側が希望している」ことが、後からでも確認できるようにするという役割があります。また、登録フォームには、「個人情報の利用目的」を記載しておくと、個人情報保護法で義務付けられている「個人情報利用目的の承諾」を得ることができます。

オプトイン方式を採用せずにメールを送ってしまうと、受信者から「怪しいメールだ」と認識され、迷惑メール判定を受けてしまいます。それどころか、オプトイン方式を採用していないメルマガは、のちにご紹介するように法律違反になってしまいます。

メルマガ受信者が配信解除する「オプトアウト」

「オプトアウト」とは、メルマガ受信者がいつでも好きな時に配信解除をすることです。一般にメルマガには、文末に以下のような文言があるはずです。

上記の例では「配信解除のお手続き」を押すと、メルマガ配信を解除できるページに遷移します。

メルマガに関する法律を違反した場合の罰則とは?

メルマガの運用で、法律を違反した場合には罰則の対象となります。

個人情報保護法の場合

個人情報取扱事業者は個人情報保護法の定める義務に違反し、個人情報保護委員会の改善命令にも違反した場合、「6ヶ月以下の懲役または30万円以下の罰金」の刑事罰が課せられます。

また、個人情報を漏えいさせてしまうと、漏えいによる被害や、実被害が無くても漏えいしたという事実による損害賠償民事訴訟のリスクも発生するので注意が必要です。

個人情報保護法の改正内容については、「個人情報保護法ハンドブック」があります。ご参考ください。

特定電子メール法の場合

特定電子メール法の規定を守らずにメルマガ配信すると、「1年以下の懲役又は100万円以下の罰金」の罰則・罰金が設けられています。法人の場合は、行為者を罰則するほかに、法人に対して3000万円以下の罰金があります。

特定電子メール法については、総務省によるガイドライン(PDF)があります。

参考:法律違反をすると、罰則に加えて社会的信用を失う

法律違反がもたらす不利益は、罰則だけではありません。会社にとっては信用がすべてです。

個人情報の漏えいや、法律違反をすることで、メルマガ担当部署だけでなく、会社自体が社会的信用を失ってしまいます。

社会的信用を失ってしまうと、売り上げを含めた大きな損害を会社にもたらしてしまいます。取り返しのつかない失敗を未然に防ぐためにも、メルマガに関する法律はきちんと理解しておきましょう。

メルマガ配信で法律違反をしないために 

メルマガ運用者のために、メルマガで法律違反を避けるための必要な項目をまとめました。

メルマガのオプトインをする

メルマガには受信者に意図的に登録していただき、メルマガ配信の承諾を得るようにしましょう。

メルマガの運用では、メルマガ登録フォームに登録していただく際に、「個人情報の取扱い」の一部として、いただいた個人情報を取り扱う目的を明示して、メルマガ配信の承諾を得ておきます。

登録フォームは、個人情報の取り扱いに同意しなければ先に進めないよう、チェックボタンなどを設置し、受信者の承諾を得られる設計にしましょう。

入力フォーム作成に悩んだら
入力フォームの作成は、作成ツールや追加項目など、決める内容が多いので、迷ってしまうメルマガ担当者も多くいらっしゃいます。フォームについて学びたいメルマガ担当者は「入力フォームとは?今さら聞けないWeb用語をどこよりもわかりやすく解説します」を、フォームの項目に悩んでいるメルマガ担当者は「入力フォームに関する調査レポートまとめ|適切な項目数や離脱の原因を徹底解明しました」をあわせてごらんください。

オプトアウトをメルマガ本文に挿入する

メルマガには、メルマガのオプトアウト方法を明記しておきましょう。今でもオプトアウトのないメルマガを見かけることがありますが、これはメルマガの法律違反の対象となります。メルマガの書き方はしっかりと学んでおきたいところです。

メルマガの書き方のまとめ
メルマガの書き方については、「読まれるメルマガの書き方|例文テンプレートですぐ書ける完全ガイド」でまとめました。当社のメルマガ担当者が10年間のメルマガ配信で培ったノウハウをまとめています。

メルマガの読者が増えるにつれて、メルマガのオプトアウトの申請を読者からいただいても、メルマガ配信停止をし忘れることがあります。メルマガの法律面だけでなく、読者との信頼の観点からも、オプトアウトは自動処理できるような仕組みを整えましょう。

メール配信ツールやマーケティングオートメーション(MA)ツールを使えば、配信解除申請を自動処理できます。

BCC配信でのミスによる個人情報漏えいに気をつける

メールマーケティングの運営でよくあるミスは、個人のメールアドレスをTOリストやCCリストに列挙してしまい、リストにある読者同士がお互いの個人情報を知り得てしまうことです。

メール配信ツールやマーケティングオートメーションを使ってメルマガ配信をすれば、このようなミスを避けることができます。

BCC配信でメルマガを送っても大丈夫?そんな疑問にお答えします
BCCでのメルマガ配信は、コストをかけずにかんたんに始められます。しかし、気をつけて運用しなければ、個人情報漏えいを引き起こしてしまいます。BCC配信とメール配信システムを使った配信の違いや共通点については「BCCで一斉送信しても大丈夫?BCCとメール配信システムの違いを解説」にまとめてございます。あわせてごらんください。

自動返信メールも特定電子メール法に該当する

自動返信メールは、フォームへの登録や自社ホームページからの問い合わせに対して、自動で返信するメールです。

自動返信メールは、それ自体は広告宣伝メールではないものの、特定電子メール法が適用されるメールです。

総務省のガイドラインには、以下の定義が書かれています。

広告・宣伝メールを送信するための同意の取得・確認のために送信される電子メールは、最終的に広告・宣伝メール を送信するために送信されるものであることから、広告又は宣伝を行うための手段として送信される特定電子メールに該当する。

お問い合わせやフォーム登録をいただいた個人情報に対し、いずれメルマガを送信する可能性があるならば、自動返信メールにも必ずオプトアウトを挿入しましょう。

特定電子メール法についてもっとくわしく知りたいなら
特定電子メール法は、主にオプトアウトやオプトインに関する法律です。法律違反をしないために覚えておきたい情報は「特定電子メール法を解説|法律違反しないための3つの要点」にまとめてございます。ぜひあわせてごらんください。

法律を遵守したメルマガ配信にはMAがおすすめ

これまで説明してきたオプトインやオプトアウトを設定し、なおかつ個人情報の漏えいに留意しつつメルマガ配信をするためには、ツールが必要です。

私たちは、メルマガ配信にはマーケティングオートメーション(MA)ツールの活用をおすすめしています。MAはメルマガ配信にかける時間を短縮し、業務効率を大幅に改善できるツールです。

MAを使うと、メルマガ登録フォームの作成や本文に配信停止用リンクを挿入したメルマガ配信などが容易にできます。

当社ではMAツール「Kairos3 Marketing」を製造・販売しています。「マーケティングをもっと身近にする」ために、始めやすい価格帯かつ、シンプルで直感的に操作できるツールです。

問い合わせ・資料請求は無料ですので、興味がある方はお気軽に下記資料をごらんください。

※この記事は2022年10月19日に更新しました。

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