展示会における「声かけ」は、来場者を自社の見込み客に変える最初のアプローチです。
同業他社が並ぶ会場で、ブース前に立っているだけでは埋もれてしまい、せっかくの接点を逃してしまうことも少なくありません。能動的な一言で「興味のきっかけ」を作れるかどうかで、獲得できる名刺の量と質が大きく変わります。
この記事では、展示会でよくある「声かけ」の悩みとその解決策を、現場で実践しやすい形でご紹介します。
この記事のもくじ
なぜうまくいかない?現場でよくある「声かけ」の悩みと解決策
この章では、展示会の声かけにおける、よくあるお悩みと解決策を紹介します。
声をかけるのが苦手・何と声をかければいいかわからない
展示会の経験が少ないメンバーや、対面での接客に苦手意識があるメンバーにとって、「来場者に声をかける」のはハードルが高く感じられます。こうした心理的なハードルは、展示会前のロープレや声出し練習で徐々に慣れてもらうのが効果的です。苦手意識や経験に合わせて、段階的に実践してもらいましょう。
- 「こんにちは」と挨拶する
- 自社製品名やキャッチフレーズなど、挨拶の次の一言をかける
- 「〇〇でお困りですか?」「△△に興味ありますか?」と問いかけ型の一言を加える
あらかじめ、自社の強みや来場者の関心に合わせた声かけトークスクリプトを準備し、チーム内で共有しておくと、誰でも一定の成果が出せる状態に近づけます。
声をかけても気づいてもらえない
来場者に声をかけても、そもそも聞こえていなかったり、振り向いてもらえなかったりするケースは少なくありません。これは、声量やタイミングなどの「伝え方」の問題です。
展示会の通路では、複数のブースから同時に来場者へ声がかかることがあります。来場者にとっては話しかけられるのが当たり前の環境です。だからこそ、まずは声を届けることが重要なスタート地点になります。
対策として、第一声は「笑顔+アイコンタクト+元気な一声」をセットで意識しましょう。声のトーンは明るく、語尾までしっかり伝えること。適切な声量も必要です。
慣れてきたら、来場者と目が合った瞬間に一言かけましょう。声をかけるタイミングや声の大きさを工夫するだけで、反応が変わることはよくあります。
声は届いていそうなのに足を止めてもらえない
「こちらからの声かけには気づいている様子なのに、素通りされる」という状況は展示会あるあるです。これは「伝える内容」の問題です。
そんなときは、「声かけが来場者にとっての自分ごとになっているか」を振り返ってみましょう。たとえば、「〇〇にお困りの方、多いですよね」など、課題起点の声かけは反応を得やすくなります。通りすがりの大勢にではなく、目の前を通る一人ひとりに意識を向けて声をかけましょう。
さらに、声かけの内容とブースのパネル・資料・ノベルティに一貫性があるかどうかも重要です。言葉とビジュアルが連動していると、来場者の記憶に残りやすくなります。特化している業界や導入実績、成功事例など、競合との差別化につながる要素を自然に盛り込めれば、来場者が立ち止まってくれる可能性はぐっと高まります。
参加メンバーによって成果に差がある
「Aさんがブースにいる日は名刺が多く集まるが、いない日はさっぱり」。こうした成果の偏りも、展示会の現場ではよくある悩みです。
声かけが個人のスキルや経験に依存してしまっていることが原因です。属人化を防ぎ、多少の得手不得手はあって当然ですが、誰が対応しても一定の成果が出せるようにする仕組みづくりが大切です。
以下のような工夫をしてみましょう。
- 声かけに慣れていないメンバーと得意なメンバーを同じ時間帯に配置し、見て学んでもらう
- 声かけのトークスクリプトを準備し、一定の水準を担保する
- 展示会後は振り返りを実施し、反応のよかった声かけをナレッジとして蓄積する
名刺の質が安定しない
名刺は多く集められたものの、いざフォローを始めると、「商談につながる名刺が少ない」という課題もよく聞きます。この場合、「誰に声をかけるか」の基準が曖昧なまま、やみくもに声をかけてしまっている可能性があります。ターゲットが明確でなければ、数は集まっても質は安定しません。
商談につなげやすい名刺を獲得するために、次のような工夫が有効です。
- 獲得したい顧客像を事前にチームで共有する
- 「〇〇業種・△△職種の方を優先する」といったガイドラインを決めておくと迷いが減ります。
- 来場者の名札を確認する
- 業種や役職が記載されている場合は、ターゲットを見極める判断材料になります。
- 競合ブースに立ち寄った来場者にも注目する
- 近い商材カテゴリのブースに興味を持った来場者は、自社にとっても有望な見込み客だと判断できます。
展示会で立ち止まってもらえる「声かけ」パターン集|成果を生む一言とは?
声かけは「話しかけて終わり」ではなく、「反応を得て次につなげる」ものです。
成果を安定化させるためには、反応があったときの二手目までをあらかじめ設計しておくのが理想的です。また、来場者の属性や時間帯によっても反応は異なるため、あらかじめ複数の声かけパターンをテンプレートとして用意しておくと、現場での応用力が高まります。
この章では、実際の現場で使える、誰でも実践しやすい声かけパターンをタイプ別に紹介します。
問いかけ型|来場者の関心に触れて足を止める
来場者の「自分ごと」感を引き出して反応を得られるようにするのがこの型の特徴です。
まずは声かけを始めるための“きっかけ”として使いやすく、初心者でも取り組みやすいスタイルです。
- 「〇〇でお困りの方、多いですよね」
- 「⬜︎⬜︎についてご紹介しています」
- 「△△担当の方にご案内しています」
興味喚起型|聞き返したくなる言葉や目を引く数字で振り向かせる
聞き返したくなるようなキャッチーな言葉を使い、来場者の注意を引きつけます。
数字やインパクトのある言葉を含めると効果的ですが、ブースのパネルや資料とメッセージに一貫性があることも重要です。
- 「誰でもトップセールスになる方法、気になりませんか?」
- 「売上が1.5倍になった成功事例をご紹介してます」
- 「“今すぐアポが取れる人の見分け方”、興味ありますか?」
説明フック型|価値を伝えて会話につなげる
来場者は短時間で多くの情報を得ようと、効率よくブースを回っています。この型では「何が得られるのか」を一言で端的に伝えることで、足を止めた人との会話につなげることができます。
- 「売り上げが倍増した仕組みを紹介してます」
- 「展示会後のフォローを楽にする3つのポイントをお伝えします」
- 「営業の属人化を解消する営業ノウハウをお話してます」
資料誘導型|短時間でも記憶に残るきっかけを作る
立ち止まってもらうのが難しいタイミングや、来場者が急ぎ足の場合でも、資料やノベルティを渡すことができれば、後日思い出してもらえるきっかけになります。
- 「よかったら、今一番読まれている事例集をお持ち帰りください」
- 「資料だけでもご覧になりませんか?」
- 「“営業の武器になる”資料、お渡ししてます」
成果を出すには「仕組み化」がカギ|属人化しない展示会運営のつくり方
展示会の成果にムラが出る大きな原因の一つが、「声かけの属人化」です。特定のメンバーだけが成果を出せる状態では、安定した成果は望めません。
個人の強みを活かしつつも、誰が担当しても一定の成果を出せるようにするためには、「仕組み化」が不可欠です。
ここでは、成果を再現可能にするために準備しておきたい3つの取り組みをご紹介します。
1. 事前共有:チームの足並みをそろえる
展示会の前日より前に情報共有の時間を設けましょう。
「展示会の目的」「来場者の属性」「近隣ブースの出展企業」などを共有したうえで、
- どのように声をかけるか
- 声をかけて立ち止まってくれたらどう対応するか
- 声かけから立ち去るまでの一連の流れ
など、参加メンバー全員で確認しておくと、当日の迷いが減り、スムーズな声かけが実現できます。
2. ロープレ:練習機会を作る
実際に声を出して練習することで、特に初参加や苦手意識のあるメンバーが安心して当日に臨めます。
シチュエーション別にロープレを行うとより効果的です。
- 通り過ぎようとする来場者への一言を練習する
- 話をじっくり聞きたい来場者への対応を練習する
- 声かけからデモ紹介、資料案内まで一連の流れを通してみる
3. トークスクリプト:再現性と安心感を高める
ロープレが実践で活きるよう、トークスクリプトを事前に用意しておくのがおすすめです。
トークスクリプトには、声かけのパターンや展開に合わせた案内を用意しましょう。
お客さまからよくいただく質問とその回答や、トークに使えるノウハウも記載できれば、声かけの質を安定して高められます。
展示会後が本当の勝負|名刺で終わらせない“次の一手”
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