インサイドセールスの業務とは?これからインサイドセールスに配属される方のためにまとめました

この記事では、インサイドセールスの業務と、インサイドセールスに求められる能力をご紹介します。

「インサイドセールスへの配属が決まって不安だ」
「最近話題のインサイドセールスの業務を知っておきたい」

このようなみなさまのお役に立てるようにまとめました。

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インサイドセールスとは

インサイドセールス とは、お客さま先を訪問せず、電話・メール・Web会議システムを用いて、社内で営業活動を行う「内勤型営業」のことを指します。

インサイドセールスのメリット は、後述する「フィールドセールス」とくらべて、多くのお客さまと接触できることです。インサイドセールスは、訪問のための移動時間が必要ない分、1案件あたりにかかる時間が少なくなるためです。さらに、インサイドセールスは、全国どこにいるお客さまとも オンライン商談 などでコミュニケーションを取れます。

インサイドセールスに対して、直接お客さま先に訪問する営業スタイルを、「フィールドセールス」と呼びます。フィールドセールスは、お客さまを直接訪問して営業する、従来の営業スタイルです。フィールドセールスは、お客さまとの信頼関係を構築しやすい反面、1日あたりの訪問件数が少ないというデメリットがあります。

インサイドセールスがどこまでお客さまを追いかけるかは、組織によってさまざまです。インサイドセールスだけで成約までいたる営業組織もあります。近年は、フィールドセールスの営業効率を改善するために、インサイドセールスとフィールドセールスとで、従来の営業業務を分担する営業スタイルが注目を浴びています。

この記事では、インサイドセールスとフィールドセールスを分業するスタイルの、インサイドセールスの業務をご紹介します。

インサイドセールス業務の全体像

この章では、インサイドセールス業務の全体像をご紹介します。

インサイドセールスの業務をひと言で表現すると、

マーケティング部門から引き渡された見込み客の購買意欲を高め、受注可能性を見極めた上でフィールドセールス部門に引き渡すこと

と言えます。

インサイドセールスの業務をさらに具体化すると、以下の5つに細分化されます。

  1. ヒアリング
  2. リードナーチャリング
  3. 見込み客の見極め
  4. フィールドセールスへの引き渡し
  5. 問い合わせ対応

さらに以下の図は、販売促進・営業活動全体における、インサイドセールスの位置付けです。

インサイドセールス業務の全体像はつかめたでしょうか。次の章では、インサイドセールスの業務を、1つずつご紹介いたします。

インサイドセールスの5つの業務

この章では、インサイドセールスの各業務の詳細を、実際の業務の流れに沿ってご紹介します。

1:ヒアリング

インサイドセールスにとって、まず大切な業務は ヒアリング です。ヒアリングとは、会話の中で、お客さまから情報を引き出すことです。

インサイドセールスがヒアリングを行う目的は2つあります。

  1. 適切な情報提供をするため
  2. 受注可能性を見極めるため

上記2つの目的を達成するためにヒアリングすべき項目は、 BANT です。BANTとは、お客さまが成約にいたる可能性を判断する根拠となる要素のことです。予算(Budget)、決裁フロー(Authority)、ニーズ(Needs)、導入予定時期(Timeframe)それぞれの頭文字をとった言葉です。

BANTの中でも特に大切な要素が、ニーズです。見込み客はどのような課題を持っていて、何に困っているのか。インサイドセールスは見込み客のニーズに応じて、後述する「 リードナーチャリング 」や「見込み客の見極め」を行います。

見込み客からヒアリングした内容は、 SFA(営業支援システム) などの、商談の進捗を管理できるツールに記入し、社内で共有できるようにしておきましょう。フィールドセールスは、インサイドセールスがヒアリングした内容をもとに商談を行います。見込み客からどれだけ有益な情報をヒアリングできたとしても、フィールドセールスに伝わらなければ意味がありません。

会社の風土にもよりますが、私たちは、ヒアリング内容を記入するとき、些細なことでも記入するようにしています。

たとえば、お客さまと趣味の話題で盛り上がったとしましょう。お客さまの趣味をSFAに記入しておくと、フィールドセールスが訪問するときの アイスブレイク に活用できたりもします。

とはいえ、あまりに些細なことまで記入してしまうと、本当に大切な情報がわかりづらくなってしまいます。「何をヒアリングすべきか」「どのようにSFAに記入すべきか」は、フィールドセールス部門と認識合わせをして決めましょう。

2:リードナーチャリング

インサイドセールスの2つ目の業務は、 リードナーチャリング です。リードナーチャリングとは、見込み客の興味関心に応じてこちらから情報提供をし、見込み客の購買意欲を高めることを指します。

インサイドセールスによるリードナーチャリングのポイントは2つあります。

順を追って「1」からご説明いたします。

「どの情報を提供するか」は、お客さまの「サービスへの理解度」と「課題の認識度」から判断します。

たとえば、みなさんが提供するサービスをまだ理解していないお客さまとお話しするとします。このとき成功事例を力説しても、何の話か理解していただけない可能性があります。サービスへの理解度が低いお客さまには、まずサービスを理解していただきましょう。

仮にサービスを理解してくださったとしても、自社の課題を認識していないお客さまに「こんな課題を解決できるサービスです」とご紹介しても、「うちには関係ない」と思われてしまうでしょう。ヒアリングを通じて、課題を認識していただくことが先決です。

リードナーチャリングでは「サービスへの理解度」と「課題の認識度」をもとに、お客さまの興味関心に応じた情報を提供しましょう。

「2:情報をいつ提供するか」も、インサイドセールスのリードナーチャリング業務において非常に大切です。どれほど有用な情報も、見込み客に「今必要な情報ではない」と思われたら意味がありません。

インサイドセールスから情報を提供するタイミングの大前提は「お客さまの課題解決の優先度が高いとき」です。お客さまが自身の課題を認識していて、その課題を優先的に解決したいと考えているならば、インサイドセールスからの情報提供は歓迎されます。

とはいえ、「課題解決の優先度」を、いつも直接ヒアリングできるとは限りません。そんなときは、見込み客の「オンライン上の行動」を手がかりに、「課題解決の優先度」を判断しましょう。たとえば見込み客が以下のような行動をとったタイミングは、課題解決の優先度が高まっていると判断できます。

  1. ホワイトペーパーやeBookのダウンロード直後
  2. お送りしたメール内のリンクがクリックされたとき
  3. 短期間で多くのWebページを閲覧しているとき

上記1、2、3、に該当する見込み客は、「まさに今」何らかの興味関心やお困りごとがある可能性が高く、こちらの話を聞いていただきやすい状態にあります。「相手にいつご連絡すべきか」の判断材料として、覚えておいて損はありません。

見込み客のオンラインの行動を解析するには マーケティングオートメーション(MA) というツールを活用します。

こちらから情報提供した内容も、ヒアリング内容と同じく、 SFA に記入し、社内で共有できるようにしておきましょう。フィールドセールスにとっては、ヒアリング内容と同じく「こちらからどのような情報を提供したことがあるか」も、商談において大切な情報となるためです。

3:見込み客の見極め

見込み客の見極め( リードクオリフィケーション )も、インサイドセールスの大切な業務です。見込み客の見極めとは、「成約可能性を判断すること」を指します。

インサイドセールスに「見込み客の見極め」が大切な理由は、フィールドセールスの不要な訪問を減らすためです。

フィールドセールスの訪問可能時間は、お客さまが商談可能な時間(10時〜17時)の制約を受けます。したがって、フィールドセールスは、多くても1日あたり3〜4件ほどしか訪問できません。フィールドセールスの限りある訪問件数を、不要な訪問に割きたくはないわけです。

インサイドセールスが見込み客の見極めを行えば、フィールドセールスの不要な訪問が減り、「商談からの成約率」が向上します。ヒアリングとリードナーチャリングを通して、常に見込み客の成約可能性を探りながら、見込み客とコミュニケーションをとるようにしましょう。

また、もしもみなさまが サブスクリプション 型のサービスを提供しているなら、「成約可能性が高いか否か」だけでなく「提供するサービスは本当にお客さまの事業にマッチするか」まで考えて、見込み客の見極めを行いましょう。

お客さまの事業にマッチしないサービスを販売しても、短期解約を招き、解約率が上がってしまいます。サブスクリプションサービスにおいて「解約率が高い」のは、事業の見え方としてよくありません。

お客さまにすぐ解約されてしまうと、これまでに費やした広告費や営業コストを十分に回収しきれないこともあります。そのため、インサイドセールスは、「成約可能性が高いか」だけでなく、「お客さまの事業にマッチしているか」まで視野に入れて、見込み客の見極めを行う必要があります。

4:インサイドセールスからフィールドセールスへの引き渡し

見込み客の購買意欲が高まり、成約可能性が高いと判断できたら、いよいよアポイントを獲得し、インサイドセールスからフィールドセールスに見込み客を引き渡します。

フィールドセールスに見込み客を引き渡す際には「どの見込み客を引き渡すべきか」という、「引き渡し条件」を決めておきましょう。引き渡し条件が明確でないと、フィールドセールスに「インサイドセールスがとってきたアポは全然成約にいたらない」という不満が生まれてしまうかもしれません。営業効率が悪くなるばかりでなく、部門間の関係性も悪化しかねません。

インサイドセールスが見込み客を引き渡す条件の一例は、 BANT が揃っていることです。

たとえば、見込み客にニーズや決裁権があり、予算も十分だったとしても、導入時期が未定ならばフィールドセールスには引き渡しません。BANTが揃った見込み客だけを引き渡すことで、フィールドセールスは「いますぐに導入可能な案件」にのみ集中できる、というわけです。

BANTを満たした見込み客と商談のアポイントを獲得できたら、見込み客をフィールドセールスに引き渡します。これまでSFAに記録した接触履歴をフィールドセールスと共有し、必要に応じて、営業戦略も提案しましょう。

とはいえ、SFAに記入した文字情報のみでは、100%の情報共有は難しいのが実情です。文章化しづらい「感覚値」のようなものもあります。そのような場合は、インサイドセールスとフィールドセールスとで、対面で情報共有するとよいでしょう。

インサイドセールスとフィールドセールスの連携は、分業型インサイドセールスを導入している組織にとって、非常に大切です。

5:お問い合わせへの対応

問い合わせフォームからいただいたお問い合わせへの初期対応も、インサイドセールスが担う業務です。

お問い合わせに対する返答は、多くのお客さまにとって、あなたの会社との初めての接点になります。お問い合わせへの対応は、「ヒアリング」「リードナーチャリング」「見込み客の見極め」の出発点になる、インサイドセールスの大切な業務です。

インサイドセールスの問い合わせ対応時に、 マーケティングオートメーション(MA) を活用すると、見込み客のニーズを判断しやすくなります。MAを活用すると、見込み客が問い合わせ前に自社のWebサイトのどのページを閲覧していたかがわかるためです。

たとえば、

「このお客さまは、事例ページAと、サービスCのページを閲覧してからお問い合わせしてくださっている。おそらく〇〇を課題として抱えているのではないか」

と、オンライン上の行動履歴にもとづく仮説を立ててから、見込み客にお電話できます。

インサイドセールス業務にはコミュニケーション能力が必要

ここまで、インサイドセールスの5つの業務をご説明いたしました。ここからは、インサイドセールス業務に求められる能力をご紹介します。

先に結論を言ってしまうと、インサイドセールス業務に求められる能力は、1にも2にも「対人コミュニケーション能力」です。インサイドセールスは、メールや電話など、限られた情報の中で、お客さまと良好なコミュニケーションをとる必要があるためです。

インサイドセールス業務に求められるコミュニケーション能力を、3つに分けてご紹介いたします。

聞く力

インサイドセールス業務に何よりも求められるのは「聞く力」です。ここでいう「聞く力」とは、必要な情報を相手から引き出し、正しく理解する力を指します。

インサイドセールス業務に「聞く力」が求められる理由は、「リードチャリング」や「見込み客の見極め」の質が、ヒアリング(=聞く力)に大きく依存するためです。

たとえば、「見込み客にどの情報を提供すべきか」は、会話の中で、お客さまの「サービスへの理解度」「課題の認識度」を引き出し、正しく理解しなければ判断できません。「相手の成約可能性が高いか否か」も、会話の中から得られるわずかな情報を手がかりに判断する必要があります。

また、インサイドセールスは、お問い合わせへの初期対応を担います。お問い合わせ段階にあるお客さまは、お客さま自身の課題を、お客さま自身ですら言語化しきれていない場合があります。 お客さま自身も言語化できていないお客さまの課題を、少ない情報量の中で正しく把握するのは、かんたんではありません。

伝える力

インサイドセールス業務には、「わかりやすく、的確に伝える力」も必要です。

インサイドセールスの大切な業務「リードナーチャリング」は、まさに「伝える力」が必要とされる業務です。

フィールドセールスのような対面でのコミュニケーションならば、相手の表情や仕草を見て、その場で伝え方を工夫できます。しかし、インサイドセールスの主なコミュニケーション手段は、電話です。電話では、相手の表情や仕草を頼りに伝え方を工夫することはできません。もしもメールでのやりとりならば、情報伝達の難易度は、よりいっそう上がります。

インサイドセールスに「伝える力」が求められる場面は、お客さまに対応しているときだけではありません。インサイドセールスからフィールドセールスに見込み客を引き渡すときにも、まさに「伝える力」が必要になります。せっかくヒアリングした内容が、フィールドセールスに伝わらなかったら、元も子もありませんよね。

インサイドセールスの業務には、音声情報や文字情報のみで、相手に正しく情報を伝える力が求められます。

「伝える力」を高めたいあなたに
わかりやすく、説得力のある説明をするためのフレームワーク「AREAの法則」を「 【AREAの法則】わかりやすく、説得力のある説明をするためのフレームワークを徹底解説 」にまとめています。あわせてごらんくださいませ。

動かす力

インサイドセールスの業務に求められる3つ目の力は「動かす力」です。インサイドセールスは、ヒアリングとリードナーチャリングを通じて、最終的にはお客さまにアクションをとっていただかなくてはなりません。

お客さまとのお話が「貴重なお話を聞かせていただきありがとうございました!」で終わってしまっては、意味がありません。インサイドセールスには、お客さまを「商談」に向かわせる力が必要となります。

特に、法人営業においてお客さまを動かすには、お客さまの安心と信頼を得る必要があります。単に 商品説明 をするだけでは不十分です。

「動かす力」を高めたいあなたに
ビジネスに活用できる交渉術をまとめた記事「 ビジネス交渉術8選!心理学に基づいた交渉術をまとめました 」がございます。あわせてごらんくださいませ。

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