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売上分析とは?データ分析のフレームワーク・手法を初心者向けに解説

売上分析とは、単にデータを集計して分析することではありません。分析した結果を有効活用し、売上改善の施策や新たなマーケティング戦略に役立ててこそ意味があるものです。

今回は、売上分析とはどのように行うのか、目的や基本的な進め方、代表的なフレームワークなどについて解説します。売上分析で活用できるツールもあわせてご紹介しますので、売上分析の手法で悩んでいる方はぜひ参考にしてください。

売上分析とは

売上分析とは、販売実績や収益などのデータを細分化して行う分析の総称です。以下のような指標で細分化します。

細分化の指標例

  • 商品別
  • チャネル別
  • 月別
  • 顧客別
  • 営業所別
  • 担当者別
  • 商材別
  • 部門別

たとえば、月間売上データを営業所ごと・担当者ごとに集計し、前年同月のデータと比較、分析してみます。この際の目的は、「売上が変動した理由を推察し、そこから今後の対策を考えること」です。売上分析ができて初めて、現実的な売上目標を設定できるようになります。

売上分析を行う目的とメリット

売上分析の目的は、大きく言えば売上の拡大です。他にも、以下のメリットがあります。

  • 収益性が高い商品の把握
  • 市場動向(市場ニーズ)の把握
  • 販促活動の効果の把握
  • 適切な売上目標や予算の設定
  • 営業担当のモチベーション向上

収益性が高い商品の把握

売上分析を行うことで、収益性の高い商品がわかります。自社の商品がすべて同じように売れることはありません。より収益性の高い商品がわかれば、それを購入する顧客情報も同時に把握できます。

収益性が高い商品を把握できれば、適切な在庫管理や、マーケティング施策で重点的に売り出す商品の選別などにも役立ち、さらなる収益性の向上につながります。

市場動向(市場ニーズ)の把握

どんなによい商品でも、市場のニーズに合致していなければ売上にはつながりません。市場のニーズは顧客の属性や季節、社会情勢などさまざまな要因で変化します。

売上分析を細かく行えば市場の動向を把握でき、市場のニーズに基づいた適切なマーケティング施策を立てられます。市場の動向がわかれば、商品開発や戦略立案にも役立つでしょう。

販促活動の効果の把握

商品をお客さまに送り届けるためには、売上につながるような販促活動が必要です。広告費をかければ売上が上がるわけではありません。

SNSやダイレクトメールなど、商品を知ってもらう方法は複数存在します。自社商品のターゲットにとって最も効果的な販促方法を知るためにも、販促活動の分析と効果の把握は重要です。

売上分析によって、効果的な販促活動を把握できれば、無駄な経費をかけることなく効果的な集客ができるはずです。

適切な売上目標や予算の設定

売上目標は、高ければよいというものではありません。高すぎる目標は達成できないばかりか、営業担当のモチベーション低下にもつながります。

「何を、誰に、どのように」売れば売上の拡大につながるのか、売上分析によって収益性の高い商品や市場の動向を知り、効果的な販促活動がわかれば、根拠のある適切な売上目標を立てられます。

営業担当のモチベーション向上

売上分析によって適切な販促活動を行えば、顧客の反応が良くなることも見込めます。営業担当が見当違いな売り込みをするリスクが減り、営業活動が最適化して売上もアップするでしょう。また、営業担当一人ひとりについて、分析に基づいた適切な目標設定ができるようになります。

上記のメリットから、営業担当者のモチベーション向上が見込めます。

売上分析の基本的な進め方

売り上げ分析は、以下の手順で進めていきます。

  1. 自社の目的を明確化する
  2. 分析に使う売上データを収集する
  3. 売上データを可視化して分析する

1:売上分析の目的を明確化する

最初に、売上分析の目的を明確にします。売上分析には膨大なデータや情報が必要となるうえに、時間もかかります。効率的に分析を行うためにも、目的を明確にすることは必要です。

分析方法を特定するためにも、目的は具体的に設定しましょう。以下に具体例を挙げました。

  • 営業担当者ごとの得意・不得意な商品を把握したい
  • 現在のマーケティング施策の効果を知りたい
  • 売上が減少している商品について、新たなマーケティング戦略を立てたい
  • 市場の動向を把握し、新たな経営戦略に役立てたい
  • 新たな販売経路を開拓したい

2:売上分析に使うデータを収集する

目的を決めたら、売上分析に使うデータを収集します。

  • 売上金額、購入日、購入数
  • 顧客単価
  • 営業担当者名
  • 人件費
  • 経費(原材料費、輸送費など)
  • 競合他社のデータ
  • 顧客からのフィードバック

会社内部だけでなく、外部の情報も集めていくと、より多角的な分析ができます。

3:売上データを可視化して分析する

売り上げ分析しやすいように、データを加工します。データ加工を簡単に行えるツールには、ExcelやGoogleスプレッドシートなどがあります。グラフや図表を使用し、分析結果をわかりやすくまとめましょう。

より細かく専門的な分析が必要な際はSFACRM、BIツールなどのサービスを利用することもおすすめです。

売上分析に用いるフレームワークの種類

データが揃ったら分析を行います。ここでは、売上分析に用いるフレームワークをご紹介します。

  • ABC分析
  • 要素分解分析
  • アソシエーション分析
  • 重回帰分析
  • クロス集計分析
  • デシル分析
  • RFM分析

ABC分析

ABC分析とは、売上の高い順にデータを並べ、その売上比率をもとにABCとランク付けをしていく分析方法です。「重点分析」とも呼ばれます。「売上の8割は全体に対する2割の要素が生み出している」という「パレートの法則」がベースとなっている分析方法です。

商品を売上の高い順にランク付けし、以下の3つのグループに分けます。すると、売上に貢献している「2割」がわかります。

  • A群:累計売上金額の割合が70%以下(売上比率が低く貢献度が高い)
  • B群:累計売上金額の割合が71~90%
  • C群:累計売上金額の割合が91~100%(売上比率が高く貢献度が低い)

これらのデータをパレート図にすると、分析結果を比較できます。パレート図とは、売上金額の高いものから並べた棒グラフと、累積構成比を示す折れ線グラフを用いた複合グラフのことです。

このようにわけてみると、全体に対する比率は高くても、売上に対する貢献度が低い商材がわかるため、商材の入れ替えなどの判断がしやすくなります。また、商品の分析だけでなく、営業所別、地域別、顧客別などの分析も可能です。

ABC分析で注意すべき点は、一定期間のみ売れる季節商品などの存在を考慮することです。たとえば、テレビやSNSで取り上げられたことにより一時的に売上が急増する商品や、季節限定の商品は、その期間が過ぎれば売上が低下する可能性があります。

季節商品は、全期間の分析では下位のランクでも、売上がアップする時期にはAグループに属することもあります。在庫がなくならないように注意しつつも、過剰な仕入れにならないよう気をつけましょう。

要素分解分析

要素分解分析とは、売上の要素を細くわけることによって、売上の増減の要因がどこにあるかを分析する方法です。「因数分解分析」と呼ばれることもあります。

たとえば、売上は「購入件数×購入単価」に分解できます。他にも、売上を構成する要素は、顧客単価、購入頻度、リピーター数などがあります。

売上の増減の原因が、単価が低いからなのか、それとも販売数が減ったのかといったかたちで売上の要素を細分化し、それらの数値を分析していくことで、売上の増減の要因を特定できます。

ただし、数字を細分化しただけでは課題が見えてきません。比較する指標があってこそ分析ができます。「対前月比」や「対前年比」など、かならず比較する数値を用いて分析を行いましょう。

アソシエーション分析

アソシエーション分析とは、購買データや会員データなどから、商品同士の関連性を見いだすための分析方法です。「商品Aを購入した人は商品Bも一緒に購入する」という仮説を立て、深掘りしていきます。

以下はアソシエーション分析の3つの指標です。

  1. 支持度:商品Aと商品Bが一緒に購入される割合
  2. 信頼度:商品Aを購入したすべての人のなかで、商品AとBを同時に購入した人の割合
  3. リフト値:商品Aと商品Bを購入した顧客数が、商品Bのみ購入した顧客の割合と比較してどれだけ多いか

リフト値が大きいほど、商品Aと商品Bの同時購入の割合は高くなります。

有名なアソシエーション分析として、「おむつとビール」の分析結果があります。時間帯、顧客の性別や年齢などのデータから立てた仮説によって、「妻におむつを買ってくるように頼まれた夫が、仕事帰りにスーパーでおむつを購入するついでにビールも購入している」という関連性がわかったものです。

このように、顧客の購買行動に関する仮説を立てて分析することで、店舗の改善に役立てられるほか、アップセルやクロスセルのマーケティングにも有効です。

アソシエーション分析は仮説に基づいているので、かならずしも欲しいデータが導き出せるとは限りません。思ったようなデータが出てこないこともあるでしょう。そのため、課題を明確にした上で、「なぜそのような結果が出たのか」を考えて検証を繰り返すことが大切です。

重回帰分析

重回帰分析とは、ある成果(目的変数)に対する複数の要素(説明変数)を設定し、どの要素がどのくらい影響しているのかを分析する方法です。要素が1つのものは単回帰分析といいます。

たとえば、「売上の減少」について分析するなら、売上増加が目的変数となります。この場合の説明変数は、顧客単価、販売数、販売チャネルなどです。この説明変数のうち、目的変数に対して影響を及ぼしているものを分析し、成果に対して大きく影響を与えている重要な変数を特定します。

重要な変数がわかれば、改善すべき順序や戦略の見通しが立てられます。

また、目的変数を「今後の売上」とすれば、説明変数を変えることによって将来の予測を立てることも可能です。

なお、できるだけ正確な分析結果に結びつけるためには、説明変数が多すぎても少なすぎてもいけません。迷ったら、いくつかパターンを作って分析してみるとよいでしょう。

クロス集計分析

クロス集計分析とは、大量にあるデータのうち、2〜3つの項目に絞って集計・分析を行う方法です。アンケートなどでよく使われています。分析の結果がわかりやすく、売上分析初心者でも取り入れやすい分析方法です。

たとえば「商品Aを知っていますか?」という質問に対する回答者を年齢・性別ごとに集計したとします。すると、「30代女性の認知度が60%と最も高い」という結果がわかります。

分析結果がわかりやすい反面、深い分析が難しい点には注意が必要です。くわしい分析をしようとして項目を増やしすぎると、集計表の作成が複雑になり、結果的にわかりにくいデータになってしまいます。集計の手間がかからないのがクロス集計のメリットです。シンプルな調査計画を立てましょう。

デシル分析

デシル分析とは、売上データを顧客の購入金額の高い順に並べて、それを10等分し、グループごとに分析をする方法です。それぞれのグループについて、購入金額比率、累計購入金額比率、1人当たりの購入金額などがわかります。これにより、どのグループに重点的にアプローチをすればよいのかがわかります。

グループのランクごとに違ったマーケティング施策を行うこともできるので、それぞれのグループごとに異なる特典を配布したり、内容の違うメールマガジンを発行したりするなど、よりきめ細かい販促活動が可能です。

デシル分析では、指標が購入金額という1点についてのみであることから、初心者でも分析しやすいというメリットがあります。ただし、購入金額に着目すると、高額商品を購入してはくれたものの、1回しか購入していない顧客も混ざってくるため、長期的な戦略の見通しを立てるのにはやや不向きです。

RFM分析

RMF分析とは、「最終購入日(Recency)」「購入頻度(Frequency)」「購入金額(Monetary)」の指標をもとに顧客をグループ分けする方法です。購買履歴を使えばよいため、詳細な個人データなどが不要で、手元にある情報が少なくてもすぐに分析ができます。

それぞれのデータから、どのような顧客なのかを推測してアプローチ方法を考えます。たとえば、3つの指標がすべて高いスコアを示す顧客は優良顧客のため、引き続き積極的にアプローチしていく必要があるといったことがわかります。

一方で、「M」と「F」が高くても「R」が低い顧客は、自社から離反してしまっている可能性があります。必要に応じて値下げキャンペーンを行うなど、顧客層に対してより効果的なアプローチ方法を考えられるようになります。

ただし、RMF分析は、計測するタイミングによって結果が変わるため、年に1回など購入頻度の低い商品の分析にはあまり向いていません。より正確な売上分析をしたい場合は、分析項目を増やすか、他の分析方法と併用するとよいでしょう。

売上分析に活用できるツール

データを集計して分析するためには、ツールが必要です。ここでは、売上分析に活用できる代表的なツールをご紹介します。

  • Excel
  • SFA・CRM

Excel

Microsoft社が提供する表計算ソフトのExcelは、多くの企業で取り入れられていることもあり、馴染みのある人も多いでしょう。

グラフの作成も簡単で、扱いやすいというメリットがあります。「ピボットテーブル」を使えば、元のデータ表から特定の項目だけを集計して整理したり、関数を使えば複雑な集計をしたりすることも可能です。ただし、複数のメンバーで同時編集することは難しく、手動での集計が多いことから、大量のデータを使った分析にはやや不向きです。

SFA・CRM

SFA(営業支援システム/セールス・フォース・オートメーション)やCRM(顧客管理システム/カスタマー・リレーションシップ・マネジメント)も、売上分析に便利なツールです。顧客情報や購入履歴など細かい情報を蓄積できるため、より細かく多角的な分析が可能となります。

SFAは、営業部門の情報を一元管理して業務プロセスを自動化することによって、営業活動をデータ化できます。進捗状況や顧客との関わりを可視化し、課題の洗い出しや売上予測などに役立てられます。

CRMは、年齢や業種、居住地など顧客に関わる情報を一元管理することで、よりよいマーケティング施策の立案や的確なアプローチが行えます。

売上分析には「Kairos3 Sales」がおすすめ

Kairos3 Sales」は、営業活動を可視化できるツールです。日々の営業活動を記録するとともに、顧客情報なども蓄積されていくため、精度の高い売上予測が可能です。また、営業担当のタスク管理をデジタル化することによって案件の分析が可能となり、営業活動の改善にも役立つでしょう。

各営業担当が持っている商談の進捗状況や顧客からのフィードバックなどの情報を「Kairos3 Sales」を使って共有することにより、営業担当がよりよい方法を自分の営業活動に取り入れられます。

顧客管理、日報管理などの基本的な機能のほか、必要に応じてSansanなどの外部ツールとの連携も可能です。

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