PREP法とは?相手に伝わるわかりやすい説明の構成【例文つき】
PREP法とは、わかりやすい説明の構成を作るためのモデルです。
もしもあなたが上司から、
「つまり何が言いたいの?」
「結論から言って」
「その根拠はなに?」
「ちゃんと整理してから話して」
なんて言われた経験があれば、ぜひPREP法を身につけましょう。PREP法は汎用的なスキルです。PREP法が身に付くと、上司への報告・部下への指導・プレゼンテーション・商談・インサイドセールスのお電話・ビジネス文書の作成など、「わかりやすい説明」が求められる、あらゆる場面でのコミュニケーションが円滑になります。
この記事のもくじ
PREP法とは
PREP法とは、
Point :要点(結論・主張)
Reason :理由(結論にいたった理由・そう主張する理由)
Example:具体例(理由に説得力を持たせるための事例・データ・状況)
Point :要点(結論・主張)
の頭文字をとった、わかりやすい説明の構成を表したモデルです。
PREP法を一言で説明すると、
「はじめに要点(結論・主張)を伝えてから、結論にいたった理由を説明し、理由に説得力を持たせる事例やデータを提示した上で、最後にもう一度要点を述べる構成」
と言えます。
PREP法を用いた説明とは、たとえば以下のような説明です。
映画や小説では、「起承転結が大切」と言われます。エンタメはストーリー性を重視するため「これからどうなるかわからない」という適度なストレスは歓迎されますが、ビジネスの場で求められるコミュニケーションは「明確でわかりやすいこと」です。
PREP法の3つのメリット
PREP法を用いると、ビジネスのコミュニケーションが円滑になります。その理由は「聞き手にストレスがかからない」「不要なやりとりが減る」「自分の考えを整理する習慣がつく」という3つのメリットがあるためです。
この章では、PREP法の3つのメリットを、会話例とともにご紹介します。
1:聞き手にストレスがかからない
PREP法が聞き手にストレスをかけない理由は、PREP法が先に要点(結論・主張)を伝える構成だからです。先に要点や結論を伝えると、聞き手は「これは何についての話なのか」を理解した上で話を聞けるため、「一体なんの話をしてるんだ?」というストレスが発生しません。
反対に、結論や主張が見えない話は、聞き手にストレスを与えます。たとえば、PREP法を用いない以下のような報告を受けたら、あなたもストレスを感じるはずです。
部下:すみません、少々お時間よろしいでしょうか。
あなた:どうしたの?
部下:キャッチコピーのA案とB案なのですが…。A案は共感をコンセプトとして作成し、B案はサービスの強みを表現したコピーです。ちょっと見ていただけますか?
あなた:う、うん(なんの話だ?)
部下:従来のキャッチコピーは、B案同様にサービスの魅力を表現したコピーだったのですが、別角度からの切り口も必要との意見がありましたので、今回はA案も作成しまして…
あなた:ごめん、そもそもなんの話?
上記の会話例は、PREPの「要点(結論・主張)」がない例です。これでは、「A案とB案で悩んでいるのであなたの意見を聞きたい」という相談なのか、「A案を採用することになった」という報告なのか、わかりませんよね。結論から述べると、聞き手にストレスが発生しません。
先ほどの会話例を、PREP法を用いて再構成すると以下のようになります。
【要点】ご報告です。キャッチコピーのA案とB案ですが、チームで検討した結果「A案を採用する」ことが決まりました。
【理由】採用理由は、「共感」に訴求したA案の方が、口コミによる認知度向上が見込めそうなためです。
【具体例】たとえば、過去に「こんな状況、あるある!」と共感していただくことで口コミやシェアを誘発し、サービスの認知が広まったD社の事例がございます。D社のキャッチコピーを紹介したとあるユーザーの口コミは、SNSで5万回以上リツイートされました。
【要点】したがって、チームではA案を採用すると決定いたしました。
報告・連絡・相談の頭文字をとった言葉、報連相。ビジネスの基礎とも言える報連相を「ビジネス基礎「報連相」とは?上手な報連相の仕方も解説します」にて、徹底的に解説しました。みなさまが「部下にもっとうまく報連相をしてほしい」とお思いでしたら、こちらの記事をそっと部下の方におすすめしてみてください。
2:不要なやりとりが減る
PREP法で説明すると、一度の説明で相手に内容を理解していただけるため、不要なやりとりが減ります。
反対に、PREP法を意識せずに説明すると、「ごめん、もう一回説明して?」「つまりどういうこと?」「ちゃんとまとめてからもう一度説明してもらえる?」というやりとりが発生します。このようなやりとりは小さい時間のロスですが、積み重なると大きな時間のロスになります。しかもこの時間の損失は、話し手だけでなく、聞き手にとっても損失です。
ビジネスは、限られた時間の中で成果を出す営みです。PREP法は、話し手にとっても聞き手にとっても、不要なやりとりが生まれない説明の構成です。
PREP法は、プレゼンでも効果を発揮します。特にオンラインのプレゼンでは、聞き手は「不明点を即座に質問する」ことが難しく、プレゼンターはよりわかりやすい説明を心がけなければなりません。「オンラインのプレゼンは対面のプレゼンとここが違う|資料作成や発表、環境の整え方をご紹介」には、オンラインのプレゼンを成功させるためのノウハウがギュッと詰まっています。PREP法をプレゼンに応用したいビジネスパーソンにおすすめです。
3:考えを整理する習慣がつく
PREP法を心がけて説明するということは、自分の中で「要点はこうで、理由はこう、理由に説得力を持たせるための根拠は…」と整理してから説明することに他なりません。PREP法が身につくと、報告や説明というアウトプットの機会を通じて、自分の考えを論理的に整理する習慣がつきます。
たとえば、以下の主張を見てみましょう。
「弊社でも、Twitterの公式アカウントを作成しましょう。時代はSNSですから」
上記の例には、「時代はSNSである」という根拠(具体例)が明示されていません。さらに「時代がSNSだから」という理由はあいまいです。理由を補強する具体例がなかったり、理由があいまいな主張は、説得力に欠けます。
PREP法を用いて、理由と根拠を明確に説明した例が以下です。
【要点】弊社でもTwitter公式アカウントを開設・運用しましょう。
【理由】理由は、Twitter経由での新規顧客獲得を見込めるためです。
【具体例】まず、私たちのサービスのターゲットである20代男性のTwitter利用率は50%以上です。これは、Twitterが私たちの潜在顧客と接触できる場であることを意味しています。さらに、私たちの競合企業A社も、半年前からTwitterアカウントの運用を始めています。先日発表されたA社の代表インタビューでは、Twitter経由での新規顧客獲得割合が、新規顧客全体の10%に達したとのことです。
【結論】したがって、弊社でもTwitter公式アカウントの開設・運用しましょう。
ビジネスの場では、相手を説得するために、自分の考えを論理的に整理してから説明することが求められます。考えを整理する習慣が身につくと、いっそうコミュニケーション能力に磨きがかかります。
聞き手にとってわかりやすく、納得感のある説明をするためには、「事実と解釈を分けて考える」ことが欠かせません。「「空雨傘」で論理的なストーリーを作る|わかりやすい徹底解説」では、たくさんの会話例を交えながら、事実・解釈・行動を分けて論理的なストーリーを作る秘訣をご紹介しています。
PREP法を使った報告と使わない報告
PREP法は、プレゼンテーションや文書作成など、さまざまな場面に応用できる説明の構成を作るためのモデルです。この章では、日常的な上司への報告の場面を例にとって、PREP法を「使わない報告」とPREP法を「使った報告」を、あらためて見くらべてみましょう。
よくある、PREP法を「使わない」報告
まずはPREP法を「使わなかった報告」から見てみましょう。
上司:来週の会議資料の印刷、どうなってる?
部下:会議資料なのですが、すみません、実は昨日、お客さまから別件のクレームをいただきまして。
上司:(???)
部下:このクレームは完全にこちらの不手際ですので、本日の午後に先方に訪問する予定なんです。というのも、以前もこちらの不手際でクレームをいただいたお客さまでして…
上司:だから、会議資料の印刷はどうなったの?
部下:失礼しました。まだ着手できておりません。
上司:先にそれを言ってよ。「結論から話す」ことは大切だよ。
あなたが上司の立場だったとしても、「先に結論を言ってくれ」と思いますよね。
PREP法を「使った」報告
先ほどの報告を、PREP法を用いて再構成すると以下のようになります。
上司:来週の会議で使う資料の印刷、どうなってる?
部下:
【要点】まだ着手できておりません。【理由】というのも、他に優先しなければならない業務が急遽入ってしまいまして。
【具体例】昨日お客さまからいただいた、こちらの不手際によるクレーム対応です。以前もこちらの不備が理由で一度クレームをいただいているため、早急に対処しないと、今度の取引関係に支障をきたすと判断し、優先的に対応しています。
【要点】したがって会議資料の印刷は、まだ着手できていません。
上司:了解。クレーム対応しっかりね。うまく対応できたら、むしろプラスになるかもしれないよ。
PREP法を意識して、「はじめに要点(結論・主張)を伝えてから、結論にいたった理由を説明し、理由に説得力を持たせる具体例を提示した上で、最後にもう一度要点を述べる」という構成を心がければ、わかりやすい報告ができます。
まとめ
これまで見てきた通り、PREP法を用いると、「わかりやすい説明」ができ、ビジネスのコミュニケーションが円滑になります。
ちなみに、この記事もPREP法を意識して構成しています。
【要点】1章:PREP法とは
PREP法を用いると、「わかりやすい説明」ができ、コミュニケーションが円滑になる。【理由】2章:PREP法の3つのメリット
なぜならPREP法には「聞き手にストレスがかからない」「時間のロスが減る」「考えるクセがつく」という3つのメリットがあるため。【具体例】3章:PREP法を使った説明と使わなかった説明
たとえば、PREP法を使った場合と、使わなかった場合では、「説明のわかりやすさ」がこんなに異なる。【要点】4章:まとめ
PREP法を用いると、「わかりやすい説明」ができ、コミュニケーションが円滑になる。
PREP法は、こんな風に文章作成にも応用できる「わかりやすい構成のモデル」です。
もしもあなたが「わかりやすい説明をするだけでなく、相手を説得したい」とお思いでしたら、「ビジネス交渉術8選!心理学に基づいた交渉術をまとめました」の記事がおすすめです。この記事では、ビジネスの現場で使える8つの交渉術を、使用例や心理学的裏付けとともに解説しています。
ホールパート法をご存知でしょうか。ホールパート法とは、「はじめに全体像を提示してから細部を説明する」という説明のモデルです。「ホールパート法とは?説明が上手になりたい人必見」にて解説していますので、もっと説明上手になりたい方はぜひごらんください。
誰でも80点以上の文章が書ける ライティングテクニック39選
私は「わかりやすい文章を書ける人はセンスがあるからだ」と思っていました。たしかに、小説のように読み手を感動させる文章にはセンスが求められます。しかし、80点の文章にセンスは不要です。
- 伝えたい内容が正しく伝わる文章
- 短い時間でスラスラ読める文章
- ネガティブな印象を与えない文章
- 説得力がある文章
「誰でも80点以上の文章が書ける ライティングテクニック39選」では、上記の文章を書くテクニックを39個厳選しました。「ライティングを自分のスキルにしたい」とお思いのオウンドメディア担当者、メルマガ担当者、ライターのみなさまにおすすめです。
「誰でも80点以上の文章が書ける ライティングテクニック39選」の内容はこちら
この記事は2020年12月7日に更新しました。