アイスブレイクとは、相手の緊張や警戒心を解きほぐすための手法です。相手の緊張や警戒心を氷(アイス)にたとえ、それを打破(ブレイク)する、という意味です。
営業におけるアイスブレイクとは、商談の冒頭に行う、「お客さまの緊張・警戒を解きほぐすための、目的のある雑談」を指します。アイスブレイクを行うことで、 ヒアリングや商品説明、提案の効果をあげ、受注確度を上げられます。
この記事のもくじ
営業のアイスブレイクに有効な主な話題
営業のアイスブレイクに使える話題をご紹介します。
商談相手の話題
商談相手の会社の話題は、営業のアイスブレイクに最適です。商談相手の会社情報をきちんと収集した上で、話題になりそうな情報を見つけましょう。
- 新サービスをリリースされたそうですね。
- 御社のHPを拝見したのですが、たいへん見やすい、素敵なデザインでした。
- 〇〇さんは△△部とのことですが、普段の業務ではこんなことをされているんでしょうか?
- 数年前にもお問い合わせしてくださってましたよね!その節は…
- 御社のサービスは〇〇がメインの顧客かなと思うんですが…
- プレスリリース拝見しました!御社は今は〇〇の事業に注力されているとお見受けしたのですが…
商談相手の会社情報をしっかり調べていることが伝わると、アイスブレイクとしての雑談になるばかりでなく、商談相手から信頼していただけます。
営業商談前の事前準備については別記事の「営業が商談前に準備すべきこと7選|事前準備が商談の質を高める」にまとめています。あわせてごらんくださいませ。
営業担当自身の話題
営業のアイスブレイクには、担当自身の話題も有効です。自分について話すことを、心理学の用語で「自己開示」といいます。
会話の例をあげましょう。
営業商談の場におけるアイスブレイクでは、「自然と」相手に話していただくことは欠かせません。営業担当が自己開示をすることで、商談相手が会話に参加してくださる可能性が高くなります。
また、アイスブレイクの効果を高めるためには、商談相手との共通の話題を選ぶとよいでしょう。商談相手が公開のSNSアカウントを持っていた場合、相手の情報を調べて、出身地や趣味などの共通点を見つけておく方法もあります。ただし、詮索しすぎることは失礼に当たるため、注意が必要です。
営業のアイスブレイクの鉄板「木戸に立ちかけし衣食住」
「木戸に立ちかけし衣食住」とは、「気候、道楽、ニュース、旅、知人、家族、健康、仕事、衣食住」の頭文字をとったフレーズです。営業のアイスブレイクの鉄板ネタと言われています。
- 気候…天気や気温の話。意見が一致することが多く、角が立たない。
- 昨日の夕方は突然の豪雨でびっくりしました!洗濯物を干していたのでもう一回洗濯する羽目になりましたよ。
- 道楽…自分の趣味や商談相手の趣味の話。相手の興味がないことを喋りすぎないように注意。
- 最近、趣味でトレーニングを始めたんです!
- ニュース…時事問題やニュースの話。明るい話題が好ましい。政治思想などは意見が対立する恐れがある。
- 旅…旅行や観光について。自分の旅行の話や商談相手の旅行について。
- 今度の連休では、〜〜に行こうと思っているんです。〇〇さんもご旅行の予定はおありですか?
- 知人…知人や友人、同僚の話。
- 家族…自分や商談相手の家族の話。プライベートに踏み込みすぎないよう注意が必要。「相手が家族について話してくれたら、自分も話す」程度が適切。
- 私にも〇〇さまのお子さんくらいの子供がおりまして。
- 健康…自分の健康や病気の話。相手の体調によっては嫌味になってしまうため注意。
- 実は先月ぎっくり腰をやってしまって…。気をつけないといけませんね!
- 仕事…自分の仕事や相手の仕事の話。
- この仕事をしていると〇〇や△△業界のお客さまにお会いすることが多いんです。
- 衣…相手の洋服や持ち物に言及する。ただし、持ち物に言及されることを嫌う人もいるので注意が必要。
- 素敵なお召し物ですね!
- 食…食べ物の話。商談相手の好きな飲食店を聞くなど。
- こちらのオフィスの付近で、オススメのお店とかってありますか?
- 住…住まい、出身地の話。自分の出身や相手のオフィス付近の印象について。
- 私、出身が〇〇県なのですが、△△様も同じ県ご出身と伺ってなんだか嬉しくなっております。
ここでご紹介した「鉄板ネタ」はあくまでも一例です。相手に不快感を与えないよう、慎重に話題を選びましょう。
営業のアイスブレイクで避けるべき話題
営業のアイスブレイクで、避けたほうがよい話題を紹介します。
調べればわかるような質問
営業のアイスブレイクで、調べればすぐにわかるような情報を聞くことは避けましょう。商談相手に「うちのことをちゃんと調べていないのかな?」と不信感を抱かれてしまいます。
- 御社ってどんな事業をされているんですか?→WEBを見ればわかる。
- 〇〇さんってどんな部署に所属されているんですか?→打ち合わせ時にわかる。
意見が対立してしまう可能性がある話題
営業商談のアイスブレイクにおいて、意見が対立する可能性のある話題は避けるのが無難です。
- 政治、宗教
- 好きなスポーツや応援するスポーツチーム
- 好きな芸能人
会社や仕事に関する不満など
営業のアイスブレイクで会社や仕事に対する不満を口にするのはやめましょう。
愚痴や不満は、共感を得やすく、盛り上がりやすい話題かもしれませんが、ビジネスの場には相応しくありません。また、相手に「うちの会社のこともこうやって悪く話しているのだろうか」と不安に思われる恐れもあります。
相手のプライベートに深く踏み込む話題
商談はオフィシャルな場です。商談相手のプライベートに深く関わる話題は避けましょう。
- 相手の身体的特徴についての言及
- 相手の年齢についての言及
- 相手の性別についての言及
- 性的な話題
- 相手の家族や交際関係についての話題
鉄板ネタで紹介した「木戸に立ちかけし衣食住」には「家族」の話題が入っていました。しかし、家族の話題は、相手によって不快にさせることもあります。
話の流れで自分の家族について口にする程度ならよいですが、商談相手に無闇に家族のことを聞き出すのはやめましょう。
オンライン商談では、対面の商談よりも商談相手に感謝や同意が伝わりにくいものです。オンライン商談のコツを、「オンライン商談のコツ18選|資料作成やプレゼンのコツ、Web会議ツールのおすすめ機能」にまとめました。合わせてごらんください。
営業のアイスブレイクは必須ではない
営業のアイスブレイクは、商談に必ず必要なものではありません。アイスブレイクはあくまで、商談をスムーズに進めるための「一つの手」です。商談と直接関係ない会話を「時間の無駄」と捉える商談相手もいます。商談相手が雑談を楽しめるタイプか、すぐに本題に入って欲しいタイプか、見極めることが必要です。
営業のアイスブレイクで商談を進めやすくしたら、次の段階は「ヒアリング」です。ヒアリングの基本的な流れや注意点は「営業ヒアリングのコツとは?|基本の流れやニーズを引き出す工夫を紹介」でくわしくお伝えしています。営業担当者さまは、ぜひごらんください。
※この記事は、2023年4月27日に更新しました。