ビジネス基礎「報連相」とは?上手な報連相の仕方も解説します

「報連相は、仕事の基礎だ」とよく言われます。

特に新人のうちは、上司や先輩から報連相を徹底的に叩き込まれるのではないでしょうか。

今回は、「なぜ報連相が大事なのか」「適切な報連相は、どのように行えばよいのか」をご説明します。みなさまのお役に立てば幸いです。

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報連相の概要

仕事の基本とされる「報連相」ですが、あなたは正しく理解しているでしょうか。適切な報連相をするには、それぞれの違いを正しく理解している必要があります。まずは、報連相の概要を理解しましょう。

報連相とは

報連相とは、仕事を円滑に進める上で重要とされる「報告」「連絡」「相談」を略した表現です。基本的に、仕事はチームワークです。チームワークでは、業務を円滑に進めるため、適切なコミュニケーションが求められます。報連相は、まさにチームワークで必要とされるコミュニケーションの一種です。

なお、勘違いされがちですが、報連相は、「報告・連絡・相談」の3ステップになっているわけではなく、それぞれが独立した要素です。

報連相の報:報告とは

報告とは、仕事の結果や進捗を上司やメンバーに知らせる行為です。報告は、上司やメンバー間で事実を共有し、認識を合わせるために行います。

報告は、「〜まで進みました」「〜が完了しました」といったように、完了形になることが特徴です。

定例の進捗会議などは、報告に当たります。

報連相の連:連絡とは

連絡とは、現在、または未来の予定について、上司やメンバーに知らせる行為です。

連絡は、「今から〜に着手します」「交通機関の遅延で遅刻します」といったように、現在形か未来形になることが特徴です。

報連相の相:相談とは

相談とは、業務に関する問題や悩み事について、どのように解決したらよいのかを上司やメンバーに質問したり、アドバイスをもらったりする行為です。

相談というと、「どうしたらいいですか」といった質問をイメージしがちですが、これはよくない相談の例です。相談する際は、自分の意見とその根拠を述べるようにしましょう。

部長、ちょっとご相談よろしいでしょうか。現在進んでいる〇〇プロジェクトの件でご相談なんですが、〇〇という方向で進めてよろしいでしょうか。現状の私たちのリソースを考えても、〇〇という方向で進めたほうが安全だと私は考えています。いかがでしょうか。

相談は、上長やメンバーとの認識合わせと言い換えることもできます。相談すべきことを相談せずに業務を進めてしまうと、上司やメンバーとの間で認識が合わず、「なぜそんな仕事をしているんだ」「なぜ相談せずに進めたんだ」と言われてしまう可能性があります。

相談をするタイミングは、さまざまですが、1つだけかならず相談をすべきタイミングがあります。それは、自分1人で判断できない事態に陥ったときです。自分で判断できないことは、かならず上司に相談し、判断を仰ぎましょう。自分に判断する権限がないことを勢いで進めてしまうと、後々大きなトラブルにつながりかねません。

どこまで自分1人で判断してよいのかを把握するためにも、自分の裁量は明確にしておくとよいでしょう。

なぜ報連相が必要なのか

上司から「報連相をしっかりと意識しろ」と口すっぱく言われることはないでしょうか。この章では、なぜ報連相が必要なのかを解説します。

仕事の手戻りを減らすため

報連相をしつつ仕事を進めれば、仕事の手戻りを減らせます。あなたは、以下のようなことを上司から言われた経験はないでしょうか。

「この資料は、こんなに細かく作る必要はなかったんだけどな」
「もう7割がた終わっていると思っていたのに、まだ半分も進んでいないのか!」
「このデータは使えないし、この資料じゃダメだよ。なんでこんなことになってるの?」

報連相を意識しつつ仕事を進めれば、このようなことを言われる確率をグッと減らせます。上記のような手戻りは、多くの場合「報告・連絡・相談」といった業務上必要なコミュニケーション不足から生まれるからです。

また、報連相に加えて、上司とQCDの認識合わせをすることも重要です。QCDとは、「クオリティ・コスト・デリバリー」の頭文字をとった言葉です。どのくらいのクオリティのものを、どのくらいのコスト(時間)をかけて、いつまでに提出すればよいのかを上司と認識合わせしておくことで、業務の手戻りを減らせます。

先輩や上司からの信頼を得るため

報連相がしっかりできれば、先輩や上司からの信頼を得られます。逆に、報連相ができないと、先輩や上司からの信頼を失ってしまうでしょう。

以下のシチュエーションを考えてみましょう。

新人のAさんは、上司から仕事を振られました。その際、どのように進めたらよいか、判断に困った箇所がありましたが、「上司も忙しそうだしな」と思い、Aさんは報連相をせずに仕事を進めました。結果的には、ミスなく仕事を終え、Aさんは上司に報告をしました。

Aさんの業務の進め方の問題点は、上司に報連相をしなかった点です。たとえ、あなたが業務をしっかりこなしていても、報連相ができていなければ、不愉快に思う人もいます。なぜなら、今回はたまたまうまくいったとしても、相談すべきポイントで相談できない人は、いずれ大きなトラブルを引き起こすからです。

「報連相をしなくても、成果を出しているんだからいいじゃないか」と考えず、あなたの上司の立場に立って考えることが重要です。あなたの業務の成果を認めてもらうためにも、先輩や上司への報連相はしっかりと行いましょう。

また、新人のうちに報連相を身につけてしまいましょう。新人のうちは、報連相ができるだけで、先輩上司から「この子はなかなか仕事ができるな」「この子なら安心して任せられるな」と思っていただけます。上司から「仕事ができるな」と認識されると、あなたにはより大きな仕事が回ってくるようになるでしょう。

逆に、ある程度社会人経験を積んでいるにも関わらず、報連相ができないと、「この人は仕事ができない人だな」とみなされ、信用を失います。ある程度社会人経験を積むと、報連相ができることで評価されることは少なく、報連相は「できて当たり前」と見なされます。

そのため、キャリアの早い段階で報連相を身に付けることが大切なのです。

重大なトラブルを防止するため

報連相が適切にできないと、ときに重大なトラブルに繋がります。トラブル対応は、素早さが肝心です。トラブルに繋がりそうなときや、トラブルが発生したときは、早急に報連相する必要があります。

報連相ができていないと、

  • 1人では決められないことを、1人で決めて実行してしまう
  • 相談しづらいからといって、困っていることを相談せず、トラブルに発展する
  • 現場の状況が報告されず、プロジェクトが炎上したり、退職者が相次ぐ

といったことが起こります。

重大なトラブルを避けるためにも、報連相が必要なのです。

適切な報連相の仕方

この章では、 「報連相が大切なのは理解したが、どのように報連相を行えばよいのか教えてほしい」というニーズにお応えします。適切な報連相の仕方を確認しましょう。

適切な報告の仕方

報告で大事なことは、事実と解釈を分離して、簡潔に伝えることです。簡潔な報告をするためには、結論から報告することを意識しましょう。

簡潔な説明を組み立てるモデルとして、PREP法があります。PREP法とは、要点、理由、具体例、要点の英語の頭文字をとった言葉です。

Point :要点(結論・主張)
Reason :理由(結論にいたった理由・そう主張する理由)
Example:具体例(理由に説得力を持たせるための事例・データ・状況)
Point :要点(結論・主張)

以下は、PREP法を使った報告の一例です。

【要点】ご報告です。キャッチコピーのA案とB案ですが、チームで検討した結果「A案を採用する」ことが決まりました。

【理由】採用理由は、「共感」に訴求したA案の方が、口コミによる認知度向上が見込めそうなためです。

【具体例】たとえば、過去に「こんな状況、あるある!」と共感していただくことで口コミやシェアを誘発し、サービスの認知が広まったD社の事例がございます。D社のキャッチコピーを紹介したとあるユーザーの口コミは、SNSで5万回以上リツイートされました。

【要点】したがって、チームではA案を採用すると決定いたしました。

また、事実や解釈を分けて報告するために、「空雨傘」を意識するとよいでしょう。空雨傘とは、「事実・解釈・行動」を分けて考えるためのモデルです。空雨傘を意識するだけで、納得感のあるストーリーを構築できます。

論理的なストーリーを組み立てる「空雨傘」
論理的なストーリーを組み立てるためのモデル「空雨傘」については、こちらの記事でまとめました。あわせてごらんください。

適切な連絡の仕方

連絡は、しっかりと相手に連絡事項が伝わっていることが重要です。メールやコミュニケーションアプリを使った連絡も最近は盛んですが、オンラインでの連絡は、返信がない限り、相手がその連絡を確認したかわからないことが難点です。

上司は、基本的に忙しいものです。なかなかあなたのメールを確認し、返信する時間的な余裕はありません。ときには見逃してしまうこともあるでしょう。そのため、「私は連絡したのに、見ていない上司が悪い」という姿勢ではなく、「どうやったら忙しい上司に、スムーズな連絡ができるか」と考えることが重要です。

たとえば、YesかNoの2択で返信できるような工夫をしたり、必要であればオンラインでの連絡に加えて、対面での確認を取るなどの工夫をしたりしましょう。

また、連絡は早めに行うことを意識しましょう。上司は、あなたの連絡以外にも、さまざまな連絡を受け取っています。あなたから急に連絡をもらっても、日程調整等が難しい可能性があります。

適切な相談の仕方

相談において、もっとも重要なことは、「どうしたらいいでしょうか」という相談をしないことです。「どうしたらいいでしょうか」という相談の仕方では、上司の指示待ちになってしまいます。「どうしたらよいか」という相談を受けると、上司も「そこは自分で考えてきなさい」と感じるはずです。

つまり、相談は「あなたの意見を持った上で相談すること」が大切です。

あなたの意見を述べる際は、上司に納得していただく必要があるので、説得力のあるストーリーを組み立てなければなりません。説得力のあるストーリーを組み立てるときは、AREAの法則を意識しましょう。

AREAの法則とは、Assertion(主張)、Reasoning(理由)、Evidence(証拠)、Assertion(主張)の頭文字をとった、説明の構成のフレームワークです。

AREAの法則について
わかりやすく、説得力のある説明をするためのフレームワーク「AREAの法則」については、こちらの記事でまとめました。ぜひあわせてごらんください。

報連相の注意点

この章では、 報連相の注意点を2つまとめました。

報連相の頻度は、上司によって異なる

どのくらいの頻度で報連相してほしいかは、上司のマネジメントスタイルや、業務内容によります。したがって、あなたは上司がどのくらいの報連相を求めているのかを、見極める必要があります。

見極めるといっても、難しく考える必要はありません。わからない場合は、上司にどのくらいの頻度で報連相が欲しいかの確認を取ればよいのです。

最悪なのは、「どのくらいの報連相を求められているのかわからないから、報連相しない」ことです。こまめな報連相をすることは、報連相がなくて大きなトラブルが発生するよりずっとましです。

報連相は、信頼関係が前提にある

適切な報連相をすることは、従業員の義務です。しかし、報連相を受ける立場の人間が、「報連相は当たり前だ」と考えるべきではありません。なぜなら、報連相は、信頼関係の上で成り立つからです。

報連相とは、仕事に必要な「コミュニケーション」の種類です。コミュニケーションは、信頼関係の上で成り立ちます。したがって、報連相も信頼関係の上で成り立つのです。

特に、人間関係のトラブルや退職相談などは、信頼関係がないと部下から報連相してもらえないことがあります。あなたが報連相を受ける立場なら、報連相がないことを部下のせいにばかりせず、「信頼関係がちゃんと構築できているだろうか」と自分を振り返ることも大切です。

また、今はまだ報連相を受ける立場にない人も、いずれ報連相を受ける立場になる可能性があります。そのため、同僚との信頼関係を意識することは、かならず将来的にあなたの役に立つでしょう。

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