議事録の取り方を徹底解説|これだけでわかる入門編
議事録作成は、新社会人や第二新卒などの若手社員の仕事とされます。しかし、若手社員の仕事だからといって、議事録作成がかんたんなわけではありません。
- 「今まで、なんとなくのノリで議事録を作ってきた」
- 「実は、議事録とメモの違いがよくわかっていない」
というビジネスパーソンも多いはずです。
この記事では、議事録を作成する意図と書くべき項目を整理し、よくある質問に対する対処法を紹介しています。
明日からの会議で上手に議事録を取る際に、ぜひご参考ください。
会議で議事録を取るべき2つの理由
あなたが議事録を取るべき理由は、突き詰めると2つに集約されます。この章では、会議で議事録を取るべき2つの理由についてご紹介します。
議事録を取るべき理由1:会議で決定した内容を証拠に残すため
人間は忘れる生き物です。1度会議で決まったことでも、議事録がなければ確認回数が増えたり、最悪の場合同じ議論を繰り返したりすることになります。
みなさんも、以下のような会話を目にしたことが1度はあるのではないでしょうか。
- 「あれ、そういえばあの件ってどうなったんだっけ。」
- 「たしかA案で決まったと思いますよ。」
- 「いやでも、最終的に鈴木部長がA案は微妙だと言い出して、B案で進める方向で決まったんじゃなかったか。」
- 「あれ、そうでしたっけ。」
このようなときに、議事録がなければ確認に手間取ったり、誤ったプランで仕事を進めてしまったりします。
そのため、会議で決定した内容の「証拠」となる議事録が必要なのです。
議事録を取るべき理由2:次の会議で決めるべき内容を確認し、次回の議題を明確にするため
複数回に渡る会議では、過去の会議に参加しておらず議題を把握していない参加者が出てくる可能性があります。
議事録がなければ、初回の会議からの参加者と、途中からの参加者の議題に対する認識のズレが生まれてしまいます。
次回決めるべき議題を議事録に残しておけば、会議参加者の認識のズレを防げます。
議事録に入れるべき項目
この章では、議事録にかならず入れるべき項目をご紹介します。議事録に入れるべき項目を学ぶことで、会議前に焦らなくなります。
日時・場所・参加者・当日の議題
会議の基本情報として、
- 日時
- 場所
- 参加者
はかならず記入しましょう。
会議が行われた「証拠」を残す意味で、上記の3点は必要です。
「当日の議題」は、出席者が会議前に内容を理解するために、記入しておきたい項目です。
決まったこと
この項目では、当日の議題に対する結論をまとめます。議事録の目的は証拠を残すことなので、結論に至るまでの経緯までメモする必要はありません。
たとえば、「デザイナー会社からの提案は、A案とB案で意見が分かれたが、最終的にはB案で決定した」場合は、「デザイン会社からの提案は、B案で進めることに決定」とだけ書きます。
決まらなかったこと
決まらなかったことは、次回会議の議題になるため忘れず記入しましょう。
2度目の会議からの途中参加者は「決まらなかったこと」の項目を見れば、次回会議の議題をかんたんに把握できます。
次までにやるべきこと
この項目では、次回の会議までに確認するべきことや、上司の承認が必要なタスクを記入します。次回会議までにやるべきことがある場合、「誰が担当するのか」、「いつまでにやっておくのか」も決めておきましょう。担当と期日が決まっていれば、やるべきことは放置されません。
- 「デザイン案が決定したので、掲出ポスターとチラシの見積もりを印刷会社に取っておく。 誰が:山本さん いつまでに:今週金曜日まで」
議事録を取る際の3つの注意点
この章では、議事録初心者が議事録をとる際に気をつけるべき3つの注意点を紹介します。
会議での発言内容を全て記録した、「発言録」を作らない
「発言録」とは、会議中に「誰が何を発言したのか」を文章で書き残すものです。
発言録では、話の内容をすべて書き残す必要があります。
しかしビジネスにおける議事録を取る目的は、会議で話したことをすべて書き残すことではなく、会議の「証拠」を残すことです。
この記事は、社外の会議や、社内の会議での議事録の書き方を解説しています。今回解説をしている社内外の会議では、発言録を作成しないよう気をつけましょう。
官公庁や国会、裁判所において、「議事録」は発言録を意味します。「議事録」は、業種業界によって常識が異なることを覚えておきましょう。
議事録作成に時間をかけすぎない
議事録を取り慣れていないうちは、議事録作成に時間がかかるのも無理はありません。
しかし、議事録作成に時間をかけ過ぎないためにできる工夫もあります。たとえば、日時や参加者、当日の議題といった議事録の項目は、事前にテンプレ化しておけます。
また、議事録は、質を重視して時間をかけて書くよりも、素早く提出する方が大切です。議事録にとっては、完璧にこなすことよりも、素早い情報伝達とフィードバックが重要だからです。
作成時間は、会議にかかった時間と同じ時間〜1.5倍の時間(1時間の会議なら1時間30分)程度を目安にしましょう。
会議で分からなかった箇所を分からないまま記入し提出しない
議事録を取ることが多い若手社員は、会議で出てくる言葉や、会議参加者の関係性など分からないことが多いはずです。
議事録担当者が、会議を理解できないまま作成した議事録には、2つのデメリットがあります。
1つ目は、担当者自身の会議内容への理解が深まらないことです。わからないことをそのまま放置してしまうと、学びの場を活用できません。
2つ目は、筆者の認識ミスのある議事録は、決定事項を証拠に残す役割を果たさないことです。
議事録作成では、議事録担当者の理解につなげ、認識ミスを減らすために、会議中と会議後にできることがあります。
- 会議中に分からなかった言葉をメモしておく。
- 会議終了後に先輩上司に確認、理解した後に議事録へまとめる。
- 会議中に質問ができる環境であれば、会議中に質問をして疑問を解決しておく。
議事録作成についてのよくある質問と、対処法
議事録初心者は、書くべき項目や書く際の注意点が分かっても、実際に議事録を作成してみると悩みも多いはずです。この章では、議事録担当者がよく抱く質問とその対処法をご紹介します。
会議の内容についていけない、またはメモが追いつかない
議事録作成を任される新入社員が、会議の内容についていけなくなるのは普通のことです。会議についていけなくなったら、一旦落ち着いて、議事録の目的を思い出しましょう。議事録の目的は、決定事項や確認事項をまとめることであり、発言録を作ることではありません。
議事録担当者は、ひとまず決定事項や確認事項だけを聞き逃さなければよいのです。
加えて、会議の録音も、会議で焦らないための工夫です。「いざとなったら録音がある」と思うだけで、議事録担当者に心の余裕が生まれます。なお、会議を録音する場合は、会議前にかならず上司や先方に許可を取りましょう。会議によっては、録音を禁止しているものもあるためです。
PCと紙、どちらでメモを取るべきかわからない
議事録担当者は、参加する会議の状況に合わせて、PCと紙の両方を持込み、使い分けましょう。
なぜなら、紙のメモとPCのメモには、それぞれメリットデメリットがあるからです。
紙のメモでは、PCよりも自由度が高く、図解で感覚的に情報が残せます。
- 参加者の席順を書く。
- 話の内容をフロー図にしてみる。
- 簡単にグラフを書いてみる。
しかし紙のメモでは、議事録提出用にPCへの入力作業があるため、提出までに時間がかかります。
PCへの入力時間が惜しい担当者は、初めからPCでメモを取り始めましょう。
PCを使用する際は、会議前にPCで議事録を取っても問題ないか、会議参加者に許可をもらう必要があります。
会議によっては、以下の理由によってPCの使用を控えるべきかもしれないからです。
- タイプ音によって会議の集中を妨げてしまう。
- 他の参加者から会議に集中していないと思われる。
- そもそもPCの持ち込みができない。
- どうしても議事録作成に時間がかかってしまう
議事録作成にかかる時間は、以下の3つの工夫でかんたんに短縮できます。
1つ目の工夫は、事前準備です。時間短縮のためには、議事録のテンプレートを用意し、記入すべき内容を明らかにしておきましょう。また、日時や場所、参加者の項目は、会議前に記入できます。事前準備が、会議後の議事録担当者の負担を減らしてくれます。
2つ目の工夫は、PCの辞書機能の活用です。会議で頻出する単語は、PCに辞書登録しておけば変換なしで入力できます。
3つ目の工夫は、議事録メモの形式の選択です。議事録を提出する形式が決まっている場合は、形式に合わせたメモの作成も時間短縮に繋がります。
たとえば、メールで提出するならメールの下書きにメモ、出力して提出するならwordにメモ、社内で共有するならGoogleドキュメントを利用してメモなど、早く提出するための工夫ができます。
次の会議から使える議事録のテンプレート
実際に明日の会議から使えるテンプレートと例文を用意しました。ぜひご活用ください。
- 日時:yyyy年mm月dd日(曜日)
- 場所:会議室A
- 参加者:【マーケティング部】佐藤さん、鈴木さん、高橋さん 【営業部】田中さん、伊藤さん、渡邊さん、山本さん
- 当日の議題:次回キャンペーンの広告出稿について
- 決まったこと:デザイン会社からの提案は、B案で進めることに決定
- 決まらなかったこと:追加予算分をどの広告媒体に出稿するのか
- 次までにやるべきこと:デザイン案が決定したので、掲出ポスターとチラシの見積もりを印刷会社に取っておく。 →誰が(山田さん)いつまでに(今週金曜日まで)