プロセス管理はあらゆる業務において必要とされるもので、適切な管理の実行によって業務標準化による属人化の防止やタスクごとのリスク管理ができるようになります。そのため、各企業においてプロセス管理を重視しているケースも多いです。プロセス管理には活用できる手法が複数あり、それらを知っておくことによって管理効率の向上が図れます。
実際、プロセス管理を実行するうえで、活用できる手法や管理方法について知っておきたいと考えている方も多いのではないでしょうか。
本記事では、プロセス管理を行う目的や手法、実際に行う方法などを解説します。後半では、プロセス管理におすすめのツールも紹介しているため、プロセス管理の詳細を理解したうえでそのツールに利用価値があるかどうか判断してみてください。
この記事のもくじ
プロセス管理とは
プロセス管理とは、業務における一連のプロセスを適切に管理することです。企業ごとに業務の内容は異なるため、管理する内容もそれに基づいて変わります。たとえば、受注から販売までの流れで見てみると「受注→仕入れ→販売」で完結するケースもあれば、「受注→製造→組立→販売」となるケースもあるでしょう。
以上のように、企業ごとに業務プロセスの内容は異なるため、それぞれを適切に管理しなければ円滑な業務運営は実現しません。また、適切なプロセス管理は売上やコストなどの最適化を図るうえでも重要な役割を持つため、管理によっては利益増加などの期待も持てるでしょう。
プロセス管理が必要な業務
プロセス管理は、主に「定型業務」や「ルーティン業務」のような決められた作業を繰り返し行う業務に必要とされます。単調な作業を行う業種が当てはまるように思われがちですが、営業なども該当するケースが多く、一連の流れで成果を生み出す業務の場合はすべてプロセス管理が可能です。
また、プロセス管理には納期を守るための管理業務も含まれるため、関連して人材配置・役割分担等の管理するケースが多くなります。そのため、複数の人材を巻き込んで実施する業務の場合にも、プロセス管理は必要とされるでしょう。
プロセス管理を行う目的
プロセス管理に取り組むうえで目的を明確に知っておくことは、的外れなプロセス管理をしないためにも必要な工程です。プロセス管理を行う主な目的は以下の4つがあります。
- タスクごとの進捗状況を可視化し、遅延やトラブルを防ぐ
- 業務の属人化を防ぎ、「担当者の不在」による弊害をなくす
- プロジェクトをタスクごとに評価・分析し、成功率を安定させる
- タスクごとのリスクを管理し、問題発生時の迅速な対処を可能にする
プロセス管理によって「プロセスの可視化」ができるため、進捗状況の把握や各工程における担当者の業務の偏りを明確に知れます。また、管理の粒度によってはプロセス内における各タスクの詳細を把握することも可能となり、その評価・分析によって業務の成功確率を安定させられるでしょう。
タスクごとの進捗状況を可視化し、遅延やトラブルを防ぐ
プロセス管理によって、各タスクの進捗状況を可視化できます。情報の鮮度は更新頻度によって左右されます。ルールを決めてできる限り早く情報を入力するようにすれば、新鮮な進捗情報を入手できるでしょう。
これにより、遅れているタスクが明確になるため、遅れを補填するための対策を立てられます。対策を講じられれば、人材不足による重度の遅れや納期遅れによる顧客の信用損失などのトラブルの防止に繋がるでしょう。
業務の属人化を防ぎ、「担当者の不在」による弊害をなくす
プロセス管理では、プロセスにおける各業務の取り組み方法を統一する方向で管理するため、業務の標準化に期待できます。また、業務が標準化すると「特定の人しか業務に着手できない」といった現象が発生しにくくなるため、属人化の防止にも繋がるでしょう。
業務が属人化していると、その業務の担当者が不在の場合に業務が円滑に進まないといった問題点が発生します。そうなると、業務が遅れるだけでなくプロジェクト全体の遅れに繋がります。
担当者がいなくても大きな問題が生じることなく業務を遂行できるようになる点が、プロセス管理のもたらすメリットになります。
プロジェクトをタスクごとに評価・分析し、成功率を安定させる
プロセス管理では、プロセス内における各タスクの状況を明確に把握できるため、それらの成果に対する評価・分析ができます。
よくあるケースとして、プロジェクトの結果自体に着目して振り返りをしても、結果に対しての振り返りだけで終えてしまうと詳細なボトルネックを把握できません。その点、プロセス管理が適切に行われていれば、タスクごとの評価・分析ができるため詳細なボトルネックの把握に繋がるでしょう。たとえば、タスクにまで目を向けてボトルネックを探していくと、「特定の業務におけるどの部分でロスが発生しているのか」や「どの担当者の業務が遅れに直結しているのか」などを明確にできます。
プロセス管理の粒度を細かくしてタスク量を増やせば、その分だけ精度の高い評価・分析ができるようになりますが、細かくしすぎると評価・分析の負担が大きくなる点には注意しましょう。
タスクごとのリスクを管理し、問題発生時の迅速な対処を可能にする
業務プロセスにおいて、イレギュラーが発生する可能性はゼロではありません。イレギュラーな事象が発生すると、その対応に多くのリソースをが必要になり、場合によってはプロセスの大幅な遅れにも繋がります。このようなイレギュラーが発生するケースにおいても、プロセス管理は重要な役割を持ちます。
たとえば、イレギュラーな事象は過去に発生したイレギュラーを精査していくと、パターン化できるケースも珍しくありません。「発生する問題は別だが、発生する工程は同じ」「発生する工程は別だが、担当している作業者が同じ」などのようにパターン化できるケースもあり、これらを細かく分析すれば問題への対処法を前もってプロセスに組み込んでおけるでしょう。
つまり、イレギュラーとはいえ、プロセス管理の視点を持って管理に臨めば、イレギュラーな事態にも迅速に対応できる体制を整えられるのです。
プロセス管理の手法
プロセス管理を行ううえで活用できる手法はいくつかあります。ひとつの手法を活用するというよりは、複数の手法を掛け合わせて管理していくケースが多いです。今回は10種類の手法をピックアップしました。自社における管理方法に適した手法はどれかを確認し、実際に活用してみましょう。
- スケジュールマネジメント
- スコープマネジメント
- コストマネジメント
- 品質マネジメント
- リソースマネジメント
- 調達マネジメント
- リスクマネジメント
- ステークホルダーマネジメント
- コミュニケーションマネジメント
- プロジェクト統合マネジメント
スケジュールマネジメント
スケジュールマネジメントとは、プロジェクトにおいて各タスクがどのくらい進んでいるかを管理することで、いわゆる「進捗管理」を指します。スケジュールマネジメントを実施する目的は明確で、期間内に決められた業務を完了させることです。
そのため、スケジュールマネジメントでは各タスクの期日を管理して、遅れているタスクに対する適切な処理を施すことで円滑に工程を進めます。他にも、着手するタスクの優先順位を決めるのもスケジュールマネジメントにおける業務のひとつで、優先順位を決めることによって進捗が滞った場合のリスクを最小限に抑えられるでしょう。
スコープマネジメント
スコープマネジメントとは、プロジェクト達成に向けて「何を、どこまでやるか」を決め、決めた内容に対する作業等がブレないように管理することです。スコープマネジメントでは「成功の定義」を決めてから「やること」を決めるため、プロジェクト達成に向けた工程の中で、外部からの影響を受けてプロジェクト達成の目的がブレるといったリスクを最小限に抑えられます。
具体的にスコープマネジメントでは、目標を達成するために必要な作業を洗い出し、それらの作業を無駄がないようにプロセスとして構築します。そのため、最短で目標を達成するプロセスを構築できるメリットもあります。
コストマネジメント
コストマネジメントとは、プロセスにおけるコスト・予算の管理を指します。コスト管理によって、プロセス内で消費する経費をコントロールできるようになるため、赤字を防いで黒字の最大化を図れます。コストの詳細は業務形態などにもよりますが、主に原材料費や人件費などが該当します。
プロジェクトにおいて複数のプロセスが存在する場合には、各プロセスのコストを総じて管理するため、コストマネジメントは特定のプロセスにおける管理のことだけを指すわけではないことを理解しておきましょう。
品質マネジメント
品質マネジメントとは、各プロセスや成果物であるサービスや製品の品質を管理することです。品質管理なくして安定した質のサービス・商品の提供はできないため、品質マネジメントでは品質を安定・向上させるために必要な管理を行います。たとえば、品質基準の明確化や品質をチェックする際の体制構築などが挙げられます。
品質を把握しにくい営業においても品質マネジメントは有効で、プロセス内の各工程における接客品質等の管理を行えば、業務品質の向上に繋がるでしょう。結果的に、リピーターの獲得や口コミの良化といった効果も期待できます。
リソースマネジメント
リソースマネジメントとは、その名のとおりリソースの管理で、人的リソースやお金、物的リソースなどを管理します。リソースを効率よく運用するのが目的で、プロジェクトにおける各プロセスにリソースを適切に配分することで効率的な運用を目指します。
そのため、リソースマネジメントを行うには社内で抱えるリソースの明確化が必須です。リソースが明確にならなければ、リソース配分の最適化も図れないため、これからリソースマネジメントの活用を検討している方はリソースの明確化から始めましょう。
なお、リソースマネジメントにおける適切な配分は、「過不足なく配分すること」であり、リソースの把握と並行して各プロセスや工程で必要なリソース量の明確化も必要です。
調達マネジメント
調達マネジメントとは、プロジェクトにおいて必要となる原材料の調達や外部の協力企業に仕事を依頼する、つまり外注する場合に、それらの調達を完了するまでの各工程を管理することを指します。
調達マネジメントでは、依頼単価の管理や資材を調達する際のコスト、外注先の評価といった管理を行います。そのため、調達マネジメントはプロジェクトを達成するうえでリソースを必要とする場合に必須の管理手法です。
調達に必要なコストの管理はもちろん、最適なリソースを見極めるといった業務にも取り組みます。なぜなら、質の低い資材や外注を活用すると、プロジェクトの成果物が低品質になる可能性があるためです。プロジェクト達成に向けて最適なリソースを探すこともまた、調達マネジメントの業務のひとつになります。
リスクマネジメント
リスクマネジメントとは、各工程におけるリスクを想定して事前に対策しておくことで、そのリスクが発生する可能性を抑えられるように管理することです。リスクマネジメントでは、どのようなリスクがあるのかを把握することから始める必要があります。
そして、かならずトラブルが起きることを想定して事前に対策を立案しておくことで、問題発生の防止を図ります。いかなるプロセスにおいてもリスクは潜んでいるため、この手法の活用を前提にプロセス管理に臨む必要があるでしょう。
ステークホルダーマネジメント
ステークホルダーマネジメントとは、ステークホルダー、すなわち「利害関係者」の管理を指します。プロジェクトにおける各プロセスでは、プロジェクトの結果に関わる重要な人物が存在し、そういった人たちの管理が必須になります。
なぜなら、各ステークホルダーが抱える役割や取り組む内容は異なり、それぞれを適切に管理しなければプロジェクト遂行の円滑化は図れないためです。
また、ステークホルダーマネジメントにおいて重要な点は、ステークホルダーの定義づけを明確にすることです。経営層を含むケースもあれば、そうでないケースもあり、どこまでの範囲を管理するのかによって負担も変わってきます。
場合によっては、ステークホルダーの中にプロジェクトに対して否定的な意見を持つ人もいるでしょう。このようなケースでは、プロジェクトを成功させるために否定的な意見の人に協力を促すのもステークホルダーマネジメントにおける役割のひとつです。
コミュニケーションマネジメント
コミュニケーションマネジメントとは、情報伝達手段であるコミュニケーションを管理することを指します。この目的は、情報の適切な管理です。
プロジェクトでは多くの人が関わるため、誤った情報は混乱を招き、正しい情報はプロジェクトを成功に近づけます。そのため、コミュニケーションマネジメントはプロジェクトを達成するために欠かせない手法のひとつです。
また、昨今はコミュニケーションツールが多様化しており、テレビ通話やチャットツールなどさまざまなツールを駆使して情報を共有し合うことが増えています。今後はコミュニケーションマネジメントがより重要視される可能性もゼロではありません。
コミュニケーションマネジメントをプロセス管理における手法のひとつとして認識しておくことを推奨します。
プロジェクト統合マネジメント
プロジェクト統合マネジメントとは、プロジェクト全体を管理する手法です。プロジェクトにおけるすべての要素の管理・調整が主な内容で、これまでに触れた各マネジメントにおける管理対象のすべてをマネジメントします。たとえば、コストや納期、リソース、品質などの項目を管理することによって、プロジェクトにおける高品質な成果物を生み出します。
プロジェクト全体を適切に管理できれば、高い成果を生み出すプロセス管理となるでしょう。
プロセス管理を行う方法
プロセス管理は、プロジェクトで掲げた目標を達成するために必須であり、その方法を知って効率よく着手していくことが重要です。なお、プロセス管理は以下のステップで行います。
- プロジェクトの目的設定と立ち上げ
- プロセスの計画
- プロセスの実行・管理
- プロジェクトの終結・分析
以下で、それぞれのステップの詳細を解説します。プロセス管理は一度で終わりではなく、新たなプロジェクトが立ち上がれば再度活用されることもあるため、次回に活かせる分析を行っておくことが重要です。
1:プロジェクトの目的設定と立ち上げ
プロジェクトを立ち上げるには、まず明確な目的が必要です。目的がはっきりしていなければ、適切なプロセス管理は行えません。
また、目的が明確になったら「何をもってして目的の達成となるのか」といった「目標」を明確にしておくことも重要です。「売上10%アップ」という目的であれば、それがそのまま目標になるためわかりやすいですが、顧客満足度のアップなどは抽象的なため、「リピート率を5%アップする」といった定量的な目標がふさわしいでしょう。
以上のように、目的や目標を明確にしてプロジェクトを立ち上げ、関係者たちとその内容を共有します。
2:プロセスの計画
プロジェクトの目的や目標を達成するためにどのような行動を起こすのか、そのプロセスを計画として立てます。計画の内容はプロジェクトによって異なりますが、まずは確定している情報を参考に計画を立てましょう。
計画に含まれる要素としては、以下の点が挙げられます:
- リソースの確保:プロジェクトに必要な人員、設備、予算などを明確にします。
- 期間の設定:プロジェクトの開始から終了までの期間を決め、各タスクの締め切りを設定します。
- 品質の基準:求められる成果物の品質を定義し、それを達成するための基準を設けます。
プロジェクトを進めていく中で、イレギュラーな自体の発生や新たなリソースの追加など、初期段階では知りえなかった不確定要素が追加されていくこともあります。その内容に合わせて計画の練り直しは必須です。
また、その時点での計画が最善かどうかを話し合う場を定期的にセッティングしておくのも、プロセス管理の重要なポイントになります。
3:プロセスの実行・管理
実際に計画を立てた後は、それに基づいて実行していきます。各プロセスを実行していくなかで計画の修正は何度か行われる可能性がありますが、特に多くの人が関わるプロジェクトの場合は軌道修正が発生しやすいため、柔軟に対応できるように状況を整備しておくこともプロセス管理では必要になります。
また、進捗の管理も欠かせませんが、各プロセスが進む過程で発生した成果物などを管理しておくのも重要です。そうすることで、改善が必要な工程が明確になるでしょう。迅速な分析・修正・改善が求められる点は大きな負担となりやすいですが、しっかりと管理できればプロジェクトの成功が大きく近づきます。
4:プロジェクトの終結・分析
プロジェクトが完了したら、これまでの過程をまとめたうえで分析します。完了してそのまま終わりにするのではなく、結果から得られたものを分析して、課題やよかった部分を次回のプロセス管理に活かせるようにしておくことが重要です。
たとえば、期日までに完了できたのか、リソース管理は適切だったか、予算の範囲内でプロジェクトを終結させることができたか、といった視点から分析することによって、次回に活かせる内容が得られるでしょう。
プロセス管理を行ううえでの注意点
プロセス管理を行ううえで、注意すべき点が3つあります。詳細は以下の通りです。
プロセス管理はあくまでも手段と捉える
プロセス管理はあくまでもプロジェクトの目的を達成するための手段でしかありません。プロセス管理は確かに重要ではありますが、そこにリソースを割き過ぎると、本来力を入れるべき場所にリソースを割けなくなります。
アウトプットのツールはテンプレートを使用する
プロセス管理を可視化する際などに利用する業務フロー図などのツールはテンプレートを使いましょう。人によって作成するテンプレートが異なると、それを把握する側の負担も大きくなります。プロセス管理に必要となるツールをまとめて、テンプレートを作っておくことが重要です。
手法は自社の戦略に合わせて適切に選択する
プロセス管理を活用できる場面は多くありますが、すべての場面において同じ手法が通じるわけではありません。経営戦略や業種に合わせた手法を選択して活用することで、効率よくプロセス管理ができるでしょう。
プロセス管理はプロジェクトを達成するうえで重要な役割を持ちますが、プロセス管理を重視しすぎないようにしましょう。あくまでも目的を達成するための一手段として考え、適切に活用していくことが重要です。
営業のプロセス管理には「Kairos3」の活用がおすすめ
営業におけるプロセス管理をする場合は、「Kairos3」というツールがおすすめです。「Kairos3」とは、売上アップを仕組みで実現できるCRMツールで、「顧客管理」「マーケティング」「営業活動」に活用できます。
「Kairos3」を活用することで、営業プロセスの見える化ができます。稼働案件数や営業活動の進捗、各営業担当者の行動数を可視化し、営業活動における生産性を向上をサポートします。
「Kairos3」のようなツールを活用して効率よく営業のプロセスを管理してみてはいかがでしょうか。
まとめ
プロセス管理とは、業務における一連のプロセスを適切に管理することです。プロセス管理によってプロジェクトの進捗を詳細に知ることができ、さらにはプロセス内の業務を仕組み化・統一化していくことで業務標準化も図れます。つまり、プロセス管理が適切に行われれば、結果的には安定した成果が期待できるのです。
繰り返しになりますが、プロセス管理自体はプロジェクトの目的を達成するまでの手段でしかありません。プロセス管理を重視しすぎるあまりそこにリソースを割き過ぎると、プロジェクトにおける他業務のリソースが不足して目的達成が遠のく可能性もあります。
そのため、プロセス管理の負荷が高い大規模なプロジェクトを取り扱うような場合には、「Kairos3」のようなツールを活用し、負担を最小限にして管理していくことが重要です。このようなツールに興味がある方は、ぜひ一度、製品資料をダウンロードして詳細を確認してみてください。
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