名刺をデジタル管理する必要性と無料のおすすめ名刺管理アプリ|名刺の活用例も解説
引き出しに眠る紙の名刺は顧客情報の宝庫です。紙の名刺を、名刺管理アプリを用いてデジタルに管理する企業が増えています。
この記事では、名刺のデジタル管理にまつわる調査から、ハードル低く利用できるおすすめ名刺管理アプリ、さらにはデジタル化した名刺の活用例をご紹介します。
この記事のもくじ
名刺のデジタル管理の必要性を裏付ける調査
そもそもなぜ名刺のデジタル管理が必要なのでしょうか? 名刺のデジタル管理の「必要性」に関する調査をまとめました。
名刺1枚あたりの経済的価値は37万円
名刺管理アプリの大手、Sansan株式会社が発表した2020年の調査によると、名刺1枚あたりの経済的価値は37万円にも上ります。
もちろん、名刺1枚の経済的な価値は業種・業態、サービス単価によってさまざまでしょう。しかし、「紙の名刺が活用されず、営業担当者の引き出しに何百枚も眠っている状態」がもったいないことはイメージできますよね。
Sansan株式会社は同じく2020年の調査で、「名刺情報を元にした顧客データを社員が活用できていると約5割の経営者・役員が答えた一方、経営層以外の現場社員で活用できていると答えたのは約1割」という調査を発表しています。
37万円の経済的価値を持つ名刺情報。その活用の度合いは、現場の実態と経営層の感覚に乖離があるようです。
1年で「20.5時間」が名刺探しに費やされている
Sansan株式会社の2015年の調査によると、ビジネスパーソンはなんと1年で「20.5時間」を名刺探しに費やしているそうです。
ちなみに、同調査によると「社会人になってから今までにもらった名刺」は平均1人1,383枚とのこと。名刺探しに時間がかかるのも頷けますね。
名刺管理アプリを用いて名刺をデジタル管理すれば、検索ですぐ見つけられるようになり、ビジネスパーソンの貴重な時間を節約できます。
名刺管理アプリを利用しないわけ
名刺のデジタル管理といえば、名刺管理アプリです。名刺管理アプリとは、紙の名刺をスキャンし、デジタルに管理するサービスです。
Sansan株式会社の2021年の調査によると、名刺管理アプリをはじめとしたオンライン名刺サービスを「利用しない」理由の第一位は「会社から利用を促進されないから」だそうです。
名刺のデジタル管理は、顧客情報のデジタル管理の第一歩です。名刺をはじめとした顧客情報をデジタル管理したい場合、会社としてトップダウンで利活用を促進する必要があるのかもしれません。
名刺管理アプリで名刺をデジタル管理するメリット
ここで改めて、名刺管理アプリで名刺をデジタル管理するメリットを整理します。名刺をデジタル管理するメリットは以下の4つです。
「アクセシビリティの向上」「情報の鮮度維持」に加えて、人脈を見える化し、顧客データベースと連携すれば、名刺情報から売上を伸ばすことができます。
名刺のデジタル化によって解決する営業課題の1つが「属人化」です。マケフリ記事「営業活動の属人化を防ぐための『情報』『ツール』『推進方法』のまとめ」では、ツール導入を機に営業の属人化を解消する方法を解説しています。あわせてごらんください。
おすすめ名刺管理アプリ|無料編
この章では、無料で使えるおすすめの名刺管理アプリをご紹介します。
各名刺管理アプリの公式ヘルプページも併記しておりますので、導入検討のためにより詳細な情報をお求めでしたらそちらもごらんください。
なお、お伝えしている情報はすべて2022年2月時点のものです。
無料のおすすめ名刺管理アプリ1:myBridge
『myBridge』は、マイブリッジ株式会社が提供する名刺管理アプリです。myBridgeのなによりの特徴は、すべてのサービスを無料で使える点です。
- 名刺のスキャン
- お客様とのオンライン名刺交換
- 社内のメンバーと名刺を共同管理できる共有名刺帳
- 名刺情報のExcelへのダウンロード
- 着電時のお名前表示
などの名刺管理アプリに必要な機能をすべて無料で提供しています。なお、myBridgeに有料プランはなく、名刺の登録上限なども設けていません。
myBridgeは個人向けの名刺管理アプリですが、会社やチームで利用している組織もあります。法人向けの公式FAQ「【法人様へ】よくあるお問い合わせ」もありますので、法人利用を検討なさっている方はぜひごらんください。
無料のおすすめ名刺管理アプリ2:Wantedly People
『Wantedly People』は、ビジネスSNS『Wantedly』を運営するウォンテッドリー株式会社が提供する無料の名刺管理アプリです。
- 名刺のスキャン
- 連絡先の共有
- 着電時のお名前表示
- 名刺情報のExcelへのダウンロード
などの機能を無料で利用できます。一度の撮影で10枚まで名刺をスキャンできるため、名刺を取り込む時間を大幅に節約できる点もWantedly Peopleの利点です。
よくある質問やWantedly Peopleでできることは「公式のヘルプページ」にわかりやすくまとめられています。最新の情報はこちらをごらんください。
無料のおすすめ名刺管理アプリ3:Eight
『Eight』はSansan株式会社が提供するシェアNo. 1の個人向け無料名刺管理アプリです。
Eightは無制限に名刺の登録ができますが、個人向けのため、無料プランでは会社やチームでの名刺情報の共有や、名刺データのダウンロードはできない点は注意が必要です。
「個人の名刺情報を一括でデジタル化し、自社の顧客データベースに取り込みたい」といった場合は、営業担当1人1人が月額480円の有料プランを利用する必要があります。
なお、Sansan株式会社は『Eight』以外にも、
- チームでの名刺管理を想定した『Eight Team』
- 全社的かつ営業支援やCRMとしての利用も可能な『Sansan』
を提供しています。「Eight → Eight Team」「Eight Team → Sansan」と利用状況に応じてサービスをアップグレードできる点もEightの特徴です。
最新の情報や詳細な情報は公式ヘルプページ「Eight ヘルプ」でわかりやすくまとまっています。
おすすめ名刺管理アプリ|有料編
この章では、有料のおすすめ名刺管理アプリをご紹介します。
Sansanなどの有名どころに加えて、比較的安価に利用できる名刺管理アプリをまとめました。なお、お伝えしている情報はすべて2022年2月時点のものです。
有料のおすすめ名刺管理アプリ1:Sansan
数ある名刺管理アプリの中でももっとも知名度が高いサービスが、Sansan株式会社が提供する『Sansan』です。2021年現在、『Sansan』は法人向け名刺管理サービスシェアの83.1%を占め、調査を開始した2012年から9年連続でシェアNo.1の座を堅守しています。
Sansanの特徴は、単に名刺をデジタル管理するだけでなく、名刺管理を基盤とした多種多様なオプションを用意している点です。
- 商談管理
- 契約管理
- 名刺分析
- 反社チェック
- 名刺作成
つまりSansanは名刺管理にとどまらない、企業のDXを支援する名刺管理アプリと言えます。Sansanの価格は要お問い合わせとなっています。
有料のおすすめ名刺管理アプリ2:Eight Team
『Eight Team』は、Sansan株式会社が提供する、中小企業やチームでの利用を想定した名刺管理アプリです。Eightの各機能に加えて、
- 名刺情報の共有
- タグでの顧客情報の分類
- リストのダウンロード
などが可能です。Eight Teamの料金は月額「10,000円+1名あたり400円」となっています。
ここで改めて、Sansan株式会社が提供する名刺管理アプリ『Eight(無料)』『Eight(有料)』『Eight Team』『Sansan』の位置付けを整理します。
Eight Teamは、「すでに営業の何人かが個人的にEightを使っており、今後はチームや会社で名刺のデジタル管理を始めたい」という場合に検討にのぼるサービスです。
有料のおすすめ名刺管理アプリ3:CAMCARD BUSINESS
『CAMCARD BUSINESS』は、ワウテック株式会社が提供する法人向け名刺管理アプリです。法人向けということもあり、名刺をデジタル化・社内共有できるだけでなく、
- 簡易SFA
- メルマガ配信
などの、名刺情報の営業・マーケティングへの活用を視野に入れた機能も備えています。
『CAMCARD BUSINESS』の価格は1ID(ユーザー)につき月額1,700円。グローバル展開しており、日本語だけではなく、英語・中国語を含めた、17ヶ国語に対応しています。
有料のおすすめ名刺管理アプリ4:メイシー
『メイシー』は株式会社もぐらが提供する法人向け名刺管理アプリです。
『メイシー』の特徴は料金体系です。月額料金2,178円(ユーザー数無制限)に加えて、
- データ入力に27.5円/枚
- スキャン料金 に11円/枚
が毎月課金されます。固定費用+使った分だけ料金が発生する、従量課金制に近い料金体系です。郵送での名刺デジタル化代行サービスも実施しており、料金は名刺100枚あたり4,400円です。
「溜まった名刺を一気にデジタル化しつつ、ランニングコストを抑えて名刺管理を始めたい」ケースでは特におすすめの名刺管理アプリです。
デジタル化した名刺の活用例
デジタル化した名刺情報は「見込み客リスト」として、営業・マーケティング活動に活用できます。いわば休眠顧客の掘り起こしです。
この章では、デジタル化した名刺の活用例を3つご紹介します。
名刺の活用例1:アタックリストにする
一番シンプルな名刺の活用例が、デジタル化した名刺情報を新規開拓リストとして、インサイドセールスなどから営業電話や営業メールでアプローチをかける方法です。
一度名刺を交換したということは、過去に自社の営業担当となんらかの接点があったはずです。購入したリストなどの完全に新規の見込み客リストよりは、相手の反応がよい傾向があります。
名刺の活用例2:メールマーケティング
2つ目の名刺の活用例が「メールマーケティング」です。メールマーケティングとは、その名の通りメールを用いたマーケティング活動を指す用語です。
いわゆる「営業メール」と「メールマーケティング」との違いは「長期的な成果を求めるか短期的な成果を求めるか」と捉えるのが一番理解しやすいかもしれません。
- 営業メール → アポ打診・サービス紹介など短期的な成果を求める
- メールマーケ → ノウハウやデータなどのお役立ち情報を届け、長期的に関係を構築する
デジタル化した名刺リストのお客さまと長期的に関係性を構築したいなら、定期的なメルマガ配信がもっともポピュラーな方法です。メルマガ配信に必要な考え方は「メルマガとは?『うっとうしい』『時代遅れ』から脱却するたった1つの考え方」でご紹介していますので、あわせてごらんください。
名刺管理アプリの中にはメール配信ができるものもあります。さらに名刺管理アプリのリストを後述するマーケティングオートメーションに取り込めば、より効果的なメールマーケティングを実現できます。
名刺の活用例3:人脈を駆使して営業活動を展開する
名刺管理アプリの中には、人脈を可視化できるツールもあります。人脈の可視化とはつまり、「A社の〇〇さんと自社の△△さんが過去に名刺交換していたとわかる」ということです。
たとえば、みなさまの営業戦略上「この企業にアプローチしたい」というターゲット企業があったとします。ターゲット企業と自社の社員にすでに接点があるなら、その人脈を使わない手はありませんよね。
まずは過去に名刺交換をしたお客さまとお話をし、担当者や決裁者を紹介してもらえれば、通常のテレアポよりもはるかに早くアプローチできるはずです。
名刺をより活用するツール
名刺管理アプリでデジタル化した顧客情報を他のデジタルツールに取り込めば、より名刺情報を活用できます。
この章では、名刺管理アプリと連携して、より名刺情報を活用する2つのツールをご紹介します。
1:SFA
名刺をより活用するための1つ目のツールはSFAです。SFAとは、Sales Force Automationの略で、日本語では「営業支援システム」と呼ばれます。SFAは、営業活動で管理する情報をデータベース化し、可視化・分析できるツールです。
名刺管理ツールとSFAを組み合わせるメリットは2つあります。
- 名寄せが不要になる
- 情報入力の手間が省ける
当たり前ではありますが、名刺には企業の正式名称が記載されています。名刺の表記に準じれば、会社名の表記のばらつきがなくなり、名寄せの手間がなくなります。さらには、営業担当者にとって地味に大変な、お客さまのお名前やメールアドレスなどの基本情報の入力も不要になります。
2:マーケティングオートメーション(MA)
名刺をより活用するための2つ目のツールはマーケティングオートメーション(MA)です。
マーケティングオートメーションとは、見込み客(リード)情報を管理し、見込み客とのコミュニケーションを取りながら見込みの高い案件を発見するためのツールです。
名刺管理アプリの中にも、メール配信でお客さまとコミュニケーションを取れるサービスがありますが、マーケティングオートメーションはメール配信だけでなく、「オンライン行動の記録」「HOTな見込み客の抽出」など、見込みの高いお客さまを発見できる機能を備えています。
※この記事は2022年2月16日に更新しました。