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実用的な営業マニュアルの作り方と、作って終わりにしない運用方法

当社は業務のマニュアル化が盛んです。営業組織では、問合せの対応から受注、失注時の対応に至るまで、すべての業務プロセスがマニュアル化されています。

営業に限らず、私たちマケフリ編集部も「マニュアル化すべき」と判断した業務をすぐにマニュアル化しますし、別チームが作成したマニュアルにも、「社内の誰もがいつでもアクセスできる」状態になっています。

私たちがマニュアル化を大切にする理由は、マニュアル化によって業務の再現性を担保したり、業務を標準化(テンプレ化)したりするためです。

この記事では、このような「マニュアル化を大切にする文化」を持つ私たちが、「実用的」な営業マニュアルを「かんたんに」作る方法をご紹介します。

営業マニュアルを作成する3つのメリット

営業マニュアル作成のメリットは、ある業務を「誰でも」「すぐに」「同じように」実行できるようになることです。

マニュアルがあれば、誰かが休んでも業務は止まりません。マニュアルがあれば、「ちょっといいですか?」と先輩に話しかけるタイミングを窺わなくても営業業務を遂行できます。マニュアルがあれば、業務のクオリティを平準化でき、ミスも減るでしょう。

もしも営業チームに、

  • 誰かがいないと回らない業務がある
  • わからないことを質問するためのコミュニケーションコストが大きい
  • 営業担当者ごとに業務の質にばらつきがある

などの課題があれば、営業マニュアルの作成は解決手段の1つとなります。

使ってもらえる営業マニュアルの3つの条件

「せっかく営業マニュアルを作ったのに誰にも使ってもらえなかった」

これは営業マニュアルに限らず、あらゆるマニュアルに共通するお悩みです。

「使ってもらえる」営業マニュアルには3つの条件があります。「取り出しやすい」「更新しやすい」「わかりやすい」の3つです。

取り出しやすい

取り出しやすさとは「必要なときにすぐに利用できる」ことを意味します。

たとえば、「過去に社内メールでマニュアルを送ったのみで、マニュアルにアクセスするにはメールボックスを辿るしかない」などの状況は、取り出しにくい状況です。このような営業マニュアルは、いずれ使われなくなるでしょう。

マニュアルを取り出しやすくするには、「保管場所の統一」「命名規則の統一」「導線の整備」の3つが必要です。

更新しやすい

営業マニュアルを作ると、内容を最新に保つための「マニュアル更新業務」が発生します。

  • どれが最新版なのかわからない
  • 誰が編集してこうなったのかわからない
  • 内容が古くなってしまい業務に使えない

これらの状態を避けるためにも、マニュアルの更新は欠かせません。

もっともお手軽な解決策は、Googleドキュメントなどの「クラウド上で誰でも編集ができ」「変更履歴を後で見返せる」サービスでマニュアルを作成することです。

加えて、「そもそも内容変更が頻繁に発生する業務はマニュアル化を避ける」ことも大切です。

「マニュアル化すべき営業業務の優先順位」の章で後述しますが、頻繁に業務内容が変わる領域をマニュアル化すると、更新の手間ばかりがかかります。マニュアルの恩恵よりもメンテナンスコストが大きくなってしまっては本末転倒です。

わかりやすい

営業マニュアルそのものがわかりやすいことも大切です。

読み手が「わかりやすい」と感じる営業マニュアルは以下3つを満たしています。

ありがちな落とし穴は、「しっかり書かなきゃ」という気持ちが先行し、文字数が膨大になってしまうことです。マニュアルを読みたくて読む人間はいません。必要な情報を網羅した上で、必要最小限の文字数で書きましょう。

文章に不安があるなら
マケフリ記事「例文で学ぶ わかりやすい文章の書き方 16のルール」では、わかりやすい文章の書き方を徹底的に解説しています。あわせてごらんください。

営業マニュアルの作り方:準備編

この章では、営業マニュアルを作り始める「前に」決めておきたいことをご紹介します。

目的・範囲・想定利用者を決める

まずは営業マニュアルの「目的」「範囲」「想定利用者」を明確にしましょう。

目的とはたとえば「担当者が急遽休んでも別メンバーが〇〇の業務をできるようにする」などです。

目的が定まれば、「1つのマニュアルでカバーすべき範囲」も明らかになります。マニュアル化する必要のない領域までマニュアル化するのは、作り手にとっても読み手にとっても時間の浪費です。みなさんが営業メンバーの誰かにマニュアル作成を依頼する立場なら特に、「どこからどこまでをマニュアル化すべきか」を明確に伝えておきましょう。

最後に、営業マニュアルの「想定利用者」を定めます。誰が利用するかによって、マニュアルに記載する内容や表現が変わるからです。

たとえば新人の営業担当者が想定利用者なら、社内用語や専門用語の使用は控えるべきです。既存の営業メンバーが「これは書かなくてもわかるだろう」と感じる「暗黙の了解」部分も漏らさず記載する必要があります。

フォーマットを決める

マニュアルのフォーマットに決まりはありません。動画のマニュアル、パワポのマニュアル、紙に印刷するマニュアル、どれでもOKです。目的や内容、想定利用者を鑑みて、「取り出しやすさ」「更新しやすさ」「わかりやすさ」の観点からフォーマットを決定します。

しかし、特別な理由がなければ、Googleドキュメントなどの「文章中心かつクラウド保存できるフォーマット」での作成をおすすめします。「取り出しやすさ」「更新しやすさ」「理解しやすさ」に加えて「作りやすさ」も随一だからです。

保管場所を決める

営業マニュアル作成準備の最後は、保管場所の用意です。

  • 社内利用しているクラウドストレージサービス(Google Drive、Dropbox、OneDrive、BOXなど)にマニュアル用のフォルダを作成する
  • 社内ポータルサイトにマニュアル保管場所を作成する
  • その他のドキュメント共有サービスを利用する

これらの方法が考えられます。力技にはなりますが、「すべてのマニュアルをまとめたドキュメントを作る」のも1つの手段です。

大切なことは、営業マニュアルに関わるメンバー全員が「どこに行けばマニュアルがあるか」を理解し、そこにスムーズに辿り着けることです。

営業マニュアルの作り方:作成編

この章では、抜け漏れのない営業マニュアルの作成方法をご紹介します。

マニュアルを作りながら業務を標準化する

営業マニュアルを作り始めると「そういえばこの業務、自分ではこうやっているけどチームとして決まっているわけではないな」と気づくはずです。

たとえば、みなさんが「カレーの作り方」のマニュアルを作成するとします。

  • これまで男爵芋を使っていたが、メークインの方がよいのではないだろうか?
  • 自分は鶏もも肉を使っていたが、豚バラ肉や牛もも肉を使う人もいるだろうか?
  • 自分は蜂蜜を入れる派だが、これはマニュアル化すべきだろうか?

このような、人によって異なるやり方をチームで標準化するのもマニュアル作成の一部です。

見出し・小見出しレベルで必要な情報を整理する

抜け漏れのない営業マニュアルを作るために、まずは見出し・小見出しレベルで必要な情報を整理します。

マニュアルの見出しが整理できていると、読み手は目次から欲しい情報がどこにあるかを判断できます。スクロール中にも、自分の求める情報がどこにあるかをすぐに発見できます。

再び「カレーの作り方」のマニュアルを例に考えましょう。

カレーの調理工程を大きく分けると、

  1. 材料の調達
  2. 調理
  3. 盛り付け・配膳
  4. 片付け

上記の4つに分類できます。「調理」は手順としてまとめるのが望ましい一方、「材料の調達」「盛り付け」「片付け」において順番は重要ではありません。

このように、見出しと小見出しが整理されているだけで、読み手は「どこに自分の欲しい情報があるか」を速やかに判断できます。

抜け漏れのチェック

見出し・小見出しレベルで必要な項目を整理できたら、この段階で抜け漏れがないか、チームメンバーに確認してもらいましょう。

実は、先ほどの「カレーの作り方」マニュアルの見出しには、重大な抜け漏れがあります。

「カレーを作るのにお米を準備するなんて言われなくてもできるでしょ」と思われるかもしれません。しかし、このマニュアルの読み手がカレーを知らなかったとしたら、お米の準備や研ぎ方まで記載する必要があります。

営業マニュアルでも同じことです。新人の営業パーソンを想定利用者とするマニュアルには、「暗黙の了解」部分も漏れなく記載しましょう。

見出し内の詳細を書く

営業マニュアルの見出しを抜け漏れなく整理できたら、見出し内の詳細を書いていきます。このときは「読み手にストレスがかからない」を意識しましょう。

  1. 社内用語、専門用語には注釈をつける
  2. ボールドやカラー変更を多用しない。色は多くて3色まで。
  3. 単語を列挙するときなどは箇条書きやリスト付き番号を使う
  4. 文章で伝わりにくい場合はスクショや図解で説明する

参考:誰に営業マニュアルの作成を任せる?

営業マニュアルの作成は「業務内容を理解している」「わかりやすい文章を書ける」営業メンバーに依頼することになるでしょう。この選択は間違っていません。

しかし、あえて「ミスが多いメンバー」や「まだ業務を把握していない新人」に任せるのも手です。

ミスが多いメンバーはミスしがちな部分をよく知っています。ミスの経験を元にマニュアルを作成できるため、ミスしやすい部分が伝わりやすいマニュアルができるでしょう。

また、新人教育と並行して、新人にマニュアル作成を任せれば、マニュアル作成が学んだ内容のアウトプットになり、より業務理解が深まります。

ただし、新人やミスが多いメンバーに任せると、マニュアルのクオリティが低下する恐れもあります。このような場合、上司は丁寧にサポートしましょう。

マニュアル化すべき営業マニュアルの優先順位

一言で「営業マニュアル」と言っても、営業の業務内容は各社さまざまです。

「営業マニュアル作成」の優先順位には、さまざまな軸が考えられます。ここでは、参考までに弊社が営業マニュアルを作成する際の2軸をご紹介します。

弊社は、営業マニュアル作成の優先順位を「業務の発生頻度」「内容の変更頻度」の2軸で考えています。

業務の発生頻度が低いことはすなわち、「マニュアルが必要なタイミングが少ない」という意味です。使用頻度が低いマニュアルを、優先して作成する必要はありません。

すぐに業務内容が変わる領域をマニュアル化すると、マニュアルの更新頻度が高くなります。マニュアル更新のコストがかかるばかりか、最悪の場合マニュアルが更新されず、誰も使わない営業マニュアルができあがります。

たとえば当社の場合、営業の業務フローや情報入力のルールを優先的にマニュアル化しています。業務の発生頻度が高く、大幅な変更が起こる頻度が低いためです。以下は弊社の営業マニュアルの一部です。

  • 業務フローに関するマニュアル
    • 新規問い合わせ対応マニュアル(製品資料請求)
    • 新規問い合わせ対応マニュアル(デモ・打ち合わせ依頼)
    • アポイント取得時の業務マニュアル
    • 個別相談会の対応マニュアル
    • 商談準備マニュアル
    • 商談の進め方マニュアル
    • 商談後のフォローマニュアル
    • 見積もり作成マニュアル
    • 受注時の対応マニュアル
    • 失注時の対応マニュアル
  • 顧客情報の入力に関するマニュアル

今回ご紹介した2軸は、あくまで一例です。この2軸の他にも、「ミスが起きたときの影響度」などもマニュアル作成の軸になり得ます。

営業マニュアルを使い続けるために

営業マニュアルは作ることが目的ではありません。営業マニュアルを使い続けるための工夫や運用をまとめました。

営業マニュアルの完成を周知する

マニュアルが完成したら、まずメンバーに周知します。

このとき、単に「完成しました」ではなく、

  • マニュアルの範囲
  • 保管場所
  • 導線
  • 更新する際のルール

などもあわせて伝えましょう。

さらに、関連するメンバーに漏れなく目を通してもらうために、

「かならず一度確認して、修正点や気づいたことがあったら教えてください。確認が済んだら『見ました!』と報告をお願いします」

と依頼するのもよいでしょう。

営業マニュアルの更新担当者を決める

営業の業務内容が変わったタイミングで、マニュアルも変更する必要があります。しかし、営業部門のリーダーがすべてのマニュアルの状態を把握し、業務内容が変わったタイミングでマニュアルの修正箇所に気付くのは難しいでしょう。

そこで、マニュアルごとに更新担当者を決める運用がおすすめです。マニュアル更新担当は、執筆者、もしくはマニュアル内の業務にこれからも携わるメンバーにお願いしましょう。

引き継ぎが発生した際に見直す

仮にマニュアル更新担当を決めたとしても、マニュアルの更新が滞ってしまうことはありえます。

マニュアルの鮮度を保つために、

  • 新人が入るタイミング
  • 部署間のメンバー移動のタイミング

でマニュアルを見直す運用をおすすめします。

たとえば、

  1. 新人が入社するタイミングで、担当がマニュアルを見直し、修正する
  2. 新人には、マニュアルを見て業務を進めるだけでなく「わかりにくかった箇所」「わからなかった箇所」の報告も義務付ける
  3. 新人からの報告を受けて、担当はわかりやすくマニュアルを修正する

という運用です。

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