お客さまの「買いたい」を増やすインサイドセールスのメール活用法
テレワークが進んだことで、お客さまと直接話すことが難しくなり、オンライン商談やメールを使った営業手法を模索しているインサイドセールス担当者さまも多いのではないでしょうか。
この記事では、
- メールでお客さまの育成をしたいけれど、何から手をつけていいかわからない
- メール業務の効率を上げたい
というお悩みを解決します。
この記事のもくじ
インサイドセールスが送る6種類のメール
「インサイドセールスのメール活用」といっても一筋縄ではいきません。インサイドセールスが送る可能性のあるメールの種類は、実は6種類ほどあります。この章では、インサイドセールスがお客さまへ送るメールの種類をご紹介します。
1:メルマガ
メルマガとは、自社の顧客リストに対して、定期的かつ一斉に送信するメールです。メルマガには、自社製品の売り込みやお客さまのファン化など、複数の目的があります。
メルマガを使えば、インサイドセールス担当者は多くのお客さまへ一気に接触できます。メルマガでの接触をきっかけに、過去に失注したお客さまに再度自社製品を検討していただければ、顧客リストを掘り起こせます。
2:広告配信・営業メール
広告配信・営業メールとは、自社製品の売り込みを目的としたメールです。広告配信・営業メールは、新製品の発売や特別キャンペーンの実施を広く知らせたい場合に有効です。
広告配信・営業メールはインサイドセールスが配信する代表的なメールの1つですが、しつこく送りすぎないようにしましょう。お客さまのニーズに合わない営業メールは、ただの売り込みになってしまいます。
3:イベントの案内・開催通知メール
展示会や自社セミナーなどのイベントは、お客さまと接点を持つチャンスです。開催日時やイベントの内容をお客さまにお知らせし、集客に繋げましょう。
4:イベントの開催報告メール
イベントが終了したら、イベントの開催報告メールを送ってみましょう。
イベント開催報告メールを送ると、イベント参加者は内容を見て復習できます。また、イベントに参加したくても参加できなかったお客さまにも、情報をお伝えできます。
5:ステップメールやシナリオ
ステップメールとは、資料請求やセミナー申し込みなどの特定の行動を起点として、「事前に設定したスケジュールで」「事前に作成したメールを」「自動で」配信する仕組みです。
ステップメールを送るためには、ステップメールに対応したメール配信ツールやマーケティングオートメーションが必要です。
お客さまが自分から行動したタイミングは、あなたの会社に興味を高めているタイミングです。お客さまの関心が高いタイミングでアプローチできれば、お客さまの興味はさらに高まるでしょう。
また、ステップメールに近いメール配信方法として、シナリオもあります。シナリオについては、記事後半でご紹介します。
6:商談に関するメール
商談の獲得はインサイドセールスの大事な役目です。インサイドセールスは以下のような商談に関するメールを送ります。
インサイドセールスのメール活用は「送った後に何をするか」
インサイドセールスにおけるメール活用では、「どんな文面でメールを送るか」よりも、「送った後に何をするか」が肝心です。なぜなら、インサイドセールスがメールを送る目的の1つは、「ニーズの把握」だからです。
「インサイドセールスがメールを送るのは、アポを獲得するためだろう」と考える人もいるでしょう。たしかに、インサイドセールスがメールを活用する最終目的は、アポ獲得です。しかし、最初からざくざくアポが取れれば苦労しません。インサイドセールスが担当するお客さまは、購入を今すぐに検討している「今すぐ客」ばかりではないのです。
インサイドセールスがアポを獲得するには、地道なリードナーチャリングが重要です。リードナーチャリングとは、かんたんに言えば、お客さまに有益な情報を提供しつつ、自社商品への興味関心度を高める行動です。
お客さまのニーズがわからなければ、インサイドセールスはどのような情報提供をしたら良いのかわかりません。したがって、まずはメールを使ってお客さまのニーズを知るのです。
メールを使ってお客さまのニーズを知るには、メールを送って終わりにせず、メールに対するお客さまの反応を見ます。マーケティングオートメーションやメール配信ツールなどを使って、メールを送ったあとのお客さまの行動を可視化してみると、お客さまはさまざまな行動を撮っていることがわかります。
メールに対するお客さまの行動例には、以下のようなものがあります。
- メールを開封する
- メールのリンクをクリックする
- メールに返信する
- メール(メルマガ)を配信解除する
- メールを無視する
メールに対するお客さまの反応を見つつ、お客さまの興味関心のあるテーマや課題を探りましょう。
メールに対するお客さまの反応を確かめる
メール送信後、あなたが真っ先にすべきことは、メールに対するお客さまの反応を確かめることです。メールに対するお客さまの反応から、お客さまのニーズを推測できます。
たとえば、以下のような観点でお客さまの反応を確かめましょう。
送ったメールに対する興味関心が高いほど、お客さまはさまざまな反応を見せます。
なお、メール配信ツールやマーケティングオートメーションを使えば、以下のような画面でメールに対するお客さまの反応がわかります。
1通目のメールですんなりとお客さまのニーズを把握しきれることは稀です。製品情報や自社のノウハウ、成功事例の紹介など、いろいろな切り口でメールを送り、お客さまの反応を確かめましょう。
マーケティングオートメーションを使えば、「受信者がメールのリンクをクリックしたあと、どのWebページを何回見たか」といった、メール開封から先の行動も検知できます。お客さまのWeb上の行動履歴が記録できると、インサイドセールス担当者は、お客さまの興味関心度が高まったタイミングでお客さまに接触できます。
お客さまのニーズに応じて次のメールを作る
お客さまのニーズがわかってきたら、「お客さまの欲しい情報を提供するメール」を送りましょう。お客さまの欲しい情報を提供できれば、売り込みの営業メールにはなりません。
一方で、「自社が紹介したい情報」を送っていると、売り込みメールになってしまいます。売り込みの営業メールは、お客さまにとって有難いメールではないため、かえってお客さまの購買意欲をそいでしまう可能性があります。
お客さまのニーズに応じて、以下のようなメールをお送りしてみましょう。
お客さまにいつ、どんなメールを送るか考える際には「カスタマージャーニーマップ」が有効です。カスタマージャーニーマップとは、お客さまが購買にいたるまでの各接点における、お客さまの行動と感情の流れを可視化したものです。カスタマージャーニーマップを作成すると、お客さま視点での購買行動や、感情の変化を理解できるでしょう。
インサイドセールスが短時間でメール業務の成果を出す4つの工夫
この章では、インサイドセールスが、メール業務において短時間で結果を出すための4つの取り組みをご紹介します。
1:送る頻度が高いメールからテンプレート化を検討する
メール文面のテンプレートは、あなたのメール業務を効率化する強い味方です。極論、すべてのメールをテンプレートにできていれば、ほとんどメール作成に時間を割く必要はなくなります。
しかし、現実はそう上手くはいきません。
- 送っているメールの種類が多くて、到底テンプレ化なんてできない
- テンプレが大事なのはわかっているが、なかなか時間が取れない
このような理由から、あなたはテンプレにするのを先延ばしにしてはいませんか。メール業務を効率化するためには、テンプレ化は絶対条件です。そのため、できない理由を探すのではなく、どうやったらテンプレ化できるかを考えてみましょう。
テンプレ化を考えるときの要点は2つです。
- 変数を減らす
- 送信頻度が多いメールからテンプレ化を検討する
1つ目の「変数を減らす」とは、かんたんに言うと、「メールごとに書き換える必要がある要素を減らす」ことです。メールには変数、つまり毎回手打ちで書き換えなければならない要素がたくさん登場します。
- お客さまの名前
- お客さまの会社名
- 日付
- お問合せ内容
このような変数を減らすことが、テンプレ化の第一歩です。究極的には、変数がなくなれば、あなたはメールを送信する必要もなくなります。メールに変数が登場しなければ、ツールの自動返信メールで対応できます。
「変数を減らす」ことに加えて、システムの機能で「変数を埋める」ことも検討するとよいでしょう。メール配信ツールやマーケティングオートメーションを使えば、メール内に変数を差し込むことができます。
2:メルマガの効果を測定し、評価する
もしあなたがメールマーケティングの一環としてメルマガを配信していれば、メルマガの効果を評価する仕組みを作りましょう。メルマガの効果測定と評価ができれば、メルマガのPDCAを回せます。
メルマガを効果測定し、評価するのは、次にお伝えする「成果が出たメールをチーム内で共有する」ためです。効果の高いメルマガをチームに共有することで、インサイドセールスチーム全体のメール業務が効率化できます。メルマガの効果を測定して終わりにならないようにしましょう。
メルマガの運用のポイントと効果測定については、「5分でわかる。メルマガの効果測定で覚えておきたい4つのKPI」でまとめました。あわせてごらんください。
3:成果が出たメールをチーム内で共有する
アポ獲得や、お客さまからのお問い合わせに繋がったメールなどの、成果が出たメールは積極的にインサイドセールスチーム全体へ共有しましょう。
成果が出たメールをチームで共有するメリットは3つです。
1つ目は、メールを作る時間を削減できることです。成果が出たメールを使いまわせれば、1からメールを作る必要はなくなります。
2つ目は、メールを作るインサイドセールス担当者の心理的負担を減らせることです。インサイドセールス担当者の中には、文章を書くことに苦手意識を持っている方もいるはずです。成果が出たメールにアクセスできることで、「優れたメールを作らなくては」というプレッシャーがなくなり、メール業務に対するインサイドセールス担当者の気持ちが楽になります。
3つ目は、メールマーケティングの成果が上がりやすくなることです。共有されたメールをもとに、インサイドセールスチームの各メンバーが改善や共有を重ねれば、お客さまの購買意欲を育成できるメールに近づきます。成果が出たメールのパターンが増えれば、さまざまなニーズのお客さまへ対応しやすくなります。
このように営業ノウハウの属人化を解消し、インサイドセールスのチームとしての成果を最大化しましょう。
成果が出たメールは、以下の方法でシェアするとよいでしょう。
- 成果が出たメールコンテンツを登録し、シェアできるフォルダを作る
- お客さまメールからお客さま育成ができた成功事例と成功のポイントを紹介し合う
ABテストを行って試行錯誤する中で、お客さまから高い反応が得られたメルマガは、繰り返し使えます。開封率が安定して高いメールや、コンバージョンに繋がりやすいメルマガは、イベントの集客などの「ここぞ」というときに効果を発揮します。
「一度送ったメルマガを再利用してもいいのか」と考えるインサイドセールス担当者さまもいらっしゃるでしょう。しかし実際は、3か月に1回程度であれば、メルマガの再利用は問題ありません。ほとんどのお客さまは、3か月も前に受信したメルマガの内容を覚えていないからです。
4:自動化できるメールは、ツールの自動配信機能を活用する
一般的に、メール配信ツールやマーケティングオートメーションは、メールの自動配信機能を備えています。
自動化できるメールの条件は、「メール内にある変数が埋められる」メールです。
メール配信ツールやマーケティングオートメーションは、お客さまの会社名やお名前を各メールに自動で挿入できます。
たとえば以下のようなメールは、自動配信機能を使って配信するとよいでしょう。
- イベント出席者へのお礼メール
- イベント欠席者へのフォローメール
- 資料請求への資料の送付
さらに、マーケティングオートメーションには「シナリオ」というメール配信機能があります。シナリオ機能を活用すれば、お客さまの行動に応じてメールを複雑に出し分けることもできます。くわしくは、「マーケティングオートメーション」の箇所でご紹介します。
インサイドセールスのメール業務におすすめのツール
この章では、インサイドセールスがメール業務に取り組むうえで、おすすめの3つのツールを紹介します。
メール配信ツール
メール配信ツールは、メールの開封やクリックを検知できるツールです。メール配信ツールを使えば、メールコンテンツのPDCAを回せるようになります。以下は、メール配信ツールでできることの一例です。
マーケティングオートメーション
マーケティングオートメーションとは、メール配信ツールの機能に加えて、見込み客のWebでの行動履歴を検知・記録できるツールのことです。
マーケティングオートメーションを活用すれば、メールを起点としたお客さまの行動履歴を把握できるため、インサイドセールス担当者は、お客さまへの次の対応を決めやすくなります。また、お客さま対応の一部を自動で実行できるため、お客さまへの対応漏れをなくせるだけでなく、個別に対応すべき見込み度の高いお客さまに、より多くの時間をあてられます。
以下は、マーケティングオートメーションでできることの一例です。
- お客さま情報の管理
- WEB解析
- シナリオ作成
- お客さま行動の点数化(スコアリング)
- 見込み度の高いお客さまの選出と通知
シナリオとは、メール受信者の反応に応じて、あらかじめ用意したメールを自動で出し分けたり、メールの配信を停止したりする機能です。シナリオ機能では、複数の条件を掛け合わせてメールを設定できるため、幅広いお客さまのニーズに自動で対応できます。
SFA(営業支援システム)
SFAとは、Sales Force Automationの略で、営業支援システムのことです。SFAを使えば、売上などのKPI管理や営業プロセスを可視化でき、お客さま情報を一元管理できます。
SFAを使えば以下のようなことができます。
- 売上目標などのKPI管理
- 営業プロセスの進捗を可視化
- お客さま情報の一元管理
- 営業担当者のToDo管理
お客さまの情報が一元管理されていないと、インサイドセールス担当者がバッティングしてしまったり、必要なメール対応を忘れてしまったりします。SFAを使うことで、チーム全体で営業プロセスやお客さま情報を共有でき、お客さまへの対応が行き届くようになります。