テレワークでは、
- 反応が遅れ不信感に繋がった
- 会話が減り孤独を感じた
といった課題が起こりがちです。私たちマケフリ編集部も、テレワークが始まった直後は同じ課題に直面しました。そこで私たちは試行錯誤を繰り返し、
- 業務の抜け漏れの低減
- 業務依頼の簡易化
- 質問や議論の活発化
を達成しました。この記事では試行錯誤の末獲得してきた、チャットコミュニケーションの独自のノウハウをご紹介します。
この記事のもくじ
テレワーク時のチャットコミュニケーション:チームの風通しをよくする事例
チャットのコミュニケーションは、チーム内のスムーズな情報伝達と風通しのよい状態の維持に役立ちます。この章では、チームの風通しをよく保つ具体的な施策と、その施策を続けるメリットをご紹介します。
出来るだけDMを避け、オープンな場所でコミュニケーションを取る
チャットツールにおけるコミュニケーション手段は、大きく2つに分けられます。1つは、一対一のやりとりができる「ダイレクトメッセージ(DM)」です。もう1つは、複数人が参加しているチャンネルでの「オープンチャット」です。
テレワークでは、オープンチャットが原則です。オープンチャットには、さまざまなメリットがあります。
- 社内で走っているプロジェクトが共有される
- 部門を超えた相談が容易になり、部門間連携を取りやすくなる
- 誰もが気軽に会話に参加できることで、議論が活性化する
- 誰もが見ている場でコミュニケーションすることで、ハラスメントや不正防止につながる
- 会話のログから、新入社員は組織の雰囲気を掴みやすくなる
- 成功事例や失敗事例が全社的に共有され、ノウハウの横展開が容易になる
オープンにやりとりをできる場所を最大限活用し、風通しのよいテレワークを目指しましょう。
始業、終業報告をテンプレート化して、チャットツール上で完結させる
私たちは、Slackの「ワークフロー」機能を使い、始業時と終業時の報告をテンプレート化しています。
ワークフローとは、Slackで自由に設定できる、投稿を半自動化できるテンプレート機能です。ワークフローの作り方はSlackのヘルプページに載っていますが、ツールの機能を使わずとも、コピペで問題なく運用できます。
始業時に私たちが設けている報告項目は、以下の通りです。
- 本日実施する予定の業務内容
- 今日の体調
- 今日の気分
- 今日のひとこと
私たちは、体調や気分、今日のひとことといった「業務内容以外の項目」も始業報告に入れています。あらかじめ、「今日はあの人、体調悪いんだな」「今日は気分がいいんだな」などの体調や気分がわかると、コミュニケーションの方法が変わります。チームメンバー同士で気遣い合うこともできます。
今日の気分と体調は、「良い、悪い」というストレートな表現ではなく、「晴れ、曇り、雨」とあえて少し柔らかい表現にしています。「気分が悪い」という報告がきたら、メンバーはぎょっとするでしょうし、書く側も「気分が悪い」とは書きづらいはずです。
今日のひとことについては、自由記入項目です。今日のひとことの内容は、最近の悩みや欲しいもの、よかった映画など多岐に渡ります。ひとことから雑談が生まれることもしばしばです。
始業時だけでなく、終業時にもテンプレートがあります。終業時に記載する項目は「本日実施したタスク」だけです。「本日実施したタスク」は、いわゆる日報ほど細かに記入する必要はありません。私たちは、箇条書きでひとことずつ記入しています。
私たちがこれだけシンプルな日報を運用している理由は、日頃からチーム内での情報共有が徹底されているからです。テレワークでも、オープンなコミュニケーションをしていれば、自然とチームメンバーの仕事進捗状況がわかります。また、細かいタスクの進捗はタスク管理ツールAsanaで管理できています。それゆえマケフリ編集部は、細かい日報を書かずに済んでいます。
「即リアクション」を心がける
即リアクションは、テレワークのチャットコミュニケーションにおいてもっとも大事な心がけです。
即リアクションの重要性を理解するために、「即リアクションをしなかった場合」を考えてみましょう。相手からのリアクションがないと業務が滞るばかりでなく、「もしかして、サボっているんじゃないか」と相手への不信感も募ります。メンションをもらったときは、たとえ手が空いていなかったとしても「30分後くらいに確認します」など、次の行動を伝えると親切です。
また、「確認しました」「かしこまりました」等の些細な返信も重要です。顔が見えないテレワークでは、自分のメッセージが読み手に伝わったかどうかわかりません。そのため、たった一言の「確認しました」というメッセージであっても、文章にして伝えましょう。
些細なリアクションに使える機能として、「スタンプ」があります。スタンプ機能は、SlackやChatworkといった主要なコミュニケーションツールのほとんどに搭載されています。
私たちは、
- OK
- 完了
- 見ます
といった業務報告系のスタンプをよく使います。
テレワークでは、チャットのやりとりが増えます。チャットでのやりとり速度は、タイピング速度に依存します。私たちマケフリ編集部では、1日1回タイピングを練習し、チーム内でスコアを共有しています。スタンプやコメントで励まし合いながら、和気あいあいと続けています。タイピング練習には、さまざまな例文が収録された無料サービス、「e-typing」がおすすめです。まずはスコア300を目指してみましょう。
誰でもいつでも入れるZoomを固定する
Slackには、チャンネル名の下にチャンネル詳細を加筆できる箇所があります。
チャンネル詳細は、どれだけスクロールしてもチャンネル上部に固定されるため、すぐにアクセスしたい情報を載せておくと便利です。
私たちは、チャンネル詳細欄に「誰でも使えるZoomミーティングルーム」のURLを載せています。このURLには、ZoomのPMI(パーソナルミーティングID)を利用しています。
この施策の目的は、ミーティングルーム開設の煩わしさによる会話量の減少を防ぐためです。「わざわざミーティングルームを開設するのは面倒だから、またの機会にまとめて話そう」と後回しにしてしまうと、せっかくのコミュニケーションの機会が潰れてしまいます。
気軽に入れるミーティングルームがあると、ミーティングのアポイント取得もかんたんです。
離席時はひとこと添える
マケフリ編集部では、
- 休憩します
- コンビニ行ってきます
- 宅急便がきたので離席します
など、短時間の離席でも気軽に共有しています。テレワークでは、メンションに反応がなければ、投稿者は「今休憩しているのかな」と想像するしかありません。事前報告なく反応が遅れることが続くと、メンバーは「もしかしてサボっているんじゃないか」と不信感を抱いてしまいます。
テレワーク時のチャットコミュニケーション:コミュニケーションを活発化する事例
テレワークでは、「雑談」を交わせる時間が、出社時よりも圧倒的に少なくなります。雑談は、息抜きだけでなく、チームの連携を強化する役割を持っています。チャットツールをうまく使って、テレワーク時の雑談を確保しましょう。
おやつタイムを設定する
おやつタイムとは、私たちマケフリ編集部が開催している、「業務外の雑談を主な目的としたミーティング」です。
おやつタイムでは、ミーティングルームを15分間開き、チームメンバーが集まり雑談しています。
おやつタイムでのトークテーマは、最近買った家電の自慢やおすすめのおやつなどさまざまです。
私たちは、テレワークで減った雑談の機会を補うために、おやつタイムを作りました。
やはり顔を見せながらの雑談と、チャットでの雑談は異なります。チャットでは、相手の顔が見えないので、相手の様子を想像で補うしかありません。おやつタイムでは、相手の顔を見ながら話す機会を持てるので、「この人は今日も元気そうだな」「この人は、最近ちょっと元気がないのか」といった、メンバーそれぞれの様子を感じ取れます。
施策を日常に根付かせるには、定期開催の仕組みを整えることが大切です。開催のたびに参加希望者のリアクションを募ったり、ミーティングルームを新設したりすると、開催のハードルが上がり参加者は徐々に減ってしまいます。そこで私たちは毎日15時になると、Slackから以下の通知が届くよう設定しています。
情報共有ツールとタスク管理ツールを使い分ける
私たちは、情報共有のツールと、タスク管理のツールを明確に使い分けています。コミュニケーションツールには、それぞれ得意不得意があるからです。
「Slack」などの、会話がどんどん流れていくツールを「フロー型」のコミュニケーションツールといいます。フロー型のツールは、情報共有や雑談には向いていますが、情報がストックされないのでタスク管理は不得意です。
一方で、「Trello」や「Asana」のような、タスクごとに会話が展開できたり、情報を分類して保存できたりするツールを、「ストック型」のコミュニケーションツールといいます。ストック型のツールは、テーマを持たない雑談や情報共有は不得意ですが、情報が分散しないため情報を見失いません。
マケフリ編集部では、「Slack」と「Asana」、つまりフロー型のコミュニケーションツールとストック型のコミュニケーションツールの両方を活用しています。
マケフリ編集部は、Slackを「出社時に行なっていた口頭でのやりとりの代替ツール」と位置付けています。Asanaは、進行中の業務やタスク進捗に使っています。どちらのツールも、無料で使えます。
テレワークでもコミュニケーション量を保つ際の注意点
ここまで、テレワーク時のコミュニケーションを増やすテクニックをご紹介しました。
最後に、テレワークのコミュニケーションでもっとも大事な「心がけ」をお伝えします。それは、前述したテクニックは、あくまで「コミュニケーションを促進するための起爆剤に過ぎない」ということです。
普段から雑談をしないチームが、いきなり小手先のテクニックを取り入れても、コミュニケーションの円滑化はできません。本当に大事な取り組みは、「雑談をしたい」と思える人間関係を築くことです。そして、「適度に雑談をしてもよいんだ」と思える、心理的安全性が担保されたチームを作ることです。
雑談をするための土壌がないと、いくらトップダウンで「これからおやつタイムをやって、雑談をしよう」と声がけしても、誰も参加しないでしょう。もしくは、しぶしぶ雑談をする、という本末転倒な結果に終わってしまいます。
雑談に慣れていないうちは、まずはチームメンバーの様子を伺いつつ、「シンプルな始業、終業報告」や「即レスポンス」から始めることをおすすめします。