会議を効率化する5つの秘訣と心構え
会議は、お金を生み出さないにも関わらず、多くのビジネスパーソンは、会議に毎日かなりの時間を割いています。1日の平均会議時間は、3時間とも言われています。これでは、なかなか仕事の生産性は上がりません。
いざ「会議を効率化しよう」と思っても、なかなか上手くは行かないものです。なぜなら、会議の悩みは多種多様であり、どこから手をつけたらよいか、わからないからです。
あなたは、会議について、以下のような悩みを抱えてはいないでしょうか。
会議を開いても何も決まらない 会議で発言しない人がいる 1人の発言時間がやたら長い 会議がダラダラと長引く 会議の回数が多い 会議の資料がわかりづらい 会議のゴールが見えない
上記のような悩みを抱えていれば、あなたの会議は見直す必要があります。
この記事では、あなたの会議を効率化する方法をご紹介します。みなさまのお役に立てば幸いです。
会議の悩みは、3つのパターンに集約される
会議についての悩みは、一見すると多種多様です。しかし、抽象化して整理すれば、いずれの悩みも、以下の3パターンに集約されます。まずは、自分はどのパターンで悩んでいるのか、明らかにしましょう。
1:会議の目的が達成できない
会議の目的が達成できないパターンは、「意思決定がいつまでたっても終わらない」「アイデア出しの会議のはずが、まったくアイデアが出ない」といったパターンです。
会議の目的が達成できない理由は、さまざまです。たとえば、会議の目的が達成できない理由には、「意思決定に耐えうるデータが集まっていない」「意思決定に必要なキーパーソンが不在」「これ以上話し合っても、机上の空論になってしまうレベルで、議題が煮詰まっている」などが挙げられます。
予定していた会議の時間を過ぎても、会議の目的が達成できない場合は、一度議題を持ち帰りましょう。議題を持ち帰った上で、「なぜ目的が達成できないのか」を考える必要があります。
2:会議の目的達成までに時間がかかる(効率的でない)
会議の目的達成までに時間がかかるパターンは、「会議の目的は達成できたが、予定の終了時刻を3時間も過ぎてしまった」というパターンです。
「会議が効率的でない」という悩みを抱えている担当者の多くは、このパターンに当てはまります。会議の時間を大幅に超過してしまう理由には、「ファシリテーターが未熟」「資料が分かりづらい」「事前に資料が共有されていない」などが挙げられます。
この記事では、「会議の目的達成までに時間がかかる」パターンの解決を目指します。
3:そもそも会議の目的がない
そもそも、目的なき会議を開いてしまっているパターンもあるでしょう。定例会議などの、ルーチン開催している会議は、目的なき会議に陥りがちです。
目的なき会議は、会議の悩みの3パターンの中で、最悪のパターンです。目的がないので、雑談のような会議になってしまいます。参加者は、どのような状態になれば会議が終わるのかがわかりません。
「この会議は、そもそもなぜ開いているんだろうか」
「メールや電話でのやりとりでは済まないだろうか」
「なぜ、こんなに多くのメンバーが集まる必要があるんだろうか」
上記のような問いかけで、目的なき会議の開催は未然に防げます。
代表的な会議の種類と、それぞれの会議の目的
会議でもっとも大切なことは、目的設定です。目的が設定、共有されていない会議は、目的なき会議に陥り、参加者の多くの時間を無駄にします。
この章では、代表的な会議の目的を3種類ご紹介します。
会議の参加者全員が「この会議はこの種類だな」と認識している状態を作りましょう。
1:意思決定のための会議
意思決定のための会議は、「何をやるか」「何をやらないか」という意思決定をするための会議です。意思決定のための会議では、プレゼンターは「意思決定に足るだけの判断材料」を意思決定者に示す必要があります。
すなわち、意思決定のための会議では、事前準備がもっとも大切です。
会議の準備が不足していると、せっかく集まったにも関わらず「判断材料が足りないから、この会議では決められない」と意思決定者に言われてしまうでしょう。
意思決定のための会議は、当然ながら意思決定者の参加がマストです。意思決定のための会議は、「プロジェクトのキーパーソン」「社内の重役」などの、役職が高い人物が集まりやすいため、非常に高コストです。
2:情報共有のための会議
情報共有のための会議は、プロジェクトの進捗状況や、発生している問題などを、会議参加者と共有するための会議です。情報共有のための会議は、比較的参加者が多いことが特徴です。
情報共有を目的とした会議は、定例会議などの「繰り返し行われる会議」に多い傾向があります。
3:アイデア出しのための会議
アイデア出しのための会議は、参加者からさまざまなアイデアを募るための会議です。アイデア出しのための会議では、しばしばブレインストーミングなどのアイデア出しの手法が用いられます。
オズボーンのチェックリストは、アイデアを出すためのフレームワークです。こちらの記事でまとめましたので、ぜひ合わせてごらんください。
参加者の人数が多かったり、役職が高かったりすると、遠慮や忖度により、忌憚のないアイデアを出せない参加者が出る可能性があります。そのため、アイデア出しの会議は、ひとまずはプロジェクト単位やチーム単位などの、比較的少人数で行うとよいでしょう。
会議を効率化する5つの秘訣
この章では、決められた会議時間内に、会議の目的を達成するための5つの秘訣をご紹介します。
1:資料共有は会議の前々日までに行う
会議を効率よく進められるかどうかは、会議の準備にかかっています。参加者が余裕を持って会議資料に目を通せるように、会議で使う資料は、会議の前々日までに用意しましょう。
「会議の前々日までに用意するのは難しい。そんなことをしたら、資料のクオリティが下がってしまう」と思われる会議担当者もいらっしゃるでしょう。しかし、会議資料において重要な点は、「資料作成に費やす時間」と「資料のクオリティ」のバランスです。
一般的には、「費やした時間」と「資料のクオリティ」は比例します。
会議の資料は、7割のクオリティを目安に提出しましょう。7割のクオリティの資料は、上司の意思決定に耐えうるデータを持ちつつ、資料を修正、共有する時間も残しているからです。
会議のギリギリまで練りに練って、10割のクオリティまで仕上げた資料は、データは十分ですが、会議参加者に共有する時間や、間違いを修正する時間がありません。
5割のクオリティの資料では、上司の意思決定に耐えうるだけのデータが揃っていません。
会議の前々日までに、7割のクオリティに仕上がるように、資料作成に取り掛かりましょう。
2:「OARR」で会議を効率化する
効率よく会議を運営するには、会議の「OARR」を考えてみましょう。会議のOARRとは、「Object:目的」「Agenda:アジェンダ」「Role:役割」「Rule:ルール」の頭文字を取った造語です。
「Object」は、会議の目的を指します。前述した通り、目的なき会議になってしまうと、多くの時間をロスします。
「Agenda」は、会議のアジェンダを指します。アジェンダには、以下のような内容を記載します。
会議の議題は何か 会議は、どのように進行していくのか どのタイミングで、誰が何を話すのか 決めなければならないことは何か
「Role」は、会議中の役割を指します。あなたは、それぞれの参加者にどのような役割を期待しているでしょうか。「司会の進行役」「議事録係」「ホワイトボードへの意見の取りまとめ役」などは、事前に決めておくとスムーズです。
「Rule」は、会議のルールを指します。会議のルールとは、会議を効率よく、効果的に運営するための決まり事です。「参加者には、事前にアイデアを3つ用意してきてもらう」「他人が発言している最中に、割って話し始めない」「他人の意見を否定しない」などが、会議のルールの一例です。
3:会議の時間を30分に設定する
会議の時間は、30分に設定することをオススメします。諸説ありますが、人間の集中力は、15分から20分しか持たないと言われています。
30分の会議を、インプットの時間とアウトプットの時間に分けて運営すると、参加者の集中力を維持できます。たとえば、開始から15分間は議題や課題の確認、進捗共有(インプット)の時間に充て、残りの15分をアイデア出しや意思決定(アウトプット)の時間に充てるのです。
4:参加者が発言しやすい場を「仕組みから」作る
会議では、「発言しない参加者は、会議に参加する価値がない」と言われます。会議の目的にもよりますが、アイデア出しの会議などにおいて、一切発言しないと、会議に参加する意思がないと思われても仕方がありません。
しかし、会議を運営する担当者は、参加者が発言しないこと、もしくは発言できないことを、参加者個人の責任にしてばかりではいけません。会議の参加者が、なるべく発言しやすい場を作ることも大切です。
まずは、なぜ会議参加者から意見が出ないのかを考えてみましょう。会議参加者に直接ヒアリングするのもよいでしょう。会議参加者から意見が出ない理由として、ありがちな理由として
「難しい議題だから、ついていけていない」
「役職が高い人がいて、意見を出しづらい」
「意見に自信がない」
「意見を否定されたくない」
などが挙げられます。
上記が理由の場合、
「議題の背景を、参加者にしっかりと説明する」
「役職が極端に離れた社員を、一緒の会議に呼ばない」
「どんな意見でも歓迎することを伝える」
「参加者の意見は否定しない、というルールを設ける」
などの対応が考えられます。
それでも、「なかなか意見を言ってくれない」という参加者もいるでしょう。参加者全員から意見をもらいたいときの最終手段は、「かならず1人3分は発言する時間を作る」というように、ルールによって参加者全員の発言時間を確保することです。「自分にも3分発言する権利、義務がある」と参加者が感じれば、意見はぐっと出やすくなります。
逆に、1人が話しすぎてしまって、そのほかの参加者が発言しづらくなってしまうこともあります。そんな時は、話しすぎてしまう参加者にタイムキーパーを任せるとよいでしょう。タイムキーパーを任された参加者は、自分の発言時間を意識するようになります。
5:終了予定時刻には、きっちり会議を終える
「会議の終了予定時刻には、きっちり会議を終える」
これは当たり前のことですが、できていない担当者が多いのではないでしょうか。私たちは、「キリが悪いから」「まだ会議の目的を果たしていないから」といって、つい会議を延長してしまいがちです。
意思決定のための会議において、「予定の時間に終わらない」ことは、すなわち
「意思決定に必要な情報が揃っていない」
「すでに答えの出ない議題に取り組んでしまっている」
「参加者の意見が対立し、収拾がつかない」
などを意味します。
会議が煮詰まっている場合、終了時刻にしっかりと会議を終えて、一度議題を持ち帰ることが重要です。多くの場合、一度議題を持ち帰り、会議を開き直した方が、建設的な会議ができますし、多くの参加者の時間を無駄にせずに済みます。
一度議題を持ち帰り、「なぜ目的が達成できなかったのか」「会議の目的を達成するために、次の会議では何をしなければならないか」を考えましょう。
効率よく会議を進めるための、会議参加者の心構え
効率よく会議を進めるためには、会議参加者の協力も欠かせません。この章では、効率よく会議を進めるための、会議参加者の心構えをご紹介します。
会議中は「謙虚でありつつも、遠慮はしない」
会議中は、謙虚でなければなりません。どんな意見であっても無下にせず、他人の意見を尊重しましょう。会議中に他人の意見を尊重しない参加者が1人でもいると、多くの参加者は発言をためらいます。参加者が気持ちよく発言できない会議からは、よいアイデアは生まれませんし、無用な争いを生む可能性もあります。
ただし、会議において「遠慮」は不要です。他の参加者に遠慮、忖度して発言できなければ、あなたが会議に出席している価値はありません。
会議中は「謙虚でありつつ、遠慮はしない」ことを心得ておきましょう。
人と向き合うのではなく、コトと向き合う
会議では、「人」と向き合わず、「コト(議題)」と向き合いましょう。会議では、参加者同士の意見が対立し、口論になってしまったり、下手をすると怒鳴り合いが始まってしまったりします。
特に、縦割りの組織では、部署やチームがそれぞれ違う目標を追っていることが多いため、利害が一致しないことがあります。その結果、お互いが自分の利益を主張しあい、口論になってしまうのです。
または、単に「あの部署のあいつは気に入らない」「新人のくせに、意見するなんて生意気だ」といった理由で、他の参加者を敵対視する参加者もいます。
会議では、「どの部署の誰が言っているか」ではなく、「会社として今、何を為すべきなのか」「どうすれば、会議の目的は達成されるのか」「もっともよいやり方はないか」「何がもっとも会社の利益になるか」といった「コト(議題)」にフォーカスしましょう。
参加者全員が、「人」ではなく「コト」にフォーカスしていれば、無用な争いは起こりません。