売上管理とは、文字通り、企業の商品やサービスが生み出した売上を把握して管理することです。現状の売上を把握して目標までの進捗度合いをチェックすることで、具体的な改善項目を洗い出し、施策や経営戦略の方向性を正しく設計できます。さらに、SFA(営業支援ツール)などのツールを利用すれば、効率的な売上管理を実施できるでしょう。
本記事では、売上管理の概要や目的、具体的な実施方法、管理を成功させるポイントなどについて解説します。
この記事のもくじ
売上管理とは
売上管理とは、企業の商品やサービスが「いつ、どれくらい売れたか」を把握して管理することです。「年次・半期・四半期・月次・週次・日次」といった区切りで売上を集計し、目標達成度合いや進捗率を導き出します。
他にも、以下のようなカテゴリーに分けることもあります。
- チーム別の売上
- 部門および部署別の売上
- 販売地域別の売上
- 時期別の売上
- 支社別の売上
- 商材別の売上
- 担当者別の売上
- 取引顧客別の売上
- 販売期間別の売上
上記のように、幅広い視点から売上を分析して現状を正しく把握することで、「進捗率が低い原因」「実績を高めるためにやるべきこと」などを判断できます。
売上管理の目的
売上管理の主な目的は、以下の3つです。
- 正確な売上把握と中間目標の評価
- 経営判断の迅速化
- 売上向上施策の効果測定
上記の3つは連動しているため、単体ではなく関連付けてチェックしましょう。
正確な売上把握と中間目標の評価
売上管理によって把握できる内容は、主に以下の2つです。
- チーム別や部門別、販売地域別など幅広い視点から見た「現状の売上」
- 売上の最終目標達成に必要な「中間目標」の進捗率
現状の売上を把握して最終目標との差が明らかになれば、「具体的にどこの売上が、どれくらい足りないのか」を洗い出せます。足りない売上分を把握することで、「中間目標の達成率は順調か」「そもそも適切な中間目標を設定できているか」などを評価し、施策を調整しながら最終的な目標達成を目指せるでしょう。
経営判断の迅速化
売上の最終目標までの道筋を明確化し、「どんな施策を設計して、どの部分を改善するか」を洗い出すことで、以下のような経営判断を迅速に行うことができます。
- 地域ごとで売上金額に差が出ている→地域ごとの顧客属性を見直し、あらためてターゲットに沿った施策を設計する
- 特定の時期に販売個数が著しく増えている→該当の時期は今以上に広告費を投下してアピールの機会を増やす
- チーム別で売上金額に大きな差がある→成果が出ているチームのノウハウを共有する
業界にもよりますが、市場の状況は日々変動します。時期やトレンドによって売上が大きく左右されることもあるでしょう。そうした状況下において、「現状に合わせて迅速に経営判断を決定できる」ことは大きな強みです。
売上向上施策の効果測定
経営判断をもとに実行した売上向上施策は、最初から狙い通りの成果を出せるとは限りません。想定とのずれを修正するために、売上向上施策の成果を数値をもとに分析しましょう。施策の成果を数値で効果測定することで、「何が想定と違ったのか」「何を改善すれば売上目標に近付くのか」などを正しく判断できます。
売上管理で確認する項目
売上管理で確認する項目には、主に以下が挙げられます。
- 売上高
- 売上目標・達成率
- 売上の前月比・前年比
- 原価
売上高
「売上高」とは、サービスや商品を販売して実際に自社が得た売上額のことです。支払ったコストや経費は含めません。主に以下の項目を管理します。
- 何が売れたか
- どのくらい売れたか
- いつ売れたか
- 誰に売れたか
- いつ納品したか
売上高は、売上管理における基本データです。上記を把握し、「売上高全体に対する達成率」「前月と比較した際の成長度合い」などを分析することで、状況に応じた施策を設計する際に役立ちます。
売上目標・達成率
売上目標とは、自社が最終的に得たい売上金額のことです。「年次・半期・四半期・月次・週次・日次」など、一定期間ごとに目標を設定します。
売上目標は、過去の実績を参照して「現状よりやや高め」で設定するのが一般的です。高すぎる数値では従業員のモチベーションを下げてしまいます。現状維持、あるいは低めの目標を設定すると、企業の成長につながりません。競合他社の状況や市場規模などを考慮して目標を設定することもあります。
達成率とは、上記の売上目標に対して「どのくらい達成できているか」を数値化したものです。「達成率◯◯%」というように数値化します。達成率をチェックして最終目標までの距離を客観的に把握することで、以下のように幅広い角度から「これから起こすべきアクション」を判断できます。
- 進捗が芳しくない原因を突き止めて施策を変更する
- 進捗が順調な理由を解明して売上目標を上方修正する
- 売上目標自体が無謀なのであれば、そもそものゴールを見直す
売上の前月比・前年比
売上の前月比・前年比とは、現時点での売上を前月あるいは前年と比較したものです。たとえば、売上が前年より30%伸びた場合は「前年比130%」と表記します。それぞれ以下の計算式で算出できます。
- 前月比:(今月の売上÷前月の売上)×100
- 前年比:(今年の売上÷前年の売上)×100
過去の売上と比較することで、「前年より売上が大幅に伸びているから、現在の施策は有効」「前月より売上が激減しているため、早急な改善が必要」というように適切な判断ができます。
原価
原価とは、商品・サービスの製造や仕入れ、販売などにかかったコストのことです。大きく以下の2種類に分かれます。
- 製造原価:商品・サービスの製造に直接関わる原価のこと。人件費や原材料費、光熱費、工場の賃料、設備の減価償却費などが該当する。
- 売上原価:実際に販売できた商品・サービスの製造に関わる原価のこと。購入されていない商品やサービスの原価は含まない。該当する原価の種類は、業種ごとで異なる。
売上から原価を差し引いて粗利を求め、経営状況を大まかに把握することで、状況に応じた適切な判断を下せます。たとえば、売上の伸びを上回る勢いで原価が膨らんでいれば、利益自体は減少するため「原価を抑えるために光熱費を見直そう」などと考えられるでしょう。
売上管理の主な方法
売上管理を行う方法としては、主に以下の3種類が挙げられます。
それぞれの方法にメリット・デメリットがあるため、自社のリソースや既存の体制などに合った方法を選ぶことが大切です。
エクセルの利用
エクセルの場合は、項目をシートに記入するだけで、手軽に売上管理ができます。以下のような管理項目から、自社に必要な内容を選びましょう。
- 取引番号
- 購入された日付
- 顧客名
- 商品名
- 単価
- 購入された個数
- 原価
- 販売部門
- 商品カテゴリー
主なメリット・デメリットは以下の通りです。
エクセルを使い慣れている企業なら、操作のレクチャーは不要です。導入費用もほとんど発生しません。管理項目やグラフなどは柔軟にカスタマイズできるため、自社の理想に近い形で運用できる点が魅力です。
一方で、カスタマイズを行うには関数やマクロなどの専門知識が必要です。数値を記入するだけなら使い勝手はよいですが、売上管理シートを作る側の負担は大きいでしょう。また、入力やデータチェックは手作業になり、大量のデータが入っている場合は処理速度が低下するため、業務が非効率化する可能性もあります。
上記を踏まえると、以下のような企業であれば「エクセルでの売上管理」がおすすめです。
- 管理する情報量がそこまで多くない小規模な企業
- 社内にエクセルの専門知識を持った従業員が在籍している企業
- 導入コストを抑えて売上管理を開始したい企業
- パスワードなどのセキュリティ対策をしてエクセルを利用できる企業
会計ソフトの利用
会計ソフトであれば、日々記入される売上情報をもとに、以下のような作業を手軽に実行できます。
- 金額の集計
- 過去実績との比較
- 売上推移のグラフ化
- 各種レポートの出力
主なメリット・デメリットは以下の通りです。
会計ソフトでは、入力データをもとに実績のグラフ化やレポート出力などを行えるため、業務を効率化できます。もちろん、リアルタイムでの情報共有も可能です。
また、会計ソフトの種類にもよりますが、法改正によるアップデートなども任せられるため、売上管理に割く時間を軽減してコア業務にリソースを投下できるでしょう。POSレジや経費精算システムなどの外部ツールと連携できる会計ソフトを利用すれば、より幅広い業務を効率化できます。
一方で、エクセルなどアナログな手法で売上を管理していた企業では、最新のツールの操作に慣れるまで時間がかかるかもしれません。便利な機能を使える分、エクセルより多額のコストがかかる点にも注意が必要です。
上記を踏まえると、以下のような企業であれば「会計ソフトでの売上管理」がおすすめです。
- 入力や計算などの手間を省き、売上管理作業を効率化したい企業
- 自社の既存システムと連携させて、さらに業務を効率化したい企業
- 大量の売上情報を安全に管理したい企業
- ツールの利用定着に向けた社内体制を整えられる企業
SFA・CRMの利用
SFAは、案件情報や営業スケジュール、商談内容など、営業活動に関するデータを見える化して管理できるツールです。CRMは、管理している顧客情報をもとに適切なフォローを提供し、顧客と良好な関係を構築するためのツールです。
いずれも顧客情報を管理して、マーケティング施策などに活用できるツールです。顧客情報のなかには売上データも含まれるため、売上管理にも応用できます。
主なメリット・デメリットは以下の通りです。
SFAやCRMには、「売上予測機能」「受注・失注原因の分析機能」など多彩な機能が搭載されています。エクセルや会計ソフトよりも幅広い角度からデータをチェックできるため、売上管理の精度を高められるでしょう。
分析をもとにした施策の設計や効果測定が可能な点も魅力です。ツールによっては「伴走型の個別サポート」「ユーザー限定セミナー」「ユーザー同士の情報交換コミュニティ」といった手厚いサポートも受けられます。
こうした手厚い機能やサポートを活用できる一方で、気になるのはコスト面です。また、機能が豊富であるがゆえに、操作に慣れるまで時間がかかるかもしれません。
上記を踏まえると、以下のような企業であれば「SFA・CRMでの売上管理」がおすすめです。
- 管理した売上情報を「今後の予測を立てる」「フォロー方法を設計する」など幅広い施策に活かしたい企業
- 手厚いサポートを受けながら売上管理を実施したい企業
- コストを投下して精度の高い売上管理を実施し、長期的な自社の成長を促したい企業
各ツールの詳細は、以下の記事もご参考ください。
売上管理を確実に行うポイント
売上管理をスムーズかつ確実に行うポイントは以下です。
- 売上管理表のテンプレートを作る
- データ入力のルールを徹底する
- 売上管理表を定期的に見直す
- 作業をできる限り自動化する
売上管理表のテンプレートを作る
まずは売上管理表のテンプレートを作成し、チェック項目をまとめましょう。最初にテンプレートを決めておけば、以下のような形で業務に活かせます。
- データ入力や集計時の抜け漏れを防げる
- 部門やチームが分かれていても売上管理のチェック項目を統一できる
- 担当者が変わった際にスムーズに引き継げる
テンプレートに沿って売上データを正確に蓄積して社内で共有できれば、今後の施策や経営の方向性などを決める際に役立つでしょう。なお、テンプレートに用いる項目は、最初に解説した項目を活用するのがおすすめです。
- チーム別の売上
- 部門および部署別の売上
- 販売地域別の売上
- 時期別の売上
- 支社別の売上
- 商材別の売上
- 担当者別の売上
- 取引顧客別の売上
- 販売期間別の売上
データ入力のルールを徹底する
データ入力については、以下に関するルールを設けて周知しましょう。
- 具体的な管理項目
- 売上を計上するタイミング
- 金額の記載方法
- 商品名や顧客名の記載方法
- ファイルの命名規則
- 備考欄に書く内容
上記のようなルールを徹底しておかないと、「全角と半角が混ざる」「取引先名に略称と通称が混ざる」「支社ごとで管理項目が違う」などの事象が発生し、せっかくのデータを有効活用できません。必要なデータを必要なタイミングで抽出して、分析や戦略設計に活かせるよう、入力ルールを徹底することが重要です。
売上管理表を定期的に見直す
売上管理表は定期的に見直しましょう。売上を適宜チェックし、「前月より売上が大きく落ちた商品はないか」「目標達成率が良好な部署はどこか」などを把握することで、状況に応じた施策をスピーディーに実行できます。毎週のミーティングで売上管理表を全員でチェックし、改善箇所や今後の方針をディスカッションするとよいでしょう。
作業をできる限り自動化する
売上データの手動入力では、集計ミスや記入漏れなどが発生しがちです。数値を間違えると、施策や経営判断の方向性そのものに影響を与えます。とくにデータ量が膨大になると、ミスの発生率が高まるうえ、作業者の手間が増えて他の業務に支障をきたすかもしれません。
スピーディーかつ正確にデータを管理するには、以下のような作業を可能な限り自動化しましょう。
- データ入力
- 売上の集計
- データ分析
- レポートの作成
SFAやCRMなどのツールであれば上記のような作業を自動化できるため、ツール利用を検討してもよいでしょう。
売上管理にKairos 3 Salesがおすすめな理由
売上管理を行う際は、エクセルや会計ソフト、SFA・CRMなどのツールを利用できます。それぞれメリット・デメリットがあるため、自社の規模やリソース、コストなどを踏まえ、最適な方法を検討することが大切です。
もし「売上管理の精度を高めたい」「売上予測も行いたい」といった理由でSFA導入を考えているのであれば、ぜひ弊社が提供する「Kairos 3 Sales」もご検討ください。「Kairos 3 Sales」は、営業活動を見える化できるツールです。営業活動に関わる売上金額を把握して今後の売上予測も立てられるため、現状だけでなく将来の数値も含めて効果的に管理できます。
受注・失注分析にも対応しており、受注や失注の要因を洗い出して次の施策に活かすことで、さらなる売上アップを実現できるでしょう。12ヶ月という長期にわたる個別サポートも実施しているため、「SFAを使いこなせるか不安」という企業でも安心です。
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