例文で学ぶ わかりやすい文章の書き方 16のルール

わかりやすい文章は誰にでも書けます。

小説のような魅力的な文章に決まった型はありませんが、わかりやすい文章には型があります。

この記事では、わかりやすい文章を書くための16のルールを、オリジナルの例文つきでご紹介します。16のルールは、マケフリ編集部が普段の相互レビューで指摘したり、指摘されたりするポイント、いわば社内のライティングマニュアルです。

「わかりやすい文章を書きたいが、何に気をつければいいかわからない」
「先輩から文章がわかりにくいと言われるが、何がダメなのかわからない」
「自分の文章がわかりやすいのかどうかすらよくわからない」

そんなみなさまのお悩みを解決する記事です。

無料eBook「誰でも80点以上の文章が書ける ライティングテクニック39選」では、記事では紹介しきれなかったライティングテクニックを大公開しています。修正前と修正後の文章を見くらべやすく、すぐに参考にできるeBookです。わかりやすい文章の書き方を学びたい皆様におすすめです。

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わかりやすい文章の書き方1:情報の削除と具体化

わかりやすい文章には、不要な情報の削除と、抽象的な表現の具体化が欠かせません。不要な情報や抽象的な表現が多い文章は、「長いわりによくわからない文章」になってしまうからです。

わかりやすい文章は、「短く、かつ具体的」です。この章では、

  • 削れる表現
  • 具体化できる表現

を例文つきでご紹介します。

なくても意味が通る語句を削る

  • 〜という
  • 〜のような
  • 〜といった
  • 基本的に
  • 一般的に

などの「なくても意味が通る語句」は削りましょう。

<修正前>
「なくても意味が通る語句を削る」というようなポイントを押さえれば、文章は一般的にわかりやすくなります。

<修正後>
なくても意味が通る語句を削れば、文章がわかりやすくなります。

<修正前>
基本的に私は文章を書くとき、「読者が本当に知りたいことは何か」といったことを重要視します。

<修正後>
私は文章を書くとき、読者が本当に知りたいことを重要視します。

不要な修飾語を削る

修飾語も削除対象です。執筆者の熱がこもった修飾語は、ときに読み手の心を動かしますが、「わかりやすい文章」には不要です。

<修正前>
これは誰が見ても明らかに「素晴らしい」と絶賛するような読みやすい文章だ。

<修正後>
これは読みやすい文章だ。

不要な接続詞を削る

接続詞は読者にロジックの流れを伝える役割を持ちますが、なくても意味が通じるケースもあります。なくても意味が通る接続詞は削りましょう。

<修正前>
接続詞は削っても問題ありません。なぜなら、接続詞がなくても意味が通るからです。

<修正後>
接続詞は削っても問題ありません。接続詞がなくても意味が通るからです。

もちろん、なくてはならない接続詞もある
不要な接続詞はどんどん削りましょう。ただし、必要な接続詞まで削ってしまっては、文章がわかりにくくなります。たとえば、直前の文の「ただし」を削ると、何が言いたいのかわからない文章になってしまいます。

重言の使用を避ける

「頭痛が痛い」などの意味が重複している語句を、重言(じゅうげん、じゅうごん)と呼びます。重言は文章を冗長にするばかりか、読者に稚拙な印象を与えます。重言の使用は避けましょう。

以下の語句は、無意識で使ってしまいがちな重言の例です。

重言

指示語は削る、もしくは具体化する

みなさんは「指示語の示す内容を答えよ」という国語の問題に苦戦した経験がありませんか。指示語は書き手にとって便利ですが、読者にとっては不親切です。不要な指示語は削ったり、具体的な語句に置き換えたりすると、文章がわかりやすくなります。

以下の文章は、指示語を削った例です。

<修正前>
指示語を削る。これは言うのは簡単だが、それを実践するのは難しい。その理由は、書き手は自分の指示語の読みにくさに気づけないからだ。

<修正後>
指示語を削る。言うのは簡単だが、実践するのは難しい。書き手は自分の指示語の読みにくさに気づけないからだ。

以下の文章は、指示語を具体化した例です。

<修正前>
指示語はなるべく具体的な語句に置き換えましょう。書き手は理解しているつもりでも、読者にとってそれは意味が通りにくいからです。

<修正後>
指示語はなるべく具体的な語句に置き換えましょう。書き手は理解しているつもりでも、読者にとって指示語は意味が通りにくいからです。

指示語を使わないと文が冗長になってしまう
指示語を具体化すると文章が冗長になってしまう場合は、指示語を使った方がスマートです。指示語は「冗長さ」と「わかりやすさ」のバランスを加味して使いましょう。私たちの肌感覚だと、指示語は「5000文字の記事の中に2〜3個あるかな」くらいです。

抽象的な表現を具体化する

「あたたかく、風通しのよい職場を作るために、みなさん1人ひとりの小さな協力が必要です。よろしくお願いいたします」

もしもみなさんが上記の指示を出されたとしても、何をすべきかわかりませんよね。「あたたかい職場って?」「風通しのよい職場って?」「小さな協力って?」と、疑問が巡るばかりです。その理由は、指示内容が抽象的だからです。

わかりやすい文章には、抽象的な表現の具体化が欠かせません。

<修正前>
このツールを導入すれば、業務を効率化できます。

<修正後>
このツールを導入すれば、日報を書く30分を顧客対応に使えます。

特に、「よい、悪い」「多い、少ない」などの形容詞は抽象的になりがちです。形容詞は、具体的な数字や実体験、読者がイメージできる場面に言い換えましょう。

<修正前>
抽象的な表現を具体化すれば、よい文章が書けます。

<修正後>
抽象的な表現を具体化すれば、伝えたい内容が伝わる文章を書けます。

<修正前>
この記事は多くの方に読まれた記事です。

<修正後>
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わかりやすい文章の書き方2:文法と文構造

文法、と聞くとつい身構えてしまいますよね。しかし、最低限の文法の知識があるだけで、みなさんの文章はわかりやすくなります。

この章では、わかりやすい文章を書くための文法や文構造のルールをご紹介します。

主語を明示する

日本語は主語を省略できる言語です。しかし、「書き手は省略した主語を理解しているつもりでも、読み手にとって理解しづらい」ことは往々にして起こります。

<修正前>
日本語のテキストでは、省略された主語を脳内で補完しています。脳内で補完せずとも読める文章を意識しましょう。

<修正後>
日本語のテキストでは、読み手は省略された主語を脳内で補完しています。書き手は、読み手が脳内で補完せずとも読める文章を意識しましょう。

特に、前後の文で主語が変わる場合は、変更後の主語を明確に示しましょう。

主語と述語を対応させる

主語と述語、修飾語と被修飾語などの語句の関係を「係り受け」と呼びます。加えて、語句の関係が正しくない文を「係り受けが正しくない文」「ねじれている文」と呼びます。

次の例は、ねじれている文章の例です。

僕の業務用パソコンはMacを使っています。

文章のねじれを解消するには、主語か述語のどちらかを修正します。

  • 僕の業務用パソコンはMacです。
  • 僕は業務用パソコンにMacを使っています。

文章のねじれは、主語と述語を繋げると発見できます。特に、長い文章は文頭の主語と文末の述語がねじれやすいため、「文頭と文末が対応しているか」をチェックしましょう。

  • パソコンは〜〜使っています(NG)
  • パソコンは〜〜です(OK)
  • 僕は〜〜使っています(OK)

読点を正しい位置に打つ

読点の打ち方に厳密なルールはありません。しかし、読点の場所によって文の意味が変わってしまうケースでは、正しい位置に読点を打たないと誤読を招きます。

以下2つの例文を、「血まみれになったのは誰か」を考えながら読んでみてください。

  1. 刑事は、血まみれになりながら逃げた強盗を追いかけた。
  2. 刑事は血まみれになりながら、逃げた強盗を追いかけた。

2つの例文の違いは読点の位置のみです。しかし、「1」の例文では強盗が血まみれになり、「2」の例文では刑事が血まみれになっています。

修飾語は被修飾語の直前に置く

修飾語とは、簡単にいうと「ある語句をくわしく説明する語句」を指す言葉です。反対に、説明「される」語句を被修飾語と呼びます。たとえば、「わかりやすい文章」という句のうち、「わかりやすい」が修飾語、「文章」が被修飾語です。

修飾語は、なるべく被修飾語の直前に置きましょう。特に、長い文の場合、どの語句がどの語句を修飾しているのかが伝わりづらくなります。

  1. 私は研修期間中、毎晩自宅で先輩が作った研修資料を読み返した。
  2. 私は研修期間中、先輩が作った研修資料を毎晩自宅で読み返した。

「1」の例文だと、先輩が毎晩自宅で資料を作成したようにも、私が毎晩自宅で資料を読み返したようにも受け取れます。2つの修飾語「毎晩」と「自宅で」が、被修飾語「読み返した」から遠いためです。

修飾語が2つ以上あるときは長い修飾語を先に書く

1つの語句に2つ以上の修飾語がかかるとき、長い修飾語を先に書いた方がわかりやすい文章になります。

<修正前>
美味しい4歳以上の牛だけを使った赤身ステーキ

<修正後>
4歳以上の牛だけを使った美味しい赤身ステーキ

わかりやすい文章の書き方3:ぱっと見の読みやすさ

わかりやすい文章には、「ぱっと見の読みさすさ」も欠かせません。ぱっと見で「なんだか読みにくそう」と感じた読者は、文章を読み進める前に離脱してしまいます。

この章では、ビジュアルの面から、わかりやすい文章のルールを解説します。

ひらく言葉、閉じる言葉

編集用語で、ある単語をひらがなで表記することを「ひらく」、漢字で表記することを「閉じる」と呼びます。単語をひらくか閉じるかによって、ぱっと見の印象が変わります。漢字でもひらがなでも表記できる単語は、ひらくのか閉じるのか決めましょう。

たとえば、以下の2つの例文では、読み手が抱く印象が異なります。

  • よろしくお願いいたします
  • 宜しくお願い致します

マケフリ編集部は「よろしくお願いいたします」を採用しています。マケフリ編集部におけるひらく言葉と閉じる言葉をまとめましたので、ご参考ください。

ひらく言葉

漢字、ひらがな、カタカナのバランス

漢字ばかり、ひらがなばかり、カタカナばかりの文章は、ぱっと見で読みづらい文章です。漢字・ひらがな・カタカナのバランスをとりましょう。

<修正前>
漢字の連続使用は文章の可読性の阻害要因となります。

<修正後>
漢字ばかり使うと、文章が読みにくくなります。

箇条書きを使いこなす

要素を列挙するときは、箇条書き形式にした方が読みやすい文章になります。

わかりやすい文章のポイントは、情報の削除と具体化、文法や文構造、ぱっと見の読みやすさ、文章全体の構成の4つです。

上記の文章を箇条書きにしてみましょう。

わかりやすい文章のポイントは、以下の4つです。

  1. 情報の削除と具体化
  2. 文法や文構造
  3. ぱっと見の読みやすさ
  4. 文章全体の構成

わかりやすい文章の書き方4:文章の構成

構成によって、文章はわかりやすくなります。この章では、文章の構成のルールをご紹介します。

結論を先に述べる

結論を先に述べましょう。

私たちは普段ものを考えるとき、「AだからB」と理由が先行します。しかし、書く順番は逆です。読み手にとってわかりやすい文章は結論ファーストの文章です。

<修正前>
私たちは普段ものを考えるとき、「AだからB」と理由が先行します。しかし、書く順番は逆です。読み手にとってわかりやすい文章は結論ファーストの文章です。結論を先に述べましょう。

<修正後>
結論を先に述べましょう。私たちは普段ものを考えるとき、「AだからB」と理由が先行します。しかし、書く順番は逆です。読み手にとってわかりやすい文章は結論ファーストの文章です。

結論ファーストを身に着ける
結論を先に述べる文章構成を「PREP法」と呼びます。「PREP法とは?相手に伝わる「わかりやすい」説明の構成」では、例文を交えてPREP法を解説しています。あわせてごらんください。

全体像を先に示す

これから書く文章の全体像を先に示しましょう。全体像を提示せずに、枝葉の部分から説明を始めると、読者は「これってなんの話?」と感じます。

<修正前>
私は先週末、Netflixでアニメを観ました。観たアニメは『呪術廻戦』です。Netflixの利点は、動画のオープニングやエンディングをスキップできる点です。余計な操作なしで、すぐに次のコンテンツを視聴できるため、1クール分のアニメやドラマを一気に観たい場合におすすめです。Netflixだけでなく、Amazon Prime Videoで映像作品を観ることもあります。Amazon Prime Videoの利点は〜。

<修正後>
おすすめの動画配信サービスをご紹介します。紹介するサービスは3つ。Netflix、Amazon Prime Video、Huluです。Netflixの利点は、動画のオープニングやエンディングをスキップできる点です。余計な操作なしで、すぐに次のコンテンツを視聴できるため、1クール分のアニメやドラマを一気に観たい場合におすすめです。Amazon Prime Videoの利点は〜。

全体から部分への展開を身に着ける
全体像を先に述べる文章構成を「ホールパート法」と呼びます。「ホールパート法とは?説明が上手になりたい人必見」では、例文を交えてホールパート法を解説しています。あわせてごらんください。

誰でも80点以上の文章が書けるライティングテクニック39選

「誰でも80点以上の文章が書ける ライティングテクニック39選」では、この記事でご紹介する内容に加えて、説得力を持たせる書き方のルールや、読み手に好印象を与える書き方のルールも解説しています。

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